Zia画像検証は、ZohoのAIアシスタント「Zia」(ジア)による画像の検証機能です。この機能では、Ziaを学習データによってあらかじめトレーニングしておくことで、ZiaによってZoho CRM内の画像データが自動で検証されるようになります。Zoho CRMに適切な画像データのみを登録し、不適切な画像データを登録しないようにするのに役立ちます。
現時点では、[検出のみ]と[照合と検出]の検証の種類は、米国(US)のデータセンターに登録されているアカウントにおいてのみ利用可能です。
学習データ
Zia画像検証を利用するには、学習データを用いてZiaをトレーニングする必要があります。学習データのギャラリーには、以下の各カテゴリーの画像があらかじめ用意されています。
- 照合用:自転車、バイク、食べ物、車
- 検出用:ノートPC、人、椅子、ソファーなど
また、独自の画像データをアップロードして、Ziaをトレーニングすることもできます。トレーニングするには、1つの検出対象(ラベルまたは対象物)に対して、5件以上の画像データをアップロードする必要があります。
また、学習データは、必要に応じて、更新、削除できます。具体的には、以下のような操作が可能です。
- 承認者によって提案された画像を学習データに追加する(ただし、画像検証ルールの設定内容に応じます)
- 学習データから特定の画像を削除する
1件の画像検証ルールに対して、追加できる画像データの上限は、300件です(アップロード済みの画像、提案された画像、承認済みの画像を含みます)。
画像の追加や削除により、学習データの40%以上が変更されると、自動的にZiaの再トレーニングが行われます。再トレーニングが完了すると、最新の学習データに基づいて検証が実行されるようになります。
指標
成功率
画像検証の精度は、成功率を通して確認できます。成功率は、画像検証の総件数に対する、画像検証の成功件数の割合を示します。成功率は、一定期間ごとに自動で測定されます。また、モデルが再トレーニングされると、成功率はリセットされます。
画像検証においては、以下の2種類の誤判定が生じる可能性があります。それぞれの誤判定に対する対処方法は以下のとおりです。
- 不適切な画像が適切な画像として識別され、登録された場合:誤って登録された不適切な画像を削除できます。
- 適切な画像が不適切な画像として識別され、登録されなかった場合:誤って登録されなかった適切な画像を承認者が承認し、登録できます。
また、上記のどちらの場合であっても、Ziaに誤判定を通知できます。誤判定を通知すると、成功率が減少します。
誤判定の場合であっても、誤判定に対する対処が行われない場合(不適切な画像が削除されない場合や、適切な画像を承認者が却下した場合)は、画像検証が成功したものとみなされます。また、誤判定の場合であっても、Ziaに誤判定が通知されない場合は、画像検証が成功したものとみなされます。画像検証が成功したものとみなされると、成功率は減少しません。
モデルのスコア(学習データの精度)
モデルのスコアでは、学習データの精度の高さをスコアで確認できます。学習データの画像がガイドラインに準拠していればしているほど、モデルのスコア(学習データの精度)は高くなります。ラベルや対象物を複数指定している場合、ラベルや対象物ごとにモデルのスコアを確認できます。なお、画像検証ルールは、モデルのスコアが80%以上である場合にのみ利用可能です。
Zia画像検証の利用
画面右上にある
(設定)アイコンをクリックし、
[Zia]→[画像検証]の順に移動します。
画像検証の設定ページでは、以下の操作を行うことができます。
- [新しいルール]:クリックすると、新しい画像検証ルールを作成できます。
- 画像検証ルールの一覧:すべての画像検証ルールが一覧表示されます。一覧で確認できる内容は以下のとおりです。
- タブ:適用対象のタブ(フィルターアイコンをクリックすると、特定のタブに関連付けられているルールのみを抽出して表示できます)
- レイアウト:適用対象のレイアウト
- 項目:適用対象の画像項目
- 検証の種類:検証の種類([照合のみ]/[検出のみ]/[照合と検出])
- モデルのスコア:学習データの精度スコア(スコアが80%以上であるルールのみが適用されます)
- ステータス:ルールのステータス(有効/無効。特定のステータスのルールのみを抽出して表示することも可能です)
ルールの有効化/無効化:ルールを有効/無効にできます。ルールが有効である場合にのみ、画像検証が実行されます。
画像検証ルールを作成するには
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[Zia]→[画像検証]→[利用を開始する]の順にクリックします(初回の場合)。
すでにルールを作成したことがある場合は、[新しいルール]をクリックします。
画像検証ルールの作成画面で、ルール名を入力します。
- [検証対象]の設定欄で、以下の設定を行います。
- 検証対象のタブを選択します。
- 検証対象のレイアウトを選択します。例:標準レイアウト
- 検証対象の画像項目を選択します。
検証できるのは、データの画像(詳細ページの左上に表示される画像)、または、画像アップロード用のカスタム項目の画像です。
[条件]の欄で、[すべてのデータ]または[選択したデータ]のいずれかを指定します。[選択したデータ]を指定した場合、条件を満たすデータの画像のみが検証されます。
[検証の種類]の設定欄で、検証の種類を選択します。[照合のみ]、[検出のみ]、[照合と検出]のいずれかを選択できます。
