年末からお正月にかけてのホリデーシーズンは、1年の中でもイベントが盛りだくさんで、誰もが楽しみにしている時期です。主なイベントとしては、ハロウィン、ブラックフライデー、サイバーマンデー、クリスマス、大晦日、元旦などがあります。これらの季節イベントや各種行事向けのキャンペーンは、通年の他のキャンペーンとは異なり特別な注意を必要とするでしょうか。
その答えは「YES」です。
通常、季節イベントや各種行事の時期には、メール配信数や頻度が多くなります。一方、迷惑メール(スパム)業者は、それに便乗してフィッシングやなりすましの活動を増やします。その結果、メール機能を提供するサービス(以下、メールサービス)は、膨大な量のメールを検証することになります。メールサービスによるフィルターを安全にくぐりぬけ、競合他社に負けない成果を得るには、キャンペーンの内容を前もって精査し、配信リスト内の適切な登録者にのみメールを配信する必要があります。
以下では、季節イベントや各種行事向けキャンペーンを計画するにあたって重要なポイントを説明します。
配信リストの整理(クリーニング)
季節イベントや各種行事向けのキャンペーンの成果を最大化するには、数か月前から配信リストを整える必要があります。顧客との関係を深め、季節イベントや各種行事に向けて準備する期間を十分に確保することが重要です。場合によっては、季節イベントや各種行事向けキャンペーンでしか使用しない配信リストもあるでしょう。これらのリストは、対象のイベントや行事が終了した後は使用されず、次の年まで塩漬けになるかもしれません。この場合、配信リストは年に一度しか使用しません。そういった宛先に長期間メールを配信をしない場合……
- 受信者がメールの内容を確認せず、未開封のままにしてしまう可能性があります。
- メールが迷惑メール(スパム)に振り分けられたり、登録解除(配信停止)されてしまうことがあります。
- 受信者のメールアドレスが変わっていて、登録されているメールアドレスが無効になってしまっていることもあります。
マーケティング活動においては、できるだけ広い範囲の人にメッセージを届けたいでしょう。しかし、もし配信リストに反応が悪い(開封やクリックなどの反応がない)受信者が5~10%いた場合、全体の90~95%のみが対象として有効になります。この場合、成果が得られる確率が、5~10%は確実に減少することになります。配信リストの中に、反応が悪い受信者や無効な宛先がどのくらい含まれているかが、成果に大きく影響するのです。
成果を最大化するためには、マーケティング担当者は、配信リストを頻繁に整理(クリーニング)する必要があります。以下では、配信リストの整理と反応が悪い受信者への対応について、もう少し詳しく説明します。
配信リストの整理(クリーニング)の具体的な手順
配信リストの整理(クリーニング)を実施すると、無効な受信者にメールを配信してしまうことを避けて、迷惑メール(スパム)業者とみなされないようにすることができます。また、配信リスト内のそれぞれの受信者の有効性を確認した上で、反応が悪い受信者を抽出し、連絡を取り直してみることができます。
反応が悪い連絡先の抽出
Zoho Campaignsでは、顧客がメールを開封したり、返信したり、メール内のリンクをクリックしたりした際に、特定の条件に基づいて連絡先にスコアを割り当てることができます。この機能は
連絡先のスコアリングと呼ばれます。メールを開封しない受信者は、スコアが低くなり、反応が悪い連絡先とみなされます。スコアリング機能を使用することで、反応が悪い受信者を、スコアに基づいて抽出することができます。
条件を設定することで、最近登録されたばかりの受信者が抽出されないようにすることができます。また、反応がなかった期間を設定して受信者を抽出することもできます。
たとえば、1か月、3か月、6か月などの月単位や、1年間、2年間、3年間などの年単位で、反応がなかった受信者を抽出することが可能です。また、セグメントや新しい配信リストを作成して反応が悪い受信者を追加することで、該当の受信者に絞ったメール配信を行うこともできます。
反応が悪い受信者への改めてのメール配信
反応が悪い受信者を特定できたら、それらの受信者に改めて興味や関心を持ってもらえるように連絡することで、見込み客を増やすことができます。Zoho Campaignsではこのような場合に、再獲得キャンペーンを実施できます。このキャンペーンは、反応が悪い受信者にメールを配信し、興味や関心をもう一度持ってもらうことを目的としています。再獲得キャンペーンでは、受信者の興味をひけるような件名や、関心をより高められるような内容を配信することが重要です。
なお、受信者にとっては久しぶりの連絡になるため、メール本文に、メールが配信されている理由について明確に記載することが大切です。また、メール受信のメリットを伝えることで、メール配信を継続的に許可してもらえるようにすることも有効です。購入特典や割引を提供するのも良いでしょう。
さらに、受信するメールの
トピックを選んでもらうことで、興味に合わせた内容を配信することもできます。また、投票やアンケートを使用することで、メール配信を止めようとしている理由を確認することもできます。
再獲得キャンペーンを一旦実施した後、フォローアップメールを配信して、配信を続けるか中止するかを確認することも重要です。配信を希望しない人ではなく、配信を希望する人のフォローに力を入れましょう。
再獲得キャンペーン作成の詳細については、
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配信元ドメインの認証
季節イベントや各種行事の時期になり、たくさんのメールが配信されると、受信者側のメールサービスは大量のメールを検証しなくてはなりません。メールサービスは、受信者に安全にメールを配信するため、配信元のドメインの有効性や適切性を検証しています。このため、認証されていない配信元ドメインからのメールは、メールサービスによって迷惑メール(スパム)として判定されやすくなり、受信トレイに配信されないことがあります。その結果、配信元ドメインを認証せずにメールを配信した場合、メールが受信トレイに配信されない場合があります。これを防ぐためには、次のような点が重要です。
