問い合わせの変遷レポートでは、問い合わせが作成されてから完了されるまでの間に、問い合わせのステータス/担当者/担当チーム/部門がどのように変化したかを確認できます。問い合わせのステータスは、状況に応じてさまざまに変化します。Zoho Deskにおける問い合わせの一般的なステータスには、以下のようなものがあります。
- 未完了:問い合わせが作成され、1次的な確認や対応が必要な状態です。
- 保留中:問い合わせへの対応が一時的に停止している状態です。顧客、他部門、仕入先からの対応や連絡を待っている場合に設定されます。
- 進行中:サポートチームやサポート担当者が問い合わせへの対応を行っている状態です。
- エスカレーション中:別のチームやサポート担当者にエスカレーションされている状態です。エスカレーションは、SLAで設定されている期限が経過した場合や、高度で複雑な対応を必要とする場合などに行われます。
- 完了:担当者によって問題が解決され、問い合わせへの対応が完了した状態です。
問い合わせのステータスの変遷は、ビジネス形態や業種によって大きく異なります。業種別のステータスの例は、以下のとおりです。
- 小売:注文を受領済み、決済済み、出荷済み、配送済みなど。
- ソフトウェア(開発):課題として登録済み、対応中、修正済み、検証済みなど。
- ヘルスケア:診療開始、アセスメント、治療計画、診療完了など。
Zoho Deskでは、組織が提供する顧客サポートのプロセスや要件に応じて問い合わせのステータスをカスタマイズできます。
問い合わせの変遷レポートのメリット
- 業務効率化:問い合わせのステータスや担当者などがどのように変遷したかを確認することで、ボトルネックとなっている部分や遅延が発生しやすい部分を特定できます。プロセスを合理化し、解決時間を短縮するのに役立ちます。
- パフォーマンスの可視化と改善:チームやサポート担当者のパフォーマンスを評価できます。たとえば、問い合わせが特定の担当者に滞留した時間を分析することで、トレーニングの必要性や作業負荷の偏りの有無を把握することが可能です。
- 顧客満足度の向上:問い合わせの進捗を適切に管理することで、顧客の問題を迅速かつ効果的に解決できます。これにより、顧客満足度や定着率の向上につなげることが可能です。
- データの分析と有効活用:問い合わせのステータスの変遷や各ステータスでの滞留時間を把握することで、問い合わせの解決パターンを分析できます。
問い合わせの変遷レポートでは、フィルターを使用して、対象の期間やステータスを絞り込むことが可能です。たとえば、過去24時間以内にステータスが[保留中]から[エスカレーション中]に変わった問い合わせの件数を把握したい場合、[更新前のステータス]として[保留中]、[更新後のステータス]として[エスカレーション中]、対象期間として[過去24時間]を選択することで、該当する問い合わせを一覧表示し、件数や詳細を確認できます。
利用条件
必要な権限
問い合わせの変遷レポートにアクセスするには、権限設定で[複数部門の権限]内にある[全体のレポートとダッシュボード]の権限が有効になっている必要があります。
問い合わせの変遷レポートの種類
問い合わせの変遷レポートでは、[変遷の種類]として[ステータス]、[担当者]、[チーム]、[部門]のいずれかを選択できます。
ステータスの変遷
ステータスが変更された問い合わせを一覧表示し、詳細を確認できます。各ステータスにおける滞留時間を把握するのに役立ちます。
担当者の変遷
担当者が変更された問い合わせを一覧表示し、詳細を確認できます。各担当者における滞留時間を確認することで、各サポート担当者のパフォーマンス傾向を分析することが可能です。
チームの変遷
担当チームが変更された問い合わせを一覧表示し、詳細を確認できます。チーム間の連携や作業の分担の状況を分析するのに役立ちます。各チームにおける滞留時間を分析することで、ボトルネックを特定できます。また、チーム間での連携を高め、より効果的な業務分担が可能です。
部門の変遷
部門が変更された問い合わせを一覧表示し、詳細を確認できます。部門間での連携状況を分析し、ボトルネックを特定するのに役立ちます。部門間における問い合わせの移動や各部門における対応工数を把握することで、特定の部門における対応の遅延などを発見し、非効率的な部分を特定できます。
利用例
ステータスの変遷:解決時間の短縮
