Zoho CRMでは、ZohoのAIアシスタント「Zia」(ジア)によるさまざまな機能を利用できます。たとえば、Zoho CRM内のデータに基づいて、Ziaによる提案、レコメンド、分析、予測、通知を確認したり、Ziaに質問して回答を得たりすることができます。また、顧客管理業務を自動化したり、顧客とのやりとりを自動で分析したりすることも可能です。
Ziaの機能の概要を紹介する動画(英語)
こちらの記事では、Ziaの各機能の概要を、以下の6つのカテゴリーに分類してご紹介します。
データ管理
生産性向上
顧客とのやりとり
予測と分析
高度な通知
顧客との関係構築と顧客維持
データ管理
データ管理を効率化する機能としては、Ziaによるデータ補完とZia画像検証があります。これらの機能を利用すると、Zoho CRM内のデータの正確性や一貫性を向上し、データの入力プロセスを合理化できます。
データ補完
顧客との関係構築において、顧客データが完全で正確であることは重要です。Ziaによるデータ補完機能を利用すると、Zoho CRM内のデータを自動で補完し、データの完全性や正確性を高めることができます。具体的には、Ziaによってインターネット上の公開情報が検索され、収集されることにより、見込み客や顧客の各データに関する情報(例:メールアドレス、電話番号、住所、WebサイトのURL、業種、ソーシャルメディアアカウントなど)が自動で補完されます。データ補完によってデータの完全性を高めることは、見込み客や顧客とのやりとりの質の向上や、データ分析や予測の精度向上につながります。また、データの入力ミスの防止や、手入力による時間や手間の削減に役立ちます。
Zia画像検証(AIによる画像の自動検証機能)
Zia画像検証は、Ziaによる画像の検証機能です。この機能では、学習データを用いてZiaをトレーニングすることで、Zoho CRM内の画像データを自動で分析し、異常や矛盾を検証できます。これにより、顧客や担当者によってアップロードされた画像を自動で検証し、Zoho CRMに適切な画像データのみが登録されるようにすることができます。たとえば、商品データの画像に、商品が明瞭に写っているかどうかを検証できます。不明瞭な画像や、特定の基準を満たしていない画像データは、承認者によるレビュー対象とし、承認された場合にのみ登録することが可能です。
生産性向上
生産性向上に役立つ機能としては、Ziaによる類似データのレコメンド、マクロの提案、ワークフローの提案、データ担当者の提案、Ziaに質問があります。類似データのレコメンドを利用すると、特定のデータに類似する他のデータを参照できるため、経験に基づく予測や対策が行いやすくなります。マクロの提案やワークフローの提案を利用すると、Zoho CRM内で自動化可能な部分が自動で特定され、具体的な設定方法が提案されるため、定型業務をスムーズに自動化できます。
類似データのレコメンド
Ziaによる類似データのレコメンド機能を利用すると、特定のデータ(例:連絡先、商品、商談、キャンペーン)の詳細ページで、対象のデータに類似するデータを参照できます。これにより、類似する顧客が過去に購入した商品や、類似の商談での過去の対応を参考にし、現在の対応に役立てることが可能です。また、類似データの参照によって提案の幅が広がることにより、追加購入を促進し、売上アップへとつなげることができます。
マクロの提案
マクロとは、ワンクリックで複数の処理を一括で実行できる機能です。Zoho CRMでマクロを利用すると、定常的な一連の作業を効率化し、手作業によるミスを減らすことができます。Ziaによるマクロの提案機能では、Ziaによってユーザーの操作履歴が分析され、繰り返しの一連の処理に関してマクロの作成候補が提案されます。マクロの作成候補は、Zoho CRM内で一定期間内に複数のデータに対して同じ一連の処理が繰り返し行われている場合に提案されます(例:データの更新、メールの送信、タスクの割り当てなど)。提案されたマクロの作成候補を保存すると、該当のマクロを作成して一括処理をすぐに実行できます。
ワークフローの提案
Ziaにより、Zoho CRMの特定のタブ(見込み客、連絡先、取引先、商談)で繰り返し行われている処理が自動で特定され、一連の処理を自動化するためのワークフロールールが提案されます。たとえば、Zoho CRM内で特定の条件を満たす顧客に対してフォローアップメールの送信や通話の予約が頻繁に行われている場合、条件を満たす顧客に対して自動でメール送信や通話予約を行うようなワークフロールールが提案されます。これにより、ワークフロールールの作成にかかる手間や時間を節約し、かんたんに自動化を実現できます。また、ワークフロールールにより反復作業を自動化することで、生産性の向上が可能です。
データ担当者の提案
Ziaによるデータ担当者の提案機能を利用すると、過去のデータや営業担当者の状況に基づいて、見込み客、連絡先(顧客)、商談などのデータに最適なチームや担当者を自動で割り当てることができます。Ziaによるデータ担当者の提案においては、既存の割り当てパターン(例:顧客の地域/業種/購入希望商品と、営業担当者の対応実績との間の関連性など)や、顧客への連絡手段などが考慮されます。また、営業担当者の対応可否や対応負荷なども考慮されます。これにより、チーム内での業務配分のバランスを保った割り当てが可能です。また、担当者の割り当てを自動化することにより、見込み客や案件への対応開始までにかかる時間を短縮することができます。
Ziaに質問
[Ziaに質問]の機能を利用すると、Ziaに質問して、Zoho CRMのデータに基づく回答を得ることができます。また、チャット欄から処理の実行を指示し、データの作成や更新などの処理を実行することも可能です。たとえば、特定の条件を満たす連絡先データの一覧や、特定の期間における売上の予測値などを確認できます。また、リマインダーの設定、タスクや予定の作成、通話の予約などの処理を実行できます。Ziaへの質問や指示は、チャット画面からテキストや音声で入力できます(ただし、英語でのみ利用可能です)。重要なデータの確認や、定型業務にかかる時間を短縮することにより、顧客との関係構築や商談対応など、付加価値の高い活動のために使える時間を増やすことが可能です。
データ管理と生産性向上に関するZiaの各機能の概要については、以下の動画(英語)もご参照ください。
顧客とのやりとり
連絡に最適な時間帯の機能では、メールや電話による連絡において、見込み客や顧客から反応を得やすい時間帯を確認できます。連絡に最適な時間帯は、見込み客や顧客との間の、過去の通話やメールのやりとりに基づいて特定されます。具体的には、過去の発着信への応答状況、送信メールへの反応状況、メールの受信時間などが分析され、メールの送信や通話の発信に最適なタイミングが提案されます。反応を得やすく連絡に最適な時間帯を確認して、連絡することにより、連絡の効率や効果を向上できます。
メール分析と通話用Zia
- メール分析:受信メールにおいて送信者(見込み客や顧客)の意図、印象、感情が分析され、表示されます。メールの意図分析では、メールの送信者の意図が分析され表示されます(例:依頼、問い合わせ、苦情、購入)。これにより、メールの意図をすばやく把握し、重要なメールに対して優先的に対応することが可能です。メールの印象分析では、受信メールの印象が肯定的、否定的、中立的の3つに分類されて表示されます。特に、否定的なメールをすばやく識別することで、商談の失注防止や顧客の喪失防止に役立ちます。メールの感情分析では、受信メールにおいて送信者の感情が識別されて表示されます(例:満足、情熱、感謝、信頼、困惑、不満、いらだち、中立)。これにより、理解と共感に基づく顧客対応が可能です。このように、メール分析によりメール送信者の意図、印象、感情をすばやく把握することにより、顧客満足度を向上し、商談化、受注、顧客維持につなげることができます。
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- 通話用Zia(通話データのテキスト変換、通話分析):Ziaによる通話データのテキスト変換の機能では、[通話]タブで、通話の録音データを自動でテキストに変換(文字起こし)できます。通話内容をテキストとして処理できるようになるため、顧客対応の品質保持や履歴管理に役立ちます。また、Ziaによる通話分析機能を利用すると、通話内容をもとに、通話の印象、意図、感情、要約が自動で識別され、表示されます。肯定的/否定的/中立などの通話の相手が抱いた印象や、依頼/問い合わせ/苦情などの通話の意図、満足/不満/いらだちなどの感情などの分類表示とともに、テキスト一行分の通話内容の要約をひと目で把握できます。担当者はこれらの通話分析内容を踏まえた上で、顧客対応の優先順位や最適な連絡方法をすばやく判断できます。
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Ziaによるレコメンド
