営業活動には、見込み客の獲得、優先度の見極め、フォローアップ、商談対応、受注など、さまざまな段階があります。また、各段階において、顧客との打ち合わせ日程の調整、商品デモの実施、さまざまな手段での顧客とのコミュニケーションなど、たくさんの業務が発生します。
段階に応じて必要な業務をよりスムーズに行うために、Zoho CRM Plusが役立ちます。Zoho CRM Plusを活用することで、さまざまな業務を抜け漏れなく着実に進め、より多くの商談をより速く受注することができます。
このガイドでは、営業活動を円滑に進めるのに役立つZoho CRM Plusの機能を確認できます。また、営業担当者がZoho CRM Plusの利用を開始する前に行うべき設定についても確認することが可能です。
Zoho CRMのカスタマイズ
Zoho CRM Plusの利用を開始する前に、要件に応じて、各タブをカスタマイズしておくことが重要です。標準の機能や設定をカスタマイズせずに利用することもできますが、自社に合った形でカスタマイズすることで、業務効率や効果を向上させることができます。
Zoho CRM Plusでは、さまざまなカスタマイズを簡単に行うことができます。組織の規模や業界、個別のニーズに合わせて、自分たちが利用しやすいようにカスタマイズすることが可能です。
Zoho CRM Plusのカスタマイズには、プログラミングなどの専門知識やスキルは不要です。画面上の操作で直感的に設定の追加や変更を行うことができます。タブ、ページのレイアウトや項目、データの一覧(ビュー)などのさまざまな設定を、[CRM]タブからまとめて行うことが可能です。
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Zoho CRMの各タブは、顧客データが分類され保存される場所です。主なタブには、[見込み客]、[連絡先]、[取引先]、[商談]があります。たとえば、組織で取得した見込み客の情報は、[見込み客]タブに新しいデータとして保存できます。
タブ名は、事業内容や保存するデータの種類に応じて変更できます。
例として、「Zylker College」という教育機関を運営する組織がZoho CRMの利用を開始するとします。この場合、「Zylker College」への入学を出願する学生が、[見込み客]に該当します。そこで、[見込み客]タブの名前を[志願者]タブに変更します。
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各データに関する詳細は、項目ごとに保存できます。見込み客の場合、氏名、電話番号、メールアドレスなどの標準項目があらかじめ用意されています。標準項目に加えて、要件に合わせて独自の項目(カスタム項目)を作成することも可能です。また、数式項目を追加して、ある項目の値を別の値に変換したり、複数の項目の値を組み合わせて計算処理を行ったりすることも可能です。
「Zylker College」の例では、[学生]というタブを用意して、[学生番号]や[入学年度]などのカスタム項目を追加しました。また、科目ごとの成績入力用のカスタム項目を追加するのとあわせて、平均点を算出する数式項目を追加しました。
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レイアウトは、データの情報をさまざまな項目に保存するための入力フォームです。Zoho CRMには、22件の項目があらかじめ設定されている標準レイアウトが用意されており、すぐに利用を開始できます。各項目には、見込み客の詳細情報を追加できます。また、Zoho CRMでは、独自のレイアウト(カスタムレイアウト)を作成することもできます。自社のビジネスや業界に応じた項目をレイアウトに追加できます。
教育機関「Zylker College」の例を続けましょう。「Zylker College」には、工学部と美術学部のコースがあります。2つの学部への出願書はそれぞれ異なる可能性があります。Zoho CRMを使用すると、「Zylker College」の各学部専用の項目を追加して、レイアウトを作成できます。管理者がZoho CRMに新しい志願者データを追加する際に、一覧から対象の学部用のレイアウトを選択して、データを登録できます。
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Zoho CRMにデータを追加した後、追加したデータを一覧、かんばん、キャンバスのいずれかの形式で表示できます。
