ブループリントの概要

ブループリントの概要

概要

 
どの組織でも、業務の進め方やプロセスには、一定の手順やルールがあります。たとえば、見込み客の情報を登録する際のルール、見積もりの手順、商談化の判断基準などです。各担当者は、定められた手順やルールに則って業務を進める必要があります。Zoho CRMのブループリントの機能を活用すると、業務全体の流れや、各段階(ステップ、フェーズ、ステージ)ごとに行うことなどを明確にできます。営業担当者が、細かな手順やルールを覚えていなくても、スムーズに業務を進めることが可能です。
 
ブループリントの設定は簡単で、すぐに利用を開始できます。営業担当者は、画面上に表示される手順に従って業務を実行すればよく、1つの手順が完了すると、次の手順が自動的に提示されます。これにより、対応の間違いや対応漏れを避けることができます。チームのマネージャーなど、管理者が、各担当者の対応方法が適切かどうかを細かにチェックする必要がなくなります。

 

ブループリントのメリット

Zoho CRMのブループリント機能を活用すると、業務ルールや手順を設定して明確化できるだけでなく、業務の進捗状況も把握できます。業務の遅延状況やその原因を把握するのにも役立ちます。
 
ブループリントのメリットは、次の通りです。
 
  • 業務プロセスにおけるルールや手順を設定できます。
  • ドラッグ&ドロップだけで簡単に設定できます。
  • 業務プロセスの段階別に担当者を設定できます。たとえば、商談のステージごとに担当者を決めておくことが可能です(例:商品/サービス説明の担当者と、見積書作成の担当者を別々に設定する)。
  • 業務プロセスの各段階において実行すべきタスクや作業手順を設定できます。
  • さまざまな業種や業務内容に合わせてカスタマイズできます。
  • ある段階から次の段階に進むための条件やルールを設定できます(例:見込み客のステータスや商談のステージを次に進める条件)。営業担当者ごとの個人判断で処理を進めてしまい、ずれや漏れが出てしまうのを防げます。
  • また、各段階で作業が完了した後の処理を自動化することもできます(メールの送信、タスクの作成、タグの追加など)。
  • 各段階で対応するべきことについて、営業担当者向けに表示できます。マニュアルやルールを確認しなくても、すぐにやるべきことを把握できます。
  • 業務の進捗状況を把握できます。遅延やその原因も把握することも可能です。
  • 営業マネージャーが営業担当者に細かい確認をする必要がなくなり、全体の状況もつかみやすくなります。
  • 業務プロセスに関するデータをレポートで分析できます(例:段階ごとのデータ数、ある段階から次の段階に進むのにかかった平均時間)。
  • 見込み客のデータが特定の段階に達したときに、取引先/連絡先/商談のデータに自動的に変換するように設定できます。
  • 見込み客のステータスが一定期間変わっていない場合に、担当者やその上司に通知を送信できます。対応漏れを防止することが可能です。
  • データ入力時に下書き保存が可能です。後からデータを追加することもできます(必須項目であっても、後から追加できます)。
  • 各項目に入力されたデータの正確性を検証するルールを設定できます。
 
上記のように、ブループリント機能は、さまざまな業務プロセスの標準化、自動化、効率化に役立ちます。
 

 ブループリントの構成要素とその機能 

ブループリントの構成要素
  • 状態
  • 遷移(遷移前、遷移中、遷移後の処理)

状態と遷移の概要:

 
状態:状態とは、業務プロセスにおける各段階(ステップ、ステージ、フェーズ)です。
 
一般的な営業プロセスでは、見込み客は、次のようなステータスをたどります。
 
選別前 → 見込みあり → 要件確認済み → 提案済み → 交渉中 → 受注/失注
 
ブループリントでは、このようなステータスの変遷を設定することが可能です。ブループリントを作成する際は、対象データのステータスやステージを「状態」として設定していきます(例:見込み客のステータス、商談のステージ)。状態は、ドラッグ&ドロップで設定できます。

遷移:


遷移は、ある状態から次の状態に移るための条件や行動を表します。言い換えると、業務プロセスにおいて、どのような条件が満たされたら、あるいはどのような行動が行われたら、段階(ステップ、ステージ、フェーズ)が進むかを意味します。
 
たとえば、[選別前]の状態から[見込みあり]の状態へは、[見込み客の選別]という遷移をたどります。
 
選別前 ――――――――――――――→ 見込みあり
                          見込み客の選別
 
ブループリントは、状態と遷移を組み合わせて作成されます。遷移には、状態が変更される場合の条件や行動を設定します。

 
遷移前、遷移中、遷移後の処理:
 
遷移の処理の設定は、遷移前、遷移中、遷移後の3つのパートに分かれています。
例を挙げてみてみましょう。見込み客への電話応対に対する反応で、見込み客を選別するとします。電話でのやりとりを通じて、見込み客が購入を希望している商品や要望を把握します。その際の反応に応じて見込み客を[見込みなし]と[見込みあり]に分類します。[見込みあり]の見込み客には、やりとりを通じて得た情報をもとに、要件や要望にあった商品の情報を記載したメールを配信するといった対応を、遷移を通じて進めることができます。
 
