業務効率化においては、生産性の向上が欠かせません。事業を成長させたい場合、まず従業員の業務スピードを向上させたいという企業も多いのではないでしょうか。確かに、従業員の作業スピードを高めることも大切です。しかし、今日のような時代において実質的な変化をもたらすには、生産性向上のために必要なテクノロジーの導入が欠かせません。Zoho CRMの[AIへの依頼]は、まさに最新のテクノロジーによる機能です。利用するだけで、どのような組織でも簡単に生産性を向上し、業務を効率化できます。
営業担当者の1日を例に考えてみましょう。通常、営業担当者は1日を通じて、データの分析、見込み客の獲得や精査、ヒアリング、交渉など、さまざまな業務を行います。このように、1つの案件を受注につなげるだけでも、さまざまなスキルが必要です。さらに、十分なスキルを身に着けたベテランであっても、膨大な情報をすばやく正確に処理しなければなりません。これは人間にとってはなかなか大変です。そこで人工知能が役立ちます。今日のビジネスにおいてAI(人工知能)は、魔法のランプから出てきたベテランのアシスタントのようなものです。大量のデータに基づき、情報をすばやく処理した上でさまざまなデータを提供してくれます。
AIは、営業担当者の強い味方として、生産性向上だけでなく、残業時間の削減や営業活動の質の向上にも効果を発揮します。
AIへの依頼機能は
Zia
(ZohoのAIアシスタント)とChatGPTの機能を掛け合わせた機能です。Zoho CRMのZia機能では、組織固有のデータを分析して、そこからパターンや傾向を抽出し、予測や提案を行ってくれます。そればかりでなく、チャット(質問に対する回答)、現状の分析とレポート、顧客の印象、感情、意図の識別、メールの件名の候補の表示といった多様な機能を利用可能です。このようにZiaの機能だけでも生産性向上に役立つ機能が満載です。この記事でご紹介する
AIへの依頼
機能では、OpenAIが提供しているChatGPT
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の機能とZiaの機能が1つに組み合わさることにより、さらに便利な機能を利用できます。具体的には、ChatGPTへの依頼や指示の内容をZiaが提案してくれます。利用者はZiaからの提案をもとに、ChatGPTに依頼や指示、質問を行い、ChatGPTの回答を確認できます。
Ziaについての詳細は、
こちら
をご参照ください。
この連携機能には、ChatGPTの
GPT-3
の言語モデルが使用されています。
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ChatGPTは、OpenAIが開発したチャットボット(対話型人工知能)です。利用者が入力したさまざまな指示や質問に、人間のように自然な回答を返すことができます。利用者の質問から文脈や意図を読み取るだけでなく、文体の分析や内容の翻訳などを行った上で、求められている内容を適切な仕方で回答します。ChatGPTの詳細は、
こちら
をご確認ください。
はじめに
AIへの依頼機能を活用すると、ChatGPTに対して依頼や指示を出す際に、Ziaからの提案をもとにすぐに依頼や指示を出すことができます。
利用条件
AIへの依頼機能は、
エンタープライズ
プランまたは
アルティメット
プランを利用中で、
米国(US)、ヨーロッパ地域(EU)、インド(IN)、オーストラリア(AU)のデータセンター
に登録されている組織アカウントで利用できます。ただし、現在、日本語で利用することはできません。また、日本(JP)のデータセンターに登録されているアカウントでも利用できません。
必要な権限
組織全体に対してAIへの依頼機能を有効/無効にするには、管理者権限が必要です。
仕組み
ZiaとChatGPTは、データの分析や学習の方法は異なりますが、データの取得から処理まではお互いに連携して動作します。どのように連携しているかについて詳しく見てみましょう。
データの取得:
Ziaは、Zoho CRMに登録されているそれぞれの組織専用のデータをもとに学習しています。一方、ChatGPTは、2021年までに世界中から収集されたさまざまなテキストデータをもとに学習しています。ChatGPTの特徴は、幅広い質問に対して、人間のような回答を瞬時に導き出し、表示できる点にあります。
学習とパターン認識:
Zoho CRMのデータの学習とくれば、Ziaの出番です。ChatGPT連携では、与えられた課題に対して、ZiaがZoho CRMのさまざまなデータを分析し、質問や指示の内容を提案します。Ziaの提案内容をもとに利用者が指示を行うと、ChatGPTはその場で最適な回答を作成して表示します。
AIへの依頼機能の活用例
AIへの依頼機能はZoho CRMのさまざまな場所から利用できます。実際にAIへの依頼を通じてどのような機能を利用できるかは、利用場所によって異なります。
以下では活用例の一部をご紹介します。
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顧客情報の収集:
見込み客や顧客に関するプラスαの情報を確認しておくと、営業活動を有利に進めることができます。データの詳細ページでは、AIへの依頼機能のアイコンから、関連情報をワンクリックで確認したり、自由に質問を入力したりすることが可能です。このように、顧客とのやりとりを行う前に、企業情報、事業内容などを詳細に把握し、顧客のニーズを分析しておくことで、対応をより適切に行うことができます。
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顧客への返信メールの作成:
今日、顧客との連絡手段としては、メールが主流です。たとえば、メールを使って、価格等の条件交渉を行ったり、必要書類を送付したりすることがあります。このようなやりとりにおいては、適切な言葉づかいや内容の明瞭簡潔さが重要です。そこでAIへの依頼機能が役立ちます。メール作成時の文章の推敲、商品や機能の調査、単語の洗練などの作業をAIに行ってもらうことができます。
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メモの要約:メモ欄に重要な情報や役に立ちそうな情報などを書き留めておくと、生産性向上にもつながります。顧客との連絡や交渉の際にも参照できます。そのため、メモは後で読んでも分かりやすいように記述することが大切です。AIへの依頼機能を利用すると、走り書きのようなメモからも要点を抽出し、必要な部分だけを分かりやすく残すことができます。また、内容を別の表現に書き換えたり、要約したりすることも可能です。
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配信メールの作成:見込み客を引き留め、関係を醸成していくには、配信メールを効果的に活用する必要があります。AIへの依頼機能を利用すると、指定した文体と長さで、メールテンプレートの草案を作成してもらうことができます。文体は、ビジネス、親しみ、ユーモア、説明、物語、皮肉などから選択できます。また、長さも短め、普通、長めの3種類から選択可能です。
