パイプラインとは? 
  「パイプライン」は、営業プロセスの段階別に商談を管理する考え方です。プロセス全体、またはプロセス上で進行中の商談を意味することもあります。  Zoho CRMでは、商談の開始から終了までのプロセスを、いくつかの段階(ステージ)に区切って管理できます。通常設定できるプロセスは1件のみですが、パイプライン機能を利用すると、製品や事業などに応じて異なるプロセスを複数設定することが可能です。  
パイプラインのステージ 
 一般的な商談のステージは、次のとおりです(なお、「ステージ」は、組織やシステムによっては「フェーズ」や「ステップ」などの別の名前で呼ばれます)。  
 
 
 1.    商談化     
 有望な見込み客を見極め、商談情報を登録します。  
 2.    要件確認     
  商談対応をさらに進める前に、顧客のニーズが自社の商品やサービスに合致することを確認します。その情報をもとに、商談に優先度を付けます。  
 
 
 
 
 3.    提案     
 電話や訪問での打ち合わせなどを通じてやりとりをした後に、顧客の要件に合わせて提案を行います。提案では、自社の商品やサービスが、顧客の問題をどのように解決できるかを明示します。  
 4.    受注/失注     
 最終的に、商談は、受注または失注のいずれかの形で完了します。顧客が本当に求めている商品やサービスを提供できると判断してもらうことができれば、受注に至ります。それが難しいと判断された場合は、失注します。 
  
 組織によって上記以外にもさまざまなステージがありますが、主な流れは共通です。  
 一般的なステージのまとめ:  
  パイプラインのメリット  
 1.営業プロセスの理解を深められる  
 2.営業戦略を効率的に実行できる  
 3.各商談の進捗段階を把握できる  
 4.商談の受注/失注までにかかる時間を短縮できる 
  
  Zoho CRMでのパイプラインの管理  
 以下では、Zoho CRMにおけるパイプラインとステージの管理方法について見てみましょう。Zoho CRMを利用すると、次のことができます。  
 - 
    事業や製品別のプロセス管理     
 
  事業や製品などに応じて営業プロセスが異なる場合、異なるパイプラインを設定して、プロセスを分けて商談を管理できます。具体的には、[商談]タブ内の[ステージ]項目の値を、パイプラインごとにカスタマイズできます。 
 
 
 
- 
    商談の進捗管理 
 商談のステージを適切に設定することで、進捗を明確に把握できます。また、更新情報や履歴も確認できます。
 
 
  a)    ステージの履歴   を分析することで、過去に商談の失注原因となった間違いを繰り返さないように注意することができます。  
 
 
 
  b) パイプラインの情報をもとに    レポートやダッシュボード    を作成できます。レポートやダッシュボードを通じて、売上の実績や傾向、マーケティング施策の成果、今後の見通しなどを把握できます。  
 
 
 
  c) 商談の一覧を    かんばん    形式でステータス別に分類して見やすく表示できます。 
 
 
 
- 
    優先度の高い商談の特定 
 
 a)  詳細フィルター  を用いて、必要な情報をすばやく抽出できます(例:今月完了予定の商談)。優先度の高い商談をすばやく抽出し、迅速にフォローアップできます。
 
 
 
    b) AIアシスタント  「Zia」  による分析や提案情報を確認できます。たとえば、過去データからの傾向に基づき、受注可能性の高い商談が表示されます。これにより、優先度を上げるべき商談をひと目で把握できます。   
 
 
 
  Zoho CRMの[商談]タブの[ステージ]の項目には、一般的によく使われる値があらかじめ用意されています(条件確認、提案、受注など)。組織の営業プロセスにあわせて、独自のステージを追加することもできます。ステージを適切に設定することによって、営業担当者にとって、以下のようなメリットが生まれます。   
 -  商談の進捗を見やすく確認できる 
 
-  ステージごとに商談を確認し、必要な対応を抜け漏れなく実行できる 
 
-  同じステージにとどまっている商談を特定し、先に進めるための対策をとることができる  
 
 複数のパイプラインの利用例  
  例:ある自動車の販売代理店では、中古車の再販、新車の販売、自動車サービスの提供といった、3つの営業プロセスがあります。3つの営業プロセス間で、共通のステージもありますが、違うステージもあります。各営業プロセスにおける商談のステージは、次の通りです:   
 