- 一覧表示 :データを一覧表示できます。
- かんばんビュー :データをカード形式に分類して表示できます。「Zylker College」の例では、出願段階別に志願者を分類できます。情報を分類することで、全体の状況を簡単に把握できるだけでなく、潜在的なボトルネックを正確に把握して、効果的に対応できます。
- キャンバスビュー :データの配置や表示方法を自由に設定できます。あらかじめデザインされたテンプレートのギャラリーから選択するか、ビューを作成して要件に合わせてカスタマイズできます。レイアウトの編集画面を使用すると、データの表示方法を簡単にカスタマイズできます。
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Zoho CRMには、よく使用される場面に合わせたメールテンプレートがあらかじめ用意されています。テンプレートをカスタマイズして保存することも可能です。メールテンプレートを使用すると、繰り返し送信するメールの内容を毎回入力する手間が省けます。
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Zoho CRMの[ホーム]タブには、各タブ内の特定のデータを表示して、簡単にアクセスできるように設定できます。役職ごとに独自のホーム画面のレイアウトを作成できます。これにより、各ユーザーが[ホーム]タブで日常のタスクを効率的に実行できます。
データのインポート
Zoho CRM Plusを使用して営業活動を行うためにまず必要なデータは、組織がターゲットとする見込み客の情報です。[CRM]タブをビジネスの要件に合わせて設定した後、利用を開始するために、データを登録する方法を見てみましょう。見込み客の情報はさまざまな経路で取得される可能性があります。このような見込み客の情報を1か所に保存することで、営業担当者が情報を簡単に利用でき、見込み客に連絡を取りやすくなります。
情報を集約するために、Zoho CRMの[見込み客]タブにすべての見込み客の情報をインポートすることをお勧めします。
*データをインポートすることで、外部ソース(例:表計算シート)内のデータをZoho CRMに登録し、同一画面で利用できるようになります。
[見込み客]タブには、1人の見込み客の情報が1件のデータとして保存されます。該当の見込み客とのやりとりはすべて、該当のデータに関連付けられます。
見込み客の割り当て
Zoho CRMに見込み客の情報をインポートした後、見込み客データを適切な営業担当者に割り当てることで、割り当てられた営業担当者は見込み客に連絡を取り始めることができます。
ここで、営業担当者に見込み客を割り当てる際によくある課題を見てみましょう。
たとえば、100件の見込み客データがあり、これを10人の営業担当者に割り当てるとします。データ数が少なく、手動で割り当てることができるため、割り当て作業は簡単です。ただし、もし見込み客データの件数がもっと多い場合は、手動での割り当ては困難になります。
次のようなリスクもあります:
- 1人の営業担当者に集中して多くの見込み客データを割り当ててしまうと、それぞれの見込み客に十分な注意を払うことができなくなります
- 最適でない営業担当者に見込み客を割り当てると、適切にフォローできなくなる可能性が高まり、商談化の可能性が下がってしまいます
それでは、Zoho CRM Plusで営業担当者に見込み客を適切かつ均等に割り当てるにはどうすればよいでしょうか? 解決方法はシンプルです: 割り当てルール を設定します。
Zoho CRMで割り当てルールを設定するには、2通りの方法があります:
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特定の担当者に見込み客を割り当てる
この方法では、管理者が設定した条件に基づいて、特定の営業担当者に見込み客を割り当てることができます。条件や担当者の組み合わせは、「割り当てルール」として複数設定することが可能です。たとえば、米国の見込み客には、米国のシフトで勤務する営業担当者が対応するようにしたいとします。
Zoho CRMで見込み客の担当者の割り当てルールを設定するには、次の手順を実行します:
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[設定]→[自動化]→[割り当てルール] に移動します。
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[割り当てルール]ページで、[+割り当てルールの作成]をクリックします。
