データは、互いに関連付けることによって活用しやすくなります。たとえば、顧客データと商品データを互いに関連付けて分析することで、顧客のニーズをさまざまな角度から分析、理解し、営業やマーケティングの業務に役立てることが可能です。
このようなデータの活用はサポート業務においても有効です。たとえば、問い合わせ対応の際に顧客データを参照すると、顧客の属性、購入状況、問い合わせ履歴などを確認し、前提となる情報を踏まえた上で、より適切な対応を行うことが可能です。
Zoho Deskでは、このようなデータの関連付けを、ルックアップという種類の項目を用いて行います。ルックアップ項目を利用すると、あるタブのデータに別のタブのデータを関連付けることができます。カスタムタブも含め、さまざまなタブのデータを関連付けることが可能です。たとえば、この項目で連絡先を選択すると、問い合わせデータと連絡先データを関連付けることができます。また、各データの詳細ページから、関連データにすばやくアクセスできるようになります。Zoho Deskでは、あらかじめ用意されている標準のルックアップ項目の他に、独自のルックアップ項目を作成することも可能です。
利用条件
必要な権限
独自のルックアップ項目を作成できるのは、システム管理者の権限を持っているユーザーのみです。
- プロフェッショナルプラン:レイアウト1件につき独自のルックアップ項目3件
- エンタープライズプラン:レイアウト1件につき独自のルックアップ項目5件
独自のルックアップ項目では、より細かなカスタマイズが可能です。また、フィルター機能など、より高度な機能を利用することが可能です。この記事では、独自のルックアップ項目についてご説明します。なお、独自のルックアップ項目は、[連絡先]、[取引先]、[問い合わせ]の各タブにおいてのみ作成可能です。
独自のルックアップ項目を作成するメリットは以下のとおりです。
- フィルター条件によるデータの抽出:フィルター条件を設定することで、項目値の選択画面に、特定の条件に該当するデータのみを表示できます。これにより、データを選択しやすくなります。
- 関連タブへのデータの追加:ルックアップ項目から、関連タブにデータを作成できます。画面を切り替えなくても、関連データをすばやく追加することが可能です。
- 関連データからの値の自動入力: 関連データから、該当のルックアップ項目以外の項目に値を自動入力できます。これにより、データの入力時間を短縮できます。
独自のルックアップ項目の作成方法:
以下では、独自のルックアップ項目の作成方法について例を用いながら説明します。例としては、問い合わせタブに[顧客の上司]という独自のルックアップ項目を作成し、問い合わせに対して顧客の上司を関連付ける場合を取り上げます。また、フィルター条件を設定し、役職が役員である連絡先のみが値の選択画面に表示されるようにします。作成に必要な設定は以下のとおりです。
基本設定
ルックアップ項目の名前の入力
作成するルックアップ項目の名前を入力します。
ルックアップ項目を通じてどのタブのデータを検索し、関連付けたいかを選択します。[問い合わせ]、[取引先]、[連絡先]のいずれかのタブを選択できます。上記の例の場合、問い合わせタブのルックアップ項目で、連絡先(顧客の上司)データを検索し、関連付けたいため、[連絡先]タブを選択します。
ルックアップ項目を作成すると、関連タブの詳細ページに子タブ(サブタブ)が追加されます。そのため、設定においては、この子タブの名前を指定する必要があります。なお、関連データの詳細ページでこの子タブにアクセスすると、このルックアップ項目を通じて該当のデータに関連付けられているデータが一覧表示されます。 例:[問い合わせ]タブで、関連タブを[連絡先]タブとするルックアップ項目を作成し、子タブの名前を[関連する問い合わせ]としました。この場合、連絡先データの詳細ページで子タブ[関連する問い合わせ]にアクセスすると、ルックアップ項目を通じて該当の連絡先に関連付けられている問い合わせデータを一覧表示できます。
また、子タブでは、データの関連付けの設定/解除や、新しい関連データの作成が可能です。なお、子タブからデータを関連付けると、独自のルックアップ項目に値が自動で入力されますのでご注意ください。ルックアップ項目が入力必須に設定されている場合、後から関連付けを解除することはできません。
ルックアップ項目を入力必須に設定できます。また、ツールチップ(入力時のヒント、説明)の表示の有無や、表示方法を選択できます。
詳細設定
フィルター条件を用いた候補データの抽出
