はじめに - メール到達率とは

はじめに - メール到達率とは

注意深く作成したメールキャンペーンを配信する前に、キャンペーンを成功させるためには、まずいくつか基本的な考え方と、メールマーケティングのルールを理解することが重要です。開封率やクリック率を向上するには、また迷惑メールフォルダーに振り分けられることを回避するには、まずは 連絡先からの信頼 を得なければなりません。

メールの到達率の向上と、連絡先からの信頼の獲得において、重要な役割を果たす要素は、次のとおりです:

ドメイン認証

メールは配信される前に、まず、安全な配信元から配信されているかどうかを検証されます。インターネット上では毎日のようにフィッシング攻撃が発生しているため、配信元の安全性が高いことを証明することが重要です。これにより重要な疑問が生じます。メールが安全な配信元から配信されていることを、どのように証明するのでしょうか?

 配信したメールは、すべて最初に認証が行われます。認証の状況に応じて、メールが分類され、受信トレイに配信されたり(適切に認証された場合)、隔離されたり、迷惑メールフォルダーに配信されたりします。

ドメイン認証には、次のものが含まれます:

  1. SPF (Sender Policy Framework) :配信元を認証します。
  2. DKIM (DomainKeys Identified Mail) :ドメインキーを添付してメッセージを暗号化し、SPFを含みます。
  3. DMARC (Domain-based Message Authentication, Reporting and Conforming) :配信元アドレスに違法なドメイン名を使用することを防ぎます。 
Zoho Campaignsの初期設定では、すべてのメール配信ドメインの認証が実行されます。フィッシング攻撃を回避するために、自分のドメインを認証することを強くお勧めします。 

SPF


「SPF(Sender Policy Framework)は、配信元アドレスの偽造を防ぐための技術的な方法を指定するオープンな標準です。」(出典: SPF

SPFは、自分のドメインからメールを配信できるIPアドレスを管理するレコードです。これは配信元の認証です。  自分のリストにないIPアドレスからメールを配信する場合は、信頼性のないネットワークから配信されたメールとして処理されます。これが、多くのメールが迷惑メールフォルダーに振り分けられる、一般的な理由です。  

Zoho Campaignsを使用してメールを配信する場合は、Zoho Campaignsが自分の代理でメールを配信することを許可する必要があります( 詳細はこちらをご参照ください )。 

DKIM


「DKIM(DomainKeys Identified Mail)は、組織に対して配信中のメッセージに責任を持たせます。組織とは、配信元または仲介者としてのメッセージの取扱者です。組織の信頼性は、配信などのその後の処理のために、メッセージを信頼するかどうかの評価の基礎となります。」(出典: DKIM

大昔は、高官や皇帝などから送られる手紙は、印章で封印されていました。印章が壊れていない場合、受信者は、メッセージがいかなる形でも変更されていないという確証を持つことができました。同様に、インターネットでメールを配信する場合、メールが受信される前に、傍受されたり、変更されたりしないようにしなければなりません。 

DKIMの暗号化は、配信元から配信されたメッセージが影響を受けず、元のメッセージと一致することを確認します( 詳細はこちらをご参照ください )。 

DMARC


 「DMARCとは、「Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance」の略で、メール認証、ポリシー、レポーティングプロトコルのことです。広範囲に展開されたSPF/DKIMプロトコルに基づき、不正なメールからドメインを保護してモニタリングします。」(出典: DMARC

DMARCにより、ユーザーは、ブランドのドメイン名から偽装/不正メールを見分けることが可能になります。つまり、これによりドメインの信頼性を保護することができます。

これは、信頼できるメールプロバイダーに対する配信を確実にするために、最近公式化された最新のプロトコルです。

DMARCポリシーに準拠することは、さらなる利点になります。DMARCは、SPFやDKIMを通さずに、ISPやESPに対してメールが行えるアクションを伝えます。   

認証済みの配信元ドメインから配信されたメールは、メールフィルターで良い評価を得ます。


ドメイン

配信元ドメイン

組織のドメインまたはサブドメインのメールアドレスを使用することをお勧めします(例: patricia@zylker.com patricia@news.zylker.com )。

公式Webサイトのドメインとキャンペーンの配信に使うドメインは、関連性があるものにする必要があります。たとえば、Webサイトが「 www.zylker.com 」の場合、メールアドレスは「 bob@zylker.com 」や「 bob@email.zylker.com 」のようなものでなければなりません。しかし、「 bob@zillum.com 」などを使用すると、連絡先があなたを識別することが困難になります。 

