ブループリントの作成

ブループリントの作成

ブループリントを作成するには、主に3つの手順を実行します。 

  1. 基本情報の入力:
    ブループリントを作成する タブ レイアウト 項目 を指定します。
  2. 状態と遷移の流れ図の作成: 
    ブループリントの編集画面 で、業務フローの 開始状態 から 終了状態 まで、全体の流れ図(フローチャート)を作成します。次に、業務フローの各段階(ステップ、ステージ、フェーズ)として[状態]を並べます。また、各状態間を線と矢印でつなぎ、業務を進める流れとして[遷移]を作成します。
  3. 遷移の条件や処理の設定: 
    業務フローの中である状態から次の状態に進む条件として、 [遷移前] の条件を設定します。また、遷移を進める際に必要な対応を [遷移中] の設定で指定し、遷移を完了した後に実行する処理を [遷移後] の設定で指定します。  

      

手順1:基本情報の入力

  1. [設定] [プロセス管理] [ブループリント] の順に移動します。
  2. 画面右上の [ブループリントを作成する] をクリックします。
  3. ブループリントの作成 画面で、ブループリント名を入力し、対象のタブ、レイアウト、項目を選択します。


    上の図の例では、商談のフォローアップの流れを表すブループリントを作成するため、 [商談] タブ、 [標準] レイアウト、 [ステージ] 項目を選択しています。
  4. 必要に応じて、ブループリントを適用するデータの条件を設定します(例:総額 >= 50000)。
    条件を設定しない場合、レイアウトで作成されたすべてのデータにブループリントが適用されます。 [次へ] をクリックします。

メモ:
  • 画面右下にある [詳細設定] リンクをクリックすると、中断なしのブループリントとして作成できます。中断なしのブループリントは、途中で滞留や中断せずに、一気に連続して実行する業務フローを設定するものです。電話による営業対応フローなどに最適です(詳細は該当のヘルプ記事をご参照ください)。
  • ブループリントの基準項目は、以下のいずれかを使用して更新できます。
    • 遷移のAPI(Transition API)
    • ワークフローのAPI(Workflow API) 
    • ワークフロー内のカスタム関数 
    なお、上記の3つの方法以外に、ブループリントの基準項目を更新する方法はありません。  

手順2:状態と遷移の流れ図の作成

  1. ブループリントの編集画面 に、業務フローに必要なすべての状態をドラッグ&ドロップで追加します。なお、各状態は、対象のタブの項目の中で、ステージ/ステップ/フェーズ/段階を表す選択リスト項目をもとに設定します。
  2. [状態]ブロック の周囲にある○印の接続点をクリックして、次の[状態]ブロックまでドラッグして線を伸ばし、状態間を接続します。すべての状態間を接続して、業務の流れ図(フローチャート)を完成させます。


    なお、 [開始] 状態は、選択した選択リスト項目の [なし] (-None-)の値に相当しますのでご注意ください。 
  3. 2つの状態の間をつなぐ線上にある [+] ボタンをクリックして、[遷移]を作成します。
    (不要になった遷移を削除するには、対象の遷移の線上で 右クリック し、表示された [遷移を削除する] メニューをクリックします)

ブループリントの作成例

上の図は、商談のフォローアップの業務フローの例をもとにブループリントを作成したものです。このブループリントが適用された商談データは、流れ図(フローチャート)の通りに状態を進んでいきます。

  1. 白色のブロックは、[状態](商談のステージ)を表します。
  2. 緑色のブロックは、[遷移](現在のステージを完了して次のステージに進める/遷移するために必要な条件や対応)を表します。
  3. 設定した各遷移は、データの詳細ページに、必要な処理を示すボタンとして表示されます。

  4. [遷移]を完了するには、データの詳細ページにおいて遷移の実行ボタンをクリックし、表示された画面に記載されている内容を確認して必要な対応を実行します。
  5. たとえば、 [要件確認] という遷移用ボタンをクリックすると、ポップアップ画面が表示され、 この遷移を実行するのに必要な対応事項が表示されます。
     
