Ziaによる項目値の予測機能は、売上や各種指標に関する今後の見通しを予測するのに役立ちます。標準タブやカスタムタブに対して項目値の予測を設定し、今後の見通しを立てたり、起こり得る状況を予測したりできます。
予測対象
Ziaによる項目値の予測機能では、標準タブやカスタムタブの特定の種類の項目を指定して予測を設定すると、項目の既存の値をもとに今後の値が予測されます。たとえば、年間成長率、商談の受注確度、商品の購入見込みなどを予測できます。
Ziaによる予測機能に関する権限
Ziaによる予測機能に関する権限には、[設定の管理]、[結果の表示]、[分析情報の表示]の3種類があります。Zoho CRMの管理者が、他のユーザー権限に対してこれらの権限を許可できます。
- 設定の管理:この権限を持つユーザーは、予測の作成、編集、表示、有効化、無効化、削除が可能です。
- 結果の表示:この権限を持つユーザーは、予測結果の表示のみ可能です。
メモ:
初期設定では、管理者がユーザー権限に対して[予測]の権限を許可すると、[結果の表示]の権限のみが自動で許可されます。[設定の管理]の権限は手動で許可する必要があります。
権限を許可するには
- [設定]→[ユーザーと権限]→[セキュリティ管理]の順に移動します。
- [権限]タブで、一覧から対象の権限名をクリックします。
- [設定の権限]の一覧にある[Zia]をクリックし、[予測]権限の切り替えスイッチをクリックして許可します。
- ドロップダウンをクリックし、要件に応じて[設定の管理]、[結果の表示]、[分析情報の表示]の各権限にチェックを入れて許可します。
利用例
商品の購入見込みの予測:ある会社では、保険の代理店事業を行っており、複数の種類の保険を販売しています。顧客の要件はそれぞれ異なるため、営業担当者には顧客を訪問し、対面の打ち合わせでニーズを把握することが推奨されています。この保険会社では、売上の向上に向けて以下のような指標の動向を予測したいと考えています。
- 特定の顧客が購入する可能性が高い保険の種類
- 特定の顧客が特定の保険を購入する見込み
- 顧客や保険の種類ごとの平均売上
- 年間成長率における変化
これらの指標の今後の見通しを予測することで、顧客への提案内容や、マーケティングや営業の戦略を改善できます。結果として、売上の向上につなげることが可能になります。
見込み客の商談化や商談の受注に関する見込みの予測:ある営業チームでは、新商品の今四半期の販売数の見込みを見積もりしています。商品のマーケティング予算を決定する前に、見込み客による購入の見込みを把握する必要があります。そのために、以下の指標を予測したいと考えています。
- 見込み客の商談化数
- 商談の受注数または失注数
- 商談の完了予定日
Ziaによる項目値の予測の詳細設定
予測対象の項目の種類
Ziaによる項目値の予測を設定する(予測モデルの作成)には、予測対象を指定する必要があります。これは、Ziaによる予測が可能かどうかを識別するために重要です。Ziaによる項目値の予測の設定で、予測対象として指定可能な項目の種類は、次のとおりです。
- 日時
- 日付
- パーセント
- 小数
- 数値
- 通貨
- 真偽値(チェックボックス)
- 選択リスト
上記以外の項目の種類を指定した場合、Ziaによる予測を実行できません。この場合、適切な種類のカスタム項目を追加して、予測対象に指定する必要があります。
予測対象のタブ
Ziaによる項目値の予測は、標準タブとカスタムタブの両方の項目に対して設定できます。
予測に必要なデータ数
予測設定が有効に機能するには、Ziaの学習用データとして、条件に一致するデータが200件以上必要です。
留意事項
- 各予測の設定には、識別しやすく重複しない名前を付ける必要があります。設定した予測名は、対象のタブで予測結果を表示するカスタム項目の名前として表示されます。なお、予測の設定を一旦保存すると、予測名は編集できません。
- 選択リスト項目の値を予測する場合、予測モデルが精度高く機能するためには、各選択肢の値を持つデータが75件以上必要です。選択リストのいずれかの値を持つデータが他の値を持つデータよりも多い場合、1つの選択肢の値にデータが偏るため、偏った結果が表示される可能性があります。なお、選択リスト項目の値(選択肢)のうち、最大10件の値について予測を設定できます。
- 既存のデータの数値項目の値がすべて同じ場合、Ziaによる項目値の予測は実行できません。たとえば、ほとんどのデータにおいて項目値が同じ場合、比較や傾向分析のためのデータが足りないため、Ziaによる項目値の予測は実行できません。
- 時間に基づく予測を設定した場合、[作成日時]などの項目が基準点とみなされ、未来の項目値が算出されます。
- 連携を通じて追加された項目については、Ziaによる項目値の予測は設定できません。ただし、該当の項目の値は予測のための要因としては考慮されます。
- 予測の設定時点から、Ziaによる予測結果が算出されるまでに、24時間必要です。予測の処理は、組織のタイムゾーンに従って実行されます。
- 予測モデルは、隔週で更新(再学習)されます。
利用例と予測対象の項目の種類
