利用条件
プラン:エンタープライズ | Zoho One | アルティメット | Zoho CRM Plus
ユーザーライセンス数:エンタープライズプランまたはアルティメットプランの場合は、20人分以上のユーザーライセンス
データセンター:すべてのデータセンター
概要
Ziaスコアは、ZohoのAIアシスタントである「Zia」(ジア)がさまざまなデータを自動で評価し、営業活動の適切性や受注の可能性などを具体的な点数で示してくれる機能です。情報の評価結果を数値で分かりやすく示す仕組みとしては、Ziaスコアの他にもいくつかの機能があります。たとえば、セグメンテーションの機能では、最終購入日、購入頻度、購入金額などをもとに顧客にスコアを付け、購買傾向が似ている顧客同士をグループ化できます。
Ziaスコアの特徴
セグメンテーションとZiaスコアは、評価結果を数値化して分かりやすく示すという点は共通していますが、Ziaスコアの場合は、分析データの検出からスコアの算出までのすべてが自動で行われます。Ziaは、各タブの項目に保存されている情報だけでなく、顧客とのやりとりの内容や、連携されている外部サービスの情報も含め幅広いデータを分析できます。ユーザーがスコアリングルールの設定で、スコアを表示したいタブとスコアの種類を設定すれば、あとはZiaによって必要な情報が分析され、自動的にスコアが算出されます。
Ziaスコアでは、さまざまなタブの情報を活用して、複数の種類のスコア(関係性、反応、フォローアップ、変換、項目の属性)を算出できます。Ziaスコアの結果は、手動によるスコアと同様に使用できるので、自動化処理の設定にも活用できます。また、スコア付けの設定を自社の要件に合わせて調整し、業務上の意思決定や業績予測などに直接的に役立つスコアを生成することも可能です。
Ziaがスコア付けの際に分析する情報
Ziaがスコア付けを行う際に分析する情報は、タブおよび関連タブのデータ、シグナルとして通知される活動のデータ、Zoho CRMに連携されている外部サービスのデータなどです。Ziaはこのようなさまざまな情報を分析し、最終的に「関係性」「反応」「フォローアップ」「変換」「項目の属性」というスコアの点数を算出します。具体的な点数が示されることで、作業の優先順位の決定や担当者の効率的な割り当てが容易になります。
Ziaスコアを利用するメリット
Ziaスコアの機能は、以下のような場面で役立ちます。
- 特定のタブに登録されているデータに自動で優先順位を付ける(手動で条件を設定したり点数を付けたりする必要はありません)。
- 各データに付けられた点数を分析して、今後の戦略を練る。
- スコアにもとづいて顧客をグループ分けし、グループごとに適切なマーケティング/セールス活動を展開する。
- スコアの詳細として表示されるプラス要因とマイナス要因を参考に、どのようなマーケティング戦略に効果があり、どのような改善が必要なのかを検討する。
- 顧客に対してどのようなコミュニケーションが効果的なのかを探る。
- タブの画面にスコアを表示し、営業担当者が次に何をすべきかを明確にすることによって、作業の効率を上げる。
スコアの種類と学習データ
Ziaがデータを分析するときに重要な役割を果たすのが学習データです。Ziaは理想的なデータと理想的ではないデータの両方を学習し、それらを比較してデータ内にパターンを見つけ出してスコアを算出します。このため、理想的なデータと理想的ではないデータの条件を指定して適切な学習データを用意することが大切です。なお、Ziaがパターンを検出するには、理想的なデータと理想的ではないデータのそれぞれについて、75件以上のデータが必要です。
学習データを必須としないスコア
顧客とのやりとりに関するデータについてスコアを算出する場合は、あらかじめ決められたチャネルや要素(通話、メール、メールの印象分析による肯定的/否定的の件数、その他の分析結果、予定、商談履歴など)が使用されます。このため以下に挙げる3つのスコアは、特定のアルゴリズムに従って自動で算出することが可能であり、学習データは必須ではありません。
1. 関係性のスコア
顧客の満足度、サービスの利用パターン、支払いの履歴、サポート窓口への問い合わせの履歴などを分析して、顧客との関係性の状態を総合的に評価します。
関係性のスコアは、プロセスやゴールが明確に定義されているタブのデータを評価する場合ではなく、顧客との接点を幅広く分析して評価を行いたい場合に適しています。このスコアでは、たとえば、購入された製品、その際の商談、実施したやりとり、寄せられた問い合わせ、対象となったキャンペーンなどがすべて分析されます。また、顧客からの反応や、担当者がフォローアップとして行った活動も評価の対象になります。
