マクロとは、Zoho Deskの問い合わせに対して、予め設定しておいた処理を半自動でまとめて実行できる機能です。たとえば、問い合わせ内でのメールの送信、タスクの作成、特定の項目の値の更新といった操作が可能です。毎日繰り返していたり、頻繁に実行していたりする操作がある場合に便利です。複数の処理を組み合わせて1つのマクロを作成し、問い合わせに対して実行できます。問い合わせに対して必要な処理が複数ある場合に、1つずつ実行する手間を省くことができ、まとめて実行できます。
以下では、マクロが役立つ利用例を紹介します:
例:あなたは顧客サポート担当者であり、お客様のアプリケーションのバグを報告する顧客からの電話を受けたとします。会話の後、サポートの問い合わせデータを登録し、次の一連の操作を実行します。
-
顧客に確認メールを送信します。
-
ステータスの項目を「開発に問い合わせ」にします。
-
チーム内の開発者に問題修正を依頼するタスクを作成します。
このような場合、上記のすべての操作を1つのマクロにまとめて実行することができます。
必要な権限
・マクロのルールは、[業務の自動化]の権限を持つ管理者のみが作成可能です。
・マクロの実行には、問い合わせの更新権限が必要です。
各機能プランの機能と制限を確認する
マクロの実行権限の設定
Zoho Deskの組織で管理者権限を持つユーザーは、マクロの作成時に、誰がそのマクロを実行できるようにするかを設定できます。設定では、[すべての担当者]または[特定の担当者]から選択できます。[特定の担当者]を選択した場合、実行権限を付与する対象として特定の[担当者]、[チーム]、[役職]、[役職と部下]のいずれかを指定できます。問い合わせの詳細ページでは、実行権限があるユーザーの画面にのみマクロの実行ボタンが表示されます。
たとえば、ソフトウェア製品に関する問い合わせ対応を行うサポート担当者に対して、以下のような処理を行うマクロの実行権限を付与したとします。
-
タスクの作成と割り当て:製品の機能要望に関するタスクを作成し開発チームに割り当てる
-
項目の更新:[問い合わせの種類]の項目を[機能要望]に更新する
-
メール通知の送信:機能要望に関して開発チーム宛てにメール通知を送信する
同様に、開発チームのメンバーに対しては、別のマクロの実行権限を付与できます(例:割り当てられたタスクのステータスを完了に変更し、サポート担当者宛てに対応完了通知を送信する)。
このように、担当業務に応じて実行権限を付与することで、実行時の混乱やミスを防止できます。
メモ:
- マクロは、作成された部門内においてのみ実行可能です。
- 1件のマクロに対して、メール通知の送信処理を10件、タスクの作成処理を10件、項目の更新処理を10件まで設定できます。
- マクロの設定において、処理の実行条件や、処理対象の問い合わせに関する条件を設定することはできません。
- マクロは、最大で50件の問い合わせに対して実行できます。
顧客サポートやヘルプデスクで他の担当者と共有するマクロを作成できます。
マクロを作成するには:
-
画面上部の
設定
アイコン(
)
をクリックし、 [自動化]の欄にある[マクロ]をクリックします。
-
マクロの一覧
ページで、右上にある
ルールの作成ボタン
をクリックします。
-
マクロの作成画面
で、
マクロの
名前
と
詳細情報
を入力し、
[次へ]
をクリックし
ます。
-
このマクロのルールを利用できるユーザーとして、[
すべての担当者
]または[
特定の担当者
]を選択します。
-
[
特定の担当者
]を選択した場合、[担当者]/[チーム]/[役職]/[役職と部下]のいずれかを選択します。
-
[
次へ
]をクリックします。
通知の送信
-
[処理]の下で、
以下の手順を実行します:
-
追加
アイコン
(
)
をクリックして、
通知
に対応する選択リストから
[新規]
を選択します。
-
[新しい通知]画面
で、通知
の
名前
を入力します。
-
選択リストから
メールテンプレート
を選択します。
マクロの実行時に、選択したメールテンプレートを使用してメールが送信されます。
-
この通知を送信するユーザーを指定します。
グループ
、
役職
、
役職と部下
、
担当者
から選択できます。
-
他のユーザーに通知する場合は、次のオプションを有効にします。
-
データの担当者:
問い合わせの担当者
-
データの作成者:
問い合わせを作成したユーザー
-
連絡先:
問い合わせを送信した連絡先
-
追加の受信者:
コンマで区切ってメールアドレスを入力します
-
[保存]
をクリックします。
この通知は、既存のマクロまたは新しいマクロと関連付けられます。
タスクの作成
-
[処理]の下で、
以下の手順を実行します:
-
追加
アイコン(
)
をクリックし、
タスク
に対応する選択リストから
[新規]
を選択します。
-
[新しいタスク]画面
で、
件名
、
ステータス
、
優先度
、
担当者
、
期限
といったタスクに関連する詳細情報を入力します。
-
[保存する]
をクリックします。
マクロの実行時に、設定した担当者にタスクが割り当てられます。このタスクを既存のマクロまたは新しいマクロと関連付けることもできます。
項目の更新
-
[処理]
の下で、以下の手順を実行します:
-
追加
アイコン(
)
をクリックし、
項目の更新
に対応する選択リストから
[新規]
をクリックします。
-
[値の割り当ての作成]画面
で、
値の割り当て処理の名前を入力します。