  6. 必要な対応を行って遷移が完了すると、データはブループリントの次の状態に移行します。
  7. 青色のブロック[失注処理]は 共通遷移 と呼ばれ、 ブループリントのすべての状態から遷移が可能です。したがって、すべての状態(ステージ)の商談データの詳細ページに、共通遷移のボタンが表示されます。
     

  • さまざまな業界でのブループリントの作成例(教育、不動産、保険など)は、 こちらをクリック してご参照ください。

手順3:遷移の条件や処理の設定

遷移は、業務の流れにおける状態の移り変わり、すなわち、業務が次の段階に進むことを表します。ブループリントでは、遷移は2つの状態間をつなぐ線上に表示されます。また、遷移の条件を設定することで、ある状態から次の状態に進むための条件を設定できます。なお、遷移の設定には、 [遷移前] [遷移中] [遷移後] の3つの設定があります。


たとえば、 [要件確認済み] [提案済み]という2つの状態間の遷移を見てみましょう。 この遷移に、 [提案] という名前を付けます。上記の例において、以下のような条件を満たせるように遷移を設定します。
メモ :遷移名は、50文字以下にする必要があります。 

  • [提案]の遷移を完了するには、営業担当者が [値引き率] [完了予定日] の項目を入力する必要があります。
  • この組織の営業方針では、値引き率は25%以下にする必要があります。
  • [提案] の遷移の実行時に、提案概要について知らせる通知メールを営業マネージャーに送信する必要があります。

上記の点を踏まえ、ブループリントの作成例を見てみましょう。

遷移前

  • [遷移前]の設定では、遷移を実行する 担当者 を指定します
    例:[データの担当者]を選択すると、データの担当者、およびその担当者より上位の役職のユーザーのみが、遷移用のボタンを表示できます。
  • ブループリントが適用されているデータに対して、この遷移を実行するための [条件] を設定します。 
    例:[値引き調整]が[完了]
    この場合、 [値引き調整] 項目が [完了] に更新されたときにのみ、遷移用のボタンが表示されます。 
    遷移前の条件を指定しない場合は、[条件]の設定をスキップできます。この場合、遷移用のボタンはすべてのデータに表示されます。 
 

遷移中

[遷移中]の設定では、条件に応じて、特定の項目、メモ、添付ファイル、その他の情報を入力するように、遷移の担当者に対して求めることが可能です。これにより、業務を次に進める際に、必要な情報の入力などの対応を促すことができます。たとえば、商談のフォローアップにおいて、組織の営業方針に従って、営業担当者は値引き率とメモを入力し、見積書を添付する必要があるとします。この作業を確実に実行するように、 [提案] の遷移における [遷移中] 設定で、上記のすべての詳細の入力を必須にします。

[遷移中]設定で必須にできる情報や処理は次のとおりです。

  • 対象タブと関連タブの特定の項目を必須にして値の適切性を検証する(なお、ルックアップ項目も指定可能です) 
  • チェックリストを追加する
  • 関連データの作成を必須にする
  • 遷移の担当者に対して表示するメッセージを追加する
  • メモの追加を必須にする
  • 添付ファイルを必須にする
  • タグの追加を必須にする 
  • ウィジェットによる関連データの入力を必須にする(位置情報、予定など) 
対象タブや関連タブの項目を必須にして検証する
遷移の設定で項目を必須にすることで、営業担当者が業務を進める中で、適切なタイミングで必要な情報を入力するよう促すことができます。必須項目に設定できるのは、ブループリントの対象タブまたは関連タブの項目です。たとえば、商談のフォローアップの業務フローの例では、[提案]ステージで次の項目を必須にできます。
    • 値引き率
    • 関連する取引先名
    • 関連する取引先の年間売上
    • 関連する連絡先の役職と電話番号