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[割り当てルールの作成]ページで、対象のタブを選択して、ルール名を入力します。[次へ]をクリックします。
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[ルールの項目の作成]ページで、ルールの項目を設定します。
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また、既存のルールの項目で[…](その他の操作)アイコン→[複製]の順にクリックして、既存のルールの項目を複製することもできます。
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[ルールの項目の作成]ページで、次の手順を実行します:
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ルールの適用対象:[すべてのデータ]を選択するか、[次の条件に一致するデータ]を選択して、ルールの条件を入力します。
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データの割り当て:データに担当者を割り当てる方法を選択します。
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データの担当者として割り当てるユーザーを選択するか、ユーザーの条件を設定します。 [ルールの項目の保存]をクリックします。
上記の手順により、米国の見込み客に対して、米国シフトで勤務する営業担当者を自動的に割り当てることができます。
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順繰り(ラウンドロビン)方式で営業担当者に見込み客を割り当てる
この方法では、Zoho CRM Plusアカウント内のすべての営業担当者(ユーザー)に見込み客を均等に割り当てることができます。順繰り(ラウンドロビン)方式で見込み客を割り当てることで、営業担当者間の業務負荷や商談化の機会を均等にすることが可能です。
順繰り(ラウンドロビン)方式で営業担当者に見込み客を割り当てるには、次の手順を実行します:
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[設定]→[自動化]→[割り当てルール] に移動します。
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[割り当てルール]ページで、[+割り当てルールの作成]をクリックします。
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[割り当てルールの作成]ページで、対象のタブを選択して、ルール名を入力します。[次へ]をクリックします。
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[ルールの項目の作成]ページで、ルールの項目を設定します。
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また、既存のルールの項目で[…](その他の操作)アイコン→[複製]の順にクリックして、既存のルールの項目を複製することもできます。
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[ルールの項目の作成]ページで、 [ルールの適用対象]として[すべてのデータ]を選択するか、[次の条件に一致するデータ]を選択して、ルールの条件を入力します。順繰り(ラウンドロビン)方式でユーザーに割り当てるには:
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[データの割り当て]で[カテゴリー]を選択し、一覧から[ユーザー]、[役職]、[グループ]のいずれかを選択します。あるいは、[特定の条件に一致するユーザー]を選択して、条件を設定します。見込み客データは、選択した複数のユーザー、役職、グループに順繰り(ラウンドロビン)方式で割り当てられます。
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[ルールの項目の保存]をクリックします。
これで、選択した営業担当者に見込み客データが均等に割り当てられ、各営業担当者が順番に見込み客に対応できるようになります。
メモ :
割り当てルールは、 [見込み客]タブ、[連絡先]タブ、[問い合わせ]タブ、カスタムタブ にインポートされたデータと、Webフォームから登録されたデータに対してのみ適用されます。
自動化
営業担当者の一般的な日常業務には、メールの送信、項目の更新、通話の記録、タスクの予約設定、音声メモの追加などがあります。このような繰り返しのタスクには、手間や時間がかかる場合があります。営業担当者としては、むしろ顧客の商談への対応に集中して、より多くの時間を使いたいでしょう。営業担当者が毎日行う繰り返しのタスクを自動化することで、生産性を向上し、組織にとって最も重要な活動に営業担当者が集中できるようになります。
Zoho CRM Plusを使用すると、営業活動において定期的に発生するさまざまな繰り返しのタスクを自動化できます。以下では、Zoho CRMの自動化機能の概要について見ていきましょう。
ワークフロールール
ワークフロールールは、自動処理の設定です。指定した条件を満たした場合に、メール通知の送信、タスクの割り当て、項目の更新などの処理を自動的に実行できます。
Zoho CRMには、ワークフロールールの例として 「大型商談の通知」 ルールがあらかじめ設定されています。商談の総額と確度に基づく条件を満たすと、ユーザーに通知メールが送信されます。また、このルールを編集して、条件となる商談の総額や確度をカスタマイズして使用することもできます。
プロセス管理
ブループリント
ワークフローの機能ではプロセスの一部を自動化することができますが、プロセス管理の機能ではプロセス全体を自動化できます。見込み客の育成や商談のフォローアップなど、営業フェーズや段階に応じて異なるプロセスを設定して自動化することも可能です。
商談のフォローアップに関するプロセスを見てみましょう。このプロセスは、見込み客の評価、商談における提案、商談の交渉、割引の承認、契約への署名など、いくつかの段階に分けることができます。Zoho CRMを使用して、各段階の進捗をどのように管理にできるかを見てみましょう。
商談の完了時に、このプロセスの結果として考えられるのは、次の2つです:商談の受注、または、商談の失注です。商談を失注した場合、営業マネージャーは営業プロセスにおける手順が正しく実行されたか、対応漏れがないかどうかを確認します。ただし、事業規模が拡大するにつれて、このような確認が難しくなる可能性があります。特に、営業担当者が行った手順を記録していない場合、確認そのものができなくなってしまいます。
Zoho CRMのブループリントを使用すると、この課題を解決できます。ブループリントの機能を活用することで、商談のフォローアップで必要な手順をオンラインで参照でき、手順を確実に実行したかどうかを確認することができます。
営業チームの業務を自動化しつつ、対応の重複や抜け漏れを防ぐことが可能です。コミュニケーションが簡単になり、業務効率を向上させることができます。
ブループリントの設定手順は こちら をご参照ください。
承認プロセス
商談のプロセス中に行う活動には、直属の上司をはじめ、組織の階層における上位のユーザーによる承認を必要とする場合もあります。たとえば、営業担当者が顧客に割引価格を提示する前に営業部長の承認を得る必要がある場合や、マーケティング担当者がメールを一括配信する前にマーケティング部長の承認を得る必要がある場合などです。
このような承認プロセスによって、チーム内で必要な意思決定の数が増えるだけでなく、商談やキャンペーンなどの承認対象のデータを共有したり確認したりする手間がかかる可能性もあります。
そこで、Zoho CRMで承認プロセスを設定すると、これらの課題を解決できます。営業担当者が承認を申請すると、承認者に通知メールが送信されます。承認者は通知メールから直接、承認が必要なデータを確認して、承認または却下の処理を実行できます。
承認プロセスを追加するには
承認プロセスごとに、プロセスを設定するためのルールを関連付けます。ルールの条件、承認者、データが承認または却下された場合に実行する処理を設定する必要があります。
- [設定]→[プロセス管理]→[承認プロセス] に移動します。
- [承認プロセスの一覧]ページで、[+承認プロセスの追加]をクリックします。
- [新しい承認プロセス]ページで、次の手順を実行します:
- 承認プロセスを適用するタブを選択します。
- 承認プロセス名と説明を入力します。
- 承認プロセスの実行タイミングを次から選択します:
