概要
競争の激しい現代の市場では、顧客への対応の一つひとつが関係の構築やビジネスの拡大に大きく影響します。Ziaの[おすすめの次の一手]は、Zoho CRMに蓄積されたデータをもとに、顧客に対して取るべき対応を具体的に提案する機能です。見込み客の育成、既存顧客の維持、取引の成立などの目標に応じて、次にどのような一手を打てば効果的なのかを明確に示します。この[おすすめの次の一手]機能はZoho CRMに組み込まれているZiaによって実現されています。Ziaが見込み客、連絡先、取引先、商談といった各種データを常に分析し、その時々の状況に合わせて最適な一手を判断します。担当者は、おすすめされた情報を参考に、顧客一人ひとりに戦略を立て、適切な対応を進めていくことができます。
Ziaは、優秀なアシスタントのように機能します。過去のやりとりや行動パターンの情報と、リアルタイムに得られる最新情報を分析し、そこから次の一手として明確なアクションを示すことができます。Ziaは、見込み客の流入経路や反応スコア、社内で独自に設定した指標、商談ステージ、競合の動向など、さまざまな詳細データを総合的に評価して最適な「次の一手」を導き出します。データの種類や量が多いほど、提案の精度は高まります。
[おすすめの次の一手]の画面には、おすすめの根拠となった情報も表示されます。このため担当者は、なぜこの一手が有効なのかを理解したうえで行動に移すことができます。こうしたアプローチによって、ビジネスの目標に合わせて戦略的かつタイムリーに対応を進められます。
担当者は、毎朝、ダッシュボードを開けば、どの見込み客に早く連絡すべきか、どの既存顧客にフォローアップが必要か、どの商談に前進の可能性があるか、といった具体的な情報をすぐに確認できます。当て推量による行動で時間を無駄にすることなく、契約の締結や顧客との関係強化などの目標に直結した効果的な行動を取ることができます。
複数のタブのデータをもとに、より効果的な「次の一手」を提案
Ziaは、Zoho CRM内の複数のタブを横断的に分析することによって、より効果的で適切な一手を提示します。顧客の反応に関する指標、過去の傾向、顧客の現在の行動などの情報を組み合わせて、推奨する具体的なアクションを導き出します。この推奨において特に重要な役割を果たすのが、顧客の声分析のデータです。このデータには、顧客の満足度、フィードバック、感情などの情報が含まれています。Ziaは、顧客の声分析のデータに内部で他のデータも統合し、顧客の要望とビジネスの目標の両方に即した的確な一手を提案できます。
朝の業務開始時に、現在抱えている顧客や商談を俯瞰できるビューとともに、今日行うべきアクションが具体的に提示されるとしたらどうでしょうか。Ziaによる[おすすめの次の一手]はそれを実現します。多様なデータから効果的な施策を導き出し、それを分かりやすい説明とともに具体的なアクションとして提示します。
- 見込み客の育成:Ziaは、見込み客の流入経路、スコア、属性、過去のやりとり(通話、メール、会議)などを分析し、いつ、どのような連絡をするのが効果的かを評価して次の一手を提案します。たとえば、「関心あり」とマークを付けていた見込み客が、ある商品の情報を頻繁に参照していたとします。このような場合、Ziaは「特別価格のオプションを案内する」というおすすめの一手を提案できます。このとき、「商品情報を調べる回数が増えている」「良好な反応が見られる」など、おすすめの根拠となった情報も一緒に示されます。
- 既存顧客の維持:Ziaは、やりとりの頻度、満足度スコア、問い合わせの内容など各種の情報を組み合わせて、優良顧客に解約の兆しがないかをチェックします。解約の兆しがある場合は、「電話をして最近の懸念事項を確認する」といった一手が提案されます。このとき、「反応が減った」など兆しの具体的な内容も示されます。
- パイプラインの最適化:Ziaは、商談のステージ、受注の想定日、取引金額、過去の受注パターンなど、商談に関するさまざまな情報を分析して、具体的なアクションを提案できます。たとえば、ある商談が交渉の段階で停滞している場合は、類似の商談の成功パターンにもとづいて、「価格の問題の解決方法を具体的に探る会議を設定しましょう」というアドバイスが示されます。
Ziaは、以下のような主要なタブから得られるさまざまな情報を分析して、おすすめの次の一手を提示します。
Ziaはまず、見込み客の基本情報(見込み客の流入経路、スコア、ステータスなど)を分析します。また、担当者の割り当てや、担当者が最後に行った活動などの情報も分析に含めます。しかしそれだけではありません。Ziaは、メール、電話、会議など、見込み客との間でこれまで行われてきたやりとりの情報も総合的に分析できます。そうした分析に、組織が独自に設定している受注確度などの指標も加えて、フォローアップの実施や次段階への移行に最適なタイミングを導き出します。[おすすめの次の一手]には、見込み客が次のステップに進む準備ができたタイミングで、最も効果的なアクションが提示されます。
連絡先との間でどのようなやりとりが、どのような頻度で行われているのか、その連絡先は購買の意思決定においてどのような役割を果たすのか、などが分析されます。さらに、Ziaは、過去の会議のメモ、満足度スコア、連絡先が示した懸念点なども考慮しておすすめの一手を提案できます。
Ziaの分析対象には、見込み客や連絡先といった個人の情報だけでなく、企業全体の情報も含まれます。このため、企業の規模、業種、組織としての最後の接触日などの要素も分析に含まれます。Ziaは、こうした分析から解約のリスクなどを推測できます。取引の縮小や解約の兆候がある場合は、現在の顧客関係を維持するためのアクション(特別オファーを提示する、現状確認の連絡を入れるなど)が提示されます。