Ziaによるレコメンド機能では、見込み客や連絡先などのデータの詳細ページで、対象の見込み客や顧客におすすめの商品やサービスを確認できます(レコメンド対象者のタブとしては、標準タブまたはカスタムタブを指定可能です)。おすすめの商品やサービスは、対象者の属性(興味、ニーズ、購入履歴など)や、類似する他の顧客の購入履歴をもとに提案されます。レコメンド内容を確認することで、見込み客や顧客のニーズに合った商品やサービスを提案し、購入を促進できます。
レコメンドの分析レポートでは、Ziaのレコメンドに関する分析データを確認できます。具体的には、レコメンド件数の多い商品やサービスや、商談につながりやすい商品やサービスなどを把握することが可能です。このような分析データは、顧客への提案内容を見直すのに役立ちます。また、レコメンドの分析レポートでは、Ziaによって自動で識別されたセグメント(同様の属性を持つ顧客グループ)をもとに、セグメント別にレコメンドを分析することも可能です。各セグメントに対して行われたレコメンドの件数、内容、結果などを分析し、パターン(相関関係)を把握することで、マーケティングや営業におけるアプローチを改善できます。
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次の最適な顧客対応の提案
次の最適な顧客対応の提案機能では、未完了の商談の詳細ページで、対象の顧客に対して次に行うのに最適な対応の候補を確認できます。対応の候補としては、メールの送信、通話の発信/予約、予定の作成のいずれかが表示されます。Ziaにより、組織内の過去の完了商談と、提案対象の未完了商談の情報(現在のステージや、これまでのやりとりなど)が分析された上で、提案内容が決定します。対応の候補を参考にして、最適な顧客対応を行うことにより、商談化や受注の可能性を高めることができます。
予測と分析
Zia目標達成要因分析
Zia目標達成要因分析は、目標達成の可能性を高めるためのダッシュボード機能です。このダッシュボードでは、過去のデータの分析に基づいて算出された妥当性の高い目標値を確認できます。その上で、目標達成に影響するすべての要因が自動で抽出され、一覧表示されます。影響要因の一覧では、要因ごとに、実績値と期待値の比較、予実差異の確認が可能です。要因の識別とその具体的な数値を通じて、目標達成のために具体的に何をしたらよいかを把握できます。なお、Zia目標達成要因分析では、売上目標だけでなく、見込み客の獲得、納品や請求の完了率、顧客の解約率など、さまざまなデータに関する目標を分析/予測することが可能です。
売上予測
売上予測は、営業活動の実績をもとに、年間や四半期/月間の売上目標の達成見込みを予測する機能です。組織の売上目標を設定し、売上目標を分割して部署や担当者に割り当てることで、商談の進捗や受注に関する実績データがリアルタイムに反映され、目標達成状況を確認できます。予実データに基づいて、一定期間の組織の業績を正確に見通すことができ、営業活動の改善や最適化をすばやく行うことができます。
指標報告スライドショー
指標報告スライドショーでは、Zoho CRM内の指標データをもとに、報告用のスライドを毎月、自動で作成できます。作成されたスライドは、会議での進捗報告などですぐに利用できます。スライドには、見込み客や商談などのタブ単位の成果や傾向に関する指標データが表示されます(例:商談の作成数、受注数、合計売上)。また、見込み客/顧客の行動や傾向に関するコホート分析や象限分析のスライドも作成されます。スライドの内容や順番は、Zoho CRMの利用状況に応じて自動で調整されます。カスタマイズ可能なテンプレート、スライドショー視聴者のリアルタイム分析、視聴者のフィードバックに基づく変更提案など、効果的なスライド作成に役立つ機能を利用できます。
高度な通知
Ziaの通知
Ziaの通知では、ワークフロールール、異常検出、レコメンド、メール分析などに関する通知を、Ziaの通知画面、チャット、メールなどを通じて受信することが可能です。たとえば、特定の指標値で異常が検出されたときや、ワークフロールールによって自動作成されたデータに対応が必要なとき、受信メールから予定情報や否定的感情が検出されたときなどに通知を受信できます。Ziaの通知により最新の情報を常に把握することで、問題に対して迅速に対応できます。
競合他社アラート