例:サブスクリプション型サービスの顧客についてスコアを算出する場合は、サービスの利用頻度、よく利用している機能、問い合わせ(解決済み/未解決)の履歴、NPS(顧客推奨度)などの情報が分析されます。このスコアが高い顧客は、サービスへの満足度や関与度が高いことになります。
2. 反応のスコア
選択したタブと、通話、メール、予定などの関連タブのデータを分析して算出されるスコアです。
このスコアは、シグナルとして通知されるさまざまなデータをもとに、顧客や見込み客がどの程度の関心を持っているか、どのような反応を見せているかを評価します。このスコアに影響する要素は、メールの開封、クリック、Webサイトへのアクセス、ソーシャルメディアでのやりとり、マーケティングキャンペーンへの反応などです。
例:ブランドからのSNS投稿に対し、顧客がどの程度頻繁に反応を見せているかを分析してスコアを算出できます。このスコアが高い顧客は、反応が多く、関心が高いことになります。
3. フォローアップのスコア
営業担当者によるフォローアップに関するスコアです。シグナルのうち、担当者から開始した活動のデータをもとに、フォローアップ活動の有効性を分析します。
担当者からのメッセージの発信やその他の行動について、タイミングや内容が適切だったか、どのような効果があったかが評価されます。
例:顧客と通話をした後のフォローアップとして、内容をまとめたメールを適切なタイミングで送信したか、次回の打ち合わせを設定したか、約束した情報や資料を送信したか、などの情報をもとにスコアを算出します。このスコアが高いことは、積極的で効率的なフォローアップが実施されていることを意味します。
学習データを必須とするスコア
「変換」または「項目の属性」のスコアを算出する場合は学習データが必須です。これらのスコアは、特定の成果を達成できるかどうかの予測に適しています。Ziaは、理想的なデータとして指定された学習データから成果の達成基準を学び、さまざまな項目の値をプラスまたはマイナスと評価してスコアを算出します。
4. 変換のスコア
[見込み客]や[商談]のタブなど、顧客の進むプロセスが定義され、ゴールが決まっているタブに適したスコアです。
このスコアは、決められたゴールに達する可能性を示します。学習データとともに、選択した関連タブすべてからの情報を分析して、ゴールに達するかどうかを予測します。
例:[商談]タブを対象とするスコアリングルールを作成するとします。理想的なデータとして「ステージが受注である」という条件を指定します。さらに、関連タブの理想として「受注書が存在する」という条件も指定します。Ziaは、商談が関連付けられている受注書の全データを学習データとして使用します。さらに、商談そのもののデータ(通話、メール、予定など)も使用してスコアを算出します。
見込み客を対象とする変換スコアの設定
見込み客が顧客に変換される可能性を示すスコアを作成できます。この場合は、見込み客の行動、属性情報、反応のパターンなどが評価の対象になります。
例:見込み客の流入経路の信頼性、育成のために実施した活動、見込み客の属性、同種の見込み客の変換率などを使用して、見込み客の変換スコアを算出できます。このスコアが高い見込み客は、顧客に変換される可能性が高いことになります。
商談を対象とする変換スコアの設定
商談を通じて受注や契約更新などの目標が達成される可能性を示すスコアを作成できます。この場合は、過去のデータ、予測分析の結果、関連する外部要因などが分析されます。
例:営業チームでは、受注確率を示すスコアを作成できます。このスコアでは、過去の受注実績、競合他社に関する情報、市場の傾向などを分析して受注の可能性を予測します。このスコアが高い商談は、受注に至る可能性が高いことになります。
5. 項目の属性のスコア
選択したタブの項目の属性や、そこに入力されている値にもとづいて自動的に算出されるスコアです。
タブに保管されている情報の適切性、網羅性、正確性などを評価できます。
例:営業チーム用のタブに[見込み客の有望性]という項目を作り、その項目に、見込み客の流入経路、業界、企業規模、連絡先情報の充実度などをもとに算出したスコアを表示できます。このスコアが高い見込み客は、情報が十分に集まっていて有望であることになります。
必要な権限
設定ページにアクセスするには[設定の管理]の権限が必要です。
Ziaスコアの設定手順
- [設定]→[自動化]→[スコアリングルール]に移動します。
- [種類]として、[Ziaスコア]を選択します。

- Ziaスコアを適用するタブとそのレイアウトを選択します。
- 必要に応じて説明を入力し、[次へ]をクリックします。

- 適用するスコアの種類を選択し、スコア付けの対象とするデータを指定します。

[学習データ]の欄で、理想的なデータと理想的ではないデータの条件をそれぞれ指定します。Ziaは、それぞれの条件に一致するデータを抽出し、それを学習データとして使用します。この条件の定義には、最初に適用対象として選択したタブと、そのタブの関連タブの両方を使用できます。

メモ:「変換」または「項目の属性」のスコアを適用する場合、学習データの設定は必須です。
-
[保存する]をクリックします。
メモ
- Ziaスコアの算出には、ある程度の量のデータが必要です。このため、Ziaスコアの算出が開始されるのは、Zoho CRMの組織に200件以上のデータが登録されてからになります。
- Ziaスコアの機能を有効にすると、十分な量のデータが存在するかがチェックされます。データが不足している場合は、その旨のメッセージが表示されます。
- Ziaがデータの分析を開始してからスコアが算出されるまでの時間は、数分の場合もありますが、24時間程度かかることもあります。
- Ziaスコアを適用したタブに対しても、手動のスコアリングルールは通常どおり設定できます。
設定したスコアリングルールに従って算出されたZiaスコアは、各データの詳細ページの[Ziaスコア]という欄に表示されます。
100点満点で算出されたスコアは、以下の基準に従って、[要改善]、[良い]、[とても良い]のいずれかに分類されます。
- 要改善:0~50点
- 良い:51~75点
- とても良い:76~100点
Ziaスコアの表示欄で[スコアカードを表示する]をクリックすると、その点数が算出された要因などの詳細が表示されます。こうした詳細を調べることによって、良い点と、改善の余地がある点を把握でき、今後の営業方針などをスムーズに検討できます。
データの詳細ページでは、関連リストの欄に、そのデータに設定されているすべてのスコアリングルールとそのスコアの種類が一覧されます。
フィルターの条件としての使用
スコアリングルールはフィルターの条件としても使用できます。フィルターで抽出したデータには、一括処理(メールの送信、データの更新、タグの追加など)を実行できます。
たとえば、関係性のスコアが30点未満の顧客に対してメールを送りたい場合は、フィルターの条件にスコアリングルールを使用することで対象の顧客を抽出できます。
モデルの状態に関する情報
スコアリングルールの設定ページから、モデルの現在の状態を確認できます。モデルの状態には、以下の種類があります。
モデルが正常に作成されている
この状態は、スコアリングルールの設定に従ってスコアが生成されていることを示しています。各データの詳細ページに移動すると、[Ziaスコア]の欄で実際のスコアとその詳細を確認できます。スコアリングルールの設定ページでは、下図のポップアップ画面内に表示されている、赤色の矢印で示した数字をクリックすると、そのスコアリングルールによってスコアが生成されているデータの一覧を表示できます。

パターンの生成やスコアの算出ができていない場合は、以下のいずれかの状態になります。
データの品質が低い
この状態になる原因としては、タブの項目に同じような値が多く登録されている、値が入力されていない項目が多い、関連情報が不足しているなどが考えられます。学習データの内容を変更するか、ルールの条件を変更する必要があります。
データを待っている
この状態は、データの件数が少なく、Ziaがパターンを生成できないことを示しています。Ziaスコアの算出には200件以上のデータが必要です。この状態の場合、Ziaは、分析やスコアの算出に十分な量のデータがあるかどうかを常にチェックしながら、データが増えるのを待っています。また、学習データを使用する場合は、理想的なデータと理想的ではないデータがそれぞれ75件以上必要です。学習データが不足している場合も、この状態になります。
システムエラー
この状態は、システムの内部で何らかのエラーが発生している可能性を示しています。モデルがこの状態になった場合は、Zohoのサポート窓口にお問い合わせください。
フィードバック
Ziaスコアの表示欄には、フィードバックを送信できるように高評価/低評価のボタンが用意されています。点数やその詳細説明に満足した場合は、高評価ボタンをクリックしてください。
満足できなかった場合は、低評価ボタンをクリックして、改善が必要な点をお知らせください。

Zoho CRMの他の機能での活用
Zoho CRMの組織でZiaスコアを有効にすると、[Ziaスコア]というカスタム項目が作成されます。このため、条件や入力に項目を使用するさまざまな機能でZiaスコアを活用できます。たとえば、フィルター条件やデータ一覧の作成のほか、レイアウトルール、ワークフロールール、ブループリント、承認プロセス、設定のコピー、監査ログや履歴の表示などに活用できます。
制限事項
- Ziaスコアは、現在のところ、既存のデータ(Ziaスコアを有効にする以前から存在していたデータ)には適用されません。ただし、既存のデータでも、Ziaスコアを有効にした後に新しく編集を行ったデータは新しいデータとして扱われるため、Ziaスコアの対象になります。編集が行われていないデータは古いデータとみなされ、Ziaスコアの対象から除外されます。
- 手動のスコアリングルールでは、ルールごとに新しいデータのみに適用するか、古いデータにも適用するかを選択できます。一方、Ziaスコアのルールは、ルール作成日の次の日以降に追加された全データに適用されるように自動で設定されます。
- エンタープライズプランでは、1つの組織アカウント内で最大5件のスコアリングルールを作成できます。
- アルティメットプランでは、1つの組織アカウント内で最大10件のスコアリングルールを作成できます。