プロジェクトの計画値とは、スケジュールに応じて予定されているコストです。その時点で完了していると想定される作業分に応じた金額を表します。ある時点において基準となるコストを把握するのに役立ちます。 たとえば、プロジェクト全体のコスト(予算)が5,000万円であり、今日の時点で作業の50%が完了する予定だとします。この場合、今日の時点におけるプロジェクトの計画値は5,000万円の50%で2,500万円と算出されます。これは、今日の時点までに予定どおりに作業が進んでいれば、2,500万円分の作業が完了していることを表します。
プロジェクトの出来高(アーンドバリュー)とは、実際に行った作業に基づいて算出された、実績に相当する金額を表します。実際に完了した作業が、プロジェクト全体のコスト(予算)のうち、どのくらいの金額に相当するかを確認できます。じ たとえば、プロジェクトのある時点において、計画では全体の50%の作業が完了している予定だったのに対し、実際には40%しか完了していなかったとします。この場合、計画値は5,000万円の50%で2,500万円ですが、出来高は5,000万円の40%で2,000万円と算出されます。これは、本来は2,500万円分の作業が終わっていなければならないのに対し、2,000万円分の作業しか終わっていないことを意味します。
出来高(EV:Earned Value) = 予定コスト合計 × 実績完了度
コスト差異(CV:Cost Variance)
コスト差異とは、プロジェクトのある時点において完了している作業分について、予定されていたコスト(予算)と実績として発生したコストの差を表します。具体的には、出来高と実績コストの差によって算出されます。 たとえば、プロジェクト全体のコスト(予算)が5,000万円であり、プロジェクトの作業全体の40%が完了した時点で実績コストが2,100万円だったとします。この場合、出来高は5,000万円の40%で2,000万円であり、コスト差異は2,000万円-2,100万円により-100万円と算出されます。これは、その時点で完了した40%の作業分について、想定よりも100万円多くコストがかかっていることを表します。マイナスの値は、その時点でプロジェクトにかかっているコストがすでに予算を超えていることを表します。プラスの値は、その時点でプロジェクトにかかっているコストが予算内に収まっていることを表します。ゼロは、その時点でプロジェクトにかかっているコストが予算と一致していることを表します。
コスト差異(CV:Cost Variance) = 出来高 - 実績コスト
スケジュール差異(SV:Schedule Variance)
スケジュール差異は、プロジェクトにおける予定のずれを表します。具体的には、出来高と計画値の差によって算出されます。たとえば、プロジェクト全体のコスト(予算)が5,000万円であり、ある時点においてプロジェクトの作業全体の50%の完了が予定されていたところ、40%のみが完了したとします。この場合、出来高は5,000万円の40%(実際の完了度)で2,000万円、計画値は5,000万円の50%(予定されていた完了度)で2,500万円と算出されます。上記から、スケジュール差異は、2,000万円-2,500万円により、-500万円と算出されます。これは、その時点で、予定よりも500万円分の遅れが発生していることを表します。マイナスの値は、プロジェクトが予定より遅れていることを表します。プラスの値は、プロジェクトが予定より前倒しで進んでいることを表します。ゼロは、プロジェクトが予定通りに進捗していることを表します。
スケジュール差異(SV:Schedule Variance) = 出来高 - 計画値
スケジュール効率指数とは、日程面におけるプロジェクトの効率性を表します。具体的には、出来高を計画値で割ることによって算出されます。上記の例のように、出来高が2,000万円で計画値が2,500万円の場合、SPIは2,000万円÷2,500万円で0.8となります。SPIの値が1より小さい場合、プロジェクトが予定より遅れていることを表します。1以上の値の場合、プロジェクトが予定どおりに進んでいること(プロジェクトの日程が効率的に進んでいること)を表します。
スケジュール効率指数(SPI:Schedule Performance Index) = 出来高 ÷ 計画値
コスト効率指数とは、コスト面におけるプロジェクトの効率性を表します。出来高を実績コストで割ることによって算出されます。上記の例のように、出来高が2,000万円で実績コストが2,100万円の場合、CPIは2,000万円÷2,100万円で0.95となります。CPIの値が1より小さい場合、プロジェクトで完了した作業に相当する金額が、実際にかかったコストを下回っていて、予算を超過していることを表します。1以上の値の場合、プロジェクトで完了した作業に相当する金額が、実際にかかったコストを上回っていて、コスト効率が高い(1単位当たりのコストに対してより高い価値を生み出している)ことを表します。
コスト効率指数(CPI) = 出来高 ÷ 実績コスト
予測コスト(定型)
予測コスト(定型) とは、ある時点における作業完了度に基づいて算出される、プロジェクト全体のコストの予測値です。
予測コスト(定型) = 実績コスト × 100 ÷ タスクの完了度
予測コスト(非定型)
予測コスト(非定型)とは、プロジェクトにおける現在までの実績と残りの作業分の予定コストに基づいて算出される、プロジェクト全体のコストの予測値です。
予測コスト(非定型) =
(((100 - 完了度) × 予定コスト)÷100) + 実績コスト
このグラフでは、プロジェクトの全体的な実績を視覚的に確認できます。横軸はコスト効率指数(CPI:Cost Performance Index)、縦軸はスケジュール効率指数(SPI:Schedule Performance Index)を表します。