メールの受信者が、配信元アドレスや、それに付随する組織を容易に識別できるようにする必要があります。  

ドメインのブラックリストの照合

メールを配信する前に、必ず自分のドメインがブラックリストに登録されていないことをご確認ください。ブラックリストへの登録は、配信元ドメインの信頼性に依存します。 Sender Score SenderBase 、その他の同様のサービスで、自分のドメインの信頼性を確認できます。

主要な迷惑メール対策や、ブラックリストサービスプロバイダーの Spamhaus Sorbs Spamcop などで、ドメインの信頼性を確認できます。 

ドメインがブラックリストに登録された場合、該当する迷惑メール対策サービスプロバイダーに連絡して、「 リストからの削除 」を依頼して、可能であれば、 ホワイトリスト に入れてもらうように申請します。


連絡先 

連絡先の管理は、メールキャンペーンを成功させるための最も重要な要素の1つです。連絡先を増やすことが必ずしも目的ではなく、正しい連絡先に到達するよう適切に効果的に登録者を管理することが目的です。  

リストのセグメント

リストのセグメント化は、 キャンペーンで特にターゲットにしたい 人たちに応じて、連絡先を分類することです。

たとえば、連絡先を鉛筆製造に関するWebセミナーに招待したいとしましょう。配信リストには、鉛筆メーカーや、パッケージメーカー、ノートパソコンメーカー、ペンメーカーが含まれているとします。セミナーに関するメールは、鉛筆メーカーにとっては有益ですが、他のメーカーは無視するか、迷惑メールに設定する可能性さえあります。このような場面が、メールマーケティングでは頻繁におきるため、連絡先をセグメント化することは非常に重要です。

リストのセグメント化は、ターゲットマーケティングに基づきます。ターゲットの市場は、商品やサービスを買ってくれる可能性が高いと思われる人たちのグループです。ターゲットの市場は、年齢、所在地、所得、ライフスタイルなどの似たような特性を持ち、ビジネスがそのマーケティング活動を運営して、商品を販売する対象の顧客で構成されています。

リストのセグメント化の種類は、次の図のとおりです:

List segmentation 

オプトイン(同意)リストには、長期間(6か月以上)やり取りのない連絡先が含まれているかもしれません。今メールを送ると、連絡先はあなたを識別できずに、迷惑メールに設定する可能性があります。 再エンゲージメント
メール を配信し、その際に自己紹介をします。受信者が未反応、または興味がない場合は、リストから削除します。  

メールキャンペーンの頻度

定期的にメールを配信することは素晴しいですが、1日に1回など頻度が高すぎると、受信者が不快に感じ、興味をなくす可能性があります。

配信したメールが受信者の受信トレイにあふれると、迷惑メールに設定されたり、登録解除されたり、苦情を報告されたりする可能性があります。 

これを回避するには、Zoho Campaignsの設定で、パターンを選択します(管理者の場合)。 

  • 1日当たり1通のみ配信できます
  • 1週間当たり2〜3通のメールを配信できます
  • 1か月当たり最大8通までメールを配信できます

2つのキャンペーンの間隔は、最低1日空けてください。キャンペーンを配信したいが、メールの上限を超えている場合は、組織の管理者が設定を変更する必要があります。 

メールの上限の設定方法については、 こちらをクリック してご参照ください。 

バウンス(不達)

バウンス(不達)は、メールが配信できない場合に発生します。バウンス(不達)が起きると、メールサーバーから、メールがバウンス(不達)になった理由を記載したエラーメッセージが配信されます。 

次の図では、バウンス(不達)の理由として考えられるものをカテゴリーに分類しています:

Email bounces

バウンス(不達)は質の低い配信リストや、受信者側のいくつかの要因で発生する可能性があります。 

 配信リストの質

  • 入力ミス
    手動でメールアドレスをリストに追加すると、入力ミスが起きる可能性があります。これは、ダブルオプトイン(同意)の登録方法を使用すれば、簡単に回避できます。 
  • シングルオプトイン(同意)のアドレス
    シングルオプトイン(同意)の登録方法を使用する場合、連絡先が有効なメールアドレスを入力したかどうかを確認できません。人によっては、登録時にダミーや偽のメールアドレスを入力することもあり、これを捕捉しなければ、バウンス(不達)率が上昇します。これらの偽の登録の試みは、ダブルオプトイン(同意)の登録方法を通じて、受信者にメールアドレスの認証を要求することで防げます。 
  • 失効したメールアドレス
    以前は有効であったが、その後失効したメールアドレスは、バウンス(不達)になります。たとえば、従業員が組織を離れるときに、通常メールアドレスは失効します。 