予測対象の情報に応じた種類の項目を用意し、必要に応じて項目を修正する必要があります。
- 売上金額、購入数などの数値や通貨に関する予測を設定する場合、数値/通貨項目に値を持つデータが必要です。
- 商談の受注確度、見込み客の商談化見込みなどの特定の値(選択肢)に関する予測を設定する場合、選択リスト項目に値を持つデータが必要です。
- 商談の完了予定日などの日時に関する予測を設定する場合、日時項目に値を持つデータが必要です。
- メール配信の同意を確認するための項目など、2つの値(はい/いいえ、チェックあり/なし)からなる真偽値の可能性を予測する場合、選択リスト/真偽値項目に値を持つデータが必要です。なお、予測結果は、0~100の範囲の割合(%)で表示されます。
予測結果を確認できる場所
予測を設定すると、対象のデータにカスタム項目が自動で作成され、その項目に予測結果が表示されます。項目名は予測名と同じものになります。そのため、予測名は予測値に関連したもので、識別しやすく重複しない名前を付けることをお勧めします。
上記の画像では、以下の予測結果が表示されています。
- 該当の連絡先が購入する可能性が高い保険の種類は「医療保険」である
- その予測の確度は「80%」であり、上昇傾向にある
- 過去の入院歴と その他の医療保険の項目に値を入力すると、予測の確度を高めることができる
[詳細表示]をクリックすると、該当の予測値に対してプラス/マイナス要因となる値を持つ項目の一覧を確認できます。
メモ:
予測結果の詳細表示画面では、カスタム項目名の後に「予測」という表示名が自動で付けられます。そのため、カスタム項目名が「予測」で終わる名前である場合、「予測予測」と表示されて識別しづらくなります。したがって、予測名(カスタム項目名)には「~予測」という名前を付けないことをお勧めします。
予測モデルの作成
予測モデルの作成時には、予測対象のタブと項目を指定します。
Ziaによる予測の設定項目
Ziaによる項目値の予測設定では、次の内容を指定します。
- 予測名:予測の設定に対して、識別しやすく重複しない名前を指定します。指定した予測名は、対象のタブで予測結果を表示するカスタム項目の名前として表示されます。
- 予測対象のタブ:予測する項目を含むタブを選択します。標準タブまたはカスタムタブから、いずれかのタブを選択できます。
- 予測対象の項目:Ziaによる値の予測を実行する項目を選択します(例:[医療保険]という種類の保険の購入見込みを予測するため、該当の種類を選択するための[保険の種類]という選択リスト項目を選択します)。
- 予測対象に含める値:予測対象の項目として選択リスト項目を選択した場合のみ、この項目が表示されます。予測対象の選択リスト項目の選択肢の値のうち、選択した値についてのみ、Ziaによる項目値の予測が実行され、結果が表示されます(例:[医療保険]の購入見込みを予測するため、[保険の種類]という選択リスト項目の値のうち[医療保険]を選択して設定します)。
なお、選択リスト項目の選択肢のうち、複数の値を選択することもできます(例:[医療保険]と[生命保険])。この場合、選択した複数の値について、Ziaによる項目値の予測が実行され、結果が表示されます。
予測対象として選択リスト項目を選択した場合にのみ、予測対象から除外する値の設定が表示されます。予測対象に含める値として、複数の値を選択した場合、予測対象から除外する値の設定は不要です。
-
Ziaの学習用データ:予測対象として選択リスト項目を選択した場合、学習用データを個別に指定する必要はありません。これは、Ziaによる項目値の予測では、初期設定で、すべての既存データが考慮されるためです(なお、予測の実行には、予測対象に関連のある200件以上のデータが必要になります)。ただし、適切な値をもつデータの条件や範囲があらかじめ明確に分かっている場合、学習用データを個別に指定することも可能です。
例:保険に関する予測を行う際に、[年齢]、[年収]、[配偶者の有無]、[家族の病歴]といった項目でZiaによる項目値の予測に役立つ値がある場合、該当の項目に基づいた学習用データを個別に指定できます。
メモ:
予測対象として数値/日時/真偽値項目を選択した場合は、学習用データの指定は必須です。
予測モデルの作成
標準タブとカスタムタブの両方に対して、予測モデルを作成(Ziaによる項目値の予測を設定)できます。
予測モデルを作成するには
- [設定]→[Zia]→[予測]の順に移動します。
- [予測]タブで、[新しい予測]をクリックします(初めて作成する場合は、[利用を開始する]をクリックします)。
- [予測名]を入力します(例:医療保険)。[タブを選択]で対象タブを選択します(例:[保険]タブ)。
- [予測対象]で対象の項目を選択します(例:保険の種類)。
- [Ziaの予測対象に含める値]で対象の値を選択します(例:医療保険)。
- 選択リストの種類の項目を選択し、値(選択肢)を1件のみ選択した場合のみ、[予測対象から除外する値]も選択する必要があります(例:自動車保険)。
- [Ziaの学習用データの条件]で、予測の対象とするデータの条件を設定します(例:[地方区分] [次の値と等しい] [関東])。
