Ziaは、データマイニングと機械学習を通じてカスタマーサポートチームの業務効率を向上させる、AIサポートアシスタント機能です。活用することで、パフォーマンス分析や指標を通じて、顧客に関する予測、通知、提案といった役立つ情報をサポート担当者が利用できるようになります。また、Ziaは自己学習を繰り返し、機能を向上させます。Ziaにデータを登録するほど、Ziaの機能は向上します。異常値や傾向の予測、顧客の感情分析、解決方法の提案など、さまざまな機能を利用できます。それぞれのZiaの機能について、詳しく説明します。
利用条件
- 現在、Ziaは英語でのみ利用できます。他の言語でもZiaを利用できるように対応中です。
- 担当者の権限を持つユーザーは、異常値の予測機能を利用できません。
異常値の予測
正常な状態から、突然上がったり、下がったりする値のことを、Zoho Deskでは異常値と呼びます。異常値の予測機能は、Zoho Desk内で予期せぬ事態を発生させる兆候を識別することができる、効果的な機能です。AIアシスタントであるZiaにより、幅広い方法でカスタマーサービスに影響を及ぼす情報が検知されます。たとえば、問い合わせの発信スレッドが突然減少した理由を探るとします。問い合わせが返信されるまで、または完了するまで待つ必要はありません。Ziaによって、発信スレッドが突然減少した直後に、該当の状況が異常値として検出されます。また、将来発生する可能性のある異常値を予測することもできます。この異常値は、[Ziaのダッシュボード]に表示されます。このダッシュボードには、ビジネスの傾向やチームのパフォーマンスといった情報も表示されます。
Ziaによる異常値の検出方法
Ziaによる異常値の検出は、問い合わせに関するやりとりが、毎日、毎週、毎月繰り返される周期的なパターンに従っているという仮定に基づいて行われます。Ziaは、時間の経過とともにこのようなパターンを学習します。1か月の学習の後、Ziaはこれらのパターンに沿わない異常値を自動的に検出して、通知します。最初の学習段階の後、Ziaは次の週における問い合わせに関するやりとりや返信の送受信状況を予測できるようになります。
傾向のダッシュボードの表示
Zoho Deskで 傾向グラフ や 異常値 を表示するには、 [分析]→[ダッシュボード]→[Ziaのダッシュボード] の順に移動します。Ziaのダッシュボードには、はじめに一定期間の傾向を示す折れ線グラフが表示されます。ダッシュボードの各項目は表示専用です。変更したり、新しい項目を追加したりすることはできません。
現在、Zoho Deskでは以下のパフォーマンス指標の傾向を確認できます:
- 受信した 問い合わせの返信
- 送信した 問い合わせの返信
上記のグラフのとおり、受信した返信のグラフでは 3つの主要な項目 を確認できます:
- 過去30日間の傾向: この傾向の線グラフでは、過去に受信した問い合わせの返信に基づく傾向が表示されます。
- 今日受信した返信: この線グラフでは、今日受信した問い合わせの返信が表示されます。過去30日間の傾向を示す線グラフと比較することができます。突然上がったり、下がったりする値を示すのはこの線です。
- 異常値: 正常な状態から、突然上がったり、下がったりする値のことを、Zoho Deskでは異常値と呼びます。グラフの赤い星は異常値を示します。
上記の例は、1日の受信した問い合わせのパターンを示しています。傾向を詳しく確認すると、やりとり件数は毎日午前7時から午後3時の間にピークに達し、午後9時以降に再び増加することがわかります。ただし、午後2時に今日受信した返信の線が急激に急上昇しているため、過去30日間の傾向と比べて、受信した問い合わせの返信が急激に増加したと解釈されます。
上位のタグの表示
ダッシュボード上のデータポイントをクリックすると、特定の時間帯の上位の頻出タグを確認できます。グラフ内の各バーは、それぞれ1件のタグを表しています。バーの高さは、送受信された問い合わせメール内でのタグの出現回数を表しています。この情報から、異常発生時にどのような問い合わせ内容が関連しているかを簡単に把握できます。
異常値の予測の設定
異常値に関する通知を受け取るには、異常値の予測の設定を有効にする必要があります。予測対象を選択し、異常値として識別する件数を設定します。
異常値の予測の設定を有効にするには、次の手順を実行します:
- 上部メニューの設定アイコン()をクリックします。
- [Zia]欄に移動します。
- [Zia]欄にある[異常値]をクリックします。
- [異常値の検出と予測]の設定画面の上部で、対象の部門を選択します。
こちらで選択した部門に対して、異常値の予測の設定が有効になります。
- [異常値の予測]設定の切り替えスイッチをクリックして有効にし、次の手順を実行します:
- Ziaが異常値を予測する対象として、[受信した問い合わせ]、[送信した問い合わせ]、またはその両方にチェックを入れて、選択します。
- Ziaが異常値として識別する受信の問い合わせの最小件数を選択します。
[5]、[25]、 [50]件のいずれかを選択できます。
- [実行条件のカスタマイズ]リンクをクリックすると、さまざまな問い合わせのメール件数に基づく異常値の検出に対して、誤差を許容する割合(傾向値-現在値の誤差の割合)を設定できます。
例:受信する問い合わせメールの件数に対して、誤差の割合を「50」に設定し、指定した時間帯の傾向線の予測が問い合わせ件数「100」である場合、指定した時間帯に、実際の受信する問い合わせの件数が「150」以上になった場合のみ、Ziaが異常値を検出します。
- [営業時間内]設定の切り替えスイッチをクリックして有効にすると、特定の営業時間内に、異常値に関する通知を受け取ることができます。
- 一覧から、希望する営業時間を選択します。
-
[保存する]をクリックすると、受信する問い合わせに対して、変更が反映されます。(または、)
[送信した問い合わせに対して同じ設定を適用する]をクリックします。
メモ:送信する問い合わせごとに、設定をカスタマイズすることも可能です。
Ziaの通知
Ziaは、送受信した問い合わせメールの内容をチェックし、異常値の有無を事前に通知します。Ziaのダッシュボードで管理する異常値の予測とは異なり、この通知はすぐに送信されます。Ziaによって異常値が検出されると、画面の下部に赤い通知が表示されます。
Ziaの通知の設定
異常値に関する通知を受け取るには、[Ziaの通知]を有効にし、通知先を選択する必要があります。
Ziaの通知の設定を有効にするには、次の手順を実行します:
- 上部メニューの設定アイコン()をクリックします。
- [Zia]欄にある[予測]をクリックします。
- [予測]画面で、次の手順を実行します:
- 画面の上部で、通知を有効にする部門を選択します。
- [Ziaの通知]設定の切り替えスイッチをクリックして、有効にします。
- [通知先]リンクをクリックして、異常値に関する通知を受け取る担当者を追加します。
リンクをクリックすると、画面右側に[通知するユーザー]画面が表示されます。
- 選択リストから[担当者]や[チーム]、[役割]を選択して、それぞれの通知先を追加します。
- [保存する]をクリックします。
Ziaの通知にアクセスするには:
- Zoho Deskアカウントの画面右下にある Zia アイコン ( ) をクリックします。
Ziaの通知画面がZoho Deskの画面の同じタブ内に表示されます。
- 現在の部門で 受信 、または 送信 した問い合わせの返信の異常値を確認します。
- 通知をクリックして異常値のグラフを開きます。傾向に対して突然上がったり、下がったりした値を確認できます。
以下の画像は、受信した問い合わせの返信で異常値が検出された際の 通知のサンプル です。
メモ:
- Ziaの通知は15日間保持され、その後消去されます。
感情分析
不満や疑問を強く感じているユーザーに対しては、慎重に対応する必要があります。このようなユーザーから問い合わせを受け取った場合、ユーザーによって求められる対応を理解することが大切です。顧客の感情を把握し、それに応じて対応を行う必要があります。Zoho Deskでは、Ziaによってこれらを自動で行うことができます。
Ziaは、すべての受信した顧客からの返信の内容をチェックし、それらをポジティブ、普通、ネガティブの3種類のトーンに分類して、このトーンを表現するキーワードを表示します。ネガティブなトーンの問い合わせに優先順位を付け、適切に対応を調整するのに役立ちます。
以下の2つの場所から、問い合わせの感情分析情報を確認できます:
- 問い合わせの一覧:感情分析の集計データがそれぞれの問い合わせに表示されます。
- 問い合わせの詳細:すべての受信した問い合わせの返信の感情分析のデータが、キーワードとともに表示されます。
感情分析の有効化
顧客から受信した問い合わせメールで、感情分析を表示するには、[設定]で感情分析の設定を有効にする必要があります。
感情分析の設定を有効にするには、次の手順を実行します:
- 上部メニューの設定アイコン()をクリックします。
- [Zia]欄にある[予測]をクリックします。
- [予測]画面の上部で、顧客の感情分析を表示する部門を選択します。
- [感情分析]設定の切り替えスイッチをクリックして、有効にします。
設定は、すぐに反映されます。
顧客の感情の追跡
Ziaにより、受信した問い合わせの返信や、問い合わせ全体で感情分析を確認できますが、サポートチームが全体として、顧客の感情に対してどのように対応しているかを把握することはとても重要です。Ziaのダッシュボードから顧客の全体的な感情データを確認できます。ダッシュボードにアクセスするには、 [分析]→[ダッシュボード]→[Ziaのダッシュボード] の順に移動します。
Ziaのダッシュボードには、顧客の感情を確認、追跡するための2つのグラフが表示されます。最初のグラフは、ポジティブ、普通、ネガティブの感情の割合と、過去24時間にこれらの感情を示した返信の件数が表示されます。
2番目のグラフは、過去24時間の各時間におけるポジティブ、普通、ネガティブの感情の詳細が表示されます。オプションとして、過去7日間の傾向を表示することもできます。グラフで表示することで、1日のうち、どの時間でネガティブな感情が大幅に高まったかをすばやく確認できます。
問い合わせの自動タグ付け
