マーケティングの成果を向上させるために、利用しているツールの見直しが必要になってくることがあります。ただ、マーケティング担当者にとって、移行作業を行ったり、新しいツールのUIや機能に慣れたりするのは、大変です。
ですが、移行とは、新しいマーケティングツールからメールを配信することだけではありません。メール配信のための土台を整える作業も含まれます。新しいマーケティングツールへの移行期間としては、30日間あるとよいでしょう。この移行期間中、マーケティング担当者は、「すべての受信者をインポートするべきか」、「移行完了日はいつになるのか」、「移行にあたっての優先順位は何か」といった疑問が頭をよぎるかもしれません。
ご安心ください。以下では、迅速かつ効率の良い移行方法をご紹介します。移行の準備は、数か月前に始めるのがよいでしょう。そうすれば、移行には何が必要で、どの優先順位で処理するのかを整理する時間ができます。マーケティング担当者の皆様には、まず配信リストに焦点を当てて準備を始めることをお勧めします。
配信リストの整理(クリーニング)
配信リストのすべてのデータを、新しいマーケティングツールに機械的に移行することはお勧めできません。なぜなら、配信リストには、反応が悪い受信者のメールアドレスや無効なメールアドレス、場合によっては迷惑メールのメールアドレスなどが含まれている可能性があるからです。こういったメールアドレスが含まれていると、マーケティングメールの効果が得られません。
配信リストの整理(クリーニング)の具体的な手順
配信リストの整理を始めるには、配信リストのクリーニング機能を利用します。この機能を利用すると、配信リストから無効なメールアドレスや迷惑メールのメールアドレスを排除できます。次に、移行する受信者のリストを作成します。
役割やグループのメールアドレスの除外
役割を意味するメールアドレス(hr@、manager@など)、グループを意味するメールアドレス(admin@、support@など)、配信管理者のメールアドレス(
postmaster@example.com)には、メールの配信自体は可能ですが、これらのメールアドレスを通じて複数の受信者宛てにメールが配信される可能性があります。役割やグループのメールアドレスにメールを配信すると、いずれかの受信者があなたからのメールを迷惑メールに分類する可能性があります。また、配信管理者のメールアドレスにメールを配信すると、配信ドメインがブラックリストに登録される可能性もあります。そのため、これらのメールアドレスは配信リストから削除することをお勧めします。
有効な受信者の登録
有効な受信者とは、メールを頻繁に開封やクリックしてくれている人や、商品やサービスを定期的に購入してくれている顧客のことです。これらの受信者は、新しいマーケティングツールに移行する際、真っ先に配信リストに登録します。
最近反応がない受信者(潜在顧客)の登録
時には、何らかの理由で最近反応がない受信者もいるでしょう。そのような受信者に再度興味を持ってもらうため、改めての反応(再エンゲージメント)を促すメールを配信します。再エンゲージメントのメールを作成する際には、魅力的な内容にしましょう。メール受信のメリットを伝えることで、メール配信を継続的に許可してもらうことが大切です。購入特典や割引を提供するのも良いでしょう。また、投票やアンケートを使用することで、休止中になっている理由を確認することもできます。
魅力的な件名と、受信者の興味をひけるような件名とプリヘッダー(件名に続く短いテキスト)を作成することを強くお勧めします。また、メールには、配信停止のリンクを含めてください。再エンゲージメントのメールを配信すると、配信リストへの登録を継続する受信者と、登録を解除する受信者が出てきます。配信停止した受信者や返信のない受信者はインポート対象から外しましょう。配信リストへの登録を継続する受信者はインポート対象となりますので、抽出しましょう。新しい配信リストを作成し、そこに有効な受信者と、配信リストへの登録を継続する受信者を追加します。その配信リストを新しいマーケティングツールに移行します。
有効な受信者だけの配信リストを作成し、それを新しいマーケティングツールにインポートした後、しばらくの間、その配信リストだけを対象にしてメールを配信しておくこともよいでしょう。有効な受信者だけなので、配信メールが開封される可能性が高くなり、配信元ドメインがメールサービスや迷惑メール対策サービスから良い評価を得やすくなります。 数週間後からは、最近反応がない顧客や配信リストへの登録を継続する受信者を、新しいマーケティングツールに移行し、メール配信を開始するとスムーズです。
