こちらのページの内容は、テリトリー管理機能の概要について理解していることを前提としています。Zoho CRMのテリトリー管理機能については、テリトリー管理の概要をご参照ください。
テリトリー管理は、顧客(取引先)をグループ化して担当者を柔軟に割り当てることができる機能です。これにより、組織内のチーム間で顧客データを簡単に共有できます。テリトリー管理機能を利用すると、次のことが可能になります:
ただし、すべての組織でテリトリー管理が必要であるとは限りません。営業プロセスや体制、顧客データの共有方法にもとづいて、テリトリー管理を利用するかどうかを判断する必要があります。こちらのページでは、テリトリー管理を利用すべきかどうかを判断するためのポイントを確認できます。
役職による管理とテリトリーによる管理との比較は、次の表のとおりです。それぞれの相違点をご確認ください。
役職による管理 | テリトリーによる管理 |
データの担当者:1人のみ | データの担当者:1人のみ |
データにアクセスできるユーザー:
| データにアクセスできるユーザー:
|
顧客(取引先)のグループ化の基準:データの担当者 | 顧客(取引先)のグループ化の基準:顧客の属性 |
ユーザーに割り当て可能な役割:1件のみ | ユーザーに割り当て可能なテリトリー:複数 |
ユーザーに設定可能な目標:1件のみ | ユーザーに設定可能な目標:複数(所属するテリトリーごとに1件ずつ) |
たとえば、営業対象の地域全体を、北中央部、北東部、北西部、南中央部、南東部、南西部の6つに分割していて、地域ごとに担当の営業チームがあるとします。テリトリー管理の利用例は、次のとおりです:
このような場合、役職とデータ共有ルールの機能のみを使用してこれを実現しようとすると、設定が複雑になる可能性があります。一方、テリトリー管理の機能を利用すると、異なる営業チームのユーザーにデータを柔軟に共有できます。このように、テリトリー管理を活用することで、データを柔軟に共有ながら、各地域の営業チームに設定された売上目標の達成に集中することが可能です。
Zoho CRMアカウントでテリトリー管理を設定する前に、以下の内容をご参照の上、テリトリー管理の利用が組織の要件に適しているかどうかをご判断ください。
ユーザー間でデータをどのように共有するかは、十分に検討する必要があります。そのために、営業チームの体制に従って顧客(取引先)データを共有するのに最適な方法を見極めることが重要です。組織の要件によっては、営業担当者(データの担当者)ではなく、商品やサービス、顧客の売上規模、地域、業種などに基づいてデータを共有する場合もあるでしょう。このように、データ共有の要件が複雑な場合は、テリトリー管理を利用することで、顧客(取引先)データを効果的にグループ化して柔軟に共有できます。
また、営業の体制として、異なるチームのユーザーにも顧客(取引先)データを共有するかどうかも確認する必要があります。たとえば、見込み客に電話をかけて打ち合わせの日程を調整する担当者がいるとします。また、その結果を受けて、見込み客を訪問して製品デモを行う担当者がいるとします。このような場合、それぞれの担当者に対して顧客(取引先)データを共有する条件やタイミングをあらかじめ整理し、システムにも反映しておくことが重要です。
共有の条件や、共有相手となる人やチームは、体制や要件によって異なります。テリトリー管理は、組織の要件が次のような場合に適しています:
Zoho CRMでテリトリー管理を有効にすると、テリトリーの設定条件に合わせて売上予測も変更されます。ユーザーが複数のテリトリーに所属している場合は、テリトリーごとに異なる目標設定が必要です。
この場合、ユーザーに目標を1件のみ設定しても機能しません。ユーザーごとに複数の目標を設定する必要があります。あわせて、月単位または四半期単位で目標を分割することで、売上目標と達成状況をより細やかに把握できます。
営業プロセスや体制に変更があったときに、管理者がデータ共有に関する設定を何か所も変更しなければならない場合、管理作業は非常に複雑になってしまいます。たとえば、管理者は次のようにさまざまな要件に対応する必要があります:
複数のユーザーに対して同じデータへのアクセス権限を許可する、アクセス権限をユーザーごとまたは役職ごとに設定する、営業担当者の頻繁な異動状況を複数の設定に反映するなど。
一方、テリトリーを設定すると、データの共有方法をより簡単に管理できます。たとえば、地域ごとに営業チームが分かれているとします。その中で、関東の顧客に対応しているチームに、成績が優秀な営業担当者がいるとします。そこで、この営業担当者が東北の顧客の問い合わせにも対応するよう、担当範囲を拡大することにしました。このような場合に、テリトリー管理機能を利用していると、該当の営業担当者を「関東」と「東北」のテリトリーに所属させるだけで、両方の地域の顧客データへのアクセス権限を簡単に設定できます。