-
項目
を選択し、その値を入力します。
マクロが実行されると、指定された値で項目が更新されます。
-
[保存する]
をクリックします。
設定を保存するには、[
新しいマクロ]
ページで、再度
[保存]
を
クリックします。
問い合わせの別の部門への移動
顧客サポートで顧客の問題を迅速に解決するためには、適切なチームや担当者に対する問い合わせの割り当てを効率的に行うことが重要です。問い合わせの割り当て時には、問い合わせの内容に応じて、問い合わせを別の部門に移動しなければならない場合があります。
問い合わせを別の部門に移動する際には、手動で適切な部門を選択する必要があります。また、部門に複数のレイアウトがある場合には、適切なレイアウトを手動で選択する必要もあります。このような別部門への移動処理を効率的に行うには、マクロ機能が便利です。問い合わせを適切な部門に移動し、問い合わせのレイアウトを移動先の部門のレイアウトへと変更するマクロの処理を設定すると、これらの処理をすべてワンクリックで実行できるようになります。
メモ:問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理を作成できるのは、[業務の自動化]の権限を持つユーザーのみです。また、この機能を利用できるのは、プロフェッショナルプランとエンタープライズプランのみです。
活用例
不動産業での活用例を紹介します。不動産に関する問い合わせの対応では、多くの場合、別の部門との連携が必要になります。営業部門で受信した問い合わせについて、不動産管理部門による確認や対応が必要な場合、営業担当者はマクロ機能を使用して不動産管理部門に問い合わせを移動できます。
また、移動する問い合わせのレイアウトを商業用不動産のレイアウトに設定する必要がある場合、移動後にレイアウトが商業用不動産のレイアウトに変更されるようにマクロの処理を設定することが可能です。
同様に、問い合わせを商業用不動産部門に移動し、問い合わせのレイアウトを査定用のレイアウトに変更する必要がある場合も、該当のマクロの処理を設定することにより、ワンクリックで処理を完了できるようになります。
このように、問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理により、問い合わせを最適な部門に移動するだけでなく、問い合わせのレイアウトを最適なレイアウトに変更することが可能です。適切なレイアウトへと自動で変更されることにより、移動先の部門では、問い合わせの項目にすぐに値を入力できます。また、移動後すぐに、問い合わせに対してワークフロールールの処理を自動で実行することも可能です。これにより、高いサポート品質を保ちながら、複雑な問い合わせへの対応を迅速化して、業務効率を向上できます。
さらに、別の部門への移動処理をマクロによって実行することで、部門やレイアウトの選択ミスを減らすことができます。このように、マクロを通じて問い合わせを適切な部門に適切なレイアウトで自動的に移動することにより、問い合わせを適切に管理し、割り当て業務を効率化することが可能です。
留意事項
- 各マクロルールでは、問い合わせを別の部門に移動する処理を1件のみ設定できます。
- 問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理は、[問い合わせ]タブでのみ利用できます。
- 問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理を設定するにあたって、移動先の部門を選択すると、権限に基づいて[レイアウト]項目の値が表示されます。選択した部門でカスタムレイアウト(独自に作成したレイアウト)に対するアクセス権限がない場合、[レイアウト]項目には選択肢が表示されません。この場合、問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理を実行すると、問い合わせのレイアウトは該当の部門の標準レイアウトに変更されます。一方、選択した部門でカスタムレイアウトへのアクセス権限がある場合、[レイアウト]項目の選択リストには該当の部門内でアクセス可能なすべてのレイアウトの名前が表示されます。例:管理者Aがサポート部門を選択したが、サポート部門の、どのカスタムレイアウトに対してもアクセス権限を持っていない場合、[レイアウト]項目には選択肢が表示されません。また、レイアウトを指定しないまま設定を完了した場合、このマクロの処理の実行時に、問い合わせのレイアウトはサポート部門の標準レイアウトに変更されます。例:管理者Bはサポート部門の「技術サポート」や「支払い関連サポート」などのカスタムレイアウトに対するアクセス権限を持っているため、移動後のレイアウトとして「技術サポート」や「支払い関連サポート」といったカスタムレイアウトを選択できます。
- 問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理を作成した後、別のユーザーがマクロを編集して移動先の部門や移動後のレイアウトを変更した場合、変更に関する通知は送信されませんのでご注意ください。
- マクロの表示と実行:作成時にマクロに割り当てられた担当者は、問い合わせの詳細ページから、マクロを表示して実行できます。さらに、問い合わせの一覧ページから、複数の問い合わせを選択し、複数の問い合わせに対して一括処理としてマクロを実行することも可能です。
