GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)は、EU加盟国の居住者の個人データの保護や適切な処理を担保することを目的とした、EUの規則です。EU加盟国の居住者が、企業によって使用される自身の個人データの保護や用途について、管理できるようにするための一連の規則が定められています。
GDPRの規則では、EU加盟国の居住者が、自身の個人データが収集される方法だけでなく、どのように使われるかについても知ることのできる権利が保証されています。また、収集された個人データを更新したり、データベースから削除するよう要求したり、データを利用する範囲を制限するよう要求したりする
権利も保証されています。
GDPRは、EU加盟国の居住者の個人情報を扱う組織にとって、とても重要な規則です。そのため、Zoho Campaignsには、GDPRの規制に基づいて連絡先(配信先)情報の収集や処理をするのに役立つ
機能が標準で用意されています。
このヘルプでは、GDPRへの準拠に関する機能のポイントをいくつか紹介します。
GDPRに準拠するための機能を有効にする前から登録されている既存の連絡先に関する対応
マーケティングメールをGDPRに準拠するようにするには、配信目的を明らかにして、同意を得て、使用する個人情報の処理方法を告知して、というようにさまざま対応が必要です。そのため、GDPRに準拠するための機能を有効にする前から登録されている既存の連絡先には、
同意の確認メールを配信して、今後のマーケティングメール配信についての同意を得る必要があります。
配信の目的を明確にする
マーケティングメール配信の目的を明確にして、配信するメールのトピックについての同意を得る必要があります。配信するメールの内容は、同意を得たトピックに関連する内容のみに限ってください。
たとえば、商品Aを配信する目的のトピックとした場合、そのトピックの配信について同意を得た配信リストの連絡先に、商品Bのメールを配信することはできません。
同意を得たトピック以外の種類のメールを配信する場合は、連絡先に配信するトピックについて、あらためて同意を得る必要があります。同意を得たトピックにのみ関連するメールを配信するため、目的ごとに個別の配信リストを作成して管理することをお勧めします。
正当な利益
正当な利益とは、データ処理/管理方法の適切性に関して、GDPRで定義されている適法根拠(適切と判断できる根拠)のうちの1つです。受信者が、配信されるマーケティングメールの受信に関心があり、受信の希望や同意が明確に確認できている場合が該当します。正当な利益は、マーケティングメールの配信の適法根拠としてよく適用されます。ただし、実際に連絡先のデータの収集や処理を行う際には、この根拠に適切に基づいているかどうかを確認する必要があります。適法根拠に該当するかどうかが分からない場合は、LIAという英国のICO(情報コミッショナー事務局)によって公開されているテストを使用して確認することができます(LIA:Legitimate Interests Assessment、正当な利益への適合性の確認)。
LIAテンプレートは、連絡先のデータの収集や処理の目的が、本当に正当な利益に適合するかを確認するのに役立ちます。LIAテンプレートのサンプルは、ICO(情報コミッショナー事務局)のWebサイトから
取得できます。また、データの収集方法や処理の目的に応じてテンプレートの内容を取捨選択できます。データの収集や処理の目的が適法根拠に該当するか確認する際、収集方法や目的に応じてLIAテンプレートの内容を調整して使用するのが理想的です。
配信に同意した連絡先にだけマーケティングメールを配信したい
配信に同意した連絡先にだけマーケティングメールを配信するには、該当の連絡先だけを抽出するためのセグメントを作成します。手順としては、セグメント作成時の[条件]で次のように設定します:[同意ステータス][が次の値と等しい][意思表示済み]。 なお、特定のリストの中で配信に同意した連絡だけを抽出する場合、リストの条件において、上記と同様の条件を追加します。
同意を得た連絡先データをZoho CRMと同期したい
Zoho Campaignsで連絡先から配信メールへの同意を得た場合、その連絡先の情報をZoho CRMに同期できます。
- Zoho CRMで配信メールに同意した連絡先の同意情報もZoho Campaignsに同期されます。
- Zoho CRMに同意のステータス情報を含むカスタム項目を作成しておくと、Zoho Campaignsからの同期時に、取得した同意のステータスもZoho CRMに登録できます。
配信メールへの同意は、Zoho CRMから配信するメールへと、Zoho Campaignsから配信するメールへの両方が必要です。
- つまり、Zoho CRMから配信するメールにのみ同意している連絡先をZoho Campaignsに同期した場合、Zoho Campaignsで配信するメールについては、別途同意を得る必要があります。
- 逆にZoho Campaignsから配信するメールにのみ同意している連絡先をZoho CRMに同期した場合、Zoho CRMで配信するメールについては、別途同意を得る必要があります。
Zoho CRMとの同期の使用例に関する詳細については、
こちらをクリックしてください。
メール配信の同意を取得済みの連絡先には、同意の確認メールを再送しないようにしたい
既存の配信リストに新しい連絡先が加わるたびに、その配信リストに登録されているすべての連絡先に、配信への同意の確認メールを配信することは望ましくありません。なぜなら、既存の配信リストに登録されている大部分の連絡先にとっては、同じ内容を繰り返し確認されることになるためです。何度も同意の確認メールを受け取ることを好む人はいないでしょう。Zoho Campaignsでは、同意の確認メールを配信する前に、同意目的が確認され、その目的にすでに同意している連絡先には同意の確認メールは配信されません。
ただし、同意目的に変更があった場合、または新しい目的が追加された場合は、その配信リストの連絡先に同意の確認メールが配信されます。
メール配信において大事なのは、本当に興味や関心のある人にのみ、情報やメールを配信することです。目的ごとに一度だけ同意の確認メールを配信する機能を通じて、この要件を満たすことができます。