フィルター条件を設定すると、選択候補のデータを絞り込んで表示できます。たとえば、[問い合わせ]タブの独自のルックアップ項目[顧客の上司]で、フィルター条件を設定するとします。[役職]が[役員]であるという条件を設定することで、役員に該当するデータのみを選択候補として表示できます。同様に、住所やその他の項目に関する条件を追加することもできます。このように、フィルター条件を設定すると、検索結果の画面で、条件に該当するデータを確認できるため、データを選択しやすくなります。
候補データの検索項目
ルックアップ項目に値を入力してデータを検索するときに、関連タブのどの項目を検索の対象とするかを指定します。入力した値をもとに該当の項目が検索され、検索値を含むデータが候補として表示されます。なお、[データの検索項目]としては、関連タブの項目を指定できます。
例:[データの検索項目]として[姓]を指定すると、[姓]の項目に該当の値を含むデータが抽出されます。たとえば、このルックアップ項目に[横浜]と入力すると、検索結果の画面には、[姓]の項目に[横浜]を含む顧客(連絡先)データが一覧表示されます。
候補データの並び順
検索結果の画面でデータをどのような並び順で表示するかを指定できます(この設定項目の選択リストに表示される選択肢は、関連タブとしてどのタブを指定したかによって異なります)。例:[データの並べ替え基準]として[作成日時]を指定した場合、作成日時の新しい順でデータが表示されます。
候補データ一覧の表示項目
ルックアップ項目において検索(虫めがね)アイコンをクリックしたときに表示されるデータ一覧に、どの項目を表示するかを選択できます。なお、こちらで選択した項目は、ルックアップ項目に値を直接入力してデータを検索するときにも参照用に表示されます。たとえば、[データの検索項目]として[姓]を指定している場合、選択候補の欄には、[姓]の項目をもとに検索されたデータが表示されます。ただ、姓の情報だけでは、同姓の人もいる可能性があるため、目的のデータを特定しづらくなってしまいます。そこで、[候補データ一覧の表示項目]の設定で[メールアドレス]と[電話番号]をあわせて指定すると、候補データの一覧にこれらの項目の値もあわせて表示されます。複数の項目を表示することで、対象データが特定しやすくなります。
ルックアップ項目を設定しているレイアウトでは、ルックアップ項目以外の項目に、関連データから値を自動入力できます。例:[問い合わせ]タブの[顧客の上司]というルックアップ項目で、[顧客の上司の電話番号]の項目への値の自動入力を設定したとします。この場合、ルックアップ項目で顧客の上司を選択すると、[顧客の上司の電話番号]の項目にも関連データから値が自動入力されます。
上記の例の場合、設定時に
連絡先タブの項目と問い合わせタブの項目を関連付ける必要があります。設定においては、[関連タブの項目]として連絡先タブの[電話番号]を
、[このレイアウトの項目]として問い合わせタブの
[顧客の上司の電話番号]を指定します。
これにより、連絡先タブの[電話番号]から問い合わせタブの[顧客の上司の電話番号]に値が自動入力されるようになります。なお、自動入力の設定では、タブ間で項目を関連付ける必要があります。
1件のルックアップ項目につき、最大5件の項目への自動入力を設定できます。
メモ:
- [取引先]と[連絡先]の各タブのレイアウトは、全部門共通ですが、[問い合わせ]タブのレイアウトは部門内でのみ利用可能です。
- ルックアップ項目の追加画面で[関連タブ]を選択すると、[データの検索項目]と[候補データ一覧の表示項目]に、データ名(例:問い合わせの件名、連絡先の姓、取引先の名前)が自動で入力されます。これらの値は必須であるため、削除できません。
- [データの検索項目]では、6件まで項目を選択できます。
- [候補データ一覧の表示項目]では、6件まで項目を選択できます。
独自のルックアップ項目を作成するには:
- 画面右上の(設定)アイコンをクリックし、[カスタマイズ]→[レイアウトと項目]の順に移動します。
- ページ上部の選択リストで、タブと部門を選択します。
なお、独自のルックアップ項目は、[問い合わせ]、[取引先]、[連絡先]のタブにおいてのみ作成可能です。
- ルックアップ項目を既存のレイアウトに追加する場合は、レイアウトの一覧から追加先のレイアウトを選択します。新規のレイアウトに追加する場合は、画面右上の[レイアウトを追加する]をクリックします。
- レイアウトの編集ページで、右側のメニューから[ルックアップ]項目を選択し、ドラッグ&ドロップの操作でレイアウト内に配置します。
項目の追加画面で以下の操作を実行します。
[ラベル]:項目名を入力します。
[関連タブ]:このルックアップ項目に関連付けたいタブを選択します。
[関連データの子タブとしての表示名]:関連データの詳細ページに追加する子タブの名前を指定します(詳細ページでこの子タブをクリックすると、このルックアップ項目を通じて関連付けられているデータが一覧表示されます)。