- フリーメールアドレスではなく、自社で登録や管理しているドメインのメールアドレスを使用する。
- SPF、DKIM、DMARCの設定を行う(メールの到達率が高まります)。
- メールの配信元ドメインを認証する。
配信元ドメインの認証に関する詳細については、
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配信元ドメインの信頼性を高める(ウォームアップする)方法
場合によっては、マーケティング担当者が季節イベントや各種行事キャンペーンで配信するメールの頻度を適切に管理できていないこともあるでしょう。イベントや行事が近づく前にはほとんどメールを配信していなかったのに、突然大量のメールを配信すると、その配信元からのメールが急増したことになります。メールサービスはメールの急激な増加を不審なものとみなし、要注意メールと判断する可能性があるため、迷惑メールと判定されたり到達率が低下したりなどの問題につながります。新しい配信元ドメインを使用してメールを適切に配信するには、配信元ドメインの信頼性を高める(ウォームアップする)必要があります。
イベントや行事の数か月前から計画的にメールを配信することで、イベントや行事の時期になってもメールが確実に受信トレイに配信される確率を上げることができます。まず、いつもメールを開封してリンクをクリックしてくれる受信者にメールを配信することから始めましょう。配信したメールが開封される確率が高くなり、メールサービス側から、安全な配信元であるという評価を得ることができます。十分な評価を得た後は、残りの受信者にメールを配信しても到達率を保つことができます。その上で、イベントや行事の時期に配信予定の数に達するまで、メールの配信数を徐々に増やしていきましょう。ウォームアップ中の配信において問題が発生した場合、メールの配信を一時停止し、配信内容や方法を再検討してください。
配信元ドメインのウォームアップに関する詳細については、
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新しい配信元ドメインの使用における注意点
季節イベントや各種行事キャンペーンの配信において、新しい配信元ドメイン(登録したばかりのドメイン)を使用することは、お勧めできません。これは、通常、新しい配信元ドメインには、メールサービスからの信頼性がないからです。新しい配信元ドメインから大量のメールを配信すると、あなたが配信するメールが、受信者のメールサービス側で迷惑メールとみなされ、メールの配信に問題が生じる可能性があります。新しい配信元ドメインを使用する場合は、少なくともメール配信を開始する1か月前から配信元ドメインのウォームアップを開始する必要があります。
コンテンツの準備とテスト
配信リストの整理(クリーニング)、配信元ドメインの認証、ウォームアップが済んだら、メールのコンテンツに集中しましょう。
メール配信を実施する2~3週間前には、コンテンツを準備し、テストアカウントに配信して、データの確認やリンク切れといった内容の確認をすることをお勧めします。また、
A/Bテストも有効です。A/Bテストでは、2種類の内容を作成し、まず少数の受信者グループに配信します。次に、どちらの反応が良かったかを確認することで、受信者の興味や関心の傾向を分析します。その内容を踏まえて改善を加えることで、効果がより高いメールを残りの受信者に配信することができます。
季節イベントや各種行事をテーマにしたメールの作成時のポイント
季節イベントや各種行事に合わせた内容のメールを作成することが重要です。いつも通りのデザインでメールを配信しても、受信者をひきつけることはできません。イベントや行事をテーマにしたアイコンやイラストを使ったデザインを使用して、受信者の心をつかみましょう。また、件名にもその時期のイベントや行事の情報を反映することで、興味を持ってもらいやすくなります。イベントや行事に関するキーワードや絵文字を上手に使って、魅力的な件名にしましょう。そうすることで、メールに興味を持ってもらい、開封率やクリック率を高めることができます。
メール配信に合わせた販売戦略
配信リストの整理(クリーニング)、配信元ドメインの認証、コンテンツの準備が完了したら、商品・サービスの内容や販売方法の工夫などの戦略を練りましょう。
季節イベントや各種行事に合わせた商品やサービスの準備
季節イベントや各種行事の時期には、家族や友人に贈るプレゼントを探している人がたくさんいます。ですが、どこにいけば良い商品やサービスの情報が手に入るのか分からないでいるかもしれません。そこで、さまざまなカテゴリーのお買い得商品やおすすめのサービスを掲載したカタログや資料を作成し、たくさんの見込み客を取り込みましょう。
紹介キャンペーン
季節イベントや各種行事は、顧客を増やす絶好のチャンスです。すでにつながりのある人だけではなく、そのつながりを活かして新しい顧客を獲得するための活動も有効です。商品やサービスを他の人に紹介してくれた人に特典をプレゼントするなどのキャンペーンも実施してみましょう。
期間限定セールの実施
期間限定セールは、イベントや行事の1~2週間前に実施すると特に効果的です。宣伝効果の面だけでなく、メールコンテンツの効果性を検証したり、配信元の信頼度を高めたりするのにも役立ちます。
マーケティング担当者は、季節イベントや各種行事に応じて設定した目標を達成するための計画を立て、それを着実に実行に移す必要があります。メール配信においては、配信リストの整理(クリーニング)、配信元ドメインの信頼度の向上、適切な配信方法の選択、魅力的なメールコンテンツの準備などのポイントの1つ1つが重要です。これらのポイントを着実に実行し、より高い成果を生み出していきましょう!