 受信者のシステム

  • プライバシー
    多くのメールシステムは、迷惑メールをフィルターするだけでなく、プライバシーの設定を定義し、特定の種類のメッセージを拒否します。
    たとえば、銀行取引に関するメールが欲しくないと言及した連絡先に、マーケティング担当者がローンに関するメールを送ってしまうと、メールサーバーでバウンス(不達)になります。
  • ローカルポリシー
    メールサーバーが、ポリシーの設定に準拠していないメールを受け取ると、バウンス(不達)になります。受信者のシステムのポリシーには、1日当たりの受信メール数や、メール受信者数などに対する上限を設けていることがあります。
  • ブラックリストに登録された/ブロックされた配信元 
    配信元アドレスのドメインが、受信者のメールサーバーでブラックリストに登録された場合、または疑いをかけられた場合、そのサーバーに配信したメールはバウンス(不達)になります。主要な迷惑メール対策や、ブラックリストサービスのプロバイダーのSpamhaus、Sorbs、Spamcopなどで、ドメインの信頼性をご確認ください。

    配信元アドレスがブラックリストに登録されている場合、メールサーバーに連絡することで解決します。また、ブラックリストに登録される原因となった状況(例:高いバウンス(不達)率)についても対応する必要があります。

    ブラックリストに登録されないようにする方法については、 こちらをクリック してご参照ください。
  • サーバーを使用できない
    メールサーバーが、「受信トレイがいっぱい」「サーバーがビジー」「応答できない」「一時的にリソースが使用できない」などの技術的な理由で、メッセージをブロックする可能性があります。
  • 内容の質
    メールに、迷惑メール扱いされる語句に似たフレーズが含まれる場合、受信者のメールサーバーによってバウンス(不達)されます。メールの件名や本文を作成する際にそのような語句を使用しないようにすることで、不必要なバウンス(不達)を回避できます。

    ブラックリストに登録されたドメインのURLを使用することは、安全ではありません。メッセージに、ブラックリストに登録されたURLが含まれている場合、受信者のシステムによってバウンス(不達)される可能性があります。

    受信者のシステムによっては、メールの本文が長すぎる場合、迷惑メールとみなす場合もあります。受信者に到達する前に、メールサーバーがそのようなメールをバウンス(不達)にします。

    バウンス(不達)を回避する方法については、 こちらをクリック してご参照ください。

メールのスロットリング

最初にメールを多数の連絡先に配信する場合、メール受信者のシステムで疑いが生じます。

たとえば、連絡先が100万件あり、その多くが1社または数社のメールプロバイダーに属しているとします(例:100万件の連絡先のうち、60万件がGmailユーザーで、20万件の連絡先がYahoo! ユーザー)。この場合、次の状況が発生する可能性があります。 

あなたはGmailやYahoo!などの受信者のシステムにメールを配信するのが初めてで、最初の試行で大量のメールを配信しています。受信者のシステムでは、システムにまだあなたからのメールの受信履歴がないため、疑わしいと判断される可能性があります。 

受信者のシステムからドメインの信頼性を得るまで、あなたのメールは先送りされる可能性があります。 

この場合の最善策は、 配信リストのセグメント化 をすることと、 徐々にメールの受信者数を増やす ことです。  

内容

メールの内容には、次のものが含まれます:

  • 件名
  • 連絡先に配信されるメッセージ
  • 配信元ロゴ
  • 画像 
  • フッター

件名

メールの件名は、本文の見出しのようなものです。連絡先がメールを受信した際に、最初に確認する部分です。 

メールの開封率は、件名に大きく依存しています。これが、メールの件名を作成するのに時間を割くことが重要である理由です。 

一般的に、件名は以下のようにする必要があります:

  • 短く簡潔に 
  • 誤字や文法間違いがない
  • 虚偽の約束がない 
件名の作成についての詳細は、 こちらをクリック してご参照ください。 

配信元ロゴ

メールを連絡先に配信する際に、連絡先が容易に識別できることが重要です。メールの内容にロゴを含めることで、連絡先にブランドを容易に識別してもらうことができます。  

ロゴを配置する際は、組織が標準フォーマットやレイアウトを持っている可能性が高いため、すべてのメールで確実にその配置やフォーマット、レイアウトに従います。  

メールのメッセージ

メールを配信する目的は、配信したいメッセージを連絡先に伝えることです。迷惑メールフィルターと受信者に疑いをかけられないように、上記の方法で、内容を作成することが重要です。  

これが、受信者にメールを配信する前に、Zoho Campaignsで 内容にレビューが必要な 理由です。  

画像

画像とテキストを、適切な割合(40:60)に保つ必要があります。 

連絡先が容易に読み込める、明瞭な画像を使用してください。 

フッター

ビジネスに関するコミュニケーションには、法律上の表示を含めなければなりません。この情報は、メール本文に表示全体を含めるか(この方法が推奨)、URLとして追加します。

