承認プロセスを追加するには、承認プロセスの対象タブと実行タイミングを設定したうえで、プロセスの開始条件や承認者などの詳細を「ルール」として設定します。ルールを設定すると、承認プロセスを開始するかどうかの判断や承認申請の送信がルールに従って自動的に行われます。承認申請をこのように自動化することで、複数の人からの承認が必要な場合でも早く確実に承認を得られるようになります。承認プロセスの具体的な設定例については、
発注書の承認、
商品価格の割引の承認、
プロジェクトの予算の承認の各例をご参照ください(英語のページが表示されます)。
承認プロセスのルールでは、以下の6つの項目を設定します。
- 条件:承認プロセスを開始する条件を指定します。こちらに指定した条件をデータが満たすと、承認申請が自動的に送信されます。
- 承認者:誰がデータを承認するのかを設定します。承認者は、データの内容を確認して、承認または却下の判断をします。
- 承認時の処理:データが承認されたときに実行する処理を指定します。
- 却下時の処理:データが却下されたときに実行する処理を指定します。
- データの編集:データが承認待ちの状態にあるとき、またはデータが却下されたときに、データの編集を許可するかどうかを指定します。
- プロセス管理者の設定:承認申請に対する処理を承認者の引き継ぐ(代わりに行う)ことができるユーザーを指定します。プロセス管理者に指定されたユーザーは、データの内容を確認し、承認/却下の判断をするか、他の承認者に承認を委任できます。

承認プロセスを追加する手順
承認プロセスの作成
- [設定]→[プロセス管理]→[承認プロセス]の順に移動します。[承認プロセスを追加する]をクリックします。
- [新しい承認プロセス]ページで、以下の手順を行います。
- 承認プロセスの対象とするタブを選択します。
- 承認プロセスの名前と詳細情報を入力します。

- 承認プロセスの実行タイミングを選択します。
- データの作成:データが作成された時に、承認プロセスが実行されます。
- データの編集:データが編集された時に、承認プロセスが実行されます。
- [このプロセスにルールを追加する]をクリックします。
承認プロセスの開始条件の設定
[条件]欄では、承認プロセスを開始する条件を設定します。こちらに指定した条件をデータが満たすと、承認プロセスが開始します。[条件]の指定は必須です。必要に応じて、条件パターンを手動で編集できます。

承認者の設定
誰がデータを承認するのかを設定します。ドロップダウンから[ユーザー]、[役職]、[グループ]、[段階]、[マネージャー]/[直属の上司]、[担当者]のいずれかを選択します。

- ユーザー:特定のユーザーを承認者として指定します。ドロップダウンからユーザー名を選択できます。
- 役職:特定の役職を承認者として指定します。ドロップダウンから役職名を選択できます。
- 段階:組織の階層において何段階上の役職または上司を承認者とするかを指定します。組織の階層が何段階で構成されているかに応じて、ドロップダウンに段階数が選択肢として表示されます。
- マネージャー/直属の上司:データの承認者として、組織の階層で設定されているマネージャーまたは直属の上司を指定します(組織の[階層設定]において[役職による階層]が有効になっている場合は[マネージャー]が、[直属の上司による階層]が有効になっている場合は[直属の上司]が選択肢として表示されます)。
- 担当者:データの担当者を承認者として指定します。
役職またはグループによる承認者の設定
承認者に役職またはグループを指定した場合は、その役職/グループの中のいずれか1人の承認でよいのか、全員の承認を必要とするのかを選択できます。
組織によっては、同じ役職に就く人が複数いる場合があります。また、通常、グループには複数の人が所属しています。このため、承認者に役職またはグループを指定した場合は、以下のいずれかを選択します(ただし、この選択ができるのは、[すべての承認者]による承認が必要と設定している場合のみです)。
- [いずれかの承認者]を選択すると、その役職が割り当てられている人、またはグループに所属する人のうち、いずれか1人が承認をすれば、その役職/グループによる承認が完了したものとみなされます。日常的に行う見込み客の登録など、いずれか1人が承認すればよいケースではこちらを選択します。
- [すべての承認者]を選択すると、役職/グループの全員が承認してはじめて、その役職/グループによる承認が完了したものとみなされます。重要な品質管理に関わる業務など、全員の承認が必要なケースではこちらを選択します。
階層による承認者の設定
承認者を指定するときに[段階]を選択すると、組織構造の階層を使って承認者を設定できます。たとえば、データの担当者の2段階上の階層から承認を得るように設定したり、3段階上までの各階層から承認を得るように設定したりすることが可能です。
組織の[階層設定]において[役職による階層]が有効になっている場合は、役職の階層に従って何段階上の役職を承認者とするかを指定できます。たとえば、データの担当者の上位に3段階の役職がある場合に、データの担当者の[2段階目]と設定したとします。この場合は、2段階上の役職のユーザーから承認を得ることになります。
組織の[階層設定]において[直属の上司による階層]が有効になっている場合は、直属の上司の階層に従って何段階上の上司を承認者とするかを指定できます。たとえば、データの担当者に3段階の上司がいる場合に、データの担当者の[2段階上まで]と設定したとします。この場合は、1段階上の上司と、2段階上の上司のそれぞれから承認を得ることになります。
ユーザーに直属の上司が設定されていない場合は、組織の[階層設定]における設定に応じて階層内の上位のユーザー、または、CEOの役職か管理者の権限が割り当てられているユーザーが承認者になります。このとき、[すべての承認者]による承認が必要と設定している場合は、直属の上司が設定されていない場合の承認者について、全員の承認を必要とするか、いずれかの承認でよいかを選択できます。
メモ
- データの担当者を承認者として設定しておくと、担当者以外のユーザーがデータを編集したときに、担当者が必ず通知を受け取ることができます。
- 承認者に設定された担当者が組織アカウントで無効にされたり、削除されたりした場合、データは自動的に承認されます。
- データの担当者以外のユーザーがデータを編集し、編集後のデータが承認プロセスの適用条件を満たす場合でも、データの担当者が承認者として設定されていれば、担当者が承認するまでそのデータはロックされたままになります。