- データの作成:データが作成されたときに承認プロセスを適用します。
- データの編集:データが編集されたときに承認プロセスを適用します。
- [+このプロセスにルールを追加]をクリックします。
- [ルールの条件]を設定します。この条件を満たすデータにのみ、承認プロセスを適用します。
条件の追加は必須です。必要に応じて、条件パターンを手動で編集できます。
- [承認者]の一覧から、承認者の設定基準として[ユーザー]、[役職]、[グループ]、[階層]、[直属の上司]、[担当者]のいずれかを選択します。
[階層]を選択すると、組織の役職の階層に設定されている段階数に応じて、一覧に候補が表示されます。対象の階層を選択すると、データ担当者の役職階層に基づいて、承認者が割り当てられます。例:データ担当者の役職の上には、3つの役職があるとします。また、承認プロセスにおいて、2段階上までの上司による承認が必要だとします。この場合、2人の上司(2段階上までの役職のユーザー)がデータを承認する必要があります。
- 承認者としてユーザーをさらに追加する場合は、[+](追加)アイコンをクリックします。複数の承認者を追加した場合、次の選択項目が表示されます:
- 誰でも :設定した承認者のうち、任意のユーザーが承認する場合は、こちらを選択します。
- 全員 :設定した承認者全員が承認する必要がある場合は、こちらを選択します。全員の承認が必要な場合に、複数の承認者による承認処理を連続して順番に行うか、並行して同時に行うかを設定できます。
- 順次 :すべての承認者が順番に承認する必要があります。2番目の承認者は、最初の承認者が承認するまで承認の処理を行えません。
一覧における1番目の承認者が最初にデータを承認し、次に2番目の承認者が承認するという流れで進みます。
- 同時 :すべての承認者が承認する必要がありますが、任意の順番で承認の処理を行えます。また、承認者全員に対して承認用にデータを一括送信できます。
- また、承認用にデータを送信する際、タスクを作成または関連付けして、承認者に割り当てることができます。
- [承認時の処理]として、タスクの追加、項目の更新、通知の送信、Web通知の実行、カスタム関数の実行などを設定します。
- [却下時の処理]として、項目の更新、通知の送信、Web通知の実行、カスタム関数の実行などを設定します。
- [完了]をクリックしてから、[保存]をクリックします。
メモ :
承認プロセスを設定できるのは、ワークフローの管理権限を持つユーザーです。
マクロ
営業担当者が定期的に行う活動はたくさんありますが、その1つに、見込み客が電話に応答しない場合の対応があります。フォローアップ用のメールを送信し、見込み客のCRM情報を更新して、進捗を管理するというプロセスです。
連絡が取れない見込み客1人1人に対して、このプロセスを実行する必要があります。また、次の3つのタスクを完了しなければなりません:
- 電話をかけたことを知らせる内容のメールを見込み客に送信する
- 見込み客ステータスを更新する(例:不在)
- 見込み客にもう一度架電するためのタスクを登録する
マクロを作成すると、この一連の処理を自動化できます。
Zoho CRM Plusのマクロ機能を使用すると、選択したデータに対して、あらかじめ設定しておいた複数の処理をまとめてすばやく実行できます。
メモ:
マクロを作成できる対象は、見込み客、連絡先、商談のデータです。
見込み客のスコアリング(点数付け)
営業担当者は見込み客が割り当てられると、さまざまなコミュニケーション手段で見込み客に連絡を取り、商談対応を進められるようになります。ただし、すべての見込み客が商談につながるわけではありません。営業担当者が見込み客の反応や行動を分析して、見込み客と効果的にコミュニケーションをとれているかどうかを確認することが重要です。しかし、それを正確に把握するのは簡単ではありません。そこで、スコアリング機能が役立ちます。
見込み客の反応や行動に対してポイント(得点)を付与して集計(スコアリング)することで、営業担当者が、見込み客からの商談化や受注の確度をより簡単に把握できるようになります。見込み客のスコアが高いことは、この見込み客との商談の確度が高いことを示すため、優先的に対応する価値があると判断できます。
