GDPR(一般データ保護規則)の第12条から第23条では、個人(データ主体)の権利が明確に定義されています。したがって、個人情報を取り扱う組織や個人は、各権利について理解した上で、個人(データ主体)からの各権利に基づく要求には適切に対応する必要があります。Zoho CRMのGDPRコンプライアンス設定で対応可能な権利とその要求内容は、次のとおりです。
データ主体の要求の追加
上記の権利に基づく要求をZoho CRMで受け付けるには、2つの方法があります:
- 個人(顧客/データ主体)が、Zoho CRMを利用してデータを管理する組織(データ管理者)に対して、要求をメールで個別に送信します。
- または、要求を電話や口頭で、直接データ管理者に伝えます。データ管理者は、その内容をZoho CRMに手動で記録し、適切な対応を行います。
- Zoho CRMを利用してデータを管理する組織(データ管理者)が、個人(顧客/データ主体)に対して、要求を受け付けるためのリンクをメールで送信します。
個人は、リンクを通じて自分自身で要求を直接送信できます。送信された要求は、Zoho CRMに自動的に取り込まれ、対応履歴が記録されます。
データ主体の要求の手動による追加
要求の受け付け時に、Zoho CRMアカウントで該当の内容を記録し、必要な対応を実行する必要があります。
データ主体の要求を手動で追加するには
- 対象の個人(データ主体)のデータを選択して、詳細ページを開きます
(GDPRコンプライアンス設定を有効にしているタブ内のデータが対象です)。 - データの[プライバシー]をクリックします。[データ主体の要求]セクションで、
[要求を追加する]をクリックします。 - 表示された[新しい要求]画面で、対象の要求を選択して[完了する]をクリックします。
選択した要求がデータに追加されます。

Zoho CRMでの要求への対応
個人(データ主体)からの要求に、Zoho CRMで対応する方法を見てみましょう。
データへのアクセスの要求(データへのアクセスの権利)
差し込み項目を使用したメールテンプレートを作成すると、Zoho CRM上で管理している顧客の情報を手軽に挿入できます。個人(データ主体)から情報へのアクセスの要求があった場合に、メールテンプレートを使用し、求められている情報が記載されたメールを作成して送信することで、簡単に対応できます。また、個人(データ主体)に顧客ポータルから自分の情報に直接アクセスしてもらうことも可能です(エンタープライズプラン以上を利用している場合)。(関連情報:メールテンプレート、顧客ポータル)。
データ主体の情報を含むメールを送信するには
- 対象の個人(データ主体)のデータを選択して、詳細ページを開き、[プライバシー]セクションをクリックします。
- [データ主体の要求]セクションで、[要求を追加する]をクリックします。
- 表示された[新しい要求]画面で、[データへのアクセスの要求]を選択します。
- [完了する]をクリックします。選択した要求がデータに追加されます。
- [データへのアクセスの要求]にカーソルを合わせると表示される、[メールを送信する]ボタンをクリックします。

- メール作成画面の右上にあるテンプレートの挿入メニューから、あらかじめ差し込み項目を追加して作成したメールテンプレートを選択して適用し、作成したメールを送信します。
データの修正の要求(データの修正の権利)
データの修正の要求があった場合、個人(データ主体)の個人情報を含むCSVファイルを添付したメールを送信し、その内容をもとに修正内容を共有してもらうことができます。個人(データ主体)によってCSVファイルの情報が修正され、メールで返信された後、データ管理者は修正された情報をZoho CRMアカウントにインポートし、該当のデータを更新する必要があります。また、個人(データ主体)に顧客ポータルから自分の情報を直接修正してもらうことも可能です(エンタープライズプラン以上を利用している場合)。(関連情報:顧客ポータル)。
データ主体のデータを修正するためにメールで送信するには
- 対象の個人(データ主体)のデータを選択して、詳細ページを開き、[プライバシー]セクションをクリックします。
- [データ主体の要求]セクションで、[要求を追加する]をクリックします。
- 表示された[新しい要求]画面で、[データの修正の要求]を選択します。
- [完了する]をクリックします。選択した要求がデータに追加されます。
- [データの修正の要求]にカーソルを合わせると表示される、[メールを送信する]ボタンをクリックします。
メールの作成画面が表示され、添付ファイルとしてCSVファイルが追加されます。添付ファイルには、選択したタブに保存されている個人(データ主体)の情報が含まれています。

- メール作成画面で、メールの本文を作成してから送信します。
データのエクスポートの要求(データのエクスポートの権利)
データのエクスポートの要求があった場合、個人(データ主体)の情報が機械で読み取り可能な形式(CSV形式)でZoho CRMからファイルをエクスポートし、そのままメールに添付して送信できます(データ管理者の端末にダウンロードする必要はありません)。
データ主体のデータのコピーを送信するには
- 対象の個人(データ主体)のデータを選択して、詳細ページを開き、[プライバシー]セクションをクリックします。
- [データ主体の要求]セクションで、[要求を追加する]をクリックします。
- 表示された[新しい要求]画面で、[データのエクスポートの要求]を選択します。
- [完了する]をクリックします。選択した要求がデータに追加されます。
- [データのエクスポートの要求]にカーソルを合わせると表示される[メールを送信する]をクリックします。
メールの作成画面が表示され、添付ファイルとしてCSVファイルが追加されます。添付ファイルには、選択したタブに保存されている個人(データ主体)の情報が含まれています。

