Zoho Analyticsでは、連続する時系列データ(一定の時間間隔で収集されたデータ)に対して、少なくとも1つの集計列をプロットしたレポートに予測を適用できます。予測エンジンでデータを正確に分析して予測するには、時系列に連続するデータポイントが6つ以上必要です。データポイントが多いほど、データ予測の精度が向上します。
データに欠損値がある場合、Zoho Analyticsは最も頻出する間隔に基づいて、欠けているデータポイントの値を自動的に補完します。値の40%を超える部分が欠損している場合、予測は実行できません。
メモ:予測の精度を確保するには、予測値の数が利用可能なデータポイントの40%を超えないようにしてください。たとえば、データ系列に10個のデータポイントがある場合、正確な結果を得るには予測するデータポイントを4個までにします。
予測エンジンは、時系列データから特定したパターンに基づいて、最初に複数の予測モデルを選びます。その後、データに最適な結果をもたらすモデルが、そのデータ系列の予測モデルとして選択されます。
Zoho Analyticsで利用できる予測モデルは次のとおりです。各モデルには複数のサブカテゴリーがあります。
必要なモデルを選択することも、データに最適な予測モデルをZoho Analyticsで自動的に算出することもできます。
回帰では、データ系列の動きを分析し、さまざまな値の関係を特定します。パターンの特定後、線形、対数、指数、べき乗、多項式(最大7次)など、さまざまな回帰モデルが算出されます。各モデルで結果がプロットされ、R二乗値(決定係数)を算出して最終的なモデルが特定されます。R二乗値が最も高いモデルが、そのデータ系列に最適な回帰モデルとして選択されます。
このモデルでは、トレンド、季節性、誤差(ランダム性)の各要素を使用して、将来のデータポイントを算出します。データ系列内の3つの要素を特定した後、STLモデルでは2つの手法のいずれかを使用して将来の値を算出します。
データに最適なSTLモデルを選択するには、時系列データ内のトレンド、季節性、ランダム性の有無を特定する必要があります。
トレンド:系列が時間の経過とともに一定の傾向で増加または減少することを指します。予測エンジンでは、回帰モデルを使用してトレンドの有無を検出します。回帰モデルで描画された線が水平な場合、データ系列にトレンドはありません。一方、描画された線に傾きがある場合は、データ系列にトレンドがあることを示します。
季節性:データ系列内で一定の間隔ごとに繰り返される共通のパターンであり、スペクトル分析を使用して算出されます。
ランダム性:ランダム性または誤差とは、データ系列内で特定のパターンを持たないランダムなデータポイントを指します。
3つの要素に基づき、加法モデルまたは乗法モデルを使用して将来の値が算出されます。加法モデルではトレンド、季節性、ランダム性を加算し、乗法モデルでは3つの要素を乗算します。
加法モデル:このモデルでは、時系列の各要素(トレンド、季節性、誤差)が及ぼす影響はほぼ同じです。
乗法モデル:乗法モデルでは、トレンド要素と季節性要素を乗算し、誤差要素を加算します。
データ系列に最適なSTLモデルは、平均二乗誤差平方根(RMSE)の値を算出して特定されます。季節性・トレンドのLOESS分解モデルでは、ランダムなデータポイントの平滑化も考慮されます。
ETSモデルの予測値は、過去の観測値の加重和です。古い観測値ほど重みが指数関数的に減少します。そのため、データ系列内の直近の値ほど、予測値に強く影響します。したがって、将来のデータポイントの算出で直近の値を重視する場合には、指数平滑法モデルが最適です。
Zoho Analyticsの予測エンジンには、さまざまな種類の時系列データに対応する複数の指数平滑法が用意されています。次の画像は、ETSモデルを構成するトレンド要素と季節性要素のさまざまな組み合わせを示しています。
ETSモデルを使用してデータを予測するには、複数の平滑化パラメーターが必要です。各パラメーターは次のとおりです。
アルファ:水準の平滑化因子または平滑化係数とも呼ばれ、過去の値の影響が指数関数的に減衰する割合を制御します。この値は0~1の範囲で指定する必要があります。
ベータ:トレンドの平滑化因子であり、トレンド要素の影響を制御します。この値は0~1の範囲で指定する必要があります。
ガンマ:季節性の平滑化パラメーターであり、季節性要素の影響を制御します。この値は0~1の範囲で指定する必要があります。
ファイ:減衰係数とも呼ばれ、減衰率を制御してグラフを平滑化するために使用されます。この値は0~1の範囲で指定する必要があります。
頻度:季節性が現れるまで、つまり季節パターンが繰り返されるまでに必要なデータポイントの総数を示します。この値には、2から利用可能なデータポイント数の半分までを指定できます。
必要な指数平滑法モデルを選択することも、赤池情報量規準(AIC)を使用してデータ系列に最適なETSモデルを自動的に特定することもできます。
これは、ホワイトノイズまたは基礎となるデータ生成プロセスの元の信号が抽出されるまで、連続的に変換を行う従来の時系列モデリング手法です。自己回帰プロセスと移動平均を使用し、想定される誤差とともに系列の性質を反映します。ARIMAモデルは、明確なトレンド要素や季節性要素がないランダムなデータ系列に最適です。
ARIMAモデルを使用したデータ予測に関連する各種パラメーターは次のとおりです。
自己回帰次数(p):データ系列内の自己回帰項の数を示します。
移動平均次数(q):時系列の各時点で考慮される過去の誤差値の数を示します。
和分次数(d):データポイントを定常信号(時間の経過にかかわらず平均値が一定の信号)にするために必要な差分回数を示します。
頻度:スペクトル分析を使用して生成された季節性パターンを示し、繰り返しの影響を除去するために使用されます。
予測エンジンでは、さまざまなモデルの結果を比較し、赤池情報量規準(AIC)を使用してグラフの予測に最適なモデルを特定します。この算出結果で2つのモデルが同程度の結果となった場合は、ベイズ情報量規準(BIC)を使用して、データ系列に最適な最終予測モデルを選択します。
これらの計算結果に基づき、Zoho Analyticsでは最適な予測モデルを使用して、データ系列の将来のデータポイントを生成します。