メールの到達率とは、配信したメールの合計件数に対して、受信者の受信トレイに届いたメールの件数が占める割合を指します。配信メールの到達率が低下したときは、メールマーケティングのやり方を見直し、改善するチャンスです。こちらの記事では、到達率向上のための8つの改善ポイントをご紹介します。
その1:未認証の配信元ドメインを利用している
配信メールが受信トレイに確実に振り分けられるようにするには、メールサービス事業者や迷惑メール対策サービスから、迷惑メール判定を受けないようにすることが大切です。未認証のドメインから配信されたメールは、メールサービス事業者によって迷惑メールの疑いがあるものとみなされます。すなわち、ドメインが未認証の場合、配信メールは受信トレイではなく、迷惑メールフォルダーに振り分けられる可能性が高くなります。
そのため、配信を開始する前までに、配信元ドメインを認証することが重要です。配信元ドメインを認証すると、配信元の信頼性(メールサービス事業者や迷惑メール対策サービスによって算定される評価スコア)が高まるばかりでなく、メールの到達率も向上します。メール認証の方法としては、SPF、DKIM、DMARCが推奨されます。
配信元ドメインの認証方法についての詳細は、
こちらをご参照ください。
その2:配信元ドメイン/IPアドレスの信頼性が低下している
メールの到達率に大きく影響を与える要因の1つに、配信元のドメイン/IPアドレスに関する信頼性スコアがあります。配信元のドメイン/IPアドレスについての信頼性スコアは、メールサービス事業者が受信サーバーでメールを受信トレイに振り分けるかどうかを決定する際の鍵となります。配信元ドメインの信頼性スコアを左右する要因には、配信リスト、配信方法、配信内容の質があります。たとえば、配信リストの質が低い場合は、メールが不達となったり、迷惑メール報告や登録解除を受けたりする可能性が高くなります。
配信メールに対する消極的な反応が増えると、配信元のドメイン/IPアドレスの信頼性は低下します。同様に、メールの配信方法に問題がある場合や、メールの内容に迷惑メールとして判定されそうな内容が含まれている場合にも、配信元ドメイン/IPアドレスの信頼性は低下します。そのようにして信頼性が低下してしまった配信元のドメイン/IPアドレスをメール配信に利用した場合、配信メールは、メールサービス事業者の受信サーバーで拒否されるか、受信者の迷惑メールフォルダーに振り分けられることになります。また、以上と同様の理由から、新しい配信元ドメインを使用する場合も、配信元ドメインの信頼性を高めてから(ウォームアップしてから)メールを一括配信することが大切です。
配信元ドメインの信頼性向上(ウォームアップ)についての詳細は、
こちらをご参照ください。
その3:配信元アドレスとしてフリーメール(無料のメールサービス)を利用している
メールサービス事業者には、DMARC(ドメイン認証のための仕組みの1つ)による配信元ドメインの認証を必須としているところもあります。そのため、配信元ドメインがDMARCで認証されていない場合、メールは不達となる可能性が高くなります。このことから、メール配信用にフリーメールなどの未認証の外部ドメインを利用することは、不適切であることが分かります。フリーメールでは配信元ドメインを認証できないためです。以上のことから、Zoho Campaignsでは、配信元アドレスとしてフリーメールを利用することは推奨されていません。
その4:配信リストが適切に管理されていない
マーケティング担当者が苦戦する業務の1つとして、配信リストの管理があります。配信リストが適切に管理されていない場合や、外部購入したリストを利用した場合、配信リストの質は低下します。配信リストの質が低下すると、配信メールの到達率は低くなり、コンバージョン目標の達成(受信者から期待した反応を得ること)も難しくなります。以下では、配信リストの管理について、問題をさらに深く掘り下げて解説します。
配信リストの外部購入の回避
Zoho Campaignsでは、配信リストの外部からの購入は、推奨されていません。外部から購入した配信リストにメールを配信した場合、迷惑メールトラップにかかったり、迷惑メール報告を受けたりする可能性が高くなるためです。配信メールが迷惑メールトラップにかかったり、迷惑メール報告を受けたりすると、配信元ドメイン/IPアドレスの信頼性は低下してしまいます。
ダブルオプトイン(2段階の同意確認)の利用