たとえば、見込み客に対して新商品の販促用メールを配信するとします。その際、次のようなスコアリングルールを設定できます。メールを開封した見込み客には10ポイントのスコアを加算し、メールをクリックした見込み客には50ポイントのスコアを加算します。一方、メールを開封しなかった見込み客には、現在のスコアから10ポイントのスコアを減算します。メール配信後に各見込み客のスコアを確認することで、より優先すべき対象を特定できます。また、フォローアップする必要のない見込み客を除外できます。結果的に、適切な見込み客に対して、より多くの時間をかけることができるようになります。
このように、スコアリングルールを設定することで、優先度の高い見込み客のフォローをより効果的に行うことができるようになります。
スコアリングルールを設定するには:
- [設定]→[自動化]→[スコアリングルール]に移動します。
- 一覧から、スコアリングルールを設定するタブを選択します。
- [(タブ名)項目]の下部にある[+追加]をクリックします。
- [(タブ名)のスコア - 条件の選択]ポップアップで、条件を設定します。複数の条件を組み合わせて設定することもできます。
- [加算]または[減算]を選択し、データが条件を満たす場合に追加または減算するポイントの数値を入力します。また、[+]をクリックして、別の条件を追加することもできます。[かつ](AND)演算子による条件の組み合わせが設定されます。[かつ]をクリックすると、[または](OR)演算子に変更できます。
- [保存]をクリックし、手順2~6を繰り返して、[(タブ名)項目]の下にルールをさらに追加します。
- [メール]の下の[+追加]をクリックすると、受信者のメールの操作に基づいてスコアを加算または減算するように設定できます。
- [メールのスコア - 条件の選択]ポップアップ内のチェックボックスを選択すると、条件を追加できます:
- [加算]または[減算]を選択し、データが条件を満たす場合に加算または減算するポイントの数値を入力します。あらかじめ設定された条件の一覧から条件を選択し、加算または減算するポイントの数値を変更できます。[保存]をクリックします。
- [通話]の欄で、手順7~9を繰り返して、通話への応答に基づくスコアの条件を追加します。
- [Facebook]の欄の[+追加]をクリックすると、Facebook上での反応や活動に基づいてスコアを加算または減算するように設定できます。
- [Facebookスコア - 条件の選択]ポップアップ内のチェックボックスを選択すると、条件を追加できます。
- [加算]または[減算]を選択し、データが条件を満たす場合に加算または減算するポイントの数値を入力します。あらかじめ用意されている条件の一覧から条件を選択し、加算または減算するポイントの数値を変更できます。[保存]をクリックします。
- [Twitter]、[アンケート]、[キャンペーン]、[Webセミナー]で、手順11~13を繰り返します。
- スコアリングルールを設定すると、今後追加されるすべてのデータに自動的に適用されます。[すべてのデータにスコアリングルールを実行]ボタンをクリックすると、すでに登録されているすべてのデータに対して、設定したルールを適用できます。
テリトリー管理
以下では、テリトリー管理機能を活用した見込み客の効率的な管理方法について見てみましょう。
多くの場合、営業担当者が担当する見込み客の範囲は、何らかの条件や属性などにもとづいて分かれています(例:地域、業種、商品、ニーズ)。テリトリー管理機能を用いると、こうした区分を「テリトリー」として定義し、見込み客の割り当てや管理を柔軟に行うことができます。テリトリーを設定することで、営業担当者は自分に割り当てられている見込み客に注力し、優先順位を付けて効率的に対応できます。
テリトリー管理機能を活用することで、営業担当者が対応する見込み客の範囲を体系的に管理できます。たとえば、地域や商品ごとにテリトリーを設定し、そのテリトリーの見込み客に対応する担当者を関連付けることができます。各担当者は、自分が所属するテリトリーの見込み客にのみアクセスできるため、必要な範囲のデータのみにアクセスできます。テリトリー内での見込み客を順繰り(ラウンドロビン)方式で自動的に割り当てることも可能です。割り当て作業の手間を省きつつ、担当者を明確にして対応漏れを防ぐと同時に、担当数の平準化を図ることができます。また、テリトリーをもとにレポートを作成して、テリトリーごとの営業状況を分析することも可能です。
テリトリー管理のメリット
- テリトリーごとに営業活動の状況や成果を分析し、改善が必要な領域を特定できます。
- 営業活動の対象を絞り込むことができます。営業担当者が自分の担当範囲によりフォーカスできるようになります。また、重複した対応や無駄な移動を減らすことができます。
