Zoho Deskでは、問い合わせのステータスを保留中に設定すると、SLAに基づいて返信期限や解決期限までの時間を計測するタイマー(SLAタイマー)を一時停止できます。なお、保留中のステータスとは、ステータスの種類が[保留中]であるステータスを指します(ステータスの名前は必ずしも[保留中]である必要はありません)。問い合わせを保留すると、SLAタイマーの一時停止の他にも、様々な影響が発生します。この記事では、保留中のステータスの設定や解除による影響や、保留中のステータスの活用方法についてご紹介します。
保留中のステータスの設定や解除による影響
保留中のステータスの設定時や解除時には、Zoho Desk内で特定の処理が行われます。以下では、3つの場合(保留時、保留からの再開時、保留からの完了時)に分けて、それぞれどのような処理が行われるかを簡単にご説明します。
問い合わせを保留したとき(ステータスを保留中に設定したとき)
- SLAタイマーが一時停止し、問い合わせの返信期限や解決期限を基準とした時間の表示は行われなくなります。
- 対象の問い合わせは、問い合わせの返信時間や解決時間を条件とする自動処理、独自のデータ一覧、レポートの対象から除外されます。
- 担当者に対して問い合わせの返信期限や解決期限に関するメールは送信されなくなります。
問い合わせを再開したとき(ステータスを保留中から未完了に変更したとき)
- SLAタイマーが再開し、問い合わせの返信時間や解決時間が再表示されます。返信期限や解決期限は、保留時間や業務時間が考慮された上で、新たに算出されます。
- SLAによるエスカレーションは、新しい期限に基づいて実行されます。
問い合わせを完了したとき(ステータスを保留中から完了に変更したとき)
- 返信時間や解決時間には、保留前の時間が適用されます。
返信期限や解決期限の再設定の方法
問い合わせが再開されると、SLAタイマーの一時停止が解除され、返信期限や解決期限が自動で再設定されます。この際、期限の再設定においては、元の期限、保留時間、SLAの業務時間(カレンダー時間または営業時間)が考慮されます。
ただし、解決期限を手動で変更した場合、手動で設定した日時が適用されます(手動で設定した期限が、問い合わせの再開に伴って自動で再設定された期限よりも優先されます)。
一方、返信期限の場合、手動で変更することはできないため、問い合わせが再開されると、常に、期限が自動で再設定されます。
返信期限や解決期限が再設定されるタイミング
返信期限や解決期限は、問い合わせのステータスが保留中から未完了に更新された際に再設定されます。期限の再設定は、通常、以下のタイミングで行われます。
- 問い合わせのステータスが手動で更新されたとき
- ワークフローなどの自動処理によってステータスが更新されたとき
- 保留中の問い合わせで顧客からの返信を受信したとき(この際、問い合わせは自動的に再開され、未完了のステータスに設定されます)。
- 保留中の問い合わせで顧客から満足度の評価(フィードバック)を受信したとき(ただし、顧客満足度の設定で、評価に応じて問い合わせが自動で再開されるように設定している場合に限ります)。
メモ:
- 期限の再設定は、スパムの問い合わせに対しても行われます。
- 問い合わせが更新されたら解決期限を自動で更新する処理を設定している場合、問い合わせの再開時には、自動処理によって指定されている解決期限が適用されます。
保留中の種類のステータスの追加
Zoho Deskでは、[On Hold](保留中)という名前のステータスがあらかじめ用意されています。また、これ以外にも保留中の種類のステータスを独自に追加することが可能です。保留中のステータスを独自に追加する場合は、ステータスの種類として[保留中]を指定します(ステータス名には任意の名前を指定できます)。なお、保留中のステータスを独自に追加する場合、以下の点にご留意ください。
- 追加した保留中のステータスは、不要になったら、削除することも可能です。
- 保留中のステータスを、初期設定のステータスとして設定することはできません。そのため、保留中のステータスの設定メニューには、[初期設定にする]という選択肢は表示されません。
