見積支援ツール(CPQ)とは、「Configure:販売する商品やサービスの選定」、「Price:価格算定」、「Quote:見積作成」の頭文字をとったもので、顧客のニーズに合わせて見積書をすばやく正確に作成するためのツールです。見積支援ツールを利用すると、多くの商品やサービスがある場合や、商品やサービスの組み合わせや購入の条件などによって価格が変わる場合などにも、簡単に見積書を作成することが可能です。
見積支援ツール(CPQ)を活用してできること:
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販売する商品やサービスの選定(Configure):
さまざまな商品やサービスの中から顧客のニーズに合わせて見積対象とする商品やサービスを選定できます。あらかじめ設定を行っておけば、セット/パッケージ商品に該当する場合や商品やサービスの組み合わせが複雑な場合でも、手間や時間はかかりません。顧客にとって最適な商品やサービスをスムーズに提示できます。
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価格算定(Price)
:商品やサービスの価格に割引や税を自動で反映できます。価格ルールを作成することで、条件に応じて価格を自動で算定できます。たとえば、ある商品を単品で販売した場合と、別の商品とセットで販売した場合で、異なる価格を適用できます。また、ある商品が選択された場合に、関連する商品(付属品やオプション商品など)が自動で追加されるようにすることも可能です。さらに、条件に合致する場合に一定の割引率や割引額を適用したり、購入数が多い場合に単価を安くしたりするよう設定できます。このように、見積書に商品を追加するだけで、設定に基づいて自動で価格を算定することが可能です。
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見積作成(Quote)
:独自の商品設定や価格ルールに基づいて、正確な見積書を簡単に作成できます。すばやく効率的に間違いのない見積書を作成することが可能です。
以上、まさにその名のとおり、見積支援ツール(CPQ)は、販売する商品/サービスの選定から、価格算定、見積作成までの一連の業務を効率化できるツールです。ぬかりなく、すばやくスムーズに見積作成業務を進めるのに役立ちます。そのため、複雑な計算やミスの修正に時間をかけている間に、顧客がしびれを切らして離れていってしまうようなこともありません。
Zoho CRMの見積支援ツール(CPQ)の概要については、以下のWebセミナーの動画でも確認できます。
見積支援ツール(CPQ)の活用により解決できる問題
ビジネスを継続していけるかどうかは、その企業が変化への適応力を備えているかどうかにかかっています。
顧客のニーズや欲求は、さまざまな要因の影響を受けて変化するものです。たとえば、競合他社の技術が向上したり、人々のライフスタイルが変化したりすれば、顧客が求める商品やサービスの内容も変化します。このように、顧客が求めているものが変われば、企業もそれに応じて変化し、改善を行っていく必要があるでしょう。
見積支援ツール(CPQ)は、まさにこのような激動の時代を企業が生き残っていくために欠かせません。生き残るばかりではなく、より多くの利益を上げ、業界をリードしていくのに役立ちます。では、見積支援ツールを利用するとどのような効果が得られるのでしょうか?
見積支援ツール(CPQ)を利用すると、見積書作成にまつわるさまざまな問題を一挙に解決できます。たとえば、見積作成業務に時間がかかりすぎて失注してしまうような事態を防止できます。営業活動においては、あと一歩で受注につながったはずの商談が失注に至ることがあります。なぜ失注してしまうかについて、例を通して確認してみましょう。
デパートの精算カウンターに長い行列ができている場面を想像してみてください。精算対応を行うスタッフが各顧客に時間をかけすぎてしまっているとしたら、どうでしょう。列の後ろの方で待たされている顧客は、イライラを抑えることができず、時計を何度も確認しながらため息をつくでしょう。しまいには、そのデパートでの購入をあきらめて別のお店に向かうかもしれません。
以上の例では、商品を購入したいと思っている顧客がいるにも関わらず、売上につながる一歩手前で顧客を逃してしまいました。なぜでしょう? それは待ち時間が長かったからです。この場合は、最新のレジを導入したり、精算カウンターの数を増やしたりしていれば、待ち時間を減らすことができたはずです。もちろん、何が原因で待ち時間が長くなっているかによって、解決策は異なります。
以上の例と同じようなことが、自社の販売プロセスでも起こっていないでしょうか。顧客はもう待ちきれないと感じれば、いくら商品やサービスがよくても、購入を取り止めます。もしこのようなことが起きているとすれば、見積作成業務が遅くなる原因を分析し、効率化を行う必要があるでしょう。見積作成業務に時間がかかる原因として、よくあるものは以下のとおりです。
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手作業による処理
:営業担当者が手作業で見積書を作成している場合です。見積書の作成にあたっては、その都度、価格表を参照しながら商品と価格を丁寧に入力していきます。これでは、時間がかかるのもわけありません。手作業で見積書を作成している場合は、すぐに見積支援ツール(CPQ)の利用を開始した方がよいでしょう。
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時代遅れのシステム
:見積作成業務に、時代遅れとなったシステムを使用している場合です。このようなシステムでは最新のニーズに対応していない場合が多いものです。機能性や操作性の低いシステムによって見積作成業務に時間がかかってしまっているとすれば、クラウド上で利用できる最新のツールの利用を検討した方がよいでしょう。Zoho CRMの見積支援ツール(CPQ)は、使いやすく導入も簡単です。また、現在の課題だけでなく将来、新たな課題が発生した場合にも柔軟に対応していくことが可能です。
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非効率な業務プロセス