承認者をさらに追加するには、追加アイコンをクリックします。複数の承認者を追加した場合、以下のいずれかを選択する必要があります。
- いずれかの承認者 :指定した承認者のうち、いずれか1人の承認だけでよい場合は、こちらを選択します。

- すべての承認者 :指定した承認者全員の承認が必要な場合は、こちらを選択します。なお、順番の種類として、[順次]または[並行]のいずれかを設定できます。
・順次:すべての承認者が、1人ずつ順番に承認する必要があります。1番目の承認者が承認するまで、2番目の承認者は承認できません。承認の順番は、[承認者]の欄に表示されている順番です(一番上に表示されている承認者が最初に承認し、2番目に表示されている承認者が次に承認します)。

・並行:すべての承認者が承認する必要がありますが、全員が一斉に承認を行うことができます。承認の順序は決まっていません。

[タスクの割り当て]を選択すると、承認申請が送信されたときに承認者にタスクを割り当てることができます。ドロップダウンからタスクを選択して割り当てるか、この画面で新しいタスクを作成して割り当てることができます。

承認時の処理の設定
データが承認されたときに実行する処理を指定します。データの担当者にタスクを割り当てたり、メールで通知を送信したりできるほか、項目値の更新、Web通知の実行、関数の実行も可能です。

却下時の処理の設定
承認者が却下操作を行ったときにどの段階の承認を却下するのかと、却下後に実行する処理を設定します。
- 却下操作によって却下する段階の設定
複数の承認者を追加し、各承認者が順次承認を行うように設定している場合は、承認者が却下操作を行ったときにどの段階の承認を却下するのかを設定します。すべての段階の承認を却下するのか、現在の段階だけを却下するのか、または、却下する段階を承認者が指定できるようにするのかを選択します。

- 却下後に実行する処理の設定
データが却下されたことを、現段階より前の承認者全員に、メール、またはZoho CRM画面の通知で知らせることができます。さらに、項目値の更新、データの担当者へのメール通知、Web通知の実行、関数の実行を行うこともできます。

データの編集許可の設定
[データの編集]欄では、データが承認待ちの状態にあるとき、またはデータが却下されたときにデータの編集を許可するかどうかを設定できます。すべての項目の編集を許可するか、特定の項目のみ許可するか、または、いずれの項目も許可しないかを選択できます。
特定の項目のみ編集を許可する場合は、項目を25件まで指定できます。
データの編集許可は、承認プロセスの段階ごとに設定します。承認プロセスの段階の数は、承認を得る必要があるのが[いずれかの承認者]か[すべての承認者]かと、承認の順番の種類が[順次]か[並行]かによって変わります。
ケース1:[いずれかの承認者]から承認を得る場合データの編集許可を設定する段階は1つだけです。いずれか1人の承認者が承認した時点で承認プロセスが完了するので、段階は1つです。

ケース2:[すべての承認者]から承認を得る必要があり、承認の順番の種類が[順次]の場合承認プロセスに設定されている承認者ごとに、データの編集許可を設定します。すべての承認者が1人ずつ承認を行うので、それぞれの段階について編集を許可するかどうかを設定します。

ケース3:[すべての承認者]から承認を得る必要があり、承認の順番の種類が[並行]の場合データの編集許可を設定する段階は1つだけです。すべての承認者が承認を行う必要がありますが、全員が一斉に行うので、段階は1つです。

