顧客の声分析とは
企業の成長における最大の原動力は、顧客の声です。Zoho CRMの顧客の声分析の機能を利用すると、顧客の声を集め、分析することが可能です。具体的には、メール、アンケート、問い合わせなどのさまざまな経路から顧客の声を収集して集約できます。顧客の声から印象を分析し、分析結果を、グラフや表を利用して見やすく表示できます。
顧客の声分析の目的は、単に顧客満足度を測ることではありません。顧客の声に耳を傾け、その声に応えるための行動をとることです。以下は、顧客の声分析における主なステップです。
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データの収集
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データの分析
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分析に基づいた行動
ステップごとの目的を明確にして、その目的に沿った対策を実行することで、良い結果につながります。
顧客の声分析が重要な理由
世界最大の小売業者であるウォルマートの創設者、サム・ウォルトンの言葉を紹介します。
「働く人にとってボスはお客さまだけである。お客さまは、あなたの会社以外でお金を使うだけで、会長社長以下全員を失業させることができるのだ」
つまり、顧客に「解雇」されないように、もっと言うと、喜んでいただくためには、顧客がニーズを正確に理解しなければなりません。ですが時には、日々の業務に忙殺され、顧客が何を必要としているのか、確認をおろそかにしてしまうことがあります。多忙な中でもどのように確認していけばよいでしょうか。
そこで顧客の声分析が役立ちます。顧客の声分析を利用すると、顧客ニーズの収集と分析を、効率よく行うことができます。ニーズに応えるための対策をとることで、商品やサービス、ひいては企業自体のファンを増やしていくことができます。
顧客の声分析が重要な理由は以下の通りです。
顧客ニーズの把握
顧客の声分析を利用することで、顧客が本当に求めている商品やサービスが何かを把握し、よりニーズに合った商品やサービスを提供できます。
顧客による宣伝
商品やサービスに対する感想や感情は、SNSなどのクチコミをはじめ、さまざまな形で共有されます。顧客の声に応えると、顧客は肯定的な情報を広めてくれます。顧客自身の声は、説得力があるため、商品やサービスの信頼性や競争力をより高めてくれます。
NPS(顧客推奨度)の改善
NPS(顧客推奨度)は、商品やサービスを利用した顧客がどの程度他の人に推奨する可能性があるかを調べるための質問や手法です。顧客がどの程度満足しているのか/不満に思っているのかを測定できます。顧客の声分析を活用し、顧客ニーズに応えることで、NPS(顧客推奨度)スコアを向上させることができます。
業務効率の向上
顧客の声分析は、企業側にもメリットがあります。問題の特定と対応がスムーズに行えるため、業務の改善を効率よくできます。たとえば、顧客サポートへの不満や品質不良などの問題をすぐに特定して、対応できます。また、集めた声をさまざまな部署で共有することで、よりスピーディかつより効果的な対策をとることができます。
また、顧客の声分析は、品質保証の観点からも有効です。業務プロセスにおけるエラーを特定し、発生を予防するための対策をとるためにも役立ちます。
顧客の声の活用における主な課題
顧客の声の活用における主なステップは、データの収集、データの分析、分析に基づいた行動の3つです。
これら3つのステップの中で、データを分析する第2のステップが最も重要です。以下、最後に説明します。
1) データの収集:
顧客の声に関するデータを収集する方法は数多くあります。アンケート、メール、ソーシャルメディアなど、さまざまな経路からデータを収集することが可能なため、通常、このステップはそこまで大きな課題になりません。
2)データの分析: 顧客の声の活用において、最も困難かつ重要なステップが、データの分析です。このステップでは、まず収集したデータから顧客の声を抽出します。特に、商品やサービス、業務改善に役立つような感情や提案などの顧客の声を集めて分析します。 ただ、一般的に分析には時間がかかります。データを分析して行動に移すための有用な手がかりを得るまで改善の目途が立たず、その間に顧客離れを起こしてしまうかもしれません。
3) 分析に基づいた行動:
収集したデータを分析することで、顧客のニーズを把握できます。また、そのニーズに応えるための行動の方向性がはっきりします。方向性を定めたら、実行に移すだけです。ここまでくれば、顧客の声の活用は自然と進みます。
解決方法
できるだけ早く分析の結果を出し、実際の対策への行動の方向性を決めることが重要です。そのためにAI(人工知能)を利用すると良いでしょう。AI(人工知能)を利用すると、顧客の声分析に費やす時間を短縮し、その分析によって的確な方向性を決めることができます。
ですが、
最新の調査
では、多くの企業がデータ分析に時間がかかるだけでなく、分析結果を活かせていないことが分かっています。
Zoho CRMの顧客の声分析では、分析のステップでAI(人工知能)を活用することで、より効率良く分析を実施できます。
利用条件
顧客の声分析のダッシュボードは、以下の条件をすべて満たす組織においてのみ利用可能です。
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Zoho CRMのエンタープライズプランまたはアルティメットプラン、Zoho CRM Plus、Zoho One
のいずれかを利用中で、かつ
ユーザーライセンス数が20以上
である組織
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アメリカ(US)、EU地域(EU)、オーストラリア(AU)、インド(IN)のいずれかのデータセンターに登録されていて、かつ早期アクセスを申請した組織
必要な権限
- [顧客の声分析]の権限は、初期設定で、Zoho CRMの組織の管理者に対して自動で有効に設定されます。その他の権限に対しては、手動で有効にする必要があります。
- 表示:この権限を持つユーザーは、ダッシュボードを表示できます。
- 管理:この権限を持つユーザーは、ダッシュボードの表示に加え、ダッシュボードの設定、表/グラフの並び替え、ダッシュボードへの変更内容の反映処理を行うことができます。
- データ単位での分析情報の表示:この権限を持つユーザーは、分析対象のタブのデータの詳細ページで、顧客の声分析のグラフを表示できます。
分析の仕組み
ZohoのAI(人工知能)である「Zia」は、顧客の声に含まれる印象を抽出し、その印象の原因、顧客の傾向、予測など、さまざまな情報を表示します。印象を表すキーワードや、その印象が肯定的なものか否定的なものかなどを確認することが可能です。顧客があなたの企業について感じていることを正確に把握できます。
分析結果は、ダッシュボード、グラフや表で見やすく確認できます。すべての顧客とのやりとりをいちいち分析しなくても、概要や傾向が自動でまとめられて表示されます。
また、必要に応じて、特定の顧客の印象に関するデータの詳細を確認することも可能です。
1)顧客の声の概要や集計結果を表示するダッシュボード(印象の種類別のデータ)
2)特定の顧客の声の情報を表示するダッシュボード
3) 顧客に関する概要データ
連絡先の詳細ページでは、顧客の抱いている印象や意図に関する分析データを確認できます。
たとえば、当該の顧客からの反応の全体数に対して、肯定的な反応と否定的な反応がそれぞれどれくらいの割合を占めているかが表示されます。また、顧客が以下のどの分類に該当するかを確認できます(分類は、顧客の購入傾向や反応に基づいて行われます)。
- 解約
- 競合他社への流出
- 肯定的な顧客
- 否定的な顧客
4) 変換を基にした分析
見込み客から顧客(連絡先)へと変換された顧客が、変換前にどのようなキーワードを使用していたかを確認できます。
5) 商談を基にした分析
以下のデータを確認できます。
- 見込み客からの変換時の商談名
- 商談のステージ(ステータス)
- 対象の商談ステージ(ステータス)に移行する前に使用されたキーワード
- 対象の商談ステージ(ステータス)に移行した後に使用されたキーワード
商談が特定のステージ(ステータス)に至った原因を分析し、改善を行うことができます。
まとめ
顧客の声を集め、分析し、行動につなげていくことで、事業や組織の成長を加速できます。そのために、Zoho CRMの顧客の声分析機能が役立ちます。必要な設定を行えば、分析はAI(人工知能)を通じて自動で行われ、有用なデータを手間をかけずに取得できます。ぜひご活用ください。