顧客の声分析機能における通話分析のダッシュボードでは、通話内容から抽出された重要な情報を図で見やすく確認できます。
通話分析の重要性
顧客との通話は、顧客のニーズや課題を把握するのに有効です。通話では、顧客が主に話した話題だけではなく、それ以外の内容も顧客対応の重要なヒントになることがあります。そこで、通話分析の機能が役立ちます。
通話分析の機能を活用することで、たとえば以下のようなことが可能になります。
- 顧客が興味を持っている商品やサービスを把握する:パソコンやスマートフォンなどの機器を販売しており、顧客からパソコンについて問い合わせの電話があったとします。顧客とパソコンについて話をする中で、顧客がスマートフォンにも関心を持っていることが分かりました。直近の商談の対象となるのはパソコンの話ですが、スマートフォンの話も今後商談につながる可能性があります。通話分析の機能を活用すると、このような情報をダッシュボードで確認できます。
- 顧客のニーズや課題、感情や満足度を表すキーワードを確認する:顧客の声を集める方法にはさまざまなものがありますが、電話で直接会話することで、より具体的な情報や率直な意見を集めることができます。たとえば、ある顧客が自社からパソコンを購入したとします。残念ながら、そのパソコンは想定どおりに動作せず、顧客がサポート窓口に電話をし、「不良品なので交換してほしい」と伝えました。対応したサポート担当者は、状況について確認し、交換の手配をしました。その対応について、顧客から「丁寧な対応をありがとうございました」との言葉を受け取りました。
この例では、「不良品」、「交換」、「丁寧な対応」といったキーワードが重要な意味を持ちます。
この2つの例から分かるように、顧客との通話には、今後の商品やサービスの展開の参考となる情報がさまざまな形で含まれています。通話分析の機能を利用することで、そのような情報を抽出し、対応を改善する際の参考にできます。
通話分析のダッシュボードの表示内容
通話分析のダッシュボードでは、ワードクラウドの図を確認できます。なお、ワードクラウドとは、キーワードを雲のような形にまとめて見やすく表示した図のことです。
通話分析のダッシュボードには、以下の2種類のワードクラウドが用意されています。
- 担当者がよく使用したキーワード:通話中に担当者がよく使用したキーワードが抽出されて表示されます。適切な言葉が使用されているか、課題点や改善点は何かなどを確認できます。
- 顧客がよく使用したキーワード:通話中に顧客がよく使用したキーワードが抽出されて表示されます。自社の商品やサービス、会社全体や担当者の対応などについて、顧客の率直な意見を確認できます。
これらのワードクラウドの図では、言及された回数が多いほど、キーワードが大きく表示されます。また、顧客が抱いている感情が、肯定的(ポジティブ)なのか否定的(ネガティブ)なのか、あるいはどちらでもないのかを確認できます。感情の種類に応じてキーワードは色分けされ、肯定的(ポジティブ)なキーワードは緑色、否定的(ネガティブ)なキーワードは赤色、どちらでもない中立的なキーワードは黄色で表示されます。
通話からのキーワードの抽出
ZohoのAIアシスタント「Zia」(ジア)の機能を有効にすることで、
通話データのテキスト変換が可能になります。キーワードの抽出は、この機能を通じて行われます。
以下では、例をもとにキーワードの抽出の流れについて見ていきます。
通話データのテキスト変換の概要
通話データのテキスト変換の機能は、
GoogleのSpeech-to-Text(自動音声認識)のサービスを通じて提供されています。変換されたテキストデータがZiaを通じて分析され、内容に応じて話者が
担当者と
顧客に分類されます。つなぎ言葉やあいづちなど、会話の本筋とは関係ない言葉が除去された後、
上位30件のキーワードが抽出されてワードクラウドとして表示されます。これにより、顧客のニーズや意向を把握できます。
会話例
顧客ニーズの把握
以下は、保険の電話窓口における担当者と顧客との会話例です。
担当者:お問い合わせいただきありがとうございます。ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?
顧客:保険の契約を現在検討していて、広告を見たのですが、医療保険の種類について分からないことがあり、電話しました。
担当者:ありがとうございます。かしこまりました。医療保険の種類についてですね。プランA、プランB、プランCがございます。また、標準の内容に保障内容を個別に追加することも可能です。
顧客:個別の追加も可能なのですね。詳細を記載した資料を送ってもらえませんか?