- メール作成画面で、メールの本文を作成してから送信します。
データ処理の中止の要求(データ処理の中止の権利)
この要求を受け付けた場合、個人(データ主体)の情報の処理を中止する必要があります。この要求への対応として、Zoho CRMには個人(データ主体)の情報をロックし、処理できないようにす機能があります。データがロックされると、Zoho CRMで詳細を使用または処理できなくなります。たとえば、ワークフローからメールが送信されなくなり、データの編集、共有、マクロの実行、重複データとの統合などの処理を実行できなくなります。
データをロックするには
- 対象の個人(データ主体)のデータを選択して、詳細ページを開き、[プライバシー]セクションをクリックします。
- [データ主体の要求]セクションで、[要求を追加する]をクリックします。
- 表示された[新しい要求]画面で、[データ処理の中止の要求]を選択します。
- [完了する]をクリックします。選択した要求がデータに追加されます。
- [データ処理の中止の要求]の[ロックする]をクリックします。

- [はい、進めます]をクリックして確定します。
データがロックされます。以後、該当のデータに対して処理を実行できなくなります。
データの削除の要求(データの削除の権利/忘れられる権利)
この要求を受け付けた場合、個人(データ主体)の情報はデータ管理者のサービス規約に定義された保持期間、ロックされます。この期間、データはZoho CRMでは処理されなくなり、その後、データ管理者は個人(データ主体)の情報を削除できます。データが削除されると、メールアドレスは削除対象リストに登録され、インポートや同期などで同じメールアドレスのデータは再追加できなくなります。ただし、手動で追加することは可能です。
データをロックし、削除対象リストに移動するには
- 対象の個人(データ主体)のデータを選択して、詳細ページを開き、[プライバシー]セクションをクリックします。
- [データ主体の要求]セクションで、[要求を追加する]をクリックします。
- 表示された[新しい要求]画面で、[データの削除の要求]を選択します。
[保存する]をクリックします。
選択した要求がデータに追加されます。
- [ロックする]をクリックすると、データを削除する前に処理を中止できます。
- [削除対象リストに移動する]をクリックすると、Zoho CRMアカウントからデータを削除できます。
表示された[削除対象リストのデータ]画面で、[削除対象リストに移動する]をクリックします。
データが削除され、メールアドレスが削除対象リストに追加されます。

- [はい、進めます]をクリックして、処理を確定します。
データ主体の要求の自動追加
個人(データ主体)の要求を受け付けるためのリンクを個別メールまたはメールテンプレートに追加して、個人(データ主体)宛てに送信できます。これで、個人(データ主体)が自分でZoho CRM内で要求を送信できるようになります。
データ主体による要求を受け付けるためのリンクをメールテンプレートに追加するには
- [設定]→[カスタマイズ]→[テンプレート]の順に移動します。
- [メール]タブを選択し、[+新しいテンプレート]をクリックします。
- 表示された[メールテンプレートの作成]画面で、対象のタブを選択して[次へ]をクリックします。
- [テンプレートのギャラリー]から、対象のテンプレートを選択します。
(リンクを追加する)アイコンをクリックします。
[リンクを追加する]画面で、次の手順を実行します:
- [リンクの種類]一覧から、[データに関する要求]を選択します。
- [データに関する要求の種類]で、対象のチェックボックスを選択します。
[すべて選択]をクリックすると、すべての種類を追加できます。 - 一覧から[言語]を選択し、[保存する]をクリックします。

- [保存する]をクリックして、テンプレートを保存します。

データ主体による要求を受け付けるためのリンクをメールに追加するには
- 対象のデータの詳細ページに移動して、[メールを送信する]をクリックします。
- メールの作成画面で
(リンクを追加する)アイコンをクリックし、
(データに関する要求)アイコンを選択します。
- [データに関する要求の種類]で、対象のチェックボックスを選択します。
[すべて選択]をクリックすると、すべての種類を追加できます。 - 一覧から[言語]を選択し、[保存する]をクリックします。
- [送信]をクリックします。

データ主体による要求の送信
データ主体による要求を受け付けるためのリンクを使用することで、個人(データ主体)はリンクを通じて自分自身で直接要求を送信できます。要求はZoho CRMに自動的に記録されます。個人(データ主体)は指定された手順に従って、要求を送信できます。
データ主体が要求を送信するには
- 個人(データ主体)は、メールに記載された[データに関する要求のリンク]をクリックする必要があります。

- 要求を選択して、追加します。
- 要求の送信を確定します。

- 送信した要求は、各データの[プライバシー]セクションに記録されます。

すべての未完了の要求の表示
[GDPRコンプライアンス設定]の[概要]セクションには、要求されたすべてのタブが並べ替えられて表示されます。特定の要求のすべてのデータを一覧表示できます。
すべての未完了の要求を表示するには
- [設定]→[ユーザー管理]→[コンプライアンス設定]→[概要]の順に移動します。
- [未完了のデータ主体の要求]セクションで、対象の要求をクリックして、対応するデータを表示します。
- 制限した場合の影響についての確認画面が表示されます。[個人情報の共有を制限する]をクリックして、設定を完了します。