タグは、Zoho Deskで最も便利な機能の1つです。タグを作成して問い合わせに追加することで、問い合わせを整理、分類することができます。しかし、タグを作成したり、問い合わせにタグを手動で追加したりするのは手間がかかります。Zoho Deskでは、ZohoのAIアシスタント「Zia」の機能を通じて問い合わせに対してタグを自動で追加することが可能です。タグを追加するにあたって、Ziaによって問い合わせのデータが分析され、問い合わせに関連するキーワード群が識別されます。次に、識別されたキーワード群ごとに、タグが作成されます。
新しい問い合わせが送信されると、Ziaによって問い合わせのデータが分析され、既存のキーワード群と、分析対象の問い合わせのキーワードの照合が行われます。既存のキーワード群と分析対象の問い合わせのキーワードが一致すると、該当のキーワード群に関連するタグが割り当てられます。問い合わせのやりとりが進み、新しいキーワードが識別されると、既存のタグに加えて、新しいタグが追加されます(既存のタグは削除されたり、置き換えられたりすることはありません)。このように、やりとりの進展に伴い、問い合わせに新しいタグが追加された場合は、問い合わせに対して複数のタグが関連付けられます。その場合も、担当者は、タグをもとに問い合わせを簡単に検索、識別することが可能です。
上記の画像は、タグが自動で関連付けられた例です。問い合わせの内容の特徴が識別され、「debit card」(デビットカード)というタグが自動で追加されています。
メモ:
- 問い合わせの自動タグ付け機能を利用するにあたって、Ziaの学習が必要です。Ziaの学習には、部門ごとに3,000件以上の問い合わせが必要です(メール、ヘルプセンター、コミュニティ、ソーシャルメディア、Webフォーム経由の問い合わせ)。
- Ziaによる問い合わせの自動タグ付け機能に関する詳細については、こちらをご参照ください。
自動タグ機能が便利な理由
自動タグ機能は、よく出てくるトピックを識別するための優れた機能です。この機能により、顧客が抱える問題や要件が何であるか、そして現在何が発生しているか把握することができます。 たとえば、「払い戻し」や「返品」などのタグが急増している場合、提供しているサービスや商品に顧客が満足していない可能性があります。また、自動タグ機能は、新しいヘルプセンターの記事に関するアイデアを考える場合にも最適です。サポートチームが受信したメールを確認してアイデアを探す時間を省くことができます。
頻出のタグの表示
Zoho Deskで 頻出のタグ を表示するには、 [分析] → [ダッシュボード] → [Ziaのダッシュボード] の順に移動します。Ziaのダッシュボードのワードクラウドの欄には、過去24時間にヘルプデスクで頻出傾向にあったタグ名が表示されます。テキストのサイズは、受信した返信でのタグの出現回数を示します。右矢印をクリックすると、上位10件のタグの一覧と、それぞれの感情の種類の発生回数が表示されます。
Ziaによる案内ボット
Ziaによる案内ボットでは、質問を入力し、Ziaによる回答やナレッジベースの関連記事を確認できます。案内ボットを利用することにより、問い合わせへの返信作業を効率化できます。Ziaによる回答や関連記事のリンクはワンクリックで返信に追加して、顧客に送信できます。問い合わせの返信時間や解決時間の短縮に役立ちます。
案内ボットの操作
問い合わせの詳細ページでは、案内ボットの画面から以下の操作を実行できます。
- Ziaに質問:顧客の問い合わせについての質問を入力し、Ziaによる回答やナレッジベースの関連記事を確認できます。
- 返信でこの回答を使用 :Ziaによる回答を問い合わせの返信に貼り付けることができます。
- 記事のリンク :問い合わせの上部に記事の詳細画面が表示されます。この画面では、以下操作を行うことができます:
- 問い合わせでリンクを共有 :記事のリンクが問い合わせの返信に追加されます。
- 問い合わせに貼り付け :記事の内容が問い合わせの返信に貼り付けられます。このボタンを選択すると、記事全体が貼り付けられますのでご注意ください。
- お役に立ちましたか? :「高評価」、または「低評価」アイコンをクリックすると、提案に対するフィードバックを行うことができます。Ziaはあなたのフィードバックから学習します。評価が正確であるほど、的確に提案を行うことができるようになります。
案内ボットの有効化
案内ボットを有効にするには:
- 上部メニューの設定アイコン()をクリックし、[Zia]の欄にある[案内ボット]をクリックします。
- [案内ボット]の画面の上部で、案内ボットを作成する部門を選択し、[案内ボットを追加する]をクリックします。
- [案内ボットの作成]画面で、以下の詳細を設定します。
- ボット名を入力します。
- 説明を追加します。
- ボットを有効にする対象として担当者と顧客のいずれかまたは両方を選択します。
- 顧客に対して有効にする場合は、ボットを設置する経路を選択します。
- 必要に応じて[生成AI]による機能を有効にします。
- 必要に応じて、標準メッセージをカスタマイズします。
- [保存する]をクリックします。
メモ:
- 担当者が案内ボットを利用するには、ナレッジベースに30件以上の公開記事が必要です。