ソフトウェアの操作画面においては、操作画面内のボタンをクリックすることで、特定の処理を実行できます。たとえば、作成、編集、削除、通知などの処理を実行することが可能です。Zoho Deskでは、画面内にあらかじめ設置されているボタンをクリックすることで標準的な処理を実行できます。たとえば、問い合わせの共有、データの作成、データ一覧の選択、データの複製、他のタブへの移動などです。
しかし、問い合わせの作成時やデータの更新時に、他のアプリやWebサイトにアクセスしたり、独自に作成したワークフローを実行したりしたい場合もあります。そのような場合、カスタムボタンを使用することで、Zoho Deskの画面内からこれらの処理をかんたんに実行できます。
利用例
観光業/ホスピタリティ:目的地に合わせた旅行パッケージ、旅程、予約可能なサービスの表示
データ内に登録されている目的地に基づいて、目的地に適した旅行パッケージや予約可能なサービスの一覧などを表示するためのボタンを設置できます。たとえば、目的地としてヨーロッパが選択されている場合、旅行パッケージと予約可能なサービスの確認ボタンをクリックすると、ヨーロッパを目的地とするツアーパッケージや宿泊可能なホテルの一覧が表示されます。
ボタンのリンク先のURL内に差し込み項目として[目的地]の項目を挿入することで、URLに目的地が挿入されます。これにより、対象の目的地に関連する情報のみを取得できます。また、時間を大幅に節約し、正確なデータを確認することが可能です。
保険業:プランや補償内容の表示、受取人の情報の管理
顧客からの問い合わせに対応する際に、掛け捨て保険、プラン、補償内容、給付金の詳細を参照できます。カスタムボタンをクリックすると、組織のポリシーについて記載されたページに移動して、内容をすぐに参照することが可能です。 問題解決のために問い合わせが他の部門に共有/転送された場合、共有先/転送先の担当者は、カスタムボタンの表示権限を持っていれば、対応前に詳細を確認できます。組織の公開情報を確認するための時間を節約できます。また、信頼性の高い情報を提供することが可能です。
サービス業:組織内外のやりとりの通知、エスカレーション、合理化
有効なサブスクリプションをキャンセルするには、多くの場合マネージャーによる承認が必要です。このような場合、問い合わせの詳細ページから承認申請用のボタンを使って、マネージャーに通知を送信できます。同様に、在庫切れの商品についての問い合わせを受信した場合、[仕入先に通知を送信する]ボタンや[在庫補充]ボタンを使用して、商品の仕入先に通知を送信することが可能です。また、商品の在庫が補充され次第、顧客にメールを送信することもできます。
サービス業:顧客の正確な位置情報の取得と担当者への共有
顧客の位置情報を地図上で確認できます。たとえば、顧客データから住所を取得し、地図アプリ上に表示することが可能です。位置情報の項目を差し込み項目として使用することで、地図アプリに住所を手動で入力する手間を省き、不注意によるミスを減らすことができます。問い合わせの詳細ページから[場所を確認する]ボタンをクリックすると、顧客の正確な位置情報が表示され、かんたんに場所を特定できます。さらに、サポートチーム内で顧客の場所を確認し、近くにいるサポート担当者に問い合わせを割り当てることで、迅速なサポートサービスを提供することが可能です。
内装デザイン/建設業:Zoho Projectsでのプロジェクトの作成
内装デザインや造園に関する問い合わせを受信した場合、問い合わせをもとに、Zoho Projectsにプロジェクトを作成できます。これにより、Zoho Projects内で要件の評価、プロジェクト計画、デザイン、マイルストーン管理、予算作成などを行うことが可能です。内装デザインや造園に関する問い合わせを受信したサポート担当者は、カスタムボタンをクリックすることでZoho Projectsのプロジェクトをすばやく作成できます。問い合わせの詳細ページに設置された[プロジェクトを作成する]というカスタムボタンをクリックすると、手間なくプロジェクトの作成処理を実行することが可能です。
Zoho Deskのプロジェクト作成ボタンをクリックすると、カスタム関数を通じて次の処理が実行されます。
- 問い合わせ情報の取得:顧客名、問い合わせ内容、優先度、カテゴリーなどが取得されます。
- Zoho Projectsにおけるプロジェクトの作成:Zoho Projects APIを通じて、指定のテンプレートをもとに新しいプロジェクトが作成されます。
- 問い合わせとプロジェクトの関連付け:Zoho Deskの問い合わせでカスタム項目にプロジェクト情報が保存されます。進捗管理に役立ちます。
留意事項
- 作成したボタンは、[問い合わせ]タブでのみ使用できます。今後、この機能は他のタブでも利用できるようになる予定です。
- ボタンは、現在、問い合わせの詳細ページにある[…](その他の操作)メニュー内にのみ設置できます。
カスタムボタンの設定権限の有効化
初期設定では、管理者のみがカスタムボタンの設定権限を持っています。管理者は、必要に応じて他のユーザーに対してカスタムボタンの設定権限を有効にできます。
カスタムボタンの設定権限を有効にするには
- 管理者権限を持つアカウントで、Zoho Deskにサインインします。
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[ユーザー管理]→[権限]の順に移動します。
- 権限を選択し、[管理者の権限]に移動して[ボタン]の権限を有効にします。
この権限を持つユーザーが、ボタンを作成/編集/削除できるようになります。
カスタムボタンの作成
[ボタン]の権限を持つユーザーは、カスタムボタンを作成/編集/削除できます。
ボタンの作成時には、以下の設定を行う必要があります。
タブとレイアウト
ボタンは、[問い合わせ]タブ用に作成できます。初期設定では、対象のタブとして[問い合わせ]タブが選択されます。ボタンはすべてのレイアウトに追加することも、特定のレイアウトにのみ追加することもできます。
ボタンの設置場所
作成したボタンは、問い合わせの詳細ページに表示されます。すばやく利用することが可能です。
ボタンをクリックした際に実行される処理
URLを開く処理
また、URLには、差し込み項目を挿入できます。URLの末尾などに対象データの項目値を差し込むことで、データに応じた内容を表示させることができます。この機能は、サービス業では特に役立ちます。たとえば、問い合わせデータに登録されている緯度や経度の情報をもとに、位置情報を地図上に表示させることが可能です。また、取引先名や商品名をURLに差し込むことで、取引先や商品についての情報をすばやく検索できます。このように設定されたボタンをクリックすると、[問い合わせ]タブ内から対象のデータに関連するページを正確に開くことが可能です。リンク先のページは、同じタブ/新しいウィンドウ/新しいタブで開くことができます。
カスタム関数の処理
カスタム関数の処理の実行が完了すると、対象のボタンの処理が完了したことを示すメッセージが表示されます。
カスタムボタンの利用権限
ボタンはすべてのレイアウトに追加することも、特定のレイアウトのみに追加することもできます。ただし、管理者は、ボタンの表示権限を制限して、特定の権限を持つユーザーに対してのみ、ボタンが表示されるように設定することが可能です。たとえば、サブスクリプションのキャンセルに関する問い合わせにサポートマネージャーのみが対応している場合、プラン変更のページにアクセスするためのボタンをサポートマネージャーに対してのみ表示できます。この場合、[担当者]の権限を持つユーザーは、該当の問い合わせに対応することはできますが、ボタンを表示することはできません。
カスタムボタンを作成するには
- 画面右上の設定アイコンをクリックし、[カスタマイズ]の欄にある[ボタン]を選択します。
- [新しいボタン]をクリックします。
- [基本情報]の画面で、ボタン名と説明を入力します。
対象のタブとしては、初期設定で[問い合わせ]タブが選択されます。

