マーケティングキャンペーンは、消費者へのリーチを広げ、認知度を向上するのに役立ちます。あらゆるビジネスにおいて重要な役割を果たします。ほとんどの組織においては、キャンペーンの効果を高めるため、複数のチャネルを通じた施策が実施されます。一般的に、マーケティングや営業の期間は、何か月にも及ぶことも珍しくありません。この期間中に購入者は複数のチャネルを通じて営業担当者と数回やりとりをする傾向があります。
受注につながる顧客接点(タッチポイント)を追跡して記録し、キャンペーンが実際に売上につながっているか、実際に購入者に決断を促すキャンペーンは何かを把握することが重要です。このためには、マーケティングアトリビューションが役に立ちます。
先月、新しい商品を発売したとします。既存の顧客やパートナーに対してソーシャルメディア、パンフレットなどの媒体で告知し、ブランド認知を高めるためにディスプレイ広告を出しました。最終的には、変換率全体が向上し、売上も向上しました。ただし、キャンペーンのどの部分が結果につながったのか、どのキャンペーンが見込み客の獲得に貢献したのかは分かりません。
マーケティングアトリビューションは、このような疑問に対する答えを見つけ出すのに役立ちます。
詳細な分析により、どのようなマーケティングチャネルがどのくらい売上につながっているかを把握できます。
アトリビューションモデルにおける営業ステージには、営業ファネルに共通で含まれるステージが表示されます。Zoho CRMのアトリビューションモデルで利用できる初期設定のステージは、次のとおりです:見込み客の獲得、見込み客の変換、商談の作成、商談の受注。組織の営業ファネルに基づいて、アトリビューションモデルにステージをさらに追加することもできます。商談作成と商談受注のステージ間でのみ、ステージを選択して追加できます。
Zoho CRMでは、6つのアトリビューションモデルを利用できます。それぞれの特性に応じて、マーケティングキャンペーンの成果分析、予算の最適化、最も効果的なキャンペーンの見極めなどに役立ちます。アトリビューションモデルは、常に1件のみ選択できます。次のセクションでは、各モデルの詳細を紹介します。最適なアトリビューションモデルの選択にご参考ください。
起点モデルでは、単一のタッチポイントに基づいて貢献度が割り当てられます。つまり、Webサイトに訪問者を初めて導いたマーケティング活動に貢献度の100%または商談金額が割り当てられます。起点モデルでは、基本的にファネルの最上部にあるマーケティングキャンペーンに重点を置きます。見込み客の獲得とブランド認知のみに注力する場合は、起点モデルが最適です。
例:
顧客が組織のWebサイトに訪問した後、Webセミナーに登録したとします。その後、メールで送信したアンケートに回答して、アンケートの完了時に顧客になり、展示会後に商談を受注しました。つまり、この場合、すべての貢献度が起点(Webセミナー)に割り当てられます。
終点モデルも同様に単一のタッチポイントに基づくモデルです。単一のタッチポイントに基づいて貢献度が割り当てられます。ただし、起点モデルとは異なり、終点モデルでは営業の最終ステップにすべての貢献度が割り当てられます。終点モデルでは、商談受注ステージまでのすべてのステップを無視して、商談受注のきっかけとなった最後に焦点を当てています。つまり、商談の受注の要因となったキャンペーンに、100%の貢献度または商談金額が割り当てられます。メインのキャンペーンの目標が、売上の向上である場合、終点アトリビューションモデルが組織構造に役立ちます。
例:
既存顧客に対して、新しいeブックに関するメールキャンペーンを配信したとします。その後、メールに返信して興味を示した参加者に対して、アンケートを配信しました。アンケートの完了時にほとんどの顧客が顧客になり、営業電話の後に最終的に商談の受注に至ったとします。つまり、この場合、終点(営業電話)には商談金額の100%が割り当てられます。
U型アトリビューションモデルでは、2つの主要なタッチポイント(起点と終点)と、その2点の間にある中間タッチポイントに、貢献度が割り当てられます。マーケティング活動による見込み客の獲得や初期のやりとりなどの起点には、貢献度の40%が割り当てられます。同様に、終点または商談受注には、貢献度の40%が割り当てられます。残りの20%は、2つのステージ遷移間で発生する中間タッチポイントに均等に分配されます。初期の見込み客とのやりとりが組織において極めて重要であり、同時に、商談の受注に直接関連する終点も重要である場合に、U型モデルが役立ちます。
例:
マーケティング活動の初期段階におけるコンバージョン率は良いが、同等の割合で商談受注にまでつなげていくのが極めて困難であるとします。このような場合、コンバージョン後から商談受注までに実施するキャンペーンが、見込み客の獲得よりも重要です。このような場合、U型アトリビューションモデルを使用して、売上貢献度の40%を起点に割り当て、40%を終点に割り当て、残りの20%を2つのステージ間で発生したタッチポイントに割り当てられます。
W型アトリビューションモデルは、U型に似ていますが、主なタッチポイントを追加的に設定します。3つのタッチポイント(見込み客の獲得、商談の作成、商談の受注)には、貢献度の90%(各タッチポイントに30%ずつ)が割り当てられます。貢献度の残り10%は、中間タッチポイントに分配されます。これは、カスタマージャーニーに影響を与える3つの主な遷移に重点を置く考え方に基づいています。
