CPQ(見積支援ツール)の見積入力ガイド

CPQ(見積支援ツール)の見積入力ガイド

概要 

多くの商品やサービスを販売している場合、営業担当者は対話の中で顧客のニーズや希望を引き出しながら、顧客の条件に見合った商品やサービスを提案することが重要です。Zoho CRMの見積入力ガイド機能を使用すると、営業担当者が、顧客の希望や要件に関する質問に対して顧客の希望する条件を入力していくだけで、 顧客にぴったりの商品を見つけ出すことができます。 

逆に、このような機能を使用しなければ、顧客に最適な商品やサービスを見つけるのが難しくなります。特に、幅広い商品やサービスを取り扱っており、さらに組み合わせ(セット販売)や、割引や特典の適用なども考慮しなければならないとなると、至難の業です。営業担当者がすべての選択肢を把握していないと、顧客に適した提案もできません。このような場合、個々人で情報を探したりまとめたりしようとすると、手間も時間もかかります。また、やりとりを重ねるうちに修正の必要や、ミス、誤解などが生じやすくなります。

以上のような問題も、Zoho CRMの見積入力ガイドを活用すれば、仕組みとして簡単に解決できます。見積入力ガイドでは、Zoho CRMに登録されているすべてのデータの中から顧客に最適な商品をすばやく見つけ出し、その商品を見積書にすぐに追加することが可能です。 

活用例

たとえば、ある腕時計の製造販売会社では、自社の独自ブランドを複数展開し、さらに、海外の複数のブランドの腕時計を受託販売しています。販売している時計の種類は、アナログ時計、デジタル時計、スマートウォッチなど多岐にわたり、価格帯も高級なものから手頃なものまで幅広さがあります。また、カップル向けのペア商品の販売や、アクセサリーとのセット販売なども行っています。さらに、さまざまな特典や割引があり、まとめ買いによる割引や、期間限定の割引などを適用する場合もあります。

このような状態で、顧客に最適な時計を見つけ出すには、顧客が重視している点を的確に把握する必要があります。
 - 機能やデザイン(例:防水機能の有無、希望の色など)
 - 予算(商品の価格帯) 
 - 保証期間の有無
 
顧客が、どのような商品/サービスが欲しいかを自分から明確に伝えてくれる場合は、提案し販売することは比較的簡単です。一方で、顧客はすべての商品/サービスや販売条件を把握しているわけではない上に、自分自身の希望さえ、明確には言語化できていない場合もあります。このような場合は、営業担当者が顧客と対話をする中で顧客に適切な質問を投げかけ、顧客のニーズや希望を引き出すことが必要です。このような場合にも、見積入力ガイドが役立ちます。 

Zoho CRMの見積入力ガイドの仕組み

この記事でご紹介している見積入力ガイドの機能は、Zoho CRMのCPQ(見積支援ツール)の一部として提供されています。現在、見積入力ガイドは[見積書]タブでのみ利用できます。見積入力ガイドの機能を利用するには、あらかじめ見積入力ガイド用のフロー(処理の流れ)を作成しておく必要があります。フローの作成にあたっては、顧客のニーズや希望に合わせて商品を絞り込むための質問を設定します。作成したフローには、見積書の作成画面からアクセスできます。営業担当者は、見積入力ガイドを利用したいタイミングで、フローにアクセスし、あらかじめ設定しておいた質問に従って、商品を絞り込むための条件を入力していきます。すべての質問に対して条件を入力し終えたら、すべての商品の中から条件に合った商品のみが絞り込まれ、一覧表示されます。営業担当者は、表示された商品を顧客に勧めたり、見積書の[見積商品]として追加したりすることができます。 

見積入力ガイド用のフローの作成 

見積入力ガイド用のフローを作成するには、以下の手順を実行します。 

手順1:基本情報の入力 

フローの作成画面で、フローの基本情報を設定します。 
  1. 画面右上の 設定 アイコンをクリックし、 [CPQ] [見積入力ガイド] に移動します。 
  2. [見積入力ガイドを作成する] をクリックします。 
  3. 表示された画面で、フローの名前と説明を入力し、レイアウトを指定します。
    見積入力ガイドは、[見積書]タブでのみ利用可能です。レイアウトの選択欄には、[見積書]タブのレイアウトが表示されます(タブの選択欄は表示されません)。 
  4. [次へ] をクリックします。 