AIへの依頼機能の利用
AIへの依頼機能を利用するには、
(AIへの依頼)アイコンをクリックします。
アイコンは、Zoho CRMの以下の場所に表示されます。
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データの詳細ページ
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項目の値の入力欄
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テキスト入力欄
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メールの作成画面(作成前)
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メールの作成画面(作成後)
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メールの返信画面
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テンプレートの編集画面
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メモの入力欄
メモ:
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AIへの依頼機能はZoho CRMの標準タブでのみ利用できます。
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回答は、ChatGPTの学習データをもとに生成されます。回答の精度、整合性、関連度は、ChatGPTへの指示の出し方や学習データの質に左右されます。
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ChatGPTは、個人情報に関する質問には回答しません。
データのセキュリティとプライバシーの保護
Zohoでは、顧客データの管理に伴う責任の重大さを真摯に受け止め、データのセキュリティとプライバシーの保護を何よりも重視しています。法令に準拠し、データのセキュリティとプライバシーを保護するため、保護対象のデータではこの機能を利用することができません。詳細は以下のとおりです。
GDPR(一般データ保護規則)とHIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)への準拠
Zoho CRMは、GDPR(一般データ保護規則)とHIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠しています。すなわち、Zohoが、同意なく個人データを記録、処理することはありません。ただし、管理者権限を持つユーザーは、このような厳格な基準を緩めるように設定を変更することも可能です。また、データの処理の停止、データの削除の要求、APIを通じたアクセスの制限を行うことも可能です。なお、法令準拠のため、
個人情報
として設定されている項目や、保護対象の電子的医療情報が含まれている項目では、AIへの依頼(ZiaとChatGPTの両方)の機能を利用することはできません。
GDPRに関する設定の詳細は、
こちら
をご参照ください。また、Zoho CRMでのHIPAAへの準拠についての詳細は、
こちら
をご参照ください。
メール情報の取り扱い
メールの草案作成や本文の校正(翻訳、語彙の洗練、要点の明確化)において、AIが他のメールの内容を読み取ることはありません。具体的な仕様は以下のとおりです。
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AIへの依頼機能ではAIに対する依頼/指示を送信しない限り、AIがアカウントのデータを読み込むことはありません。
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Ziaは、メールの作成画面の入力内容のみを処理し、他のメールの情報にはアクセスしません。また、作成メールの内容に機密情報などが含まれている場合は、AIへの依頼機能を利用しないようにすることをお勧めします。
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AIによってメールの宛先の情報が処理されることはありません。
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AIへの依頼機能による処理や回答のために、添付ファイルの中身が読み取られることはありません。
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AIへの依頼機能から提案されたメール内容は、コピーしてメールの入力画面に貼り付けられると、その他の場所には一切保存されません。
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現段階(ベータ版)では、AIがメールの草案作成時に顧客や商談などのデータを自動で取得し、本文に入力する機能はありません(2023年5月)。これはセキュリティ上の理由によるものです。
個人情報の取り扱い
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データの他の項目の情報やメモの内容が分析/処理/要約されることはありません。処理の対象は、データの各項目のみに限定されます。
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AIへの依頼機能は、個人情報、機密情報、保護対象の医療情報を含む項目には利用できません。
- 処理の対象は、組織や業種などの一般的な種類の項目の情報のみに限定されます (個人情報や保護対象の情報は、処理されません)。処理対象の項目についての詳細は、以下の表をご参照ください。
対象データ:
OpenAIによって処理される可能性のある項目は、以下のとおりです。
タブ | 処理対象の項目 |
見込み客 | 会社、業界、Webサイト |
連絡先 | 取引先名、仕入先名 |
取引先 | 取引先名、Webサイト、業界 |
商談 | 取引先名 |
タスク | 件名 |
通話 | 件名、通話の用件 |
見積書 | 件名、取引条件、取引先名 |
商品 | 仕入先名 |
受注書 | 件名、取引先名、取引条件 |
仕入先 | 仕入先名、Webサイト |
問い合わせ | 件名、取引先名、内部コメント、ソリューション |
ソリューション | 質問、回答 |
予約 | 追加情報
|
Zohoにおけるプライバシー情報の取り扱いについての詳細は、
こちら
をご参照ください。