- [ボタンの詳細]の設定欄で、以下の手順を実行します。
- 場所として、詳細表示ページの[その他の操作]を選択し、ボタンを配置するレイアウトを選択します。
- 処理の設定欄で、[既存のカスタム関数]/[新しいカスタム関数]/[URLを開く]のいずれかを選択します。

- [URLを開く]を選択した場合、以下の手順を実行します。
- ボタンをクリックした際に開くURLを入力します。

- [差し込み項目を挿入する]をクリックし、URLに挿入する差し込み項目を選択します。
- [URLを開く場所]として、[新しいタブ]/[新しいウィンドウ]/[同じタブ]のいずれかを設定します。

- 処理としてカスタム関数を選択した場合は、既存の関数を選択するか、新しい関数を作成します。
新しい関数を作成する場合、入力値(引数)の関連付けや、関数のスクリプトの入力を行い、保存します。
- 権限設定で、ボタンへのアクセスを許可する権限を選択します。

ボタンの一覧表示とフィルター抽出
ボタンの設定権限を持つユーザーは、[設定]→[カスタマイズ]→[ボタン]の順に移動することで、自分が所属する部門内で作成されたすべてのボタンを一覧表示できます。また、他部門で作成されたボタンも表示可能です。ボタンの一覧表示では、以下の内容を確認できます。
- ボタン名
- 場所
- ボタンを表示することが許可されている権限
- 処理の種類(URLを開く処理/カスタム関数の処理)
- 更新日時と更新者
- ステータス(有効/無効)。なお、ボタンはステータスに基づいてフィルター抽出できます。
ボタンの無効化/編集/削除
ボタンの設定権限を持つユーザーは、使用していないボタンを無効にできます。
無効にするには、ボタンの一覧表示で対象のボタンの欄にある切り替えボタンをクリックします。無効にすると、問い合わせの詳細ページにそのボタンが表示されなくなります。同様に、ボタンは必要に応じて編集/削除できます。編集/削除するには、ボタンにカーソルを合わせ、編集/削除アイコンをクリックします。