複数のスコアリングルールの設定

複数のスコアリングルールの設定

スコアリングルールとは

スコアリングルールは、属性や行動などのさまざまな基準を設定して、見込み客を評価する機能です。ルールによって付与されたスコアが高いほど、その見込み客が顧客になる可能性が高いことを示します。スコアリングによって、売上につながる可能性の高い見込み客を絞り込み、営業活動を集中できます。

複数のスコアリングルールを設定するメリット

業種や事業内容に応じて、見込み客のスコアリング方法はさまざまです。たとえば、アパレル業では、顧客を地域や年齢層でスコアリングすることで、売上向上につなげられる可能性があります。冬服を購入する可能性が高い寒冷地の顧客、流行の衣服を購入する可能性が高い若い年齢層を絞り込み、顧客の好みの商品を勧めることが可能です。同様に、保険会社は、顧客の性別、年齢、配偶者の有無などの属性情報を使用してスコアリングルールを設定できます。これにより、顧客が求めている保険を適切に提案することが可能になります。 

このような属性情報とともに、顧客について理解するために重要なもう1つの情報は、顧客の行動データです。たとえば、顧客のメール開封率や、最終購入日、Webセミナーへの参加率、契約の締結有無などの詳細情報です。これらの行動データは、顧客の興味に基づいているため、営業活動において活用できる重要な情報といえます。 

業種や事業内容、顧客層、商品のラインナップ、販売戦略に応じて、見込み客のスコアリング方法はさまざまですが、同じ組織内でも、部署によって異なることもあるでしょう。例:
  1. 顧客の行動をより良く理解するために、部署ごとに独自の顧客の評価基準を設けている組織もあります。 
  2. あるいは、営業プロセスの段階ごとに、顧客が興味を示す商品が異なる場合もあります。顧客の興味に応じた販促活動を行うには、顧客が興味を示した商品ごとに見込み客をスコアリングしたいと考える組織もあるでしょう。 

複数のスコアリングルールを設定するメリット

複数のスコアリングルールを設定すると、営業やマーケティングなどの各チームの業務に応じた評価基準で、顧客をスコアリングできます。これにより、各チームの対応範囲に合わせて、より細やかにスコアリングすることが可能になります。

たとえば、チームごとに異なる属性に基づいて、見込み客にスコアを付与できます:

I. 営業チームでは、見込み客のスコアリングを使用して、興味を示した見込み客を連絡先に変換できます。
  1. メールの開封:6点
  2. Twitterでのメンション:10点
  3. メールへの反応:10点
II. マーケティングチームでは、興味、行動、反応に基づいて見込み客をスコアリングできます。
  1. Webセミナーへの興味:5点
  2. Webセミナーへの登録:6点
  3. フォローアップメールに記載したリンクのクリック:10点
  4. 資料のダウンロード:10点
III. サポートチームでは、課題の種類、優先度、業種、提案した解決方法、フィードバックに基づいて、顧客をスコアリングできます。
  1. データの削除:8点
  2. IT業:7点、製造業:4点(過去の問い合わせを分析することで、スコアリングを設定できます)
  3. 致命的な課題:9点
  4. 肯定的なフィードバック:5点
上記のスコアリング方法によって、各チームが組織の顧客対応プロセスにおけるチームの対応範囲についての理解を深め、担当する接点ごとに顧客を評価できます。また、このような顧客分析を継続して行うことで、各チームにおける顧客対応の改善につなげることが可能です。例:営業チームによる有望客の見極めと商談受注の迅速化、マーケティングチームによる顧客の購買段階別の販促活動、サポートチームによる重要顧客に対する丁寧なサポート提供など。

利用条件
必要な権限
自動化の管理権限を持つユーザーが、複数のスコアリングルール機能を利用できます。

利用例

BtoB(企業対企業)ビジネスにおけるスコアリング

BtoBビジネスにおける購買の意思決定は、1人だけで行われることはめったにありません。複数の意思決定者が関わるのが一般的です。たとえば、交渉、提案内容の検討、購買決定といった各段階に、それぞれ異なる意思決定者がいます。また、BtoBビジネスでは購買決定までの期間が長期に及びます。したがって、顧客との各接点を重み付けし、各段階で顧客が次の段階に進む可能性があるかどうかを迅速に評価できるようにすることが重要です。

営業チームやマーケティングチームでは、見込み客をさまざまな視点で評価し、顧客になる可能性を見極める必要があります。BtoBビジネスにおける見込み客のスコアリングの例は、次のとおりです:

見込み客のスコアリング: 営業チームで、各接点における反応状況に基づいて、見込み客をスコアリングするとします。
  1. メールの開封:3点
  2. Webセミナーへの登録:5点
  3. Twitterでのメンション:5点
  4. トレーニングへの参加:10点
取引先のスコアリング: 商品の販売対象業種、購入数量、会社の住所、年間売上高、四半期成長率などは、BtoBビジネスにおける重要な評価基準です。

たとえば、繊維メーカーでは、次のようなスコアリングルールを使用して、より条件の良い顧客層を絞り込んで対応に集中することができます。
  1. アパレル業:10点
  2. 靴・アクセサリー業:5点
  3. インテリア業:10点
  4. 毎月の一括購入:8点
  5. 1件の年間売上高が1億円超:6点
連絡先のスコアリング: 複数の意思決定者が関わる場合、連絡先(商談相手となる人)の役割が、商談の受注見込みに大きく影響します。

たとえば、取引先の副社長と直接やりとりしている場合は、営業マネージャーとやりとりしている場合よりも、より迅速に商談を受注できる可能性が高くなります。このように、組織内での役割に基づいて、連絡先にスコアを付与できます:
  1. 役員:10点
  2. マネージャー:5点
  3. 選定担当者:3点

複数商品のクロスセルにおけるスコアリング

商品によって、営業活動や顧客の行動はさまざまです。たとえば、ノートPCの購入時にはカートに入れた直後に購入に至った顧客も、空気清浄機の購入時には数週間の検討時間をかけるかもしれません。 

ノートPCの購入データに基づいて見込み客をスコアリングすると、空気清浄機の購入に関しては間違った評価をしてしまいます。このように、複数の商品に対して同一の行動基準でスコアリングすると、うまくいかない可能性があります。

顧客の行動は多くの要因によって決まります。したがって、顧客の行動に応じた対応を行う必要があります。また、商品ごとに見込み客をスコアリングすることで、見込み客を適切に評価できます。 

クロスセルについても、同じことがいえます。提案された商品を顧客が購入する可能性があるかどうかを把握するには、顧客の属性や興味のある商品に基づいて、見込み客をスコアリングする必要があります。複数商品のクロスセルにおけるスコアリングの例は、次のとおりです:

連絡先のスコアリング: クロスセルや再購入の場合は既存の顧客であり、売上につながる顧客の属性情報や行動データはすでに把握できています。したがって、クロスセルの販売戦略を立てやすくなります。
  1. 金額が高く、頻度が高い購入:10点
  2. 金額が高く、頻度が低い購入:6点
  3. 金額が低く、頻度が高い購入:8点
  4. 金額が低く、頻度が低い購入:3点
取引先のスコアリング: BtoBビジネスの顧客と、BtoC(企業対個人)ビジネスの顧客では、商品に対する興味や購入方法は異なります。たとえば、商品の一括購入は、BtoCビジネスよりもBtoBビジネスの場合に、より多く発生します。
また、特定の業種の顧客が、特定の商品に対して興味を持っていることがあります。たとえば、IT企業は家具製造企業に比べて、コンピューター、ソフトウェア、ハードウェアの購入に高い関心があります。このように、ビジネスの種類(BtoB、BtoC)や業種による商品興味のそれぞれの観点から、スコアリングルールを設定できます。 
  1. BtoBビジネス:8点
  2. BtoCビジネス:5点
  3. IT業:9点
  4. 家具製造業:2点

複数の顧客接点に関するスコアリング

顧客に自社の商品やサービスのことを知ってもらい、関心を持ってもらうためには、さまざまなマーケティング施策が行われます。たとえば、メール配信、セミナー、アンケート、トレーニングなどです。このような顧客接点における、顧客の反応や行動から、最終的に売上につながるかどうかを見通すことが可能です。メールにはよく反応するが、トレーニングへの参加には興味を示さず、Webセミナーには常に登録して参加している顧客がいるとします。 

この場合、各接点で顧客をスコアリングすることで、顧客の興味を詳しく分析し、どのような接点でどのように対応すると有効かを把握することができます。接点情報としては、メールだけでなく、マーケティング活動に使用しているさまざまなサービスの情報も組み合わせて分析することが可能です(例:Zoho MeetingのWebセミナー、Zoho Backstageのイベント、Zoho Surveyのアンケート)。各接点でのスコアリング例は、次のとおりです。
  1. フォローアップメールに記載したリンクのクリック:10点
  2. メールの開封:5点
  3. Webセミナーへの不参加:-10点
  4. 資料のダウンロード:10点
  5. ユーザーカンファレンスへの参加:5点

複数のスコアリングルールの設定

見込み客、取引先、連絡先、商談、カスタムタブに対して、スコアリングルールを設定できます。スコアリングルールは、レイアウトごとに設定でき、 各レイアウトには最大5件のスコアリングルールを設定できます

たとえば、[見込み客]タブが地域別(関東、中部、近畿など)のレイアウトに分けられているとします。各レイアウトには5件のスコアリングルールを設定できます。つまり、「関東」レイアウトに対して、営業、マーケティング、サポート、開発などのチームごとに、1件ずつルールを設定できます。

スコアリングルールを設定するには、次の手順を実行します:
  1. ルール名を入力します。
  2. ルールを設定するタブを選択します。
  3. ルールを適用するレイアウトを選択します。また、タブ内のすべてのレイアウトにルールを適用することも可能です。 
  4. ポイントを加算または減算するための条件を設定します。たとえば、既存の顧客から紹介された連絡先には、ポイントを加算するように設定することが可能です。 
  5. 接点を選択し、顧客の反応や行動ごとにスコアを付与します。次の項目が表示されます:
    1. [メール分析] :Zoho CRMから送信されたメールの開封、クリック、不達。
       


    2. [アンケート] :アンケートの表示、回答。



    3. [イベント] :チケットの購入、チェックイン、キャンセル。



    4. [Webセミナー] :登録。



    5. [キャンペーン] :メールの開封、クリック、不達。
      Zoho Campaignsを使用して配信されたメールのみ がスコアリングの対象になります。


  6. データの詳細ページで確認したいスコアの内容(加点/減点、接点を通じた加点/減点、スコアの合計)を項目として設定し、スコアを関連付けます。項目の表示内容としてスコアの内容をすべて指定したり、特定の内容のみを指定したりできます。データの詳細ページでのスコアの確認方法については、 こちら をご参照ください。
メモ
  1. 他のZohoサービス(Zoho Backstage, Zoho Survey、Zoho Webinar/Meeting、Zoho Social、Zoho Campaigns、Zoho Desk)と電話連携やMailchimpの項目は、Zoho CRMアカウントに該当のアプリケーションとの連携が設定されている場合にのみ、表示されます。たとえば、電話連携が有効になっていなければ、通話に基づくスコアリングルールは設定できません。同じように、Zoho Social連携が有効になっていなければ、FacebookやTwitterでの行動に基づくスコアリングルールは設定できません。 
  2. 新しいスコアリングルールの設定時に、新しいルールを既存のデータにも適用するかどうかを選択できます。
  3. 接点(タッチポイント)のスコアは、潜在顧客とのやりとりが発生する可能性のある、見込み客と連絡先のタブに対してのみ設定できます。
  4. 取引先、商談、カスタムタブ(人に関するデータを登録するカスタムタブを含む)に対しては、接点(タッチポイント)のスコアを設定できません。

複数のスコアリングルールを設定するには
  1. [設定] [自動化] [スコアリングルール] の順に移動します。
  2. 画面右上にある [新しいスコアリングルール] ボタンをクリックします。
  3. [スコアリングルールを作成] 画面で、ルールの [名前] を入力します。
  4. ルールを設定するタブを選択します。
  5. 一覧から、レイアウトを選択します。
  6. 必要に応じて、ルールの説明を入力します。
  7. [次へ] をクリックします。



  8. [条件の追加] リンクをクリックし、項目と設定する値を選択します(この手順は任意です)。
  9. [加算] または [減算] を選択し、付与する ポイントを入力します。