ブループリントの対象タブ/関連タブの項目を必須にするには

  1. [遷移中] タブで、下部にある [追加する] をクリックします。
  2. [項目]を選択し、下部にあるドロップダウンから、追加したい項目があるタブを選択します(なお、[項目]はあらかじめ選択された状態で表示されています)。
  3. 右側のドロップダウンで、必須にする項目を選択します。
    必要な項目の数だけ、この操作を繰り返します。また、上下の矢印を使用して、項目の表示順を並べ替えることができます。


    なお、ルックアップ項目も必須にすることが可能です(複数選択のルックアップも含む)。 
    ただし、項目の入力値を検証することはできませんのでご注意ください。 
  4. 項目の値の検証条件を設定して、該当の項目には必ず許容値が入力されるように制限することが可能です。
    • 例:値引き率は必ず20%以下にする
    • 例:完了予定日は必ず30日以内にする


チェックリストを追加する
チェックリストとは、ある時点において確認や対応すべきことをリスト形式でまとめたものです。ToDoリスト、やることリストなどとも呼ばれます。ブループリントにおいてチェックリストを活用すると、あるステージから次のステージに進む遷移に必要な確認/対応事項を、リスト形式で見やすく表示してきめ細やかに管理できます。

なお、チェックリストは、[遷移中]の設定で追加します。追加したチェックリストは、遷移の実行時に、遷移の担当者に対して表示されます。

たとえば、商談のフォローアップの業務フローの例では、 [提案] の遷移のチェックリストとして、次のような内容を追加できます。

  • 値引き率を確定する
  • 提案文書を添付する
  • 競合他社の値引き率を確認して記録する

チェックリストを必須として追加するには

  1. [遷移中] タブで、下部にある [追加する] をクリックします。
  2. [チェックリスト] を選択します。
  3. チェックリストの件名と内容(作業項目)を追加します。


    こちらで設定した内容が、遷移の担当者に表示されます。遷移の担当者がチェックリストからすべての作業項目の消し込みを完了した(すべての作業項目にチェックを入れた)場合のみ、ブループリントの次の状態に進むことができます。これにより、各ステージにおける細かな進捗状況を明確に把握できます。 
関連データの作成を必須にする
遷移を実行して業務を先に進める際の作業内容としては、項目の入力とチェックリストの完了以外にも、対象データの関連データの作成を必須にすることが可能です。具体的には、以下のデータの作成を必須にすることが可能です。
  • タスク
  • 予定 
  • 通話
  • 見積書
  • 受注書
  • 問い合わせ

たとえば、値引き率が承認されて商談のステージが[提案]になったときに、営業担当者は見積書を作成し、顧客との打ち合わせの予定を登録するとします。この場合、[遷移中]の設定で、関連データの作成として「見積書の作成」、「予定の登録」を必須にすることが可能です。

これにより、ステージの完了に必要な関連データを確実に作成するよう、営業担当者を適切に誘導して、進捗を管理できます。

関連データの作成を必須にするには

  1. [遷移中] タブで、下部にある [追加する] をクリックします。
  2. [関連データ] を選択します。
  3. [関連データ] ドロップダウンから、関連データとして[タスク]と[見積書]を選択します。

遷移の担当者に対して表示するメッセージを追加する
担当者が業務を効率的に進めるようにするためには、手順や必要な情報を明確に伝える必要があります。担当者が業務を進めようとしたときにメッセージを表示することで、担当者が対応すべきことを簡単に把握できるようになります。

遷移の担当者に対して表示するメッセージを追加するには

  1. [遷移中] タブで、下部にある [追加する] をクリックします。
  2. [メッセージ] を選択します。
  3. 入力欄にメッセージを入力します。差し込み項目を使用して、Zoho CRMのデータを挿入することも可能です。

メモの追加を必須にする
業務フローのさまざまな段階で、追加情報の共有が必要になる場合があります。たとえば、営業担当者が特定の値引き率を入力した理由、特定のタスクが保留にされた理由を補足する場合などです。このような追加情報は[メモ]として追加できます。また、[遷移中]の設定で、遷移の担当者によるメモの追加を必須にすることが可能です。