手順2:質問の設定

次に、顧客の希望や要件に関する質問を設定します。すなわち、商品の選定条件を把握するための質問です。質問内容は、最適な商品を絞り込むために必要な情報を確認できるように設定します。

たとえば、前述した時計の製造販売会社では何百種類もの時計を取り扱っています。このため、営業担当者が顧客の求める条件に最も近い時計を提示しようとしても、選択肢が多すぎて、最適な時計を見つけ出せない可能性があります。ここで、見積入力ガイドの質問が役立ちます。見積入力ガイドのフローには、顧客の希望する条件を明確にし、それに基づいて商品を絞り込むための質問を設定しておくことが可能です。たとえば、この場合は、予算、種類、素材、色、機能などに関する質問などを設定しておくとよいでしょう。このような質問を作成しておけば、フローを開き、質問に従って回答(商品に関する条件)を入力していくだけで、顧客に最適な商品を見つけ出すことができます。 

設定画面では以下の内容を指定します。
  1. [質問の件名]: 質問の名前を入力します。
    例:防水機能
  2. [質問] :質問の内容を入力します。
    例:防水機能は必要ですか?
  3. [選択肢] :この質問に対する答えの選択肢として、どのタブのデータのどの項目の値を選択できるようにするかを指定します。
    例:「防水機能は必要ですか?」という質問に対する回答として、 [商品] タブの [防水機能] の項目の値に関する条件を入力できるようにします。これにより、質問への回答時に、「防水機能」という項目に関して、「次の値と等しい」、「有」(または「無」)という条件を設定できます。 
質問をさらに追加するには、質問の追加ボタンをクリックします。 

手順3:プレビューと保存

設定画面の右上に表示されている[プレビュー]をクリックすると、見積入力ガイドのフローのプレビューを表示できます。必要に応じて、プレビューや編集を行い、すべての質問の設定が完了したら、画面右上の[保存する]をクリックします。 


見積入力ガイドの利用方法 

保存したフローには、[見積書]タブからアクセスできます。営業担当者は、必要なときにフローにアクセスし、顧客に最適な商品を見つけ出すことができます。 

見積入力ガイドのフローを利用するには:
  1. 画面上部のメニューで[見積書]タブをクリックし、右上にある[見積書を作成]をクリックします。 
  2. 画面を下方向にスクロールして、[見積商品]の設定欄に移動します。
  3. [+ 行を追加する] の下部に表示されている [見積入力ガイド] の選択リストをクリックします。 
  4. 表示されたメニューで対象のフローを選択すると、フローが表示されます。表示された画面で質問に対する回答として、商品データに関する条件を指定していきます。 
  5. すべての質問に対して、希望条件の入力が完了すると、最適な商品の一覧ページが表示されます。 

    表示された結果が今一つである場合、リセットボタンをクリックすると、同じ画面で、もう一度最初から商品データに関する条件を入力していくことが可能です。

    該当件数の隣にある 情報アイコン をクリックすると、どのような条件に基づいて結果が抽出されているかを簡潔に確認できます。
  6. 結果の一覧ページには、すべての商品の中から顧客が提示した条件に合致する商品のみが表示されます。商品を見積書の[見積商品]に追加するには、対象の商品を選択して、画面右下に表示されている追加ボタンをクリックします。 
  7. フローをさらに利用したい場合は、以上と同様の手順を繰り返します。 

各質問に対応する項目の設定 

見積入力ガイドでは、各質問に回答する形で、商品データの抽出条件を指定していきます。そのため、フローの設定時には、各質問に対応するデータ項目をあらかじめ指定しておく必要があります。前述した時計の製造販売会社であれば、各質問に対して、以下のようなデータ項目を指定するでしょう。
  1. 「何色の時計をご希望ですか?」 - 商品タブの[色]の項目
  2. 「予算はどれくらいですか?」 - 商品タブの[価格]の項目
  3. 「どのような種類の時計をご希望ですか?」 - 商品タブの[種類]の項目
  4. 「保証期間に関する希望はありますか?」 - 商品タブの[保証期間]の項目
  5. 「防水機能は必要ですか」 - 商品タブの[防水機能]の項目

このように設定することにより、たとえば、「何色の時計をご希望ですか?」という質問に対しては、回答時に、[色]、[次の値と等しい]、[シルバー]/[ブラック]といった条件を設定できます。
 
