メール構文解析とは、受信したメールからデータを抽出するための機能です。見込み客のデータを取得したり、既存の顧客のデータを更新したりするのに役立ちます。メール構文解析機能を使用すると、受信したメールからのデータの抽出/登録処理を自動化できます。メールから取得したデータは、指定したタブに保存されます。これらを通じて、見込み客のデータを手動で登録/更新する手間を省くことができます。
メール構文解析を利用するにあたって、テンプレート(ひな形)となるメールをもとに、CRMへの登録対象となる語句と、CRM内の特定の項目を関連付ける必要があります。新しいメール構文解析機能では、これらの語句と項目の関連付け方法や設定方法がより簡単になりました。
このページでは、新しいメール構文解析機能について説明します。また、以前のバージョンのメール構文解析機能との主な違いについても説明します。
メール構文解析機能の新しいバージョンと以前のバージョンの違い
内容 | 以前のバージョン | 新しいバージョン |
1.設定
| 設定方法は複雑でした。選択内容の前後の語句(または区切り文字)が適切でない場合、正しく解析されませんでした。
HTML形式のメールの場合、解析するにはプレーンテキスト(書式なしのテキスト)に変換する必要がありました。
| 設定方法は簡単です。新しいバージョンのメール構文解析では、登録対象となる語句とCRM内の特定の項目を簡単に関連付けることができます。
HTML形式のメールの場合でも、プレーンテキスト(書式なしのテキスト)に変換せずに解析することが可能です。
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2.構文解析用メールアドレス | 構文解析ルールを作成するたびに構文解析用メールアドレスを設定する必要がありました。 | 構文解析用メールアドレスは、すべての構文解析ルールで共通です。複数の構文解析用メールアドレスを設定する必要はありません。 |
3.登録対象の語句とCRM内の項目の関連付け | テンプレート(ひな形)となるメールにおいて、選択内容の前後の語句(または区切り文字)を厳密に指定する必要がありました。設定が難しく、語句が正しく解析されない原因になっていました。 | テンプレート(ひな形)となるメールにおいて、選択内容の前後の語句(または区切り文字)を厳密に指定する必要はありません。登録対象となる語句とCRM内の特定の項目を簡単に関連付けることができます。 |
4.承認済みメールアドレス | 構文解析ルールごとに承認済みメールアドレスを設定する必要がありました。また、設定の最後の手順で承認済みメールアドレスを追加する必要がありました。 | 設定の最初の手順で承認済みメールアドレスを追加できます。これにより、構文解析用メールアドレスに対してメールを送信する際のエラーを少なくすることが可能です。 |
5.カスタム関数 | 以前のバージョンでは利用できませんでした。 | カスタム関数を通じて、取得したデータをもとに独自の処理を設定できます。構文解析を通して取得したデータをもとに、Zoho CRMの複数のタブのデータを更新したり、外部サービス/アプリケーションで特定の処理を実行するように設定したりすることが可能です。 |
6.レイアウト | 以前のバージョンでは利用できませんでした。 | 構文解析ルールでレイアウトを設定できます。指定したタブにおいて、各構文解析ルールにそれぞれレイアウトを個別に設定することが可能です。 |
7.構文解析に関するレポート | 以前のバージョンでは利用できませんでした。 | 指定したメールアドレス宛てに構文解析に関するレポートを送信するように設定できます。 |
8.メール送信を通じたデータの更新/承認 | 以前のバージョンでは利用できませんでした。 | メール構文解析を通じて取得したデータをもとに、Zoho CRM内の既存のデータを更新できます。また、データを追加/更新する前に、承認を申請することも可能です。 |
9.構文解析ルールの優先度の設定/フィルターの適用 | 以前のバージョンでは利用できませんでした。 | 複数の構文解析ルールが設定されている場合において、適用する構文解析ルールの優先度を設定できます。また、構文解析ルールのステータスや対象のタブをもとに、ルールを抽出することも可能です。 |
新しいバージョンと以前のバージョンの違い(画像)
設定画面
以前のバージョン
新しいバージョン
構文解析用メールアドレスの画面
以前のバージョン
新しいバージョン
登録対象の語句とCRM内の項目の関連付け画面
以前のバージョン
新しいバージョン
承認済みメールアドレスの設定画面
以前のバージョン
新しいバージョン
カスタム関数
メール構文解析では、解析したデータをもとに独自の処理を実行するように設定できます。通常、構文解析ルールを設定する際には対象となるタブを指定する必要があります。独自の処理を実行する場合は、特定のタブを対象として選択せずに設定します。これにより、取得したデータをより柔軟に処理でき、データを他のシステムに送信したり、データに対して独自の更新処理を行うように設定したりすることが可能です。たとえば、構文解析を通じて取得したデータをもとに、Zoho CRMの複数のタブのデータや他のZohoサービスのデータを更新したり、外部サービス/アプリケーションで特定の処理を実行するように設定したりすることができます。
例をもとに説明します。不動産事業を運営する会社があるとします。この会社では、メール構文解析を通じて取得したデータをもとに、Zoho CRMに複数のデータを追加したいと考えています。メール内の差出人メールアドレス、電話番号、住所は[連絡先]タブに、会社情報は[取引先]タブに追加します。また、この会社では、不動産のWebサイトに自社が管理する不動産の情報を掲載しており、顧客からメールにて内見や入居の申し込みがあったら、該当の物件の空き状況を自動的に内見中や成約済みに更新してWebサイトに反映したいと考えています。
このように、取得したデータをもとに独自の処理を設定したい場合に、カスタム関数が役立ちます。この例では、メールの文面から抽出したデータを、物件の空き状況を管理するシステムに反映する処理を設定します。これにより、メールを受信するたびにデータが解析され、関連付けられている処理が自動で実行されます。
レイアウト
同一内のタブに設定されている複数の構文解析ルールにおいて、レイアウトを個別に設定することができます。たとえば、[見込み客]タブにおいて「物販」と「サービス」の問い合わせに関するレイアウトが設定されている場合、各レイアウトのデータを解析し、レイアウトごとにデータを整理することが可能です。
データの更新/承認の申請
データの更新処理では、メール構文解析で取得したデータをもとにZoho CRM内の既存のデータを更新することができます。
たとえば、見込み客である川根花子さんからメールを受信したとします。通常、メール構文解析では取得したデータをもとに新しいデータが作成されます。データの更新処理では、システムによってZoho CRM内に川根花子さんのデータがあるかどうか照合され、メール内のデータとZoho CRM内のデータか一致しているか確認が行われます。変更内容がある場合は、最新のデータに更新されます。データの更新処理を設定するには、構文解析ルールの詳細設定の項目で[データを更新する]にチェックを入れます。メモ:Zoho CRM内の既存のデータとの照合は、メールアドレスをもとに行われます。
そのため、データの更新処理を設定するには、メールの内容と[メールアドレス]の項目を関連付ける必要があります。メール構文解析では、構文解析を通じてメールの内容をもとにデータを更新するにあたって、メールアドレスをもとに更新対象データが特定されます。
また、メール構文解析では、データを追加/更新する前に承認を申請するかどうかを指定できます。こちらの設定を有効にすると、構文解析を通じて取得されたデータをZoho CRMに追加/更新する前に、他のユーザーによる承認が必要となります。承認が申請されたデータは、該当のタブの[承認待ち]の項目に追加されます。
構文解析に関するレポート
メール構文解析の設定が完了し、構文解析用メールアドレス宛てにメールが送信されると、メールからデータが抽出され、指定した処理が実施されます。設定画面では、メール構文解析の概要を確認できます。構文解析ルールが実施された日付/回数、データが追加された回数などを確認することが可能です。概要に記載されている情報をもとに構文解析ルールを編集することもできます。構文解析に関するレポートは、構文解析ルールの作成者または指定したメールアドレス宛てに週に1度送信されます。また、構文解析に失敗した場合やCRMにデータを追加できなかった際には通知が送信されます。通知をもとに詳細を確認することが可能です。
構文解析ルールの優先度の設定/フィルターの適用
複数の構文解析ルールが設定されている場合において、適用する構文解析ルールの優先度を設定できます。複数の構文解析ルールが作成されている場合、設定画面の一番上に表示されている構文解析ルールが適用されます。構文解析ルールの設定画面で構文解析ルールの順番を並べ替えることで、構文解析ルールの優先度を設定することが可能です。
また、構文解析ルールのステータスや対象のタブをもとに、ルールを抽出することも可能です。
上記のとおり、新しいバージョンの構文解析ルール機能では、以前のバージョンに比べてより簡単に設定することができます。
新しいバージョンのメール構文解析機能への移行方法
新しいバージョンのメール構文解析機能に切り替えるには、以下の手順を実施します。
切り替え手順は簡単です。また、切り替えた後に以前のバージョンに戻すこともできます。
新しいバージョンのメール構文解析機能に切り替えるには:
- [設定]→[チャネル]→[メール]の順に移動し、[メール構文解析]タブで[構文解析機能の新バージョンに切り替える]をクリックします。
- 確認画面で、[構文解析機能の新バージョンに切り替える]をクリックします。
こちらの画面から以前のバージョンに切り替えることもできます。
留意事項:
- 新しいメール構文解析機能に切り替えても、既存の構文解析ルールは保持されます。
- 構文解析ルールは、[メール構文解析]タブ内または[メール]タブ内から作成できます。[メール]タブ内から作成する場合、対象のメールを開いて[ルールを作成する]をクリックします。
よくある質問
1.新しいメール構文解析機能に切り替えた後、以前のバージョンで作成した構文解析ルールは使用できますか?
はい。新しいメール構文解析機能に切り替えても、既存の構文解析ルールは保持されます。新しいメール構文解析機能に切り替えた後、以前の構文解析ルールの条件に一致するメールを受信すると、該当のメールからデータが取得されます。
2.新しいメール構文解析機能で作成した構文解析ルールと以前のバージョンで作成した構文解析ルールの両方を使用することはできますか?
はい。以前のバージョンが廃止されるまでの間は、新しいメール構文解析機能で作成した構文解析ルールと以前のバージョンで作成した構文解析ルールの両方を使用できます。以前のバージョン廃止後、以前のバージョンで作成した構文解析ルールを引き続き使用するには、構文解析用メールアドレスを新しいものに変更する必要があります。
3.新しいメール構文解析機能の構文解析用メールアドレスと以前のバージョンの構文解析用メールアドレスの両方に対してメールのコピーを送信した場合、メールはどちらの構文解析用メールアドレスで解析されますか?
新しいメール構文解析機能の構文解析用メールアドレスと以前のバージョンの構文解析用メールアドレスの両方に対してメールのコピーを送信した場合、はじめに[CC]の欄に入力した構文解析用メールアドレスによってメールが解析されます。