改めての反応(再エンゲージメント)を促すメールに関する詳細については、
こちらをご参照ください。
差し込み用の項目や変数の削除
移行前のメールテンプレートにおいて、差し込み項目や変数などの受信者の情報を差し込む機能(Zoho Campaignsの差し込みタグに相当)を使用している場合、該当の差し込み項目や変数を削除することをお勧めします。これは、Zoho Campaignsではその機能が動作しない可能性があるためです。
配信リストのエクスポート
移行する配信リストを準備したら、それを.CSVまたは.XLSファイルとしてエクスポートする必要があります。配信リストの次は、レポートです。配信メールを分析し、戦略を立てるためには、レポートが重要です。必要なレポートを選択し、.XLS形式でレポートをエクスポートできます。
メールテンプレートのエクスポート
マーケティング担当者は、多くのメールテンプレートを作成し、それを使ってさまざまなマーケティングメールを作成しているでしょう。移行の際、これらのテンプレートをすべて新しいマーケティングツールで再度作成するのでは二度手間になってしまいます。そこで、必要なテンプレートをHTMLファイルとしてエクスポートし、新しいマーケティングツールに移行した後に、それらをインポートすることをお勧めします。
配信元ドメインの設定
マーケティング担当者にとってメールの配信率はとても大切です。Zoho Campaignsでは、移行による影響が配信率にできるだけ及ばないような仕組みがとられています。Zoho Campaignsでは、信頼性の高いIPアドレスを通じてメールが配信されます。配信にあたっては、現在使用中の配信元ドメインを使用することもできますし、新しいドメインを選択することもできます。一貫性を保つために、現在使用中の配信元ドメインを使用することをお勧めします。ですが、事情により新しい配信元ドメインを選択することもあるでしょう。
現在の配信元ドメインを使用する場合は、メールサービスや迷惑メール対策サービスの信頼性を確認するために、ブラックリストの情報を確認して、リスクのあるメールアドレスは使用しないことをお勧めします。また、以前のメール配信で迷惑メールに分類されたり配信停止にされたりした場合、理由を確認し、修正することで、新しいマーケティングツールからのメール配信率を向上させることができます。
新しい配信元ドメインを使用する場合は、配信元ドメインの信頼性を高めてから(ウォームアップしてから)メールを一括配信しましょう。専用IPアドレスのウォームアップを行う際は、小量のメール配信から始めて、受信者の反応を確認しながら配信するメールの量を少しずつ増やすことをお勧めします。まず有効な受信者にのみメールを配信しましょう。配信したメールが開封される確率が高くなり、受信者のメールサービス側から、安全な配信元であるという評価を得ることができます。配信元ドメインが十分な評価を得たら、すべての受信者にメールを配信しましょう。
Zoho Campaignsの認証
配信元ドメインを設定した後は、まずそのドメインを認証することをお勧めします。ドメイン認証の機能では、SPF、DKIM、DMARCといった仕組みを通じて、フィッシングやなりすましからドメインを保護します。ドメイン認証を使用すると、メールが配信中に改ざんされるのを防ぐだけでなく、メールサービスや迷惑メール対策サービスから良い評価を得ることができます。
メールサービスは、認証されていない配信元ドメインからのメールを不審なものとみなし、迷惑メールとして分類することがあります。配信元ドメインを認証せずにメールを配信すると、メールサービスがメールを受信トレイに配信せず、迷惑メールフォルダーに分類する可能性が高まります。
ドメイン認証に関する詳細については、
こちらをご参照ください。
自動化ツールの設定
一般的なマーケティングツールには、自動メール配信の機能があります。Zoho Campaignsにも自動メール配信の機能があります。このため、現在利用中のマーケティングツールからZoho Campaignsに移行しても、定期的なお知らせ、キャンペーンやイベントに関するメールを、Zoho Campaignsの自動メール送信機能で送信できます。これまでと同じように、自動でメールを配信することが可能です。
メールサービスの切り替えを受信者に通知
メールサービスの変更を受信者に通知することは必須ではありませんが、通知する方が良い場合があります。その場合、受信者に対して、メールのコンテンツやフッターを使用して通知します。