はじめに
不動産企業では、土地、住宅、商業施設の購入や販売に関する業務が日々行われます。また、見込み客の獲得から商談の受注後のフォローアップ対応まで、複数の部署やチームが連携して顧客対応が行われます。Zoho CRMには、CRM for Everyoneと呼ばれる機能が用意されています。CRM for Everyoneは、Zoho CRMを組織内の複数のチームと連携しながら利用するための機能です。組織の要件に合わせて操作画面や機能をカスタマイズすることができます。このページでは、不動産企業を例にCRM for Everyoneの活用方法について説明します。
不動産企業の例
ある不動産企業では、各チームの共同作業を円滑に行うためにCRM for Everyoneを利用しています。以下では、この企業の営業チームが他のチームとどのように連携しながら顧客に対応するか、CRM for Everyoneの利用例と共に説明します。
各チームには独自のチームスペースが設定されており、それぞれのチームスペースの画面で日々の業務が行われます。各チームの業務内容は、以下のとおりです(以下の画像は、チームスペースの画面の例です)。
- マーケティングチーム:各種販促施策の実施、Webサイトの管理
- 営業第一チーム:見込み客の獲得
- 営業第二チーム:見込み客のフォロー、商談対応、クロージング
- 法務チーム:契約書の管理、各種書類の審査
- アフターサポートチーム:購入後の問い合わせやサービス依頼の対応
- 物件管理チーム:物件への見込み客の案内や物件の引渡し
・各チームは、チームスペース内にチーム専用のタブを作成し、業務プロセスを管理できます。たとえば、マーケティングチームの場合、[パンフレット]タブを作成して販売中の物件のパンフレットを管理したり、[販促施策]タブを作成して広告をはじめとする販促施策の情報や進捗を管理したりすることが可能です。
・チームタブの管理者は、Zoho CRMの他のユーザーを[申請者]として割り当てることができます。申請者として割り当てられたユーザーは、他のチームに対して業務に関する申請を行い、共同作業を行うことができます。
以下では、商談の受注までの各ステージにおいて、それぞれチームがどうのように連携しながら業務を進めるか説明します。
見込み客の獲得と精査
マーケティングチームは、販売する物件に関する広告を実施します。広告は、Webサイト、ソーシャルメディア、広告掲示板を通じて行われます。
営業第一チームは、広告を通じて問い合わせがあった見込み客に対応します。対応するにあたって、物件のパンフレットなどの資料があると対応をスムーズに進めることができます。
以下のスライドのように、申請者の権限が割り当てられている営業第一チームの担当者は、マーケティングチームに対して資料を提供するように申請します。
マーケティングチームの担当者は申請内容を確認し、該当の資料を添付して営業第一チームの担当者に通知を送信します。
見込み客の精査後、確度の高い見込み客については、担当者が該当の見込み客データを連絡先データ(商談中の顧客)として変換し、営業第二チームに対応を引き継ぎます。
内見の予約
営業第二チームは、内見の予約を管理します。内見の予約が入った場合、担当者は、物件管理チームに対して内見の対応を申請します。
物件管理チームの担当者は申請内容を確認し、内見の予約日時について調整し、該当の日時に物件を案内します。
内見が完了すると、物件管理チームの担当者は営業第二チームに連絡します。営業第二チームの担当者は見学者に連絡し、物件の契約の意向を確認します。
契約の意向がある場合、営業第二チームの担当者は見積書を作成します。
見積書の共有と交渉
営業第二チームの担当者は、物件の見積書を作成し、該当の顧客に送信します。顧客が見積書の内容に同意した場合、契約書の作成に進みます。
同意が得られなかった場合、見積書の内容についてやりとりを行い、見積書の調整を行います。
同意が得られた顧客(連絡先)のデータについては、ステータスを変更し、次の対応に進みます。
契約書の下書きと書類の管理
営業第二チームの担当者は、物件の契約書の下書きを作成します。営業第二チームの担当者は、契約書の作成について法務チームに申請を送信します。
法務チームは申請内容を確認し、契約書を添付して営業第二チームの担当者に通知を送信します。
営業第二チームの担当者は、契約書を顧客に送信します。顧客が契約書を確認し、内容に同意した場合、物件の予約に進みます。
契約書の署名と承認が完了した後、営業第二チームの担当者は顧客に対して各種書類(身分証明書、銀行口座に関する書類など)の提出を依頼します。物件の購入がローンで行われる場合は、ローンの契約書についても依頼します。
審査と証明
顧客によって提出された各種書類は、法務チームによる審査を受ける必要があります。
営業第二チームの担当者は、顧客によって提出された各種書類の審査を実施するように法務チームに申請を送信します。
法務チームは申請内容を確認し、審査結果について営業第二チームの担当者に通知を送信します。
営業第二チームの担当者は、物件の状態や備品に関する証明書(例:登記事項証明書)を作成するように法務チームに申請を送信します。
法務チームは申請内容を確認し、物件の調査を行い、証明書を添付して営業第二チームの担当者に通知を送信します。
すべての書類が承認された後、物件の引き渡しに進みます。
登録と引き渡し
営業第二チームは、顧客に対して物件の所有権を移転し、物件の登録手続きを完了するように法務チームに申請を送信します。
法務チームは申請内容を確認し、所有権の移転を証明する書類を添付して、営業第二チームの担当者に通知を送信します。
書類が顧客に送信されると、物件の受け渡しの準備が完了します。
物件管理チームの担当者は、物件の鍵と他の備品を顧客に受け渡します。受け渡しの完了後、営業第二チームに通知を送信します。
その後、商談は[受注]として設定され、商談が完了します。
おわりに
上記のとおり、CRM for Everyoneを組織で活用することで、複数のチームと連携しながら顧客に対応することができます。業務の効率化を図り、商談の受注までの対応をスムーズに行うことが可能です。