メモの追加を必須にするには

  1. [遷移中] タブで、 [メモを必須にする] のチェックボックスをクリックして、有効にします。


    これにより、遷移の担当者は、 [要件確認] 遷移の実行時に表示されたメッセージに従って、必要な情報をメモとして入力するよう求められます。
添付ファイルを必須にする
業務フローを進める中では、段階ごとにさまざまな文書を管理する必要が出てきます。たとえば、要件確認時の秘密保持契約書(NDA)、提案時の提案書や見積書、受注時の受注書や請求書などです。ブループリントの遷移で、このような文書ファイルの添付を必須にすることが可能です。

添付ファイルを必須にするには

  1. [遷移中] タブで、 [添付ファイルを必須にする] のチェックボックスをクリックして、有効にします。

    上の図の例では、 [提案] の遷移を実行して次の段階(状態)に進む際に、添付ファイルとチェックリストの両方を必須にしています。添付ファイルを必須にすると同時に、提案に必要なファイルの内容の一覧を、チェックリストで表示しています。これにより、担当者が、チェックリストを確認しながら、抜け漏れなくファイルを添付することが可能です。


タグの追加を必須にする 
業務を効率的に進めるために、データの整理は欠かせません。Zoho CRMでは、データの種類や概要を表すテキスト(ラベル)を、タグとしてデータに追加できます。[遷移中]の設定では、タグの追加を必須にすることが可能です。
これにより、遷移の担当者は、遷移の実行時に、タグを追加するように求められます。 
 
ウィジェットによる関連データの入力を必須にする(位置情報、予定など)
ブループリントの[遷移中]の設定では、ウィジェット(拡張機能)を使用したデータ入力を必須にすることもできます。  


必須にすると、担当者は遷移の実行時に、指定されたウィジェットを通じてデータを入力する必要があります。ウィジェットによるデータ入力では、テキストや数値などの項目への入力だけでなく、専用のウィジェットを使用してさまざまなデータの入力を促すことができます。たとえば、地図を表示して位置情報を入力したり、カレンダーを表示して予定の日付を指定したりなど、さまざまな形式でのデータ入力を必須にすることが可能です。

ウィジェットの作成方法については、関連するヘルプページをご参照ください。 
以下の画像は、地図を表示するウィジェットの例です。


メモ:
この機能は、Zoho CRMの エンタープライズプラン 以上のプランでのみ利用できます

遷移後 

[遷移後]の設定では、遷移の完了時に自動で実行する 処理 を設定します。[遷移後]の設定で自動化できる処理は、次のとおりです。

  • メール通知の送信
  • タスクの割り当て
  • 項目の更新
  • Web通知の実行
  • 関数の実行
  • データの変換(見込み客/見積書タブのみ) 

たとえば、商談のフォローアップの業務フローにおいて、値引きの承認申請時に、営業マネージャーにメール通知を送信する必要があるとします。これを設定するには、 [メール通知] を選択し、メールの受信者とメールテンプレートを関連付けます。

ブループリントにおける遷移の[遷移前]、[遷移中]、[遷移後]の基本的な設定については以上です。以下では、遷移をより便利に活用するための機能について説明します。

共通遷移

共通遷移とは、業務フロー内のどの状態からでも実行できる遷移です。 

活用方法について、商談のフォローアップの業務フローを例に説明します。通常、商談データは[要件確認]、[提案]、[値引き調整]などの複数のステージを経た後に、最終的に[受注]または[失注]に遷移します。そのため、 [失注処理] の遷移は、業務フローの終盤に設定します。ただし、顧客が関心を示さず、[要件確認]のステージで商談のフォローアップを終了する場合もあります。このような場合に、途中のステージ(状態)をすべて経てから[失注処理]の遷移を実行するのでは、余計な手間がかかってしまいます。したがって、どのステージからでも直接、 [失注処理] の遷移を実行できるよう、[共通遷移]として設定すると便利です。