  
   
    | 新車 
 | 中古車 
 | サービス 
 | 
   
    | 要件の確認 
 | 在庫があるモデルの提示 
 | 依頼内容の確認 
 | 
   
    | 試乗と車選び 
 | 試乗と車選び 
 | 修理中 
 | 
   
    | 価格の見積もり 
 | 価格の見積もり 
 | 検査と試乗 
 | 
   
    | 交渉 
 | 交渉 
 | 請求書の作成 
 | 
   
    | 受注/失注 
 | 受注/失注 
 | サービス完了 
 | 
  
 
 
  
 
 
  営業プロセスがそれぞれ異なるため、すべての商談に対して同じパイプラインを適用しようとすると、商談の進捗がよく分からなくなってしまいます。このため、上記の例で、商談の進捗を正確に把握するには、営業プロセスに応じたパイプラインを複数設定する必要があります。   
    
複数のパイプラインの作成 
 商談の[ステージ]項目は、[商談]タブの標準項目です。また、一般的によく使われる値が、あらかじめ設定されています(条件確認、提案、受注など)。 
標準パイプライン
 -  パイプライン機能を有効にすると、標準パイプラインが自動作成され、[商談]タブ内のすべてのデータに関連付けられます。この処理は、自動的に実行されます(パイプライン機能が有効な状態では、商談をいずれかのパイプラインに関連付ける必要があるため)。 
 
-  標準パイプラインは、[ステージ]項目の値に基づいて作成されます。 
 
-  標準パイプラインは、要件に合わせて、名前を変更したり、カスタマイズしたりできます。なお、特定の場合において、標準パイプラインは自動作成されませんのでご注意ください(パイプラインに対応するレイアウトを用いてデータをまだ登録していない場合、または、[ステージ]項目を用いてブループリントを作成していない場合)。 
 
レイアウトとパイプラインの関連性 
 パイプラインは、レイアウトと関連付ける形で作成します。各レイアウトに対して複数のパイプラインを作成することもできます。たとえば、[小売]レイアウトを用いて2つのカテゴリーの商品(家具、調度品)の販売データを管理していて、それぞれ営業プロセスが異なるとします。この場合、同じレイアウトに対して、商品のカテゴリーごとに1件ずつ、合計2件のパイプラインを作成できます。 
 
別のパイプラインへの商談の移動
  いずれかのレイアウトに複数のパイプラインを作成した場合、あるパイプラインから別のパイプラインへ、データを移動できます。また、一括更新機能を使用して、一度に複数のデータを移動することも可能です。   
    
ステージの確度の値 
 パイプラインの各ステージには、確度の値が設定されます。パイプラインが異なっていても、同じステージを使用している場合、同じ確度の値が設定されます。 
 
 新しいパイプラインを作成する際、新しいステージを作成して、ステージに確度の値を設定することができます。ただし、パイプライン作成画面から、既存のステージの確度の値を修正することはできません。[商談]タブの設定から[ステージと確度の関連付け]画面に移動して、既存のステージの確度の値を変更する必要があります。 
 
  また、[ステージと確度の関連付け]画面で、売上予測のカテゴリーを[パイプライン]/[完了]/[除外]に設定した場合、商談のステージはそれぞれ[未完了]/[受注]/[失注]になります。  
 
  
 
 
 
 
 
 
   パイプラインを作成するには:    
 -  [設定]  →  [カスタマイズ]  →  [パイプライン]  の順に移動します。 
 
-  [新しいパイプライン]  をクリックします。 
 
- パイプライン名を入力し、  [レイアウト]  項目から、パイプラインを関連付けるレイアウトを選択します。 
 
-  [ステージ]  項目から、パイプラインに追加するステージを選択します。  
 標準レイアウトの[ステージ]項目の値から選択して、追加できます。
 
   
 
 
-  [ステージ]  項目の下部にある  [新しいステージを作成する]  リンクをクリックすると、新しいステージを追加できます。 
 
- 表示された  [新しいステージの作成]  画面で、  [ステージ名]  、  [確度]  、  [商談のカテゴリー]  、  [売上予測のカテゴリー]  を入力します。 
 
   
 