- テリトリーごとに売上目標を設定し、達成状況を把握できます。
テリトリーを設定するには:
- [設定]→[ユーザーと権限]→ [テリトリー管理]→[テリトリー]に移動します。
- [新しいテリトリー]をクリックします。
- [テリトリーの作成]ページで、次の内容を入力します:
- テリトリー名を入力します。
- 一覧からテリトリー管理者を選択します。
- ルックアップから上位のテリトリーを選択します。
- ユーザーを検索して追加し、権限を割り当てます。
追加されたユーザーは、このテリトリーに割り当てられているデータにアクセスできるようになります。すべてのユーザーに対して、[表示のみ]または[表示/編集/削除]のいずれかのアクセス権限を設定できます。
- [取引先ルール]で、テリトリーを割り当てる取引先の条件を設定します。
このルールの条件に基づいて、取引先がテリトリーに割り当てられます(関連情報:取引先へのテリトリーの割り当て)。
- [商談ルール]で、テリトリーを割り当てる商談の条件を設定します。この設定は、[設定]ページで[商談へのテリトリーの割り当てルール]が有効になっている場合にのみ利用できます。
このルールの条件に基づいて、商談にテリトリーが割り当てられます。
メモ:
テリトリー管理機能を利用できるのは、Zoho CRM Plus、Zoho CRMのエンタープライズプラン、アルティメットプラン、Zoho Oneを利用している場合のみです。
分析レポート
さまざまな営業活動を自動化して効率化するだけでなく、営業プロセスにおいてうまくいっていることとそうでないことを把握することも重要です。
うまくいっていることについて、データを用いて現状を把握し、改善につなげることが大事です。たとえば、今月最も多くの商談を受注した営業担当者やチームを確認し、成功要因を確認して組織全体に共有することが有効です。
このようなデータを正確に把握するには、目標やKPI(主要業績評価指標)の達成状況や傾向、予定や通話などの活動状況のデータを管理し、定期的に最新情報を確認する必要があります。そのためには、たくさんのデータを集めて分析する必要があるため、専門のレポート分析ソフトウェアが必要だと感じるかもしれません。そこで、ダッシュボード機能が役立ちます。
CRMのダッシュボード
Zoho CRM Plusでは、[CRM]タブでダッシュボードを作成でき、上記のような指標に関するデータを簡単に把握できます。ダッシュボードでは、すべての重要なデータの概要を一目で確認できます。
また、ダッシュボードの分析機能により、組織のデータを表やグラフで視覚的に表示できるため、状況をより簡単に理解できます。ダッシュボードには、次の8つの種類の要素を追加できます:
- グラフ :グラフ形式で、データを視覚的に表現できます。データを見える化して状況を把握できます。
- KPI :KPI(主要業績評価指標)の各数値をもとに、営業担当者やチームのパフォーマンスを測定できます。
- 比較 :営業担当者ごとのパフォーマンス、見込み客のデータ元ごとの商談数などの比較表を作成できます。
- 異常 検出 :業務プロセスにおける通常の数値とは異なる異常値を検出できます。
- 目標 達成度 :目標を設定して、その達成度を把握できます。
- ファネル :業務プロセスの段階ごとにデータを分類し、段階ごとのデータ数や次の段階に推移する度合いなどを確認できます。
- コホート :コホート:データが時系列でどのように変化していくかを分析できます(例:年間の顧客維持率の推移、四半期ごとの見込み客の変換傾向、月間の商談受注に要した時間の変化)。
- 象限 :データを縦横の象限に分類して表示します。2種類のデータの相関や、2つの軸をもとにしたデータの相対的な位置関係や大小を把握することが可能です。
Analyticsのダッシュボード
Zoho CRM Plusでは、[CRM]タブのダッシュボードの他に、[Analytics]タブでの分析も可能です。Analyticsタブでは、CRMに限らないさまざまな業務データを集約してレポートを作成して分析できます。また、グラフの種類や分析機能も豊富で、より高度な分析が可能です。300以上のテンプレートがあらかじめ用意されており、ダッシュボードをすぐに準備できます。また、要件に合わせてダッシュボードをカスタマイズすることも可能です。
Zoho CRMモバイルアプリ
Zoho CRMモバイルアプリを使用すると、どこにいてもモバイルで必要な顧客情報を確認でき、必要な処理をすぐに実行できます。顧客情報の参照から見積書の作成まで、Webブラウザーから利用する場合と同様の機能を、モバイル向けに最適化された画面で手軽に利用できます。