シングルオプトイン(1段階の同意確認)の方法を利用する場合、メールアドレスは、登録確認メールによる手続きなしで直接配信リストに登録されるため、配信リストに無効なメールアドレスや誤ったメールアドレスが紛れ込みやすくなります。シングルオプトインによって作成された配信リストにメールを配信すると、メールが不達になったり、迷惑メールトラップにかかったりする可能性が高くなるのは、そのためです。不達件数が多くなると、信頼性スコアは低下します。また、配信リストの中に、配信を希望していない宛先が含まれていた場合、迷惑メール報告の件数も増加します。
以上のことから、Zoho Campaignsでは、ダブルオプトイン(2段階の同意確認)による配信リストの作成が推奨されています。ダブルオプトインの方法を利用することにより、誤ったメールアドレスや不正なメールアドレスが配信リストに紛れ込む可能性は低くなります。また、ダブルオプトインでは、登録確認メールを通じて受信者の受信意思を確認できるため、配信リストには、配信メールの受信を希望する宛先のみが登録されます。質の高い配信リストによって受信者から前向きな反応を得て、顧客との関係をしっかりと築いていきたい場合は、ダブルオプトインを利用するようにします。
配信リストに無効な宛先が含まれている場合、メールの配信活動に悪影響が及びます。そのため、配信リストに無効な宛先がないかどうかを確認し、無効な宛先には
継続確認メール(配信リストからの除外を希望するかどうかを確認するメール)を配信することが大切です。継続確認メールを配信する際は、目に付きやすい件名を設定し、メールの受信を続けるメリットを提示し、クーポンを配布するなどした上で、今後もメールの受信を続けるかどうかを確認します。継続確認メールを通じて受信継続の意思が確認できた宛先は配信リストに残し、反応のない宛先は配信リストから削除します。
メールサービス事業者のメール振り分けシステムにおいては、メールに対する受信者の過去の反応が重視されます。配信元からのメールがいつも開封されている場合、メールは受信ボックスに振り分けるように設定されます。このことから、メールが受信ボックスに振り分けられるためには、受信者から積極的な反応を引き出すための工夫が必要であることが分かります。
受信者のニーズや興味にそぐわない内容が配信された場合、受信者がメールを開封する確率は低くなるでしょう。多くの受信者が配信メールを未開封のまま放置したり、配信メールに対して消極的な反応を行ったりしている場合、メールサービス事業者は、受信者が配信メールを受け取りたくないものとして判断します。また、その後の配信メールが受信トレイに振り分けられなくなる可能性もあります。
Zoho Campaignsでは、受信者のニーズや興味を把握した上で、受信者のニーズや興味に関連した内容を配信することを推奨しています。受信者のニーズや興味を理解するには、購入履歴や、メール内でクリックされたリンクを分析するのも1つの手です。受信者のニーズや興味に基づくマーケティングの方法については、こちらをご参照ください。
また、メールの到達率を高める方法については、
こちらをご参照ください。
その6:配信メールの内容に問題がある
メールサービス事業者の受信サーバーでは、受信トレイにメールを振り分ける前に、メールの内容を読み取っています。メールの内容に迷惑メールと思われる言い回しやURLが含まれている場合、受信サーバーはメールを拒否するか、迷惑メールフォルダーに振り分けます。
迷惑メールとして判断される言い回しの回避
メールのメッセージに迷惑メール判定につながる言い回しが含まれている場合、受信サーバーは受信トレイへのメールの振り分けを拒否します。そのため、メールの内容を練る際は、迷惑メールで使用されそうな言い回しは避けるようにします。
迷惑メールとして判断されるURLの回避
迷惑メールの配信者は、短縮URLやページを何回も移動(遷移)するURLなどを利用して不正な処理を実行することが多くあります。受信サーバーがメールの内容を読み込んだ際、配信メールの内容に、迷惑メールとして判断されるURLが含まれていた場合、メールは受信トレイではなく、迷惑メールフォルダーに振り分けられます。迷惑メールとして判断されるURLとしては、短縮URL、ブラックリストに登録されているURL、内容が正しく表示されないURL、無効なURL、ページを何回も移動(遷移)するURLなどがあります。
そのため、配信メールの内容には以上のようなURLが含まれないようにする必要があります。メールの内容にURLを利用する場合は、対象のページに直接移動するURLを利用した上で、テスト用のメールアドレスにテストメールを配信して、リンクが無効でないことを確認するようにします。このようにして、配信メールが、メールサービス事業者によって設置されている迷惑メールフィルターを無事通過すると、メールは受信者の受信トレイに到達します。