見込み客や顧客からの受信メールに競合他社の名前が記載されていた場合に、通知を受信できます。比較検討の対象として挙がっている企業を把握し、必要な対策を迅速に行うことで、失注や顧客流出を防止できます。
異常検出
Zoho CRMの異常検出では、指標値の異常を把握するのに役立つ機能です。具体的には、異常検出グラフで、予測パターンから外れた指標データを確認できます。また、異常値の検出時に通知を受信することも可能です。たとえば、売上の増加や減少、解約数の増加などをすばやく把握するのに役立ちます。このように、指標データの変化を迅速に把握し、原因の分析や必要な対処を行うことで、問題の早期解決や機会損失の防止が可能です。
傾向分析
傾向分析の機能では、営業成果や営業活動に関する指標データの傾向(これまでの傾向と今後の想定推移)に関するグラフを表示できます。グラフでは、傾向線だけでなく、実績値や異常値も確認することも可能です。たとえば、見込み客/連絡/商談の作成件数や、タスク/通話の完了件数などの傾向をグラフで確認できます。今後の想定推移や異常値を定期的に確認することで、時機を逃さずに必要な対応を行うことが可能です。
顧客との関係構築と顧客維持
項目値の予測
Ziaによる項目値の予測機能では、標準タブやカスタムタブの特定の項目を指定して予測を設定すると、項目の既存の値をもとに今後の予測値を表示できます。これにより、売上や各種指標に関する今後の見通しを立てたり、起こり得る状況を予測したりすることが可能です。たとえば、見込み客の評価、商談の受注確度、商品の販売数の見込みなどを予測できます。これにより、予測に基づいて、対応の優先順位付け、マーケティングや営業の計画立案、予算立てなどを行うことが可能です。
Zia予測分析
Zia予測分析では、Ziaによる各予測の精度や品質、予測データの動向、予測と実績の差異などを表やグラフで確認できます。また、予測結果にプラスやマイナスの影響を与えた要因、失注に至る可能性が高い商談、予測が外れたデータの特徴などを把握することも可能です。予測分析を利用すると、予測の信頼性を評価した上で、予測をどの程度参考にするかを判断できます。また、予測と実績の間に差異が生じた原因や、受注/失注などの結果に影響しやすい要因を分析し、対策を行うことが可能です。
顧客の声分析
顧客の声分析では、Zoho CRM内のメール、通話、問い合わせ(Zoho Desk連携)、アンケート(Zoho Survey連携)などのデータをもとに、顧客の声を分析できます。具体的には、肯定的/中立/否定的などの顧客が抱いた印象や、依頼/問い合わせ/苦情などの顧客の意図、商品やサービスに対して顧客が使用したキーワードを表やグラフによって分析できます。顧客の声分析の表やグラフは、ダッシュボードや、見込み客や顧客などのデータの詳細ページ(関連リスト)から確認することが可能です。顧客の声分析を参照することにより、顧客のニーズに応じて商品やサービスを改善し、顧客満足度の向上へとつなげることが可能です。また、顧客の声をもとに市場の実態やニーズを把握し、マーケティングや営業の施策を改善していくことが可能です。
Ziaスコア
Ziaスコアでは、見込み客の商談化や商談の受注の確度をスコアとして確認できます。スコアの算出にあたっては、Zoho CRM内のさまざまなデータ(データの項目値、メールのやりとり、Webサイトへの訪問状況、ソーシャルメディアでの活動内容など)が分析された上で、スコアの算出基準の設定からスコアの算出までがすべて自動で実行されます。
Ziaスコアを利用すると、見込み客や商談の確度や優先度を効率的に見極めることができます。また、スコアに基づく自動処理(ワークフロールール、ブループリント、承認プロセスなど)を設定することで、商談化や受注につなげるための活動を効率的に行うことも可能です。
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解約予測
解約予測では顧客が商品の購入やサービスの利用を止める可能性の度合い(解約の確率)をスコアとして確認できます。また、解約を誘発する要因と、防止する要因の内訳を分析したドーナツグラフを表示することも可能です。分析には、購入履歴、問い合わせ内容、やりとりの内容、メールなどへの反応、関連タブや顧客の声分析のデータなどが使用されます。
これらの分析により、解約の可能性が高い顧客を把握し、顧客が実際に商品の購入やサービスの利用を止める前に対応することが可能です。特に、解約の誘発要因や解約の防止要因の分析は、個々の顧客のニーズに応じた具体的な対策を行うのに役立ちます。