質問に対応するデータ項目としては、商品タブに関連する項目を指定できます。具体的には、商品タブ自体の項目の他、関連タブの項目(ルックアップ項目を通じて関連付けられている別のタブの項目)を指定することもできます。
 
関連タブの項目は、[商品]タブに関連付けられている別のタブの項目を用いて抽出条件を設定したい場合に使用します。これにより、商品を購入した顧客や商品の仕入先などに関する条件を指定することが可能です。 
 
たとえば、上述の時計の製造販売会社の場合は、関連タブの項目を使用することで、時計の購入者(対象の商品に関連付けられている顧客)や、時計のメーカー(対象の商品が関連付けられている仕入先)に関する条件を指定できます。

このように、商品タブに関連付けられている別のタブの項目を指定すると、商品に関してより詳細な絞り込みを行うことが可能です。 

以上をまとめると、各質問に対応する項目としては、以下のような項目を指定できます。
- 基準タブの項目(商品タブ自体の項目)
- 関連タブの項目(商品タブに関連付けられている別のタブの項目) 
  1. 関連タブ:[連絡先]、[取引先]、[商談]のいずれかのタブを選択できます(これらのタブは初期設定で[商品]タブに関連付けられています)。関連タブを選択すると、関連タブの項目に関する条件を指定して、商品を絞り込むことができます。 
  2. 参照先のタブ:この場合、[仕入先]タブです([仕入先]タブと[商品]タブは、[仕入先]というルックアップ項目によって初期設定で関連付けられています)。 
見積入力ガイドでは、以下のようなタブの組み合わせによって条件を指定し、商品を抽出できます。
  基準タブ1件 + 関連タブ1件 + 参照先のタブ1件 
 (例:[商品]タブ + [取引先]/[連絡先]/[商談]のいずれかのタブ + [仕入先]タブ) 





メモ:関連タブの項目の設定

商品の関連データ(例:購入者や仕入先など)に関する条件を指定したい場合は、質問に対応する項目として以下を使用します。
  1. ルックアップ項目の参照先のタブの項目(ルックアップ項目を通じて関連付けられているタブの項目)
  2. 関連リストのタブの項目
a. ルックアップ項目の参照先のタブの項目: ルックアップ項目の参照先のタブの項目を使用すると、商品の親データ(商品が関連付けられている別のデータ)の項目に関する条件を指定できます。 
たとえば、[仕入先名]というルックアップ項目を通じて、対象の商品が関連付けられている仕入先に関する条件を指定することが可能です。 

b. 関連リストのタブの項目: 関連リストのタブの項目を使用すると、商品の子データ(商品に対して関連付けられている別のデータ)の項目に関する条件を指定できます。 
たとえば、対象の商品に対して関連付けられている連絡先、取引先、商談、見込み客、問い合わせなどに関する条件を指定することが可能です。 

このように、質問に対応する項目として、関連タブの項目を指定することで、商品に関してより詳細な絞り込みを行うことが可能です。 
項目の利用上限
質問に対応する項目として、関連タブの項目を指定する場合、以下の点にご留意ください。 
1.質問に対応する項目としては、商品タブの項目の他に、 最大2件のタブに関連する項目を指定できます。たとえば、上限の範囲内においては、以下のような項目を指定することが可能です。 
  1. 商品タブの項目(基準タブの項目)
  2. 取引先タブの項目(関連タブの項目)
  3. 仕入先タブの項目(関連タブの項目)
2.関連タブの項目を使用する場合、商品の抽出は ルックアップ項目用のフィルターによって行われます。 そのため、質問に対応する項目として関連タブの項目(ルックアップ項目の参照先のタブの項目または関連リストのタブの項目)を指定すると、関連タブの項目を使用するごとにルックアップ項目用のフィルターが使用されます(使用可能な枠が1件分消費され、使用数の上限に対して計上されます)。なお、ルックアップ項目用のフィルターは、関連リストのタブの項目を指定する場合にも使用されますのでご注意ください。
例:見積入力ガイドで、「ご希望のメーカーはありますか?」という質問を設定し、質問に対応する項目として[仕入先名](ルックアップ項目の参照先のタブの項目)を指定するとします。この場合、対象の見積入力ガイドのフローでは、ルックアップ項目用のフィルターが1件使用されます。これは、見積入力ガイドにおけるルックアップ項目用のフィルターの使用数の上限に対して計上されます。 


3.ルックