Zoho CRMの売上予測
の機能では、過去のデータに基づいて、今後の売上や受注数の増減傾向を予測し、適切な目標を設定することが可能です。
一方、主な機能の範囲は、目標の設定や達成見込みの把握に限られます。受注目標を達成できなかった場合に、どのような要因が失注や受注に影響を与えたかを詳細に分析することは困難です。 このような点を克服し、受注や失注に影響を与えた要因を分析できれば、それを踏まえてより適切な対策を行い、目標を達成することができます。
この記事でご紹介する、顧客の声に基づく受注/失注要因分析は、過去の商談における受注や失注の原因を分析し、今後の商談に関する対策を行うのに役立つ機能です。具体的には、メール、アンケート、問い合わせなどを通じて収集した顧客の声から、受注商談と失注商談のそれぞれにおいて、顧客が抱いていた印象、意図、また、顧客が使用したキーワードを分析し、受注商談と失注商談の差を分析できます。
これにより、商談の受注や失注に影響を与える要因を把握すると同時に、現在、進行中の商談に関して必要な対応を行っていくことが可能です。また、その他にも、顧客の声に基づく受注/失注要因分析には以下のようなメリットがあります。
a) 失注の傾向を事前に察知し、対策を行うことができる
b) 顧客の声に基づいて、的確な対応を行うことができるため、目標を達成しやすい
顧客の声に基づく受注/失注要因分析
顧客の声に基づく受注/失注要因分析では、過去の受注商談または失注商談において顧客が抱いていた印象や意図、顧客が使用したキーワードを分析することで、今後の商談の結果を予測し、対策を行うことができます。たとえば、あるチームではある四半期に1,000万円の売上目標を立てていたにも関わらず、達成できなかったとします。このような場合、次の四半期で同じ失敗を繰り返さないようにするには、未達の原因を分析し、対策を行うことが必要でしょう。ここで、顧客の声に基づく受注/失注要因分析を活用すると、過去の受注や失注における顧客の声を分析し、受注や失注の原因やパターンを見極め、今後の商談に役立てることが可能です。
具体的には、Zia(ジア、ZohoのAIアシスタント)によって、顧客からのメール、アンケート回答、問い合わせなどが分析され、顧客が抱いた印象や意図の検出や、顧客が使用したキーワードの抽出が行われます。さらに、このような分析データをZoho CRMの商談データと組み合わせることで、商談のパターン分析や軌道修正に役立つグラフが生成されます。
分析の設定では、達成目標の指標として、四半期または月ごとの、売上または商談数を指定できます。また、目標は、役職やユーザーごとに設定可能です。これにより、対象期間中の進捗状況の把握や、対象期間と他の期間との比較が可能です。
たとえば、ジルテックという企業の営業部門では、Zoho CRMを利用して営業成績の進捗管理を行っていたとします。現在、[売上予測]タブでは、次四半期の売上目標を1,000,000円に設定しています。
ここで、顧客の声に基づく受注/失注分析を利用すると、最新の分析データに基づいて適宜、対策や軌道修正を行うことが可能です。たとえば、以下の分析グラフからは、25万から30万円規模の失注商談において、3人の顧客が「製品の品質が低い」と述べていたことが分かります。品質の低さが失注要因の1つであると分かれば、製品の品質に問題がないかどうかを検証できます。また、それを踏まえて、顧客に再度アプローチすることも可能です。
このようにして、グラフを参照し、必要に応じて対策を行うことで、目標達成により近づけることができます。
以上のグラフの他にも、ダッシュボードではさまざまなグラフを確認できます(各グラフの詳細については、この記事の後半部分でご説明します)。このようなグラフを分析することによって、以下のことが可能です。
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顧客の声をリアルタイムに分析して目標達成につながる対策をすぐに実行する
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商談の受注要因を把握し受注数を増やす
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商談の失注などのうまくいかなかった点から学び今後に活かす
仕組み
Ziaが、顧客とのさまざまなやりとりを分析し、そこから顧客が抱いた印象や意図を検出したり、顧客が使用したキーワードを抽出したりします。さらに、このような分析データをZoho CRMの商談データと組み合わせることで、商談のパターン分析や軌道修正に役立つグラフが生成されます。
分析の主な設定項目
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指標:指標として、商談数または売上(商談の総額)を指定します。
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期間:以下の期間のいずれかを指定します。