- 無効な部門:別の部門への移動処理を設定する際に、移動先の部門として無効な部門を指定した場合、別の部門を選択するように促すメッセージが表示されます(選択した部門が無効である旨のエラーメッセージが表示されます)。
- 無効なレイアウトまたは削除済みのレイアウト:部門を移動した後に適用するレイアウトが削除されたか無効にされた場合、対象のマクロの編集時に、対象のレイアウトが無効である旨のエラーメッセージが表示されます。ただし、[レイアウト]項目は必須項目ではないため、レイアウトを指定せずに処理を保存することは可能です。レイアウトを指定せずに処理を保存した場合、移動後のレイアウトには標準レイアウトが適用されます。
- 問い合わせを別の部門に移動する処理は、対象のマクロルールの処理において最後に実行されます。つまり、他のすべての処理が実行された後に、問い合わせの移動処理が実行されます。例:マクロの設定で、最初にタスクを追加して、次に項目を更新し、最後に問い合わせを指定の部門に移動するようにした場合、タスクと項目の更新が完了した後に、問い合わせの移動処理が実行されます。
- 通知ルールの設定では、問い合わせが別の部門に移動した際に、移動先の部門の担当者に対してメール/SMSによる通知を送信する設定を有効にすることが可能です。
問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理を通じて問い合わせのレイアウトが変更された場合、以下の標準項目の値は保持されません(引き継がれません)。
システム項目(標準項目のうち、削除できない項目)は、すべて保持されます。システム項目は、部門間で共通であり、すべての部門とレイアウトで利用可能であるためです。上記以外の標準項目とカスタム項目については、移動前のレイアウトと移動後のレイアウトの両方に同じ項目がある場合に、項目の値が保持されます。
マクロで問い合わせを別の部門に移動する処理を設定するには
- 画面の右上にある[設定]アイコンをクリックし、設定画面から[自動化]→[マクロ]→[ルール]の順に移動します。
- 対象の部門を選択します。
- 新しいルールを作成して処理を設定する場合は、画面の右上にある[ルールを作成する]をクリックします。
既存のルールを編集して処理を設定する場合は、ルールの一覧から対象のルールをクリックします。 - 基本情報の編集画面で、[ルール名]を入力し、 [有効]のチェックボックスを選択します。必要に応じて、[説明]を入力します。
- [次へ]をクリックします。
- マクロの[利用制限]の設定欄で、問い合わせでマクロを表示/実行できるユーザーとして、[すべての担当者]または[特定の担当者]の担当者のいずれかを選択します。後者の場合は、選択リストで[担当者]/[役職]/[役職と部下]のいずれかを選択し、対象の担当者または役職を指定します。
- [次へ]をクリックします。
- マクロの[処理]の設定欄で[+](新規)をクリックし、[別の部門に移動する]を選択します。
部門の移動に関する設定画面で、次の手順を実施します。
- 対象のタブとしては、初期設定で[問い合わせ]タブが選択されています。
- 移動先の部門を選択します。
- 移動後に適用するレイアウトを選択します。
- [保存する]をクリックします。
マクロから問い合わせを別の部門に移動する処理を削除するには
- 画面の右上にある[設定]アイコンをクリックし、設定画面から[自動化]→[マクロ]→[ルール]の順に移動します。
- 対象の部門を選択します。
- 対象のマクロをクリックして、編集画面を開きます。
- [処理]の設定欄で、処理の一覧から、既存の[別の部門に移動する]処理の欄に移動し、削除アイコンをクリックします。
- [保存する]をクリックします。
メモ:問い合わせを別の部門に移動する処理を削除しても、すでに移動済みの問い合わせの部門やレイアウトは変更されません。
問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理の実行
問い合わせを別の部門に移動するマクロの処理は、問い合わせの詳細ページにあるマクロの実行ボタンから実行可能です。
問い合わせを別の部門に移動する処理を実行するには
- 移動したい問い合わせをクリックし、詳細ページを開きます。
- [マクロを実行する]をクリックします。
- マクロの一覧で[別の部門に移動する]処理を選択します。
マクロの無効化
マクロはいつでも有効または無効にできます。マクロを無効にすると、マクロは有効なマクロの一覧から削除され、担当者が使用できなくなります。必要に応じて、マクロを再度有効にできます。
マクロを無効にするには:
- 画面上部の 設定 アイコン( ) をクリックし、 [自動化]の欄にある[マクロ]をクリックします。
-
[マクロのリスト]
ページで、マクロに対応する
無効化
アイコン(
)をクリックします。
マクロはすぐに無効になります。マクロを再度有効にするには、[無効のリスト]
で、
有効化
アイコン(
)をクリックします。
マクロの削除
不要になったマクロは削除できます。マクロを削除すると、マクロは完全に削除され、元に戻せなくなります。
マクロを削除するには:
- 画面上部の 設定 アイコン( ) をクリックし、 [自動化]の欄にある[マクロ]をクリックします。
-
[マクロのリスト]
ページで、マクロに対応する
削除
アイコン
(
)
をクリックします。
-
[OK]
をクリックして確定します。