この設定は、下の図のとおり、[共通遷移]のチェックボックスをクリックして有効にするだけです。これにより、どの状態のデータの詳細ページにおいても [失注処理] の遷移ボタンが表示され、いつでも遷移してフローを完了できるようになります。 


自動遷移

自動遷移では、遷移を手動で進める手間や時間を省くことができます。日々の業務においては、見込み客や顧客への対応が進まず、ブループリントで設定している業務フローが特定の状態から進まなくなることもあります。担当者は、このような状態に気づかないことがあり、結果として対応が遅れる場合があります。この問題への対処方法として、一定期間が経過した際に担当者に通知を送信するようにSLA(対応期限や基準)を設定する方法があります(SLAの設定方法については、下記の章をご参照ください)。

この対処方法では、通知を送信したり、タスクの割り当て/項目の更新などの処理を行ったりすることはできますが、業務フローを進めるには手動で操作する必要があります。このように手間は少しかかりますが、状態が進まないときに通知のみを希望する場合は、SLAの設定が比較的シンプルでお勧めです。一方、一定期間が経過した際に、単に通知を送信するだけではなく、別の状態に自動で進む(遷移する)ように処理を設定したい場合は、自動遷移の設定が役立ちます。

自動遷移の主な流れ
自動遷移では、指定した期間が経過したときに、ブループリント内の状態を別の状態に自動で進める(遷移する)ことができます。
たとえば、状態「A」は遷移「X」を通じて状態「B」に進むとします。通常は、状態「A」から状態「B」に進むには、担当者が遷移「X」を手動で実施する必要があります。自動遷移では、一定期間(例:5日間)遷移「X」が実施されなかった場合に、状態「B」以外の状態に自動で進むように設定することが可能です。

以下の画像は、ブループリント内の[連絡済み]の状態において自動遷移を設定した状態の例です。この状態には、次の状態に進むための遷移(ボタン)として、[要件確認]と[失注処理]の遷移が設定されています。上記の遷移の処理が一定期間行われなかった場合、ブループリントが適用されているデータの状態は、[連絡済み]の次の状態である[要件整理中]に自動で進みます。


自動遷移を設定するには

遷移を作成する際に、 [自動遷移] のチェックボックスにチェックを入れます。

作成した遷移を保存し、 [実行タイミング] を指定して、実施する処理を選択します。

以下の画像は、商談対応のブループリントの例です。このブループリントには、[見積もりの提示]の状態に進める(遷移する)までに、[連絡開始]、[連絡済み]、[要件整理中]、[ニーズの分析中]、[提案済み]の各状態があります。ここで、ある程度確度の高い見込み客については、連絡してから5日間経過したら、そのまま見積書の作成に進むとします。設定としては、見込み客データが[連絡済み]の状態に遷移し、その後同じ状態のまま5日間経過すると、[連絡済み]の状態から[見積もり準備]の状態まで自動で遷移するようにします。これにより、担当者は、見積書の作成をタイムリーに開始できます。



通常は、見積書を作成する際に、要件や詳細情報を把握する必要があります。しかし、初回の連絡時から要件がすでに明確である場合や過去に取引があり確度が高いと見込まれる場合などは、要件確認などの段階(状態)をスキップできます。このような場合に、自動遷移を通じて手間や時間を省くことが可能です。      

同じ状態の繰り返し(ループ)

業務フローにおいて、同じ手順を複数回繰り返す(ループさせる)場合もあります。一般的な例としては、見込み客に連絡をとる場合などです。たとえば、見込み客の要件を把握するために、何度も電話をかける場合です。電話をかけても、見込み客が不在であったり、都合が悪くかけ直しをお願いされたりする場合もよくあります。見込み客に連絡が取れない限り、次の段階(状態)に進むことはできません。したがって、見込み客が電話に応じてくれない限り、該当の見込み客データの状態は同じまま滞留します。ただし、同じ状態で滞留しているからといって、業務がまったく進んでいないわけではありません。次の段階(状態)に進めるために、電話による営業活動を複数回行う必要があるだけです。