- [学習データのアップロード]の設定欄で、検証の種類として指定した内容に応じて、以下の設定を行います。
- ラベルまたは対象物の名前を入力します。
- ラベルの場合、学習データの画像が適切な画像であるか、不適切な画像であるかを指定します。対象物の場合、対象物が検出される画像であるか、検出されない画像であるかを、対象物ごとに指定します。
- 学習データを、ギャラリーから選択するか、デバイスからアップロードします。デバイスからアップロードする場合:
- アップロードする画像を5件以上用意します。
- すべての画像をフォルダーにまとめて、zip形式で圧縮します。
- 圧縮ファイル(zip形式)をアップロードします。
- デバイスから画像をアップロードした場合、以下の操作が可能です。
- ラベルやオブジェクトをさらに追加します。
学習データ用のzipファイルをさらにアップロードします。
学習データのアップロードの詳細については、こちらの記事内の「学習データの管理」のセクションにある「学習データを追加するには」の内容をご参照ください。
[学習のフィードバック用に画像を追加する方法]の設定欄では、Ziaによって不適切と識別された画像を承認者が承認したときの処理として、以下のいずれかを指定できます。
- [いいえ、学習のフィードバックは必要ありません。]:Ziaによって誤検出された画像は学習データに追加されません。
- [ルールを管理するユーザーに対して手動で提案された内容です。ユーザーは、提案された内容を確認して承認することができます。]:承認者は、Ziaによって誤検出された画像を学習データの候補として手動で登録できます。その後、ルールの管理者が、候補の画像を承認すると、該当の画像が学習データに追加されます。
- [ルールを管理するユーザーに対して自動で提案された内容です。ユーザーは、提案された内容を確認して承認することができます。]:Ziaによって誤検出された画像は、学習データの候補として自動で登録されます。ルールの管理者が候補の画像を承認すると、該当の画像が学習データに追加されます。
- [保存する]をクリックします。
メモ
- 画像検証ルールの適用対象のタブには、標準タブだけでなくカスタムタブも指定可能です。
- 検証できるのは、データの画像(詳細ページの左上に表示される画像)、または、画像アップロード用のカスタム項目の画像です。ただし、画像アップロード用のカスタム項目の場合、項目の設定において、[画像数の上限]が1件に設定されている必要があります。
データの作成時にZiaによって画像検証できなかった場合、データは作成されますが、画像は承認待ちのステータスになります。
承認者は、[承認待ち]タブから対象の画像を確認し、承認/却下できます。
また、Zia画像検証によって検証済みの画像も、必要に応じてデータから削除することも可能です。対象の画像がZiaによって誤って登録された画像である場合は、削除時に表示される確認画面でその旨のチェックボックスを選択します。このチェックボックスを選択した上で削除を確定すると、Ziaに誤検出が通知され、モデルの成功率は低下します。
- 1つの画像項目に対して設定できる画像検証ルールは、1件のみです。
画像検証ルールをテストするには
ルールを作成すると、モデルをテストできるようになります。Ziaが学習データに基づいて正しく画像を正しく検証できるかどうかを確認し、必要に応じて、学習データを修正することが可能です。モデルをテストするには、以下の操作を実行します。
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[Zia]の欄にある[画像検証]をクリックします。
- モデルをテストする画像検証ルールを選択します。
[モデルをテストする]をクリックします。
表示された画面で、[参照する]をクリックするか、ファイルをドラッグ&ドロップして、テスト用の画像をアップロードします。
画像のアップロード時には、ファイル形式とファイルサイズに関する制限事項にご注意ください(制限事項の詳細は、アップロード画面に記載されています)。
画像検証のテストが完了すると、結果が表示されます。
- [別の画像をテストする]をクリックすると、別の画像をアップロードして、テストできます。
不適切な画像をレビューするには
Ziaによって不適切と識別された画像は、[処理待ち]タブから確認できます。不適切な画像をレビューするには、以下の操作を実行します。
画面上部のメニューで[処理待ち]をクリックし、[画像検証]タブをクリックします。
- 対象のデータの行で、[待機中の画像数]の列にある数値をクリックします。
- 画像検証できませんでしたと表示された画面で、以下のいずれかの操作を行います。
- 画像が適切である場合、画像を承認します。
- 画像が不適切である場合、画像を削除します。
[Ziaの精度の向上]の欄では、Ziaに誤判定を通知したり、対象の画像を学習データの候補として提案したりすることが可能です。なお、学習データの候補として提案するための設定欄は、学習データの候補を承認者が手動で登録できるように設定している場合にのみ表示されます。
- [保存して終了する]をクリックします。
画像検証ルールを更新するには
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[Zia]の欄にある[画像検証]をクリックします。
- 編集するルールの欄にカーソルを重ねます。
[…](その他の設定)アイコンにカーソルを重ね、[編集する]をクリックします。