- すべてのデータを予測の対象とする場合は、[Ziaの学習用データの条件]は未設定のままにします。
- [保存する]をクリックします。
- カスタム項目の作成に関する確認メッセージが表示されます。内容を確認し、[はい、作成します]をクリックします。
予測の詳細ページ
予測の詳細ページには、予測モデルの設定内容が表示されます。こちらで、予測モデルの成果やZiaの学習スコアを確認したり、その他の設定詳細を把握したりすることが可能です。
予測の詳細ページには、次の内容が表示されます。
- 概要
- カスタム項目
- モデルの精度
- 予測の精度
- 要因
- 追加情報
- データ不足
概要
概要には、予測の設定に関する次の詳細が表示されます。
- 予測対象のタブ
- 予測対象の項目
- 予測対象のデータの条件(特定のデータに対して予測が設定されている場合、データの抽出条件が表示されます)
例:以下の画像では、7月から10月の間に作成された見込み客データのみをもとに、[見込み客ステータス]項目の値の予測が設定されています。
カスタム項目
予測の設定時に自動的に作成されたカスタム項目が表示されます。この項目は、各データの予測ステータスとスコアを表示するために作成されます。項目名と、項目が作成されたレイアウトを確認できます。
モデルの精度
[学習パターンのスコア]のセクション名は、[モデルの精度]に変更になりました。
Ziaの学習についての精度は、スコア形式で測定されます。 予測対象のデータが持つ項目の値に基づいて、スコアが算出されます。スコアが高いほど、予測がより精度が高いことを表します。
Ziaの学習は、継続的に実行され、隔週で予測モデルが更新されます。Ziaの学習を通じ、現在のデータに基づいてスコアが調整されます。つまり、データが更新されると、それらのデータも予測の精度を向上するためにZiaの学習対象となります。
Ziaの次の更新日と現在のスコアは、常に一緒に表示されます。
スコアは0~100の範囲で表示され、スコアの意味は以下のとおりです。
- 50未満:予測の精度が低い
- 51~80:予測の精度が中程度
- 81~100:予測の精度が高い
また、Ziaの学習パターンの分析にあたって、以下の操作を行うこともできます。
- バージョン履歴の表示
- モデルの精度の比較
モデルのバージョンの表示/比較
モデルの精度の画面では、予測モデルのバージョンを確認できます。最大5件のバージョンを確認することが可能です。データがどのように予測されているのかを把握したり、各予測モデルの精度を確認したりすることが可能です。また、予測日時、各予測モデルのバージョンの精度、予測の要因に含まれる項目、予測の要因から除外される項目などの内容も確認できます。
メモ:
- 予測の要因に含まれる項目と予測の要因から除外される項目は、バージョンごとにZiaによって設定されます。ユーザーが変更することはできません。ただし、予測の設定時に、予測対象に含める値や予測対象から除外する値を指定し、予測に反映させることは可能です。
- 予測モデルのバージョンの横に表示される日付は、Ziaの再学習の予定日時を表します。
Ziaの学習の度合いを把握するにあたって、予測モデルのバージョンを比較することもできます。最大3件のバージョンを比較することが可能です。
予測の精度
こちらには、算出された予測データに対するZia自身の評価スコアが表示されます。また、予測したデータの件数や、予測が正常に完了したデータの件数も表示されます。予測データの算出時に考慮された分析内容など、予測に関する各種情報については、Zia予測分析の画面でより詳細に確認できます。関連情報については、Ziaによる予測の分析に関するページをご参照ください。
要因
予測に影響を与える項目が、要因として表示されます。予測に影響を与え、要因として考慮される項目は、システムによって識別されます。要因として表示されている項目の値は更新できません。Ziaの予測は、要因として表示されている項目の値に基づいて実行されます(例:見込み客ステータスの予測には、見込み客のデータ元、従業員数、業種、年間売上などの項目が使用されます)。
このように、Ziaの予測に影響を与える項目を要因として確認できます。これらの項目と値を確認し、必要に応じて変更を加えることで、予測結果がどのように変わるかを確認することもできます。
追加情報
このセクションでは、Ziaによって見込みが最も高いと予測された項目値が視覚的に表示されます(例:申し込みが最も多い保険の種類が[医療保険]である場合、[医療保険]を選択した新規申し込みの購入見込みが、他の種類の保険に比べて高くなります。
データ不足
このセクションは、 データが不足しているためにZiaによる予測が実行できない場合にのみ、表示されます(Ziaの予測には、200件以上のデータが必要です)。Ziaの学習用データの件数が表示されます。以下の画像では、[商談]タブの[総額](売上額)項目の値を予測するよう、Ziaによる予測が設定されています。[データ不足]セクションには、現在のデータが0件であるため予測が実行できないことが表示されています。
データ不足によってZiaによる予測の結果を得られなかった場合も、Ziaからの通知が表示されます。