このような場合に、活動結果や状況に応じてまた同じ状態に「戻る」遷移を作成できます。つまり、必要に応じて同じ遷移を繰り返すことが可能です。たとえば、フォローアップの業務フローにおいて、下の図のとおり、[連絡開始](Attempted to contact)の状態から[連絡済み](Customer Available)の状態に進むまでに、[再連絡](Retry contacting)の遷移を何度も実行できます。


特定の状態における対応期限(SLA)の設定 

業務を滞りなく進めるには、期限通りに完了するように管理することが重要です。これには、SLAの設定機能が役立ちます。「SLA」(Service Level Agreement)とは、一般的には、サービス提供者と顧客の間で、サービスの提供内容や期限など、品質や対応基準について合意する契約のことです。Zoho CRMのブループリント機能における「SLA」は、データが特定の状態に留まることができる期間の上限を設定する機能です。たとえば、商談が[要件確認]の状態(ステージ)に長期間留まっている場合は、営業マネージャーや担当者に通知し、対応を促す必要があります。ただし、具体的に期間はどのくらいか、また、誰に通知して、どのような対応が必要かなどの詳細を、決めておく必要があります。SLA機能を利用することで、これらの詳細をブループリントに設定し、業務フローに反映できます。SLAの設定により、データが特定の状態のまま、設定した期間を超えたときに、指定したユーザーに通知が送信されます。これにより、業務の進捗状況を把握し、期限通りに作業を進めるよう促すことができます。 

特定の状態における対応期限(SLA)を設定するには 
  1. ブループリントの編集画面で、対応期限(SLA)を設定する[状態]をクリックします(例: [提案]の状態)。                       
  2. 商談を [提案] の状態のままにしておくことが可能な期間の上限を設定します(例:5日)。 
  3. その状態における対応事項の期限を超えた場合に、通知するユーザーと通知するタイミングを入力します 
    (例:[提案]の状態のままで次に進まずに5日間経過したらデータの担当者に通知する)。 
  4. 上記の初期設定の通知に加えて、対応期限の前/後に送信する通知を、追加で設定できます 

(例:対応期限の2時間前に、データの担当者に通知する)。

これにより、期限超過になる前に、迅速に対応できます。
また、通知の送信と同時に、処理を実行することも可能です。
SLAを通じて実行できる処理 の内容としては、メール通知の送信、タスクの割り当て、項目の更新、Web通知の実行、関数の実行などを設定できます。 

たとえば、商談データが[提案]の状態に期限(5日間)を超えて留まっている場合に、通知を送信するとします。このとき、通知を送信するだけでなく、担当者に迅速な対応を促すために、追加で[緊急度]項目を「高」に自動更新するよう、項目の更新の処理を設定することも可能です。これにより、担当者は通知を受けて、[緊急度]項目が「高」のデータを抽出し、優先的に対応できます。

メモ:
SLAの処理の設定は、Zoho CRMの エンタープライズプラン 以上のプランで利用できます。  

ブループリントの並べ替え


サンドボックス(テスト環境)でのブループリントの作成

ブループリントの作成時や修正時には、業務フローを確定して実際のデータに対して適用する前に、ブループリントの設定内容が適切かどうかを確認する必要がある場合があります。Zoho CRMでは、「サンドボックス」と呼ばれるテスト環境を利用できます。こちらで、実際のデータに影響を与えることなく、ブループリントの動作を確認できます。
関連情報 :  サンドボックス(テスト環境)

ブループリントの作成例

ブループリントは、業種や商材、用途や目的、対象業務などに応じて柔軟に設定できます。たとえば、教育、不動産、保険、銀行、金融などの業界特有の業務フローに応じて設定することが可能です。以下のスライドでは、ブループリントの具体的な作成例をいくつかご紹介しています。要件に応じて、状態/遷移/フローの微調整は必要ですが、ブループリントを効率的に作成するためのひな形として、ご参照ください。



トラブルシューティングのヒント





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