メールを配信すると、まず各メールサービスの受信サーバーに配信されます。受信サーバーは、メールを慎重に精査した上で、受信トレイに配信します。メールサービスが認識できない配信元からのメールや、疑わしいと思われるメールは、受信サーバーが拒否することがあります。
メールサービスは、受信トレイへの配信をさまざまな要素から判断します。その中でも配信元アドレスは、キャンペーンを受信トレイに配信するための判断に重要な要素となります。メールの配信元となるドメインには2種類あります。
フリーメールアドレスのドメイン:フリーメールアドレスとは、Gmail、Yahoo!、AOL、Outlookといった無料で取得できるメールアドレスです。
独自ドメイン:独自ドメインのメールアドレスは、マーケティングメール、メールマガジン、ニュースレター、顧客へのフォローアップなどでメールを配信するために組織が使用する配信元のメールアドレスです。通常、会社名や組織名、ブランド名を表すドメインが使用されます。例:Zylker社という会社では、
firstname@zylker.comというようなアドレスを使用するでしょう。
Zoho Campaignsでは、メール配信にフリーメールの配信元アドレスを使用しないことが、強く推奨されています。こちらでは、フリーメールの配信元アドレスを使用することのデメリットと、メール配信への影響を説明します。
メールサービスによるDMARCの実装
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conforming)は、迷惑メール業者があなたの配信元ドメインを使ってフィッシングやなりすましを行うのを防ぐ仕組みです。ほぼすべてのメールサービスは、配信元ドメインを保護するためにDMARCを実装しています。
DMARCは、独自ドメインの配信元アドレスにのみ実装でき、フリーメールの配信元アドレスには実装できません。DMARCを実装することで、迷惑メール業者は組織の配信元ドメインを使ったフィッシングやなりすましのような不正行為ができなくなります。メールサービスでは、受信トレイへの配信の際、DMARCを実装している配信元からのメールが優先されます。
フリーメールアドレスから送信されたメールに対するGmailでの処理
Gmailは、フリーメールアドレスからのメールを迷惑メールとして処理し、配信元ドメインを検証できなかったことを伝えるメッセージを表示します。
認識と信頼
メールの受信者は、まず配信元アドレスや送信者の情報を確認します。送信者を識別できれば、そのメールを開封する可能性が高くなります。しかし、フリーメールの配信元アドレスからマーケティングメールを受信した場合、メールの開封をためらってしまうかもしれません。そのメールを迷惑メールとして振り分ける可能性もあるでしょう。
たとえば、
patricia.b@gmail.comからメールを受信した場合、受信者は迷惑メールの可能性を考え、メールの配信元について疑問を抱くでしょう。一方、配信元アドレスが、
patricia.b@zylker.comであれば、受信者はすぐにZylkerという会社からのメールであると識別でき、そのように識別できることがドメインへの信頼につながります。そのため、メール配信においては、独自ドメインの配信元アドレスを使用することが推奨されています。
フリーメールの配信元アドレスを使ってマーケティングメールを配信すると、受信者がメールを開封しない可能性が高くなります。最近の傾向として、メールサービスは、メールが開封されたかどうかを受信トレイに配信するかどうかの判断にしています。受信者がメールを未開封のままにしておくと、メールサービスは、受信者に受け取る意志がないと判断し、その配信元からの今後のメールを受信拒否するかもしれません。これを避けるためにも、独自ドメインの配信元アドレスを使用して、認証することが大切です。
配信元の認証に関する詳細は、
こちらをご参照ください。
Zoho Campaignsでのフリーメールの配信元アドレスの取り扱いについて
Zoho Campaignsでフリーメールの配信元アドレスを追加しようとすると、警告メッセージが表示されます。警告メッセージが表示される流れは以下のとおりです。
フリーメールの配信元アドレスを使用する
- Campaignsアカウントにログインします。
- [ダッシュボード]画面の[作成]ボタンをクリックして、[メールキャンペーン]をクリックします。
- [配信元詳細の追加]をクリックして、[配信元の詳細]一覧から[配信元アドレスの追加]をクリックします。
- メールアドレスを入力し、緑色のチェックマークをクリックします。フリーメールのメールアドレス(例:name@yahoo.com)の場合、独自ドメインのメールアドレスの使用を促す内容のエラーメッセージが表示されます。
フリーメールの返信先アドレスを使用する
- Campaignsアカウントにログインします。
- [ダッシュボード]画面の[作成]ボタンをクリックして、[メールキャンペーン]をクリックします。
- [返信先アドレス詳細を表示]をクリックして、[返信先アドレス]一覧から[配信元アドレスの追加]をクリックします。
- メールアドレスを入力し、緑色のチェックマークをクリックします。フリーメールのメールアドレス(例:name@yahoo.com)の場合、独自ドメインのメールアドレスの使用を促す内容のエラーメッセージが表示されます
- 他のフリーメール(Gmail、Outlookなど)を配信元アドレスとして追加しても、独自ドメインのアドレスを使用するよう促されます。
[設定]からフリーメールアドレスを追加しようとする場合の流れ:
- [設定]→[配信元の管理]をクリックします。
- ページ右上の[配信元の追加]をクリックします。フリーメールアドレスを入力して、[認証メールの送信]をクリックします。以下のようなエラーメッセージが表示されます:認証できません 「フリーメールのドメイン:」
メモ:
Yahoo!やAOLでは、そのドメインのメールを別のサーバーから送信することが制限されています。今後、他のフリーメールサービスでも同様に制限される可能性があります。そのため、フリーメールアドレスは使用しないことが強く推奨されています。
まとめ
フリーメールの配信元アドレスを使用した場合、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 主要なメールサービスはすでにDMARCを実装しているため、メールが不達になる可能性があります。
- 迷惑メール配信者はフリーメールの配信元アドレスを使って迷惑メールを送信することが多いため、あなたのメールも迷惑メールと判定されるかもしれません。
- 受信者があなたからのメールだと気づいてくれないかもしれません。
- メールが未開封のままになる可能性が高く、メールを配信することで期待するような結果を得られないでしょう。
- 配信したメールが迷惑メールと判断される可能性があります。迷惑メールと判断されると、今後のメール配信の到達率が下がる可能性があります。