[必須に設定する]:有効にすると、このルックアップ項目の入力を必須に設定できます。
[ツールチップを表示する]:有効にすると、入力のための参考情報やヒントとなるメッセージを表示できます。
[詳細設定]の欄では、必要に応じて以下の設定を行うことができます。
[条件に一致するデータのみを表示する]:有効にすると、選択候補として表示するデータを絞り込むためのフィルター条件を指定できます。条件は、5件まで作成可能です。また、[すべてのデータの一覧もあわせて表示する]設定を有効にすると、フィルター適用後のデータの一覧とは別に、すべてのデータの一覧をあわせて表示できます。必要に応じて表示内容を切り替えることが可能です。
[データの検索項目]:選択候補のデータを検索する際に、どの項目を用いて検索するかを指定します。
[データの並べ替え基準]:選択候補のデータ一覧における、データの並び順を指定します。
[候補データ一覧の表示項目]:選択候補のデータ一覧にどの項目を表示するかを指定します。
[関連データから値を自動入力する]:有効にすると、関連データの項目からこのレイアウトの項目(このルックアップ項目以外の項目)に値を自動入力できます。
[追加する]をクリックします。
ルックアップ項目の設定画面が閉じ、レイアウトの編集画面が表示されます。
レイアウトの編集画面で[保存して終了する]をクリックします。
独自のルックアップ項目の編集
独自のルックアップ項目の設定は、必要に応じて編集できます。たとえば、項目を作成した後に、フィルター条件を変更したり、入力必須の設定を変更したりすることが可能です。
独自のルックアップ項目を編集するには:
- 画面右上の(設定)アイコンをクリックし、[カスタマイズ]→[レイアウトと項目]の順に移動します。
- ページ上部の選択リストで、タブ(問い合わせ/取引先/連絡先)と部門を選択します。
- レイアウトを選択します。
- レイアウトの編集画面で、独自のルックアップ項目の欄に表示されている設定アイコンをクリックします。
- 表示されたメニューから[詳細を編集する]を選択します。
ルックアップ項目の設定画面が表示されます。 - ルックアップ項目の設定画面で、必要に応じて設定を編集します。
- [更新する]をクリックします。
- レイアウトの編集画面で[保存して終了する]をクリックします。
独自のルックアップ項目の無効化と削除
独自のルックアップ項目は、必要に応じて、無効にしたり、削除したりできます。なお、独自のルックアップ項目を無効にした場合、該当の項目は利用できなくなりますが、その項目に関連付けられている既存のデータは削除されません。
独自のルックアップ項目を無効にするには:
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[カスタマイズ]→[レイアウトと項目]の順に移動します。
ページ上部の選択リストで、タブと部門を選択し、無効にするレイアウトを選択します。
- レイアウトの編集画面で、独自のルックアップ項目の欄に表示されている設定アイコンをクリックします。
- 選択リストから[項目を削除する]を選択します。
独自のルックアップ項目が画面右側の[使用していない項目]の欄に移動します。
メモ:
[使用していない項目]にあるルックアップ項目を有効にするには、該当のルックアップ項目を選択し、ドラッグ&ドロップの操作でレイアウト内に配置します。この場合、無効になる前の設定が自動で復元されるため、最初から設定をやりなおす必要はありません。
なお、ルックアップ項目を[使用していない項目]から削除すると、項目に関連するすべてのデータが完全に削除されます(関連付けに関するデータ、関連タブの子タブ、フィルター条件の設定など)。なお、独自のルックアップ項目を完全に削除する操作は、一度実行すると、取り消すことはできませんのでご注意ください。
ルックアップ項目を完全に削除にするには:
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[カスタマイズ]→[レイアウトと項目]の順に移動します。
ページ上部の選択リストで、タブと部門を選択し、完全に削除するレイアウトを選択します。
- レイアウトの編集画面で、独自のルックアップ項目の欄に表示されている設定アイコンをクリックします。
- 選択リストから[項目を削除する]を選択します。
独自のルックアップ項目が画面右側の[使用していない項目]の欄に移動します。
- [使用していない項目]の欄で、ルックアップ項目名の隣に表示されている削除アイコンをクリックします。
- [はい、今すぐ削除します]をクリックして、操作を確定します。
参考情報: