顧客の声分析を有効にすると、顧客の声分析のダッシュボードを確認できるようになります。ダッシュボードでは、さまざまな指標データを確認することが可能です。以下では、[連絡先]タブにおいて設定されているコホート分析のグラフを例に説明します。このグラフでは、競合他社への言及があった後に失注した商談について、業界の分類(コホート)ごとに時系列での推移を確認できます。グラフには、顧客の業界、業界ごとの失注した商談の合計件数、一定期間(以下のグラフの場合、1日)において競合他社が言及された回数が表示されています。グラフの下部の分析データは、競合他社が言及された初日に、ある業界において失注した商談が3件あることを表しています。
ダッシュボードの指標データを出力するにあたって、分析対象のデータを指定したり、対象期間を選択したりできます。初期設定では、表/グラフの一部の内容は事前に設定されています。上記の例において分析対象となるデータは、以下のとおりです。
- [連絡先]タブ(分析対象として選択したタブ)
- 顧客によって送信されたメール、問い合わせ、アンケートの回答内のキーワード
- 各連絡先によって競合他社が言及された回数
- 設定されている競合他社の一覧
- [業界]の項目
- 対象の連絡先に関連する商談
- 商談のステータスの項目(失注した商談を識別するため)
なお、上記の内容は、分析対象として選択したタブに応じて自動的に設定されます。上記の例の場合、分析対象として[連絡先]タブは手動で選択しますが、関連タブ(商談)、表示項目(商談のステータス、連絡先の業界)、期間などの情報は事前に設定されて表示されます。ただし、カスタムタブを分析対象とする場合、システム側で分析対象のデータ(項目)が識別できず、グラフのデータが適切に出力されない可能性があります。標準タブでも事前設定されている項目とは別の項目を分析対象とする場合は同様の課題が発生します。
このような場合、顧客の声分析の設定をカスタマイズすることができます。分析対象として適切なタブや項目を指定しなおすことで、要件に適したグラフが出力されるように設定することが可能です。
そのためには、顧客の声分析の設定で、対象のタブや項目を関連付ける必要があります。
顧客の声分析の設定をカスタマイズするにあたって、以下の3種類の操作を行う必要があります。
- メインのタブの選択
- 関連タブの選択
- 項目の関連付け
メインのタブの選択:
通常、顧客の声分析のダッシュボードでは、[見込み客]タブと[連絡先]タブを分析対象として選択できます。ただし、必要に応じてカスタムタブを分析対象として選択することが可能です。標準タブ(見込み客/連絡先)のデータをダッシュボード上に反映させたくない場合は、カスタムタブのみを分析対象として選択することもできます。
メインのタブの選択内容は、ダッシュボードの設定に反映されます。カスタムタブを設定した場合、以下の画像のようにダッシュボードの設定画面に表示されます。
関連タブの選択 :通常、顧客の声分析では、1件のタブからのみデータが取得されます。たとえば、分析データから顧客の感情に関連する指標データを出力するダッシュボードの場合、メインのタブとして指定したタブ(例:連絡先)から、設定内容に応じてデータが分析されます。
ただし、要件に合わせて、メインのタブと他のタブのデータを組み合わせて分析し、ダッシュボードに反映させることも可能です。
複数のタブのデータを分析するには、顧客の声分析の設定で該当のタブを関連付ける必要があります。これにより、Zoho CRM側で分析対象のデータが分析され、ダッシュボード上に出力されます。
複数のタブのデータを関連付けるにあたって、以下の種類のタブを選択することができます。
- 親タブ:ルックアップ項目を通じてメインのタブに関連付けられているタブを指定できます。例:取引先(連絡先の親タブ)
- 売上データのタブ: 売上に関するデータが保存されているタブを指定できます。例:商談、サブスクリプション
- 各種書類タブ:商品に関するデータが保存されているタブを指定できます。例:商品、価格表
たとえば、連絡先タブ(メインのタブ)は、商談タブ(売上データのタブ)のルックアップ項目を通じて商談タブと関連付けられている必要があります。取引先タブ(親タブ)、連絡先タブ(メインのタブ)のルックアップ項目を通じて取引先タブと関連付けられている必要があります。連絡先タブ(メインのタブ)と商談タブ(売上データのタブ)は、商品タブ(各種書類タブ)の各ルックアップ項目を通じて商品タブと関連付けられている必要があります。
メモ :タブの関連付けは必須ではありません。不要な場合はスキップできます。たとえば、取引先の窓口担当者とのやりとりに関して、顧客の声分析を実施したいとします。この場合、必要なデータは[連絡先]タブにのみ保存されています。そのため、タブの関連付けを行わずに、他の設定を進めることができます。
項目の関連付け :指定されているタブ(標準タブ、カスタムタブ)において、分析対象とする項目を関連付けます。たとえば、上記の[連絡先]タブにおいて設定されているコホート分析のグラフの場合、メインのタブには[連絡先]タブが指定されていて、関連タブには[商談]タブが指定されています。このグラフでは、以下のように項目の関連付けが設定されています。
タブ
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項目
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種類
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連絡先
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業界
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メインのタブ
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商談
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ステージ
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売上データのタブ(関連タブ)
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たとえば、上記のグラフの[業界]の項目に関して、[連絡先]タブの標準項目である[業界]に対して、他のタブ(例:カスタムタブ)の項目を関連付けて、データを分析することもできます。
複数の項目を関連付けることで、より詳細にデータを分析し、グラフを出力することが可能です。ただし、項目の関連付けは必須ではありません。不要な場合は、項目の関連付けをスキップできます(必須項目を除く)。
顧客の声分析の設定をカスタマイズし、タブや項目を関連付けることで、さまざまな角度から柔軟にデータを分析することが可能です。
データ元
顧客の声分析は、分析対象のデータを収集することから始まります。現在、顧客の声分析では、以下のデータを収集し、分析対象とすることができます。
- メール
- アンケート(Zoho Survey)
- ソーシャル
- メモ
- 通話
- 問い合わせ(Zoho Desk)
データ元を設定すると、対象の経路で収集したデータをZiaによる分析対象とすることが可能です。現在、データ元は5件まで選択できます。
データ元として[メモ]を設定する場合
- データ元の設定画面では、[タブにおけるメモの設定]で分析対象のタブを選択できます(例:見込み客のメモ、連絡先のメモなど)。
- 対象のZoho CRMのデータにメモが追加されると、Ziaによりメモが分析されます。メモ内の分析対象としては、内容と件名のいずれかまたは両方を指定できます。また、役職やグループに基づいて共有されたメモや、ポータル経由で顧客から追加されたメモについても同様に、抽出して分析することが可能です。
- 削除されたメモは、分析対象から除外されます。ただし、削除後に復元されたメモは、分析対象に再度追加されます。
- 顧客の声分析の分析対象に追加されたメモが編集された場合、編集後のメモの内容は分析されず、分析データにも反映されません。
データ元として[ソーシャル]を設定する場合
- 顧客の声分析では、FacebookとX(旧Twitter)の投稿を分析できます。
- データ元として[ソーシャル]を設定する場合、以下のデータが収集されます。
- Facebookで自社のブランドにメンションしている投稿
- Facebookで自社のブランドの投稿に対して寄せられたコメント
- Xで自社のブランドにメンションしているツイート
- Xで自社のブランドのツイートに対して寄せられたコメント
- データを収集するには、Zoho CRMでFacebookアカウントやXアカウントと自社のブランドが関連付けられている必要があります。また、対象のFacebookアカウントにFacebookページが追加されている必要があります。
顧客の声分析のダッシュボードの設定
顧客の声分析のダッシュボードを設定するにあたって、すべてのダッシュボードで共通の内容(共通条件)を指定します。共通条件を設定することで、すべてのダッシュボードに対して設定内容が適用されます。共通条件では、すべてのダッシュボードに関するタブ、経路、データの種類などの内容を指定することが可能です。
なお、必要に応じて、特定のダッシュボードに対して個別に設定を行うこともできます。
以下では、不動産業を営む会社での顧客の声分析の活用例をもとに説明します。この会社では、居住用物件と事業用物件を扱っているとします。居住用物件と事業用物件では、対象となる顧客や売上が大きく異なります。この場合、それぞれのダッシュボードの設定を個別に指定することで、それぞれの物件に適した指標データをダッシュボードごとに確認することができます。
また、追加販売(クロスセル/アップセル)の分析データをダッシュボードごとに出力することも可能です。
このように、要件に合わせて各ダッシュボードの設定をカスタマイズすることができます。
共通条件として設定可能な内容は、以下のとおりです。
経路 :分析対象の経路(顧客接点/チャネル)を選択します。現在、メール、電話、問い合わせ、アンケートを経路として設定することが可能です。なお、それぞれの経路を有効にするには、IMAP連携、電話連携、Zoho Desk連携、Zoho Survey連携を有効にする必要があります。また、必要に応じて複数の経路を選択することもできます。
タブ :分析対象のタブを選択します。現在、キーワード分析と印象分析は、[見込み客]タブまたは[連絡先]タブに対してのみ実行できます。こちらで選択した内容は、すべてのダッシュボードに対して適用されます。
