指標値における異常の把握
異常検出は、指標に関して通常とは異なる動きや状態を特定するのに役立つ機能です。たとえば、商談化数や受注数の突然の減少や、解約数の増加があった場合、事業環境の急激な変化や顧客対応における問題などが発生している可能性があります。
ただし、異常値があるからといって、常にマイナスの意味(悪い状況)を表すとは限りません。たとえば、Webサイト訪問者や購入者数の急増が見られる場合、プラスの意味(良い状況)を表しています。したがって、検出された異常値についてよく観察し、どちらの意味を持つのかを理解した上で、適切な対応を行う必要があります。
このように、異常検出によって指標データの変化をすばやく把握し分析することで、意思決定を最適化し、必要な対応を行うことができます。特に、事業にプラスの影響をもたらす可能性がある状況が発生している場合に、その要因を分析し、機会を十分に活かすような対策をとることで、事業の成長を加速させることが可能になります。
利用条件
必要な権限
管理者権限を持つユーザーが、この機能を利用できます。
エンタープライズプラン、アルティメットプラン で利用できます。
プランごとの異常検出グラフの作成数の上限については、プラン別機能一覧ページをご参照ください。
異常検出グラフの利用
営業活動や関連業務には複雑で不確定な要素が関連することから、実績値が予測パターンから外れることもよくあります。一方、予測から外れた異常値を、膨大な量のデータから手作業で特定するのは困難です。そこで、Zoho CRMのダッシュボードで異常検出グラフを作成することで、異常値を自動的に特定できます。異常検出グラフでは、予測パターンから外れたデータが自動的に異常値として検出されます。
異常値の検出は、ZohoのAIアシスタント機能である「Zia」(ジア)によって行われます。Ziaは、現在と過去の営業データを学習して周期的な傾向やパターンを予測します。このパターンから外れたデータが異常値として検出されます。
異常検出グラフは、次のような場面で役立ちます。
商談受注数の減少に基づいて問題のあるプロセスを見直す: 特定の期間における商談の受注数の異常を検出することで、受注数が著しく減少した場合に、商談対応プロセスに問題がないかどうかを見直し、迅速に対処できます。ここで、同じ期間に作成された連絡先の数を合わせて確認することで、異常値の原因が連絡先作成数の減少によるものかどうか(商談対応の問題ではなく営業先自体が減少していることが原因かどうか)を確認することが可能です。もし連絡先作成数も減少している場合には、関連するプロセスを見直す必要があります。
下図の異常検出グラフでは、商談の受注数という指標において、異常値が3件あることが分かります。
ここで、関連指標として連絡先の作成数を設定することで、商談受注数と連絡先作成数の比率(連絡先作成数に対する商談受注数の割合)を表示できます。この比率が表示された異常検出グラフでは、上記の3件のデータのうち、1件のデータは異常値とは見なされません。これは、商談受注数が連絡先作成数に比例しているデータであるためです。つまり、商談受注数は減少しているが連絡先作成数も同じように減少しているため、異常としては検出されなくなります。
商品需要の増加に合わせて在庫を補充する: 小売業では、通常、商品の購入パターンに応じて在庫量を調整しています。商品の在庫数と比較して販売数が急増した場合、在庫が不足するおそれが出てきます。このような場合に、異常検出の機能が役立ちます。在庫が不足する可能性がある状況を早めに把握し、再発注を促すことができます。
顧客の苦情に迅速に対応する: 顧客サポートにおいて発生した異常をリアルタイムで検出することで、苦情が発生するような状況に先回りして対応できます。たとえば、通常とは異なる大量のサポートの問い合わせがあった場合、異常値として確認できます。サポートチームがこうした情報を確認することで、問題の原因を迅速に調査し、対応遅延や顧客満足度の低下などの問題を回避できます。
Webサイトへのアクセス数の急減への対策をとる: 何らかの要因により、Webサイトへの訪問者が急に減少することがあります。このような場合に、訪問数の急な減少を異常値として把握し、訪問数を回復させるための手段をとることで、その後の営業活動への影響を軽減できます。
異常検出グラフの作成
異常検出グラフは、標準タブとカスタムタブの両方で作成できます。また、異常検出グラフの作成時に、以下の詳細を設定できます。
- 関連指標との比較: 関連指標を追加して、異常値が検出された指標と、その指標に関連する指標を比較することも可能です。これにより、2つの指標の比率についての異常値を検出できます。この機能は特に、指標の増減が他の指標と相関関係にあると考えられる場合に役立ちます。関連指標を追加して比較することで、関連指標の異常値による影響を除外できます。 ただし、関連指標には、平均値を選択できません。
- 数値の増減の解釈方法: 値の増加がプラス(良い)またはマイナス(悪い)のどちらの意味合いを持つかを設定できます。たとえば、商談受注数の増加はプラスの異常、クレーム数の増加はマイナスの異常として設定できます。
- グループ化: 指標データを特定のカテゴリーでグループ化して表示する場合、グループ化の基準を時間、通貨、日付、選択リストの項目から選択できます。たとえば、見込み客をデータ元別にグループ化したり、商談をステージ別にグループ化したりできます。 ただし、関連指標を追加して2つの指標を比較する場合、算出した比率データを単一のカテゴリーでグループ化して表示することはできません。
異常検出グラフを追加するには
- [アナリティクス] (ダッシュボード)タブに移動し、画面の右上にある [表/グラフを追加する] をクリックします 。
- 表/グラフの一覧から [異常検出] をクリックします。
- 異常検出グラフの追加 画面で、 [表/グラフ名] を入力します。
- [異常値] 設定で、次の手順を実行します。
- 対象の タブ を選択します。
- 指標 を選択します。これは、数値項目(件数、合計、最小、最大、平均)にする必要があります。
- データの推移を分析する際に使用する 日付項目 (最新の操作日時、登録日時、更新日時など)を選択します。
- [フィルター] リンクをクリックすると、分析対象にするデータの条件を設定できます。
フィルター条件は、10件まで追加できます。
- [他の指標と比較する] をチェックし、同様の手順で タブ 、 指標 、 日付項目 を選択します。また、必要に応じて、フィルター条件を追加します。
- [異常検出の対象期間] で、 期間 (今週、今日、過去360日間など)と 頻度 (毎日、毎週、毎月)を選択します。
- [数値の増減の解釈方法] で、次のいずれかを選択します。
- 値の増加をプラスとみなす
- 値の増加をマイナスとみなす
- グループ化を有効にする場合、 [グループ化の基準] をチェックし、ドロップダウンから項目を選択します。
[保存する]をクリックします。
異常検出に関するグラフをダッシュボードに追加する際、Ziaの提案が表示される場合があります。表示されるかどうかは、対象データの内容によります。なお、初めてZiaの提案を利用する場合は、確認用のメッセージが表示されます。[今すぐ試す]をクリックすると、提案の一覧を確認できます。
異常検出に関するZiaからの提案がある場合、Ziaの通知欄から確認することもできます。通知欄に表示された提案の情報をクリックすると、ダッシュボードの選択画面が表示されます。ダッシュボードを選択して[作成する]をクリックすると、選択した提案をもとにグラフを作成できます。