  10. [完了] をクリックします。
  11. 連携一覧からアプリケーション を選択します(例:[メール分析]、[Webセミナー]など)。
  12. 必要な項目にチェックを入れ、 [加算]または[減算]のいずれかを選択し、ポイントの数値を入力します
  13. [保存] をクリックします。

  14. データの詳細ページに対する スコアの項目の追加 欄で、 [はい、続けます] をクリックします。項目を作成し、スコアを関連付けます。 

    1. 項目名を入力し、ドロップダウンからスコアを選択します。
                    
  15. 項目をさらに追加する場合は、 [+] アイコンをクリックします。完了後、 [保存する] をクリックします。
  16. [既存のデータを更新しますか?] の画面で、 [以前のデータを更新する]または[更新せずに続ける] のいずれかを選択します。
    更新対象となるデータは、過去6か月以内に作成または更新されたデータのみです。
メモ:
  1. スコアの値を項目に関連付けた後、内容を編集することはできません。
  2. データの詳細ページに追加可能なスコアの項目は、6件までです。
  3. スコアの項目はカスタム項目(データの種類:数値)として識別されます。
  4. レイアウトまたはタブでスコアリングルールが設定されている場合にのみ、スコアの項目がデータの詳細ページに表示されます。
  5. スコアの項目は、カスタム項目の設定の有無にかかわらず関連リスト内に常に表示されます。
  6. 特定のスコアリングルールに関連するスコアの項目がルックアップ項目のフィルター条件に利用されている場合、該当のスコアリングルールを削除することはできません。このような場合、スコアリングルールを削除するには、ルックアップ項目のフィルター条件から該当のスコア項目を削除するか、該当のルックアップ項目を削除する必要があります。

見込み客、取引先、連絡先、商談、カスタムタブのスコアの表示

各データのスコアは、データの詳細ページで確認できます。スコアは次のように分類されます:
  1. [加点] 
  2. [減点]
  3. [タッチポイントの加点]:すべての接点で獲得した加点の合計です。
  4. [タッチポイントの減点]:すべての接点で獲得した減点の合計です。
  5. [タッチポイントの合計]:タッチポイントの加点と減点の差分です。 
  6. [スコア(の合計)]:すべてのスコアの合計です。
スコアを計算できない場合は、「0」(ゼロ)として表示されます。
タッチポイントの 加点/減点/合計の スコアは、 見込み客 連絡先 など、人に関するデータを登録するタブでのみ表示できます。



スコアリングのグラフ表示



ただし、 タッチポイントのスコアは、 取引先、 商談、 カスタムタブ (人に関するデータを登録するカスタムタブを含む)には 表示されません。これは、これらのタブのデータは見込み客または連絡先に関する情報であるためです。



スコアリングのグラフ表示



スコアリングルールの抽出と検索

スコアリングルールの一覧にある検索欄に、ルール名を入力すると、特定のルールを抽出できます。また、 [ステータス] の列見出しの右側にあるフィルター(ろうと型)アイコンをクリックすると、ステータスに基づいてルールを抽出することが可能です。



スコアリングルールの複製または削除

必要に応じて、新しいスコアリングルールを一から作成する代わりに、既存のスコアリングルールを複製して、設定内容を変更できます。また、不要になったスコアリングルールを削除することも可能です。スコアリングルールを削除すると、該当のルールを通じて設定されたデータのスコアは削除されます。 

ルールを複製または削除するには
  1. [設定] [自動化] [スコアリングルール] の順に移動します。
  2. スコアリングルール の一覧で、複製または削除するルールにカーソルを合わせます。
  3. […] (その他の操作)アイコンをクリックして、 [複製]または[削除] のいずれかのメニューを選択します。
    1. 複製: 複製したルールに必要な変更を行い、 [保存] をクリックします。
    2. 削除: 確認画面で、ルールの削除処理を確定します。



スコアリングルールの無効化

不要になったスコアリングルールは無効化できます。スコアリングルールを無効にすると、既存のスコアは残りますが、新しいスコアの付与は実行されなくなります。スコアリングルールを再度有効にすると、設定に基づくスコアの付与が再開します。
スコアリングルール の一覧で、 有効化/無効化 の切り替えスイッチをクリックすることで、ルールのステータスを変更できます。 




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