例:
営業サイクルが比較的長い場合、プロセスが複雑になりがちです。顧客を何度も訪問したり、たくさんの競合との比較評価が必要になったり、複数の関係者とのコミュニケーションが発生したりします。計画精度や予算配分を改善するには、キャンペーンごとの期間や傾向、また、マーケティングや営業活動を次のステップに進めるのに有効なタッチポイントを把握することが重要です。
線形アトリビューションモデルでは、各タッチポイントに対して貢献度が均等に分配されます。起点、終点、中間地点は、すべて同程度の重要度で扱われます。たとえば、カスタマージャーニーに10件のタッチポイントがある場合、各タッチポイントに貢献度の10%ずつが割り当てられます。線形モデルは、売上向上において、中間タッチポイントが起点や終点と同様に重要であるという考え方にもとづいています。ただし、各タッチポイントを均等に重要視するため、理想主義的すぎる可能性があります。実際には、各タッチポイントが全く同額ずつ売上に貢献するということはあり得ません。この点を踏まえ、各キャンペーンに対して貢献度の重み(1から4の段階)を選択できます。さらに、売上にそれほど影響しないと考えられるキャンペーンは除外することもできます。
例:
Webセミナーを開催し、Twitter上でも商品をプロモーションした結果、WebセミナーよりもTwitterからより多くの見込み客を獲得したとします。また、中間ステージでのデモ依頼後のコンバージョン率が、より高かったことが分かりました。Google 広告から受信した依頼が、招待メールよりも相対的に多かったとします。これらの事実に基づき、TwitterとGoogle 広告のタッチポイントに貢献度をより多く割り当て、今後の成果向上のためにこれらのチャネルへの投資を増やせます。
時間減衰アトリビューションモデルでは、顧客に対するマーケティング活動における最新のタッチポイントに対して、貢献度がより多く割り当てられます。営業サイクルが比較的長く、初期のタッチポイントが必ずしも最重要ではない場合に、時間減衰モデルが役立ちます。たとえば、見込み客が一旦パイプラインに乗った後は、見込み客に対するナーチャリング活動がより重要になるとします。したがって、初期のステージに売上貢献度を過度に割り当てるのではなく、時間減衰モデルでは、購入者を売上に移行した最新のタッチポイントに対してより多くの貢献度が割り当てられます。
例:
購入者が、商談受注の直前に、商品のデモを依頼したとします。それより以前に、毎週配信しているメール内のブログ記事をクリックしている場合、たとえブログ記事が商品デモや商談受注のきっかけになったとしても、時間減衰モデルに基づいて、ブログ記事よりも商品デモに対してより多くの貢献度の重みが割り当てられます。
U型とW型のアトリビューションモデルでは、独自のカスタムアトリビューションモデルを自由に作成できます。自社のプロセスに応じたカスタマージャーニーに最適なモデルを作成可能です。U型とW型のモデルでは、自社のプロセスや条件に合わせて、各タッチポイントに売上貢献度の一定割合を割り当てることができます。より柔軟に設定可能です。たとえば、キャンペーンの中間段階において、ランディングページが重要な役割を果たし、顧客が次の段階に進むのに有効なことが分かっている場合、該当のステージに対して貢献度の割合をより高く割り当てることができます(例:25%、40%、25%の配分)。Zoho CRMのU型とW型のモデルでは、次の3つの点でカスタマイズできます:
組織の要件、アトリビューションモデルの種類、各タッチポイントの重要性に応じて、適切なモデルを選択できます。
アトリビューションモデルを設定するには:
初期設定では、U型とW型のモデルには、見込み客の獲得、見込み客の変換、商談の作成、商談の受注のステージが含まれます。ただし、モデルをカスタマイズして、商談作成ステージの後に、ステージをさらに追加することもできます。各ステージに重みを設定することもできます。
営業ステージを追加するには:
線形モデルの場合のみ、各キャンペーンに重みを設定できます。入力した値に基づき、キャンペーンに売上が割り当てられます。また、商談受注にそれほど貢献していないと考えられるキャンペーンを除外することもできます。
重みを選択し、キャンペーンを除外するには:
キャンペーンのデータ詳細ページでは、キャンペーンに参加した見込み客/連絡先数、発生した売上、ROI値、ROIに対して貢献した商談数など、キャンペーンの統計全体を確認できます。
ROIの算出には、完了済みの商談のみ考慮されます。ただし、未完了の商談を含めるように変更することもできます。データの詳細ページから、
[ROIに未完了の商談を含める]
のスイッチを切り替えられます。
アトリビューションモデルを設定すると、Zoho CRMの[アナリティクス]タブにダッシュボードが追加されます。Zoho CRMでは、初期設定で一連のレポートが用意されています。ただし、必要に応じて、表/グラフを追加することもできます。利用可能な標準レポートの一覧は、次のとおりです:
「導入したばかりで基本操作や設定に不安がある」、「短期間で集中的に運用開始できる状態にしたい」、「運用を開始しているが再度学び直したい」 といった課題を抱えられているユーザーさまに向けた少人数制のオンライントレーニングです。
日々の営業活動を効率的に管理し、導入効果を高めるための方法を学びましょう。