- 保留中の問い合わせで顧客からの返信を受信すると、問い合わせのステータスは保留中から初期設定のステータス(例:未完了)に変更されます。
遅延中の問い合わせの保留
遅延中の問い合わせのステータスを保留中に設定すると、対象の問い合わせは遅延中として識別されなくなります。また、遅延中の問い合わせのステータスが保留中から未完了に変わっても、返信期限や解決期限は再設定されません。遅延中の問い合わせのステータスを変更する際は、以下の点にご留意ください。
- Zoho Deskにあらかじめ用意されている問い合わせ一覧には、[遅延中の問い合わせ]、[自分の遅延中の問い合わせ]、[返信が遅延中の問い合わせ]、[自分の返信が遅延中の問い合わせ]があります。これらの一覧には保留中の問い合わせは表示されません(遅延中の問い合わせのステータスを保留中に設定すると、これらの一覧から除外されます)。
- 保留中の問い合わせには、遅延中の問い合わせを対象とする自動処理は実行されません(例:SLAによるエスカレーション、ワークフロー、割り当てルール)。また、保留中の問い合わせは、遅延中の問い合わせを抽出する処理においても除外されます(例:独自の問い合わせ一覧、レポート、詳細検索)。
保留中の問い合わせの一覧表示
保留中の問い合わせを表示するための一覧としては、[保留中の問い合わせ]と[自分の保留中の問い合わせ]の2種類があります。一覧にアクセスするには、画面上部のメニューで[問い合わせ]タブを選択し、画面左側のメニューから該当の一覧の名前をクリックします。
- [保留中の問い合わせ]:保留中のステータスが設定されている問い合わせが一覧表示されます。
- [自分の保留中の問い合わせ]:自分に割り当てられている、保留中の問い合わせが一覧表示されます。
以上の一覧において、問い合わせは、顧客からの返信の新着順で表示されます。
分類表示における保留中の問い合わせの表示方法
保留中の問い合わせは、分類表示(ステータス別表示/顧客分類別表示/期限別表示/優先順位別表示)でも表示できます。それぞれにおける表示内容は以下のとおりです。
期限別表示
保留中の問い合わせは、[保留中]のセクション(列)にすべてまとめて表示されます(遅延のセクションや期限別のセクションに表示されることはありません)。また、セクション内の問い合わせは、顧客からの返信の新着順で表示されます。セクション(列)は合計7件まで追加できます。
ステータス別表示
ステータス別表示では、保留中の問い合わせを表示するためのセクション(列)を追加できます。なお、列の追加は、画面右上の[…](その他)アイコンをクリックすることによって可能です。また、セクション内の問い合わせは、顧客からの返信の新着順で表示されます。[その他のステータス]のセクション(列)には、どのセクションのステータスにも該当しない問い合わせがすべて表示されます。
優先順位別表示/顧客分類別表示
保留中の問い合わせは、優先順位別表示と顧客分類別表示においても表示されます(優先順位別表示では、問い合わせが優先度別に、顧客分類別表示では、問い合わせが顧客の種類別にセクション分けされて表示されます)。各セクション(列)では、未完了の問い合わせが上部に表示され、その下に保留中の問い合わせが表示されます。また、保留中の問い合わせの欄には、問い合わせをいつ保留に設定したか(日時)が表示されます。
さらに、保留中の問い合わせは、[担当者の対応待ち]と[チームの対応待ち]の各ページにも表示されます。
フィルター条件
問い合わせの一覧でフィルター条件を使用すると、保留中の問い合わせのみを抽出して一括管理できます。また、保留中の問い合わせのみを抽出する条件は、自動処理、独自の問い合わせ一覧の作成、レポートの生成、詳細検索などにも利用できます。保留中の問い合わせのみを抽出するには、条件の設定欄で、[ステータス][が保留中である]という条件を指定します。また、条件としては、保留時間や保留日時を指定することも可能です。
なお、以上のような条件は、SLAや順繰り(ラウンドロビン)ルールには使用できませんのでご注意ください(これらの処理は保留中の問い合わせに対しては実行できないためです)。