  • 配信元名、または組織名 
  • 正式代表者
  • 配信元の住所
  • 電話番号、FAX番号、または電子的な問い合わせフォーム 
  • 配信元メールアドレス  
  • 商業、共同組合、団体、パートナー登録番号 
  • 公開者名、またはメールの内容の責任者 
  • 利用可能な場合:納税者番号、または事業者識別番号 

これらの情報は、次のようにする必要があります: 

  • 容易に認知可能
  • 直接アクセス可能 
  • 恒久的に利用可能 

免責事項がある場合、すべてのメールで常に同じ特定の位置に必ず含めます。
すべてのキャンペーンに [登録解除] オプションを含めます。
 公式Webサイトのフッターと似たフッターを付けます。 

URLの使用

Using URLs in emails

  • メールの内容にURLを含める場合、必ず 連絡先が容易に識別できるドメイン のURLにしてください。 ビジネスに関係のないドメイン を使用することで、迷惑メールフィルターや連絡先から疑いがかけられ、メールが迷惑メールに設定される可能性があります(例:配信元アドレスが「 abc@exampledomain.com 」の場合、使用するURLは「example.domain.com」や「exampledomain.com」や「example.com」などにできますが、「hello.com」や「something.com」のようなビジネスに関係のないドメインにしないでください)。
  • メールの内容で使用するURLは、 複数回リダイレクトされるURLにしないでください 。1〜2回のリダイレクトは容認されますが、それ以上のものは容認されません。
  • 無料サービスの短縮URLを使用することは、お勧めできません 。無料サービスの短縮URLは多くの攻撃に対して脆弱であり、ブラックリストに簡単に登録される可能性があります。

✔ URLのブラックリストの照合

メールを配信する前に、自分のURLがブラックリストに登録されているかどうかを確認します。もし、ブラックリストに登録されている場合、「リストからの削除」を依頼する必要があります。主要な迷惑メール対策や、ブラックリストサービスのプロバイダーの Spamhaus Sorbs Spamcop などに、使用するURLの信頼性をご確認ください。

配信方法

連絡先には、Gmail、Yahoo!、Outlookなど、さまざまなメールサービスプロバイダーのメールアドレスが含まれている可能性があります。到達率を向上させるために、さまざまなメールプロバイダーへのメール配信に関して、いくつかのベストプラクティスを十分に理解する必要があります。 

Gmail、Yahoo!、Outlookなどのメールプロバイダーでは、メールの配信前に、ドメインの信頼性やメール内の迷惑メール設定の履歴が分析されます。その後、メール内容の確認時には、 (ESAPとISPによる)システムレベルの 迷惑メールフィルターによって、メールが分類されます。 

連絡先レベル で、連絡先がメールを迷惑メールに設定することもあります。迷惑メールフィルターによって、連絡先の反応に応じて、配信元のメールアドレスとドメインの信頼性が保持されます。ドメインの信頼性が高くなれば、メール到達率も高くなります。 

これらのメールプロバイダーからの高い信頼性を維持するには、連絡先とのよい関係を築くことが重要です。連絡先から迷惑メールに設定されるたびに、徐々に信頼性が低下しますのでご注意ください。 

  • Zoho Campaignsでは、 パーミッションメールマーケティング に従うことを強く推奨します。すべての連絡先がオプトイン(同意)していることをご確認ください。
  • メールの内容と件名では、 購入、注文、ディスカウント、クリアランス、親愛なる友人へ、テレビでおなじみの、助けてください、無料、値引き、命がけ、追加収入 などの語句を使用しないでください。
  • 必ず件名と本文はお互いに関連している ようにしてください。件名が、実際に意図して送ったメッセージが連絡先に伝わらなかった場合は、誤解を招き、迷惑メールに設定される可能性があります。 連絡先がGmailユーザーの場合は、次のページを調べ、Gmailが次の点に関してどのようにメールを迷惑メールとして設定するかをご確認ください:

Gmailでのメールの配信とは、迷惑メールフィルターを通過させることだけではなく、 メインタブ まで到達させることを意味します。メインタブ内のメールは、受信者からのより注目を集めることができます。

メールがプロモーションタブに到達した場合、開封率やクリック率が著しく低下します。プロモーションタブには、多くのマーケティングメールが到達します。

Gmailのメインタブにメールを到達させる方法については こちらをクリック してご参照ください。

おわりに

メールマーケティングキャンペーンの成功は、すべて準備にかかっています。配信リストの整理や、創造的で価値のある内容が必要なだけでなく、「配信」をクリックする前に、各キャンペーンが一連の条件を満たしていることを確認する必要があります。

Zoho Campaignsを使用して、こちらで紹介した内容によって、より幅広い視点で捉えて、バウンス(不達)、登録解除、苦情、迷惑メール設定を減らしながら、メール到達率を向上できることを願っています。 


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