最初の接触から受注まで、商談の全段階を通じた分析が行われます。Ziaは、取引金額、受注の想定日、競合状況といった商談の詳細情報に加えて、過去の商談や受注率も考慮して、最も効果的なアクションを導き出します。たとえば、商談が交渉の段階で停滞している場合、Ziaは過去の類似案件の受注パターンをもとに「問題を整理するための会議を設定する」という一手を提示できます。
Ziaは、取引データを保存しているタブ([見積書]、[受注書]、[請求書])からも情報を取得して、取引の状況を包括的に把握できます。たとえば、「提出した見積書の状況を尋ねる」「遅れている支払いについて確認する」などの一手を提案できます。
[おすすめの次の一手]の機能は、一度提案を示して終わりではありません。顧客とのやりとりが行われるたびに、その最新の情報にもとづいて常に提案内容が調整されます。Ziaは、使えば使うほど賢くなり、常に最適な一手を提示できるよう変化し続けています。Ziaの高度な自動学習により、過去のやりとりの情報と、現在の最新情報を組み合わせた分析結果から、今このときに最適な一手が提示されます。
通常の業務要件については、コマンドセンターやブループリントを使って事前にプロセスを定義できる場合もありますが、Ziaによる[おすすめの次の一手]は個別の状況に合わせてより柔軟な対応を提案できます。見込み客の行動が変化すれば、それに応じて提案の内容も変わります。たとえば、ある見込み客に「新商品に関心を示した」「料金の詳細をチェックしている」などの行動が見られた場合、Ziaはその行動も含めて分析を行い、その見込み客に対してより効果的と思われる一手を提案します。
活用例
活用例1:重要な見込み客からの受注獲得
ある見込み客は、有望度のスコアが高く、会社として戦略的に注力している業界に属していることから重要と判断されています。その見込み客は製品デモに関心を示していますが、まだ受注には至っていません。このような場合、Ziaは過去のやりとりや問い合わせのパターンをもとに「意思決定者との個別デモを予定する」という一手を推奨できます。[おすすめの次の一手]の画面には、Ziaがこの一手を推奨する根拠も表示されます。たとえば、「類似の見込み客では、早期にデモを実施することで受注率が上昇している」のように、推奨の裏付けとなっている具体的な情報が示されます。
活用例2:解約リスクへの早期対応
カスタマーサクセス部門のマネージャーは、ある優良顧客のサービス利用が減っているように感じました。このような場合、Ziaはサービスの利用状況データを過去と比較して、利用状況の変化を分析できます。そして分析結果にもとづき、「電話をして潜在的な懸念がないか確認する」という一手を提示します。これによりマネージャーは、解約のリスクが深刻化する前に、サービス利用の低下に対して早期の対策を講じることができます。
活用例3:停滞する商談の打開
商談の交渉が停滞している場合、Ziaは、商談の現在のステージや取引金額、過去の成約に関するデータなどを分析し、「価格の問題を解決するための会議を設ける」といった提案ができます。類似する商談の成功パターンにもとづく一手が提示されることで、営業担当者は過去と同じ問題で悩むことなく、成約に向けて交渉を進められます。
[おすすめの次の一手]の表示画面
[おすすめの次の一手]は、各データの詳細ページに表示されます。Ziaは、複数のコミュニケーション手段があることを認識しているので、メール、電話、SMS、外部のメッセージ送受信サービスなど、さまざまな手段の中から最適なものを選択してアクションを推奨できます。顧客に対して効果的な対応を行うには、相手の状況に合わせて適切な手段を選び、適切なタイミングでコミュニケーションを図ることが大切です。
- 推奨される具体的なアクションと、それを実行するためのボタンが表示されます。表示されるボタンは、アクションの内容によって変わります。
- [提案の理由]をクリックすると、なぜそのアクションが提案されたかの説明を見ることができます。
- 提案内容の最終更新日時も表示されます。最近の提案なのか、古い提案なのかを判断できます。
- 提案内容に対するフィードバックを送信できます。フィードバックは、Ziaの精度向上に役立ちます。
[おすすめの次の一手]の設定
[おすすめの次の一手]の機能は、提案の目的(見込み客の育成、既存顧客の維持、パイプラインの最適化)ごとに異なる設定で機能しています。それぞれの目的は適切なタブに自動で関連付けられています。この事前の関連付けがあることにより、すぐにデータの処理が始まり、適切な提案の生成が可能になります。
[おすすめの次の一手]の有効化
[おすすめの次の一手]を有効にするには
- [設定]→[Zia]→[レコメンド]→[システム設定に関する提案]に移動します。
- [システム設定に関する提案]のページで、[おすすめの次の一手]の切り替えボタンを使って機能を有効化します。
- 一番上の切り替えボタンを使うと[おすすめの次の一手]の機能全体を有効にできます。その下には、目的(見込み客の育成、既存顧客の維持、パイプラインの最適化)ごとに有効/無効を切り替えるボタンもあります。目的別の機能は、それぞれ特定のタブに関連付けられています(見込み客の育成は[見込み客]タブに、既存顧客の維持は[取引先]と[連絡先]に、パイプラインの最適化は[商談]タブに関連付けられています)。

[おすすめの次の一手]機能では、データ量が最低要件の量に達すると、自動的にパターン作成の処理が開始します。データ量が最低要件に達していない場合は、データ待ちの状態になります。