このように、データ共有ルールの機能や役職による階層の設定では管理が複雑になってしまう場合には、テリトリーを設定することでデータの共有方法を簡単に管理できます。これにより、管理者の負担も軽減することが可能です。また、組織構造をテリトリーの階層に反映させることによって、組織構造に応じたデータ共有をよりスムーズに行うことができます。
顧客(取引先)データを営業チームや担当者間で適切に分担できます。
たとえば、ある組織では、中小企業から大企業までの幅広い顧客(取引先)に対応しており、営業担当者は商談の規模に基づいて対応を分担しているとします。このような営業体制の場合、テリトリーを使用して営業チームを分割し、商談の規模別に顧客(取引先)データを割り当てることで、データを簡単に共有できます。
たとえば、営業チームAには50万円未満の商談を割り当て、チームBには50万円以上の商談を割り当てるなどが可能です。また、動きの多い営業チームの場合は、営業担当者がテリトリー間を異動する可能性があります。この場合でも、営業担当者が所属するテリトリーを簡単に変更できるため、簡単に管理できます。
営業担当者ではなく、顧客(取引先)の属性をもとにデータを共有できます(地域、業界、従業員数、売上規模、購入商品など)。
テリトリーを設定することで、営業担当者以外の基準を用いて顧客(取引先)を分類して管理できます。独自の共有条件を設定でき、共有ルールの機能や役職による階層設定のみを使用する場合よりも、さらに柔軟に共有することが可能です。
たとえば、さまざまな学区の学校向けに備品を販売しているとします。営業チームは、学区ごとに分かれており、各学区において備品の購入を希望する学校への販売対応を行っています。この場合、発生した商談の担当者は、学区に応じて割り当てられます。つまり、顧客(取引先)の属性(住所)にもとづいて営業担当者が決まります。
そこで、テリトリー管理機能が役立ちます。学区ごとにテリトリーを作成することで、学区ごとの営業担当の割り当てを柔軟に行うことができます。
顧客(取引先)の地域に応じて営業担当者の割り当てを最適化できます。
顧客(取引先)がさまざまな地域に散在しているような場合に、どの地域にどの営業担当者が対応するかを分かりやすく管理できます。これにより、地域ごとに対応を集約できるため、出張にかかる移動時間や費用を短縮できます。さらに、地域ごとの文化や慣習などの特性に対しても、効果的に対応しやすくなります。
複数の部署を横断して柔軟なデータを共有できます。
たとえば、複数の製品を扱う組織では、各製品専門の営業チームがある場合があります。ただし、見込み客が2つの製品に関心がある場合、一方の製品の営業チームの担当者から別の製品の営業チームの担当者に、データをどのように共有すればよいでしょうか。メールや口頭などで共有すると、手間がかかり、抜け漏れも発生してしまいます。
このような課題は、製品に基づいたテリトリーを設定して、複数の営業チームの担当者にアクセス権限を許可することで、解決できます。また、組織でクロスセル(複数の商品を組み合わせた販売)の促進を行っているような場合に、複数のチームで共同して顧客に対応する体制を整えるのにも役立ちます。
担当者がそれぞれの担当領域に注力し、専門性を高められます。
営業担当者には、商品やサービスの販売促進に役立つ十分な専門知識が必要です。たとえば、旅行代理店で、カリブ海のクルーズを担当している場合は、ツアーパッケージ、料金、旅程、船の情報、現地情報、観光スポットなどを熟知している必要があります。
この場合、カリブ海のクルーズに関心のある顧客のテリトリーを作成し、専門の営業担当者を割り当てます。これにより、営業担当者は、自身の専門分野の知識やスキルを磨くことができ、顧客に対してより専門性の高い対応を行うことができます。
組織の営業プロセスを円滑に進めるためには、適切なデータ共有方法を選択する必要があります。組織の要件に応じたテリトリー管理の活用方法について、さらに詳細を知りたい場合は、関連のヘルプページもご参照ください。
結論としては、次のような場合にテリトリー管理を利用することをお勧めします:
「導入したばかりで基本操作や設定に不安がある」、「短期間で集中的に運用開始できる状態にしたい」、「運用を開始しているが再度学び直したい」 といった課題を抱えられているユーザーさまに向けた少人数制のオンライントレーニングです。
日々の営業活動を効率的に管理し、導入効果を高めるための方法を学びましょう。