Zoho CRMモバイルアプリの主な機能と特長:
- チェックイン(訪問記録): 顧客先への訪問時に、その場所でチェックイン操作を行うと、顧客情報に訪問記録を残せます。また、チェックイン通知を送信することで、営業マネージャーに対して各営業担当者の訪問状況を随時知らせることができます。営業担当者は、あらかじめ登録していた予定に対してチェックインすることも、新しい予定を作成してチェックインすることもできます。
- 周辺の見込み客や連絡先の検索: 外出時や出張時に、現在地に近い住所の見込み客、連絡先、取引先を確認できます。これにより、空いた時間を活用して、顧客に効率的に連絡を取ることができます。
- 顧客や同僚とのコミュニケーション: モバイルから、顧客にSMSの送信、メールの送信、通話の発信ができます。いつでもどこにいても、モバイルで必要な対応をすばやく行えます。また、フィードで他のユーザーとやりとりできます。チーム内での業務や計画についての議論や意思決定を円滑に行えます。 さらに、プッシュ通知により、対応中の重要な見込み客データに更新があった場合などにも、変更者や変更内容をすばやく確認できます。
- AIによる営業アシスタント「Zia」: Zoho CRMモバイルアプリから、AI(人工知能)による営業アシスタント「Zia」(ジア)を利用できます。Ziaと通話やチャットすることで、CRM内のデータをすぐに呼び出せます。Ziaの主な機能とメリットは、次の章をご参照ください。
Ziaの活用メリット
営業成果の向上には、複数の接点(タッチポイント)から獲得した顧客データを効果的に分析することが重要です。このようなデータ分析の結果を基に、現状を正確に把握して営業活動を改善し、売上向上につなげることができます。
Ziaを通じて、顧客情報をリアルタイムに取得して表示できます。また、データマイニングと機械学習を基に、データに関する予測や提案、アラートを受け取ることができます。表示された情報や通知を確認することで、顧客に対してより適切な対応を行うことができます。
Ziaの主な機能:
連絡に最適な時間帯:
Ziaにより、見込み客に連絡するのに最適な時間帯が提案されます。営業担当者が顧客にとって都合の良いタイミングで連絡することで、顧客が応答する確率を高めることができます。この提案内容は、セールスシグナルをもとにしています。セールスシグナルの機能では、顧客によるメールの開封や返信、ソーシャルメディアの反応などの情報が通知されますが、これらの情報をもとに、連絡に最適な時間帯が提案されます。営業担当者は、Ziaの提案に基づいてフォローアップのリマインダーを設定することで、顧客と連絡が取れるまでにかかる時間を短縮できます。
見込み客の商談化や商談の受注の予測:
Ziaにより、見込み客の商談化や商談の受注に関する予測が行われます。各データに対して実行された活動の分析と、通常の商談化や受注のパターンとの比較により、商談化や受注の見込みが算出されます。
マクロの提案:
営業活動において繰り返し行う作業がある場合、Ziaによってそのパターンが分析されます。分析結果にもとづいて、処理を自動化するためのマクロの設定が提案されます。提案内容をすぐに反映することができ、以降の作業を効率化できます。また、Ziaにより、ワークフローの設定が効率的で適切になっているかも分析されます。注意が必要な設定がある場合、通知されます。たとえば、複数のワークフローによって同じテンプレートのメールが送信されてしまうような場合に、注意が促されます。これにより、同じ内容のメールを重複して送信してしまうなどのミスを防止できます。
感情分析:
Ziaにより、営業担当者とのメールのやりとりを基に、顧客の感情が推測されます。営業担当者は、顧客の感情に応じて、その後のやりとりを適切に行うことができます。メールの内容が分析され、肯定的(ポジティブ)、否定的(ネガティブ)、中立的(ニュートラル)のいずれかの感情に分類されます。また、感情のカテゴリーごとのメールの件数や割合が表示されます。
メモ :
iOSデバイスでZia機能を利用できるのは、Zoho CRM Plus、Zoho CRMのエンタープライズプラン、アルティメットプラン、Zoho Oneを利用している場合のみです。
まとめ
カスタマイズ、見込み客の割り当て、営業プロセスの自動化、AIによる分析と支援など、[CRM]タブのさまざまな機能を活用することで、営業担当者の日々のタスクを効率化し、顧客対応の質を上げ、売上向上につなげることができます。