以下では、3つのパートごとに、遷移の処理を設定する流れを説明します。
 
遷移前:
遷移の設定時には、まず以下を行います。
 
  • 遷移を実行する担当者を設定します。  通常、データの担当者を、遷移の担当者として設定します。
  • 遷移の操作を有効にする条件(遷移用のボタンを表示する条件)を設定します。たとえば、見込み客のステータスが[選別前]の場合にのみ、[選別済み]の遷移の操作を有効にするように設定します。遷移を実行可能にする条件を設定する必要がない場合(条件なく遷移を実行できるようにする場合)は、この設定は不要です。
 
遷移中:
 
遷移を進める(次のステータスに進める)にあたって、入力を必須にする項目を設定します。初期設定では、メモ、添付ファイル、タグの追加を必須にすることができます。
 
必須にした項目は、その内容を遷移中に入力する必要があります。遷移を進めるにあたって入力を必須にする項目がない場合は、この設定は不要です。
 
遷移後:
遷移が実行された後に実行する処理を設定します。たとえば、項目の更新、メール送信、タスクの割り当てなどの処理を自動で実行するように設定できます。たとえば、以下のような処理を設定できます。
 
  • 見込み客に電話応対後のフォローメールを自動で送信する。
  • 遷移の担当者にフォローアップのタスクを割り当てる。
 
このように、遷移に関する条件や項目を細かく設定できます。業務の流れをあらかじめ設定することができるため、データ入力や顧客対応の漏れが出てしまうのを防げます。また、業界、部門や要件にあわせて遷移の項目を細かく設定できるため、さまざまな業務に利用できます。たとえば、利用している商品やサービスが異なる顧客へのフォローアップに、異なる業務プロセスを設定できます。また、営業対応だけではなく、受注後の処理や請求対応など、さまざまな業務に関するプロセスを設定することも可能です。ブループリント機能を活用することで、自社の業務プロセスをZoho CRM上に反映し、ステータスやステップを進めるための条件や、進める際の入力項目や対応事項を設定できます。業務を標準化し、抜け漏れなく進められるようにしつつ、自動化することが可能です。
 
 
 

活用例:

・不動産会社における営業プロセス

 
ある不動産会社では、見込み客のステータスを次のように設定して管理しています:なし→初回フォロー済み→→見込みなし/見込みあり→候補検討中→内見予約中→内見の完了/内見予定の変更→入居申し込み/別物件の検討→契約/見送り/保留
 
ブループリント機能を活用すると、こうしたステータスを進める際に入力する項目を設定し、必要な情報を抜け漏れなく保存できます。また、ステータス変更後の処理を自動化することも可能です。以下では、上記の例におけるプロセスの流れを表で見てみましょう。
 
 
状態
遷移(次の状態に進める処理)
遷移を実行できるユーザー
遷移時の入力必須項目
遷移後の処理
0. なし
初回フォロー
データの担当者
-
-
1. 初回フォロー済み
見込みなしと判断(2-1へ)、見込みありと判断(2-2へ)
データの担当者
メモ
-
2-1. 見込みなし
-
データの担当者
メモ
-
2-2. 見込みあり
条件ヒアリング
データの担当者
メモ、および[最寄り駅][間取り][予算]などの項目
候補物件の提示のタスクを登録(期限:2日後)
3. 候補検討中
内見予定の調整
データの担当者
メモ
内見予定を登録
4. 内見予約中
内見の完了(5-1へ)、内見予定の変更(5-2へ)
データの担当者
メモ
内見後の感想や意向を伺うタスクを割り当て(期限:1日後)
5-1. 内見の完了
入居申し込み(6-1へ)、別物件の検討(6-2へ)
データの担当者
メモ
-
5-2. 内見予定の変更
内見予定の再調整
データの担当者
メモ
内見予定を登録
6-1. 入居申し込み
契約(7-1へ)、見送り(7-2へ)、保留(7-3へ)
データの担当者
メモ、[入居審査結果]項目の入力
契約書類作成のタスクを割り当て(期限:1日後)
6-2. 別物件の検討
別物件の内見
データの担当者
メモ
内見後の感想や意向を伺うタスクを割り当て(期限:1日後)
7-1. 契約
契約手続き
データの担当者
メモ
契約手続きのタスクを割り当て(期限:5日後)
7-2. 見送り
 
 
 
 
7-3. 保留
 
 
 
 
 
 
 
 
こ以下は、ブループリントの設定の例です。
 
 

 
以下は、遷移後の処理(初回メールの送信)の設定の例です。


 
 
 
以下は、遷移時に、担当者に必須項目を入力させるように設定した例です。たとえば、最寄り駅、間取り、予算などを必ず入力させることで、候補物件をスムーズに絞り込むことが可能になります。

 
 
このように、ブループリント機能は、業務を標準化して必要な情報を抜け漏れなく集めるのに役立ちます。また、遷移後の処理を自動化することで業務効率を向上させることができます(メールの送信、タスクの作成など)。上記は不動産会社の例ですが、Zoho CRMのブループリントは、他のさまざまな業界の会社でも要件に合わせて簡単に設定することができます。
 

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