窓口担当者:かしこまりました。ご登録いただいたメールアドレス宛てに、資料を添付してお送りします。その他に何かご不明な点はございませんか?
顧客:そうですね。家族で一緒に加入した場合に特別なプランや割り引きなどはありますか?
担当者:申し訳ありません。現在はございません。ご家族の方を受取人として指定することは可能でございます。
顧客:そうなんですね。残念ですが分かりました。プランの内容を確認してまたご連絡します。ありがとうございました。
担当者:了解いたしました。 このたびはお問い合わせいただき誠にありがとうございました。また何かございましたらお気軽にご連絡くださいませ。
以上が、通話データをもとに生成されたテキスト(通話の書き起こし)です。このような内容がZiaを通じて分析され、担当者と顧客が自動で識別され、それぞれの話者に応じたワードクラウドが自動で生成されます。ワードクラウドを確認することで、顧客のニーズや自社商品の課題点を理解できます。それらの内容をもとに顧客対応や商品内容を改善できます。
問い合わせの傾向や顧客満足度の把握
ある会社では、スマートフォンのデバイスと回線の販売をセットで行っており、問い合わせを電話で受け付け、内容を録音しているとします。しかし、問い合わせの数が多いため、1つ1つの通話の内容を詳細に確認することはできません。そこで、通話分析の機能が役立ちます。顧客の声ダッシュボードで通話分析の機能を有効にすると、録音された通話の内容が自動的に分析され、キーワードが抽出されます。その内容を通じて、どのような商品やサービスに関する問い合わせが多いか、満足や感謝の声が多いか不満や苦情の声が多いかなどを把握できます。
注:
- 顧客の声分析ダッシュボードで通話分析の機能を利用するには、以下の手順をあらかじめ行っておく必要があります。
- 電話連携機能の設定を完了し、録音機能を有効にする。
- Ziaの設定で、通話データのテキスト変換の機能を有効にする。
- 通話分析の機能は、[見込み客]タブと[連絡先]タブでのみ利用できます。
通話分析のダッシュボードで可能な操作
通話分析のダッシュボードでは、設定と並べ替えの操作が可能です。
通話分析のダッシュボードの設定
通話分析のダッシュボードには、あらかじめ2つのワードクラウドの図が用意されています。これらのもととなるデータのタブ、指標の種類、対象期間、グループ化の基準などの設定は、必要に応じて変更可能です。
通話分析のダッシュボードの設定を確認/変更する手順は、以下のとおりです。
- 顧客の声分析用のタブに移動します。
- ダッシュボードの一覧から、[通話分析]をクリックします。
- [処理]ボタンをクリックし、[ダッシュボードの設定]をクリックします。
- 通話分析のダッシュボードの設定ページが表示されます。設定ページでは、以下の操作が可能です。
- タブの選択
なお、タブは、[見込み客]または[連絡先]から選択できます。 - データの種類の選択:指標データの種類を選択できます。
- 対象期間の選択
- グループ化基準の選択
- キーワードの対象範囲の選択:すべてのキーワードを対象とするか、一部のキーワードを除外するかを選択できます。
- 後者の場合、除外対象のキーワードを指定します。
- さらに、データを抽出するための条件を指定することも可能です。条件は10件まで追加できます。
- [設定する]をクリックします。
顧客の声分析のダッシュボードの詳細については、
こちらをクリックしてご確認ください。
ダッシュボード内の図の並べ替え
ダッシュボード内の図を並べ替える手順は、以下のとおりです。
- [処理]ボタンをクリックし、[並べ替える]をクリックします。
- 並べ替え対象の図を、ドラッグ&ドロップの操作で希望の位置に移動します。
- [プレビュー]をクリックして表示内容を確認します。
- [保存する]をクリックします。
なお、ダッシュボード内の個別の図の設定を変更することも可能です。変更するには、対象の図にマウスのカーソルを合わせ、右上に表示される鉛筆(編集)アイコンをクリックします。設定の詳細については、
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顧客の声分析機能とそのダッシュボードの詳細については、
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