メモ:項目が更新されたときに実行するように設定されている自動処理は、承認プロセスの中で項目が編集されたときも、設定に従って通常どおり実行されます。
プロセス管理者の設定
プロセス管理者を設定しておくと、特定のユーザーが承認者から対応を引き継いで、承認者の代わりに承認/却下/委任の処理を実行できるようになります。
[この承認プロセスにプロセス管理者を追加する]を選択し、[ユーザーを追加する]をクリックして、プロセス管理者とするユーザーを指定します。プロセス管理者を指定する際は、ユーザーを個別に選択する必要があります。最大で15人のユーザーをプロセス管理者として指定できます。
プロセス管理者にはデータの編集を許可できます。プロセス管理者が承認者から対応を引き継ぐデータについて、すべての項目の編集を許可するか、[データの編集]の欄で指定した項目のみ編集を許可するかを選択します。
承認申請に対する処理がプロセス管理者によって行われたことを、[承認者]の欄に指定されている承認者に知らせる方法を選択できます。メールの送信と、Zoho CRM画面での通知を選択できます。
[完了する]をクリックします。

メモ
- プロセス管理者が承認待ちのデータを編集する場合は、編集を加える前に、現在の承認申請に対して何らかの処理(承認/却下/委任)を行う必要があります。ただし、すでに却下されているデータは、そのような処理を行うことなく編集できます。
- プロセス管理者が設定されていない場合は、管理者(組織全体の管理者)の権限を持つユーザーであれば承認申請に対する処理を引き継ぐ(代わりに行う)ことが可能です。プロセス管理者が設定されると、承認申請に対する処理を承認者の代わりに行うことができるのは、設定されたプロセス管理者のみになります。
- 引き継ぎの操作は、下図のように、データの詳細ページから実行できます。

- すでに実行されている承認プロセスのルールを変更してプロセス管理者を追加した場合は、ルールの変更の前に承認待ちの状態になっていたデータに対しても、新しく追加されたプロセス管理者が内容の表示、承認申請に対する処理(承認/却下/委任)を行うことができます。
[保存する]をクリックします。これで、承認プロセスのルールが有効になります。

メモ
- 1件の承認プロセスに複数のルールを設定できます。複数のルールを設定した場合は、適用の優先順にルールを並べてください。ルールは、一覧に表示されている順番で上から順に検証され、最初に一致したルールが適用されます。
- タブごとに、最大10件の承認プロセスを有効にできます。承認プロセスごとに、最大5件のルールを追加できます。
- [承認者]には、最大10件の設定を入力できます。[ユーザー]、[役職]、[グループ]、[段階]、[マネージャー]/[直属の上司]、[担当者]のいずれかを選択できます。指定した役職にユーザーが1人も関連付けられていない場合は、承認処理が自動で実行され、その役職ではデータが承認されたものとみなされます。
- 承認者に役職を指定した場合は、その役職が割り当てられているユーザーがデータを承認できます。グループを指定した場合も同様に、指定したグループに所属しているユーザーがデータを承認できます。
- 組織の階層設定で[直属の上司による階層]が選択されている場合は、承認者に[直属の上司]を指定できます。該当する直属の上司がいない場合は、組織の[階層設定]における設定に応じて、上位の役職に該当する最初のユーザーか、CEOの役職または管理者の権限が割り当てられている中で最初のユーザーが承認者になります。
- 組織の階層設定で[役職による階層]が選択されている場合は、承認者に[マネージャー]を指定できます。この場合の[マネージャー]とは、1段階上の役職に該当する最初のユーザーを指します。
- 管理者(組織全体の管理者)の権限を持つユーザーは、組織アカウント内のすべての承認待ちデータを表示でき、引き継ぎの操作もいつでも実行できます。ただし、承認プロセスのルールでプロセス管理者が設定されている場合は、承認申請に対する処理を引き継いで承認者の代わりに行うことができるのはプロセス管理者のみです。
- データが承認待ちの状態になると、データの変換や削除はできなくなります。データに[承認待ち]のマークが付き、詳細ページには承認申請に対する処理のメニュー([承認する][却下する][委任する])が表示されます。

- 承認プロセスに関する通知は、メールで送信されるか、Zoho CRM画面の通知欄に表示されます。
- 承認待ちでロックされているデータについては、データの一覧表示でもロックされていることが分かるようにアイコンが表示されます。

- すでに実行されている承認プロセスのルールを変更した場合、新しいルールや処理は、ルールの変更の前に承認待ちの状態になっていたデータに対しては適用されません。
- ただし、承認プロセスのルールを変更して新しくプロセス管理者を追加した場合は、ルールの変更の前に承認待ちの状態になっていたデータに対しても、新しいプロセス管理者が内容の表示、承認申請に対する処理(承認/却下/委任)を行うことができます。
- 不要になった承認プロセスは削除できます。承認プロセスを削除すると、承認待ちでロックされていたデータはロックが解除されます。
- データが複数のルールの条件に一致する場合は、ルールの一覧で最も上に表示されているルールが適用され、そのルールに従って承認申請が送信されます。
- 却下されたデータについては、データの詳細ページから承認を再申請できます。

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