- 必要に応じて、ルールを編集します。
- [保存する]をクリックします。
メモ
- 検証対象のタブ/レイアウト/項目と、検証の種類は変更できません。
- 変更できるのは、ルール名、条件、学習データ、フィードバックによる学習の設定のみです。
ルールの編集は、ルールの詳細ページで編集ボタンをクリックすることによっても可能です。
画像検証ルールを削除するには
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[Zia]の欄にある[画像検証]をクリックします。
- 削除したいルールにカーソルを重ねます。
- […](その他の設定)アイコンにカーソルを重ね、[削除する]を選択します。
- 確認画面で、[はい、削除します]をクリックします。
メモ
ルールの削除は、ルールの詳細ページで削除ボタンをクリックすることによっても可能です。
学習データの管理
学習データは、画像検証ルールの作成画面や編集画面からアップロードできます。学習データを適切に管理することで、モデルの精度を向上することが可能です。
学習データを追加するには
[学習データのアップロード]の設定欄に表示される内容は、画像検証ルールの種類によって異なります。
検証の種類が[照合のみ]の場合
- [学習データのアップロード]の設定欄で、以下のいずれかを選択します。
- [適切]:適切な画像をアップロードして、照合したい場合に選択します。たとえば、物件の全体像がはっきりと写っている画像が適切と識別されるようにしたい場合、[適切]を選択した上で、学習データとして、物件の全体像が写っている画像をアップロードします。
- [不適切]:不適切な画像をアップロードして、照合したい場合に選択します。
たとえば、物件内部を写した画像が不適切と識別されるようにしたい場合、[不適切]を選択した上で、学習データとして、物件の内部が写っている画像をアップロードします。
ラベル名を入力します。たとえば、学習データとして住宅の画像をアップロードする場合は、ラベル名を住宅とします。
- [画像をアップロードする]をクリックします。
- 学習データのアップロード画面で、以下のいずれかの操作を実行します。
[ギャラリー]タブで、いずれかのフォルダーを選択します。
[デスクトップ]タブで、複数の画像をフォルダーにまとめて圧縮したファイル(zip形式)をアップロードします。なお、圧縮ファイルは、複数アップロード可能です。たとえば、住宅の画像を圧縮したファイルと、別荘の画像を圧縮したファイルの合計2件をアップロードできます。
- [添付する]をクリックします。
メモ
- [+ 画像]をクリックすると、対象のラベル用の画像をさらにアップロードできます。
- ラベルは3件まで追加できます。ラベルをさらに追加するには、[別のラベルを追加する]をクリックします。
- [適切]/[不適切]の設定は、画像検証ルールごとにのみ指定可能です(ラベルごとに指定することはできません)。この設定は、該当のルール内のすべてのラベルに対して適用されます。
- [照合のみ]の種類の検証では、画像内に複数のラベル(検出対象)が写っているかどうかを検証することはできません(1件のラベルが画像の80%以上を占めることを前提としているためです)。1件の画像検証ルールに対して複数のラベルが設定されている場合、いずれか1件のラベルが識別されると、適切な画像とみなされます。このように、照合の種類の検証においては、ラベル同士に常にOR条件が適用されます。この条件パターンをカスタマイズすることはできません。
検証の種類が[検出のみ]の場合
[学習データのアップロード]の設定欄で、対象物の名前を入力します。
- [画像をアップロードする]をクリックします。
- 学習データのアップロード画面で、以下のいずれかの操作を実行します。
[ギャラリー]タブで、いずれかのフォルダーを選択します。
[デスクトップ]タブをクリックし、複数の画像をフォルダーにまとめて圧縮したファイル(zip形式)をアップロードします。なお、圧縮ファイルは、複数アップロード可能です。
- [添付する]をクリックします。
対象物が検出される画像であるか、検出されない画像であるかを指定します。
対象物をさらに追加するには、[別の対象物を追加する]をクリックします(このリンクは、1件目の対象物で独自の画像をアップロードした場合にのみ表示されます)。対象物は3件まで追加できます。
対象物を複数追加した場合は、条件パターンを編集できます。編集するには、[パターンを編集する]をクリックし、条件式を編集してから完了アイコンをクリックします。たとえば、対象物として、1. テレビ、2. テーブル、3. 花瓶の3つを設定しているとします。この場合、条件を「(1 or (2 and 3))」に指定すると、「テレビ単体」、「テーブルと花瓶のセット」、「テレビとテーブルと花瓶のすべて」のいずれかのパターンで対象物が写っている画像が適切とみなされます。
メモ
学習データとしてアップロードするすべての画像に、該当の対象物がはっきりと写っている必要があります。たとえば、対象物がソファーの場合、学習データとして、ソファーのみがはっきりと写っている画像をアップロードする必要があります。また、対象物がさまざまなアングルから撮影されていても識別できるようにするには、学習データとして、さまざまなアングルから対象物を撮影した画像をアップロードする必要があります。
たとえば、以下は、ソファーを検出したい場合の適切な学習データです。
一方、以下は、ソファーを検出したい場合の不適切な学習データです。