概要
Zoho CRMにあらかじめ用意されているAI機能として、「Zia」(ジア)があります。Ziaによる標準のAI機能を利用すると、Zoho CRM内の過去のデータに基づく予測や分析を確認し、顧客との関係を強化できます(例:解約予測、Ziaによるレコメンドなど)。ただし、これらの標準のAI機能はあらかじめ用意されている範囲でしか利用できません。一方、Zohoが提供している開発プラットフォームの「Catalyst」(カタリスト)にも、AI関連の機能が用意されています。その1つが、自社独自のニーズに合わせたAIモデル(機械学習モデル)を構築することのできる「QuickML」(クイックエムエル)です。Zoho CRMのQuickML連携では、QuickMLの機能を利用して、Zoho CRMのデータを活用した独自のAIモデルを作成できます。これにより、標準のAI機能では対応できないような課題や分析要件についても、独自のAIの機能を活用して対応することが可能になります。
連携すると、Zoho CRMのアカウント内からCatalystのQuickMLの画面に直接アクセスし、学習データの前処理、AIモデルの作成、学習、適用、評価、分析まで、独自のAI機能を利用するために必要なすべての処理をかんたんに行うことが可能です。
この記事では、QuickML連携機能の活用方法や特徴について説明します。
この機能は、エンタープライズプランでのみ利用可能です。
QuickML連携の活用
顧客データに基づく分析や予測は、営業部門のマネージャーが担当することも多くありますが、事業規模が大きくなればなるほど単独で分析や予測を行うことは困難になります。
そのため、大企業では、データ分析やデータ予測を専門に担当するチームが設置されていることがよくあります。
Zoho CRMのQuickML連携を利用すると、そのような専門のチームを設置しなくても、組織のデータをもとに独自のAIを作成し、データの分析や予測をかんたんに行うことが可能です。
たとえば、ヘルスケア事業を展開する大企業では、QuickML連携を利用して、顧客の翌年の健康状態を予測するAIモデルを作成できます。これにより、健康状態の大幅な改善を必要とする顧客に対して積極的な働きかけを行うことが可能です。
このように、Zoho CRMのQuickML連携を利用することで、組織の事業内容や業務に合わせたデータ分析やデータ予測を実現できます。
QuickMLとは
QuickMLは、Catalystの機械学習ツールです。QuickMLを利用すると、プログラミングのコードを使用しなくても、独自のAIモデルの作成できます。さまざまなデータ元からデータを読み込み、データの前処理(クリーニングや変換など)を実行することが可能です。また、指定した学習方法でデータを学習させ、予測モデルを作成できます。さらに、作成した予測モデルの精度を評価したり、利用状況を分析したりすることも可能です。
Ziaの標準のAI機能
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QuickML連携による独自のAI機能
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Zoho CRM内に保存されているデータに基づく予測機能やレコメンド機能などをすぐに利用できます。
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プログラミングのコードを使用しなくても、独自のAIモデルをかんたんに設計、構築、適用できます。
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データの処理方法を詳細に指定することはできません。
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学習データの前処理やモデルの設定に関するカスタマイズが可能です。
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QuickML連携の特徴
- Zoho CRM内から独自のAIをすばやく作成することが可能です。
- データの前処理や学習方法に関する設定をカスタマイズできます。
- 組織の事業内容や業務に合わせた独自のAI分析やAI予測が可能です。