データの種類: 分析データの表示方法として、[顧客数]または[反応数]のいずれかを選択します。たとえば、ある顧客とのメールのやりとりにおいて、該当の顧客が2回返信したとします。この場合、[顧客数]では1人として識別され、[反応数]では2回と識別されます。やりとりの回数に関する分析データを確認したい場合は、[反応数]を選択することをお勧めします。また、重複を除いた顧客数(実人数)に関する分析データを確認したい場合は、[顧客数]を選択することをお勧めします。
対象期間の選択: 分析対象の期間を選択します。期間としては、昨日、今週、先週、今月、先月や、過去の特定の期間(日、週、月)を指定できます。
分析結果のグループ化の単位: 分析結果は、日別または週別にグループ化して表示できます。たとえば、グループ化の単位として[週]を選択している場合、3か月間を対象とした象限分析やコホート分析の結果を、週ごとにグループ化して表示できます。
Zoho Surveyのアンケートの選択: Zoho Surveyを分析対象の経路として選択している場合は、分析対象としたいアンケートを選択します。
キーワードの設定の選択: 初期設定では、すべてのキーワードがZiaによる分析対象となります。ただし、除外したいキーワードがある場合には、こちらで指定できます。
メールの設定の選択: メールの条件を設定して、分析対象のメールを抽出したい場合はこちらで指定できます。たとえば、特定の製品に関する窓口で受信したメールのみを分析したい場合は、宛先の条件として、対象の窓口で使用しているメールアドレス(例: customerfeedback-electonic_appliances@zylkersales.com )を指定します。
条件フィルターの設定: 分析対象を絞り込むための詳細条件を設定できます。詳細条件を設定することで、特定の地域や特定の業界の見込み客から受信したフィードバックや、特定の商品やサービスに関するフィードバックのみを分析対象とできます。
メモ:
- ダッシュボード内の表/グラフを並べ替えることができます。並べ替えるには、操作メニューから[並べ替える]を選択します。
- ダッシュボードの表/グラフの名前を変更できます。変更するには、表/グラフにカーソルを合わせて、[編集する]アイコンをクリックします。
共通条件の設定方法
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上部メニューから[顧客の声分析]タブに移動します。
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いずれかのダッシュボードをクリックします。
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右上に表示されている設定アイコン をクリックします。
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ダッシュボードの設定ページで以下の設定を行います。
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経路を選択します(メール/Zoho Desk/Zoho Survey)。
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タブを選択します(見込み客/連絡先)。
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対象期間を選択します。
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グループ化の単位を選択します(日/週)。
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経路の設定でZoho Surveyを選択した場合、分析対象のアンケートを選択します(すべてのアンケート/特定のアンケート)。
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特定のアンケートを分析対象としたい場合は、分析対象とするアンケートを選択します。
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キーワードの設定を選択します(すべてのキーワードを対象とする/特定のキーワードを除外する)。
特定のキーワードを除外したい場合は、除外したいキーワードを追加します。
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経路の設定でメールを選択した場合、 メールの設定 で分析対象のメールを選択します(すべてのメール/特定のメール)。
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特定のメールを選択した場合は、分析対象を選別するための条件を指定します(CC/差出人/件名/宛先)。
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分析対象をより詳細に絞り込むには、 [条件を追加する] をクリックします。見込み客タブや連絡先タブのデータについて項目の値に関する条件を追加できます。
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[設定する] をクリックします。
共通条件の設定の編集方法
- Zoho CRMは、最初に共通条件を設定したときと同じ手順によって、共通条件の設定を編集できます。
- 分析データを計算中である場合は、設定を編集することはできませんので、ご注意ください。計算中の場合、設定ボタンは灰色で表示され、無効になります。