 
-  [完了]  をクリックします。 
 ステージの値の一覧に、新しいステージが追加されます。
- このパイプラインを商談作成時の初期設定にするには、  [初期設定にする]  チェックボックスを選択します。 
 
-  [保存する]  をクリックします。 
 
パイプラインにおけるステージの変更 
  営業プロセスに変更があった場合には、パイプラインのステージを追加/変更/削除することで、その変更内容をシステムに反映できます。パイプラインからステージを削除しても、Zoho CRMのシステム全体からは削除されません。ステージの作成画面には、引き続き表示されます。   
   ステージを変更するには:    
 -  [設定]  →  [カスタマイズ]  →  [パイプライン]  の順に移動します。 
 
-  [レイアウト]  項目から、対象のレイアウトを選択します。 
 
- ドラッグ&ドロップ操作で、ステージを並べ替えることが可能です。 
 
- ステージにカーソルを合わせると表示される  [X]  アイコンをクリックすると、パイプラインから該当のステージを削除できます。 
 
   
 
 
- 対象のパイプラインの下部にある  [ステージを追加する]  リンクをクリックします。 
 
   
 
 
- 一覧から対象のステージをクリックすると、パイプラインに追加できます。 
 追加できるのは、該当のレイアウトの[ステージ]で有効な値のみです。一覧の下部にある  [新しいステージを作成する]  リンクをクリックすると、新しいステージを追加して、関連付けることができます。
 
   
 
 
-  [保存する]  をクリックします。 
 
レイアウト/パイプライン/ステージの一括更新処理に関する注意事項 
  データの一括更新  
  パイプラインは、レイアウトをもとにした設定です。また、パイプラインのステージは、該当のパイプライン専用の設定です。このため、レイアウト、パイプライン、ステージの値を更新する際、不整合が発生しないように処理する必要があります。一括更新時に、次の順番で、データの不一致について検証されます:レイアウト→パイプライン→ステージ([レイアウト]、[パイプライン]、[ステージ]の順で一括更新できます)。   
[レイアウト]項目の一括更新 
 複数の商談に関してレイアウトを更新する場合、変更後のパイプラインとステージも設定する必要があります。 
 
 対象のレイアウトをもとにしたパイプラインが設定されている場合のみ、パイプラインを選択する必要があります。対象のレイアウトをもとにしたパイプラインが設定されていない場合、レイアウトを選択するだけでデータを更新できます。 
 
 
 
 
[パイプライン]項目の一括更新 
  パイプラインはレイアウトに関連付けられています。このため、[パイプライン]項目の値を一括更新する際、変更後のレイアウトにデータが適切に関連付けられているかどうかが検証されます。例:2つのレイアウト「販売」と「サービス」があり、それぞれに2つのパイプラインが設定されているとします。データの一覧から複数の商談を選択して、「販売」レイアウトに関連付けられているパイプラインへの一括更新の処理を行った場合、実際には、「販売」レイアウトにすでに関連付けられている商談のみが更新されます。「サービス」レイアウトに関連付けられている商談はスキップされます。 
  

[ステージ]項目のみの一括更新 
 [ステージ]項目のみを一括更新する処理を行う場合、更新されるかどうかは、各データに適用されているパイプラインのステージの値によって決まります。更新されるのは、パイプラインのステージの値が、更新対象として指定したステージと一致するデータのみです。その他のデータはスキップされます。たとえば、[ステージ]項目を[交渉中]に更新するように一括更新の処理を行った場合、パイプラインのステージが[交渉中]のデータのみが更新され、他のデータはスキップされます。 
 
 
 
  
    メモ  
 
  
  
  
   -  [パイプライン]項目と[ステージ]項目は、その他の自動処理でも更新できます(例:マクロ、ワークフロールール、ブループリント、一括メール送信後のフォローアップ処理)。 
 
-  [ステージ]項目が、レイアウトルールまたは入力規則の条件として使用されている場合、[ステージ]項目とその関連項目([パイプライン]と[レイアウト])は一括更新の対象として選択することはできません。 
 
-  [パイプライン]項目が、レイアウトルールまたは入力規則の条件として使用されている場合、[パイプライン]項目とその関連項目([レイアウト])は一括更新の対象として選択することはできません。 
 