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四半期ごと
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月ごと
分析の種類
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改善分析:対象期間(四半期/月)の売上または商談数の達成分または超過分。
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未達分析:対象期間(四半期/月)の売上または商談数の未達分。
データを価値あるものとするためには、数値を確認して終わりとするのではなく、目標と実績の間になぜ差が生じたかを分析する必要があります。顧客の声に基づく受注/失注要因分析とは、まさにこのためのものです。分析によって、受注商談と失注商談の差を、顧客が抱いた印象や意図、また、顧客が使用したキーワードという観点から分析できます。失注商談で顧客はどのようなキーワードを使用していたか、現在進行中の商談でも同じキーワードが使用されていないか。このような分析を、ダッシュボード上のグラフを見ながら行うことが可能です。以下では、ダッシュボード上で実際に確認できる表やグラフをご紹介します。
ダッシュボードの表やグラフの種類
すべてのキーワードの一覧(表形式)
この表の上部には、対象期間中の失注商談、受注商談、未完了の商談の件数と金額が表示されています。また、表では、対象期間(1か月または四半期)に、顧客が使用した各キーワードについて、印象(肯定的/否定的/中立的)、使用した顧客数、商談の内訳(受注商談、失注商談、未完了の商談)を確認できます。この表を参照することにより、顧客によるキーワードの使用状況を確認し、営業活動や販売業務に役立てることが可能です。
失注商談のキーワード上位5件と失注額の推移
失注商談での使用回数が多かったキーワード上位5件について、対象のキーワードが使用された失注商談の失注額の推移を確認できます。失注につながりやすいキーワードの傾向を把握するのに役立ちます。
上位3件の商品に関するキーワードと印象
このグラフでは、上位3位までの商品に関して、顧客がどのようなキーワードをどのような印象で使用したかを確認できます。また、データは失注商談、受注商談、未完了の商談ごとに分けて参照することが可能です。グラフを見るだけで、各商品に対する顧客の印象を把握できます。また、肯定的/否定的/中立的な印象のそれぞれに関連して、どのようなキーワードがよく使用されたかを確認することが可能です。
失注商談で使用されているキーワード(象限分析)
このグラフでは、縦軸を商談の失注件数、横軸を商談の失注額とし、グラフ上に失注商談で使用されたキーワードが表示されます。キーワードの色は、対象のキーワードがどのような印象と関連付けられて使用されたかを示しています。このグラフを確認することにより、失注件数の多さや失注額の大きさと関連性の高いキーワードを把握し、優先順位をつけて対策を行うことが可能です。
未完了の商談で使用されているキーワード(象限分析)
このグラフでは、未完了の商談について、縦軸を商談の件数、横軸を商談の総額とし、グラフ上に商談で使用されたキーワードが表示されます。このグラフを、失注商談で使用されているキーワード(象限分析)のグラフと比較することによって、対応中の商談に失注につながりそうな傾向がないかどうかを確認し、対策を行うことが可能です。
未完了の商談における顧客の意図
未完了の商談における顧客の意図(依頼、問い合わせ、苦情、購入など)や、各キーワードと関連性の高い意図を確認できます。顧客の意図を把握することにより、未完了の商談に関する今度の見通しを立てるが可能です。
商談のキーワードと意図
受注商談、失注商談、未完了の商談で使用されているキーワードが、どのような意図で使用されているかを表形式で確認できます。各キーワードについて、使用意図や使用された商談の総額を把握できます。
顧客の声に基づく受注/失注要因分析の有効化
顧客の声に基づく受注/失注要因分析を有効にするには:
- 画面上部のメニューで[顧客の声分析]タブに移動します。
- [ダッシュボード]の欄に表示されている[顧客の声に基づく受注/失注要因分析]をクリックします。
- [処理]ボタンをクリックし、[ダッシュボードの設定]を選択します。
- ダッシュボードの設定ページで、以下の操作を実行します。
- 受注/失注要因分析の対象とする、売上予測の設定を選択します。
- ダッシュボードを設定するタブを選択します。
[見込み客]または[連絡先]のいずれかのタブを選択できます。 - [キーワード設定]を選択します。
すべてのキーワードを分析対象とするか、特定のキーワードのみを分析対象とするかを指定できます。
- [設定する]をクリックします。
メモ:顧客の声に基づく受注/失注要因分析のダッシュボードには、該当の売上予測の設定に基づいて今四半期の情報のみが表示されます。
ダッシュボードの設定の詳細については、
こちらをご参照ください。