その7:メールの配信方法に不適切な点がある
メールの到達率に影響を与える他の要因としては、メールの配信方法があります。
メールの分割配信
メールサービス事業者の受信サーバーでは、1日に受信するメール件数の基準値が設定されています。メールの配信件数を急激に増やして、一定期間に膨大な件数のメールを送信し続けた場合、配信メールの件数が基準値に達した時点で、受信サーバーは配信元からのメールを拒否するようになります。このような事態を回避するには、メールの配信件数を分割して、間隔をおいて送信することが有効です。そうすることで、受信サーバーによってメールが拒否されることはなくなります。
Zoho Campaignsの分割配信機能を利用すると、配信メールを分割して、一定の間隔ごとに配信できます。この機能の詳細については、
こちらをご参照ください。
開封時間帯の分析
真夜中など、不適切な時間帯にメールを配信すると、受信者に不快な印象を与え、登録解除につながる可能性があります。このように、不適切な時間帯に配信されたメールが、受信者の受信トレイで開封されないまま放置されると、メールへの反応率にも響きます。受信者が登録を解除したり、配信メールを開封しないまま放置したりすると、メールサービス事業者は、受信者は配信メールに興味がないと判断し、その後の配信メールを受信トレイに配信しなくなります。
そのため、受信者のタイムゾーンを分析し、適切な時間にメールを配信することが大切です。また、受信者が受信トレイをよく確認する時間帯を把握して、その時間帯にメールを配信することによって、メールへの反応をより引き出しやすくなります。Zoho Campaignsには、受信者にとって最適なタイミングでメールを配信する機能があります。
この機能の詳細については、
こちらをご参照ください。適切な配信頻度の維持
メールマガジンやニュースレターをただ定期的に配信したり、ときどき思い出したように配信したりするだけでは、目標とするコンバージョン率を達成する(受信者から期待した反応を得る)ことはできません。配信頻度は、低すぎても高すぎてもいけません。コンバージョン率を高めるには、受信者のニーズや興味に関連した内容を継続的に配信することが大切です。一方で、1週間にあまりに多くのメールを配信することは推奨されていません。受信者の受信トレイが配信メールであふれかえるようであれば、受信者は、配信メールを迷惑メールとして報告したり配信の登録を解除したりするかもしれません。メール配信にあたっては、最適な頻度を常に維持することが重要です。
配信メールに占める画像の割合
Zoho Campaignsでは、画像のみメール、または、非常に多くの画像を使用したメールの配信は推奨されていません。メールサービスで画像の自動ダウンロードが無効になっている場合、配信メール中の画像は、画像を表示するためのボタンが受信者によってクリックされない限り、表示されることはないためです。画像が大部分を占めるメールにおいて、画像が表示されなければ、受信者に内容を適切に伝えることは難しくなります。
配信メール全体の内容に対するテキストと画像の最適な割合は、テキスト60%、画像40%です。この割合であれば、画像がダウンロードされなかった場合も、テキストを通じて内容が伝わる可能性が高くなります。また、メールのサイズが大きすぎて、メールサービスにメールを弾かれる心配もなくなります。
その8:到達率の分析と問題への対処がなされていない
メール配信後は、メール配信の結果を確認して、うまくいった点と改善が必要な点を把握することが大切です。配信したメールが不達になっていたり、迷惑メール報告や登録解除を受けていたりする場合は要注意です。このような場合、問題の原因を分析して、適切な対策を講じる必要があります。
メールが不達となっていたり、受信者から消極的な反応があったりすると、配信元のドメイン/IPアドレスの信頼性のスコアは低下します。このような問題を未解決のまま放置すると、配信元のドメイン/IPアドレスの信頼性スコアはさらに低下し、到達率のさらなる悪化を招きます。
メールサービス事業者によるメールの振り分け状況を観察してみると、どのような特徴のメールがどのように処理されるかが分かってきます。そのため、メールの到達率を高めるには、配信結果の分析をもとに、マーケティング方法を吟味し、適切なメール配信を行っていくことが大切です。