パイプラインに基づくブループリントの作成 
 [ステージ]項目は、ブループリントでよく使用されます。基本的に、ブループリントはレイアウトごとに作成しますが、レイアウトにパイプラインを設定している場合、ブループリントはパイプラインごとに作成します。[ステージ]項目に基づくブループリントを作成する場合、[ステージ]項目が関連付けられているパイプラインを選択するよう求められます。ブループリントの作成には、[ステージ]項目のすべての選択肢が使用されます。 
  
    メモ    
 
  
  
  
   -  ブループリントに新しいステージを追加すると、パイプラインにも自動的に追加されます。 
 
-  パイプラインを削除した場合、該当のパイプラインに関連付けて作成したブループリントも削除されます。 
 
パイプラインに基づくデータのインポート
 商談データをインポートする際、対応するパイプラインに関連付けるため、[パイプライン]項目を関連付ける必要があります。 
 
 -   複数のパイプラインへの商談のインポート:  複数のパイプラインに関連付けられているデータをインポートする場合、インポートファイルに列を追加し、データを関連付けるパイプラインの情報を該当の列に指定する必要があります。インポート時に、上記の項目を[パイプライン]項目に関連付ける必要があります。 
 
 
-   同じパイプラインへの商談のインポート:  [パイプライン]項目は必須項目です。そのため、インポートファイルに関連付け用のパイプラインの情報が含まれていない場合、関連付けるパイプラインを選択する必要があります。関連付けるパイプラインは、[初期値を割り当てる]のメニューで選択できます。 
 
  
  
    メモ  
 
  
  
  
   -  レイアウト、パイプライン、ステージは互いに関連しています。次のような場合には、データがスキップされます: 
 
    -  レイアウトとパイプラインの不一致:インポート時に、データのインポート先のレイアウトを指定する必要があります。商談データで指定したパイプラインが、インポート時に選択したレイアウトに関連付けられていない場合、レイアウトとパイプラインの不一致により、データがスキップされます。 
 
-  パイプラインとステージの不一致:選択したレイアウトに商談のパイプラインが関連付けられている場合、対象のデータに設定されているステージが自動的に検証されます。[ステージ]項目の値が商談のパイプラインに設定されていない場合、パイプラインとステージの不一致により、データがスキップされます。 
 
-  スキップされたデータとその理由は、インポート履歴で確認できます。 
 
かんばん表示でのパイプラインを使用した商談の抽出 
 かんばん表示では、レイアウトとパイプラインに基づいて、商談を抽出できます。 
 
 
   
他のCRMからの商談の移行 
 他のCRMからの移行時に、項目の関連付けで[パイプライン]項目を使用できます。商談は、[パイプライン]項目に基づいて、レイアウトのパイプラインに関連付けられます。 
 
 移行する商談にパイプラインが関連付けられていない場合、選択したレイアウトの初期設定のパイプラインに商談が関連付けられます。
   
パイプラインの削除 
  パイプラインを削除するには:   
 -  [設定]  →  [カスタマイズ]  →  [パイプライン]  の順に移動します。 
 
- 省略記号「…」アイコン(その他の操作)にカーソルを合わせて、  [削除する]  をクリックします。 
 該当のパイプラインに関連付けられているデータがある場合、パイプラインを削除する前に別のパイプラインにデータを移行する必要があります。
- データの移行先のパイプラインを選択します。 
 
- 現在のパイプラインから新しいパイプラインに、ステージを関連付けます。 
 
-  [移行して削除する]  をクリックします。 
 
  
 
  
  
   -  完了した商談のパイプラインは削除されたパイプラインのままになり、別のパイプラインには移行されません。  
 
-  レイアウトを削除する際、データの移動先のレイアウトを選択できます。データの移行先のレイアウトにパイプラインが関連付けられている場合、削除したレイアウトからのデータを移行するパイプラインとステージを選択できます。 
 
-  削除したレイアウトで完了の状態になっている商談は、新しいレイアウトの標準パイプラインに移行されます。 
 
-  [パイプライン]項目や[ステージ]項目に関する承認プロセスやレビュープロセスによりデータがロックされている場合、データが関連付けられているパイプラインやレイアウトが削除されても、データは別のパイプラインには移行されません。  
 
 
 
トラブルシューティングのヒント