:多くの企業において、創業当初というのは、事業規模も比較的小さいものです。従業員同士がお互いを知っていて、情報共有も自然とできてしまうケースが多いでしょう。この段階では、企業規模も小さく、商品やサービスの種類や販売数なども少ないので、特段意識しなくてもうまく業務が回ってしまう部分もあります。しかし、会社が大きくなるにつれて、業務プロセスも複雑化します。事業が拡大していっているのに、業務プロセスは以前のままであれば、当然ミスや遅延が発生します。たとえば、会社が大きくなると、新商品、価格変更、割引キャンペーンなどに関する情報を、組織全体に周知することが難しくなります。事業が小規模であったときのように、重要な関係者にのみメールで情報を共有するだけでは、効率が悪く、不十分です。このように、情報共有の不足により、最新の情報を把握できていない営業担当者がいれば、見積書にミスが発生します。見積書にミスが発生すれば、修正に時間を要し、結果的に顧客の不満につながります。そのため、事業規模の拡大に合わせて、業務プロセスを見直し、効率化を行っていくことは欠かせません。
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行き過ぎた管理:
見積書の作成業務を厳しいルールで管理しようとすると、その意図とは裏腹に、顧客の不満や流出につながる場合もあります。たとえば、受注したら在庫確認のためにまず製造部門から承認を受け、その後、営業部の管理職からも承認を受けなければならないというルールがあるとします。このようなルールは、顧客に正確な見積書を発行し間違いなく納品を行うためのものです。しかし、ルールが原因となって見積書の承認に時間がかかりすぎることで、かえって顧客の不満や流出につながる可能性があります。
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不適切な条件の提示:
営業担当者が組織内の重要な共有事項(方針変更、商品の追加や削除、割引キャンペーンなど)をしっかりと把握できていない場合、営業担当者は商談を受注することに気を取られて実際には不適切な条件を提示してしまうことがあります。たとえば、見積書に記載されている金額が組織内で取り決められている金額より下回っている場合には、後で修正が必要になるなど、結果的に痛手を被ることになります。そのため、見積書には、最初から最新の価格や商品情報が記載され、提示可能な割引のみが適用されている必要があります。
以上のような問題すべては、Zoho CRMの見積支援ツール(CPQ)を導入することで解決できます。
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セット商品を登録しておくことができるので、商品の組み合わせが複雑であっても簡単に処理可能です。
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販売時期や販売数などの条件に応じて、商品単価を変更できるため、変動料金制やボリュームディスカウントなどにも対応可能です。
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さまざまな見積書のテンプレートの中から最適なテンプレートを選択して、カスタマイズできます。
このように、見積支援ツールを利用することで、組織の商品や価格に関する最新の情報に基づいて、見積書を作成することが可能です。すばやく効率的に作成できるばかりか、手作業の場合に比べてミスを格段に減らすことができます。
見積支援ツールを導入した方がよい組織:
以下のような組織には、見積支援ツールの導入をお勧めします。
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多岐にわたる商品/サービスを販売している
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商品の販売と同時にサービスも提供している(例:携帯電話の販売と修理など)
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見積書の作成スピードを向上したい
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顧客・案件管理ツール(CRMシステム)の見積書作成機能の操作性、機能性、カスタマイズ性が低い
顧客・案件管理ツール(CRMシステム)と見積支援ツール(CPQ)を連携するメリット
顧客・案件管理ツール(CRMシステム)と見積支援ツール(CPQ)は、厳密に見れば用途や利用目的は異なりますが、大局的に捉えれば、どちらも顧客に商品やサービスを販売するプロセスの中で利用されるものです。顧客・案件管理ツール(CRMシステム)は、見込み客の登録からフォローアップ、顧客との関係構築、商談の進捗管理などに利用します。しかし、必ずしもすべての顧客・案件管理ツールが見積作成機能を備えているとは限りません。顧客・案件管理ツール(CRMシステム)の主な目的は、顧客との良好な関係を構築し、維持していくことです。当然、機能もそのような目的に特化したものとなります。
一方で、改めて考えてみれば、商談には、見積書の作成業務はつきものです。商談の中で顧客に見積書を提出し、見積書が承諾されれば、最終的に受注を確定し、請求書を送付します。このような一連の流れにおいて、顧客・案件管理ツールから見積支援ツールへのバトンの受け渡しが重要であることは間違いありません。
もし、現在利用している顧客・案件管理ツールにおいて、すばやく簡単に見積作成業務を行うことができないとすれば、見積支援ツール(CPQ)と連携できる顧客・案件管理ツール(CRMシステム)への移行を検討した方がよいでしょう。もちろん、見積機能が充実していないからといって、そのような顧客・案件管理ツール(CRMシステム)が悪いというわけではありません。ただ、見積支援ツールと連携できた方がはるかに効率がよく、生産性が高いことは確かです。
顧客や商談の管理業務と、見積作成業務はどちらも営業活動の一連の流れの中にあるものです。営業プロセス全体がスムーズに進められるようにするには、見積支援ツール(CPQ)と連携している顧客・案件管理ツール(CRMシステム)を利用することを推奨します。そうすれば、すべての業務を1つのシステムに集約でき、画面を切り替える必要もなくなります。見込み客の獲得と育成、案件化、関係構築、商談の進捗管理から、正確な見積書の作成に至るまで、一連のプロセスをすべてスムーズに進めることができます。使ってみたその日には、「テクノロジーの力を借りればこんなに楽になるなんて!」と、思わず感動することでしょう。