ECサイト(eコマース事業)を運営するある企業では、問い合わせのステータスの変遷レポートを利用することで、ステータスが[保留中]のままになっている問い合わせがないかどうかをチェックしています。その中で、不良品の返品依頼の問い合わせが、検品の工程で[保留中]のステータスのまま長期間放置されていることが分かりました。詳細を分析したところ、遅延の原因は倉庫チームによるステータスの更新漏れであることが判明しました。この企業では、問題の再発を防止するためにリマインダーの自動送信や問い合わせの自動エスカレーションを設定して、問い合わせのステータスが長時間[保留中]のままである場合には、サポートチームが早期に確認、対応を行うことができるようにしました。これにより、解決時間が全体的に短縮され、より質の高い顧客サポートを提供できるようになりました。
担当者の変遷:サポート担当者のパフォーマンスの向上
ある金融機関では顧客サポートの担当者がローンの申し込みについての問い合わせを受けた場合、複数の担当者の間で確認を行う必要があります。このような場合、顧客サポート部門のマネージャーは、担当者の変遷レポートを使用することで、担当者ごとの対応工数を確認できます。特定の担当者による対応において時間がかかっていることが明らかになった場合には、効率化のための対応を行うことが可能です。たとえば、研修を実施したり、割り当てルールを利用して問い合わせをより均等に割り当て直したりすることができます。作業負荷を分散したり、トレーニングの機会を提供したりすることで、サポート担当者はより効率的に問い合わせに対応し、対応の遅延を減らし、問い合わせをより迅速に解決できるようになります。
チームの変遷:チーム間の連携の強化
ECサイト(eコマース事業)を運営する企業では、顧客サポートチームと物流チームの間で、特に配送状況に関する問い合わせが頻繁にやりとりされます。チームの変遷レポートを利用し、問い合わせに費やされた時間をチーム別に確認したところ、主に物流チームで遅延が発生していることが明らかになりました。この問題を解決するため、問い合わせが物流チームに割り当てられたときに時間基準の処理が実行されるように設定しました。問題を迅速に把握して対応を行うことにより、解決時間の短縮や顧客体験の向上が可能です。
部門の変遷:複雑な問題解決の効率化
ある医療機関では、顧客からの問い合わせに複数の部門で対応しています(例:受付/予約、診療、会計)。部門の変遷レポートを確認したところ、請求関連の問い合わせが受付部門から会計部門に移動する際に予想以上に時間がかかっていることが分かりました。また、遅延の原因は、部門間の連携の悪さにあることが明らかになりました。この問題に対処するため、この組織では自動処理を設定することにしました。これにより、ボトルネックを解消し、部門間で問い合わせ対応をスムーズに進めることができるようになりました。
メモ:
- レポートにはフィルターを適用できます。適用すると、要件に応じてレポートのデータを絞り込んで表示することが可能です。対象期間のほか、更新前後のステータス/担当者/チーム/部門やグループ化の基準を指定し、データを絞り込むことが可能です。
- 問い合わせの変遷レポートでは、問い合わせの作成から解決までにかかった合計時間も確認できます。また、サポートチームが作業している間の対応工数を反映するため、営業時間内の工数が表示されます。
問い合わせの変遷レポートへのアクセス
問い合わせの変遷レポートには、[分析]タブ内の[レポート](固定形式のレポート)のメニューからアクセスできます。
- [分析]→[レポート]→[固定形式のレポート]→[問い合わせの変遷レポート]に移動します。

- 変遷レポートの種類を選択します(ステータス/担当者/チーム/部門)。

- 必要に応じて、更新前のステータス/担当者/チーム/部門、更新後のステータス/担当者/チーム/部門、グループ化の基準を指定します。

- 対象期間を設定します。

問い合わせの変遷レポートのエクスポート
問い合わせの変遷レポートは必要に応じてエクスポートできます。エクスポートすることで、データを柔軟に分析/アーカイブ/共有することが可能です。たとえば、エクスポートしたレポートをもとに、ステータスの変遷の傾向やサポート担当者のパフォーマンスを分析できます。また、データをもとに資料を作成し、社内での確認、業績評価、戦略立案のために使用することが可能です。
レポートは、Excel、CSV、PDFの形式でエクスポートできます。また、レポートを印刷することも可能です。
問い合わせの変遷レポートをエクスポートするには
- 問い合わせの変遷レポートのページで、右上にある、[…](その他の操作)アイコンをクリックします。
- エクスポートするファイルの形式を選択します。
- [保存する]をクリックします。
レポートがデバイスに保存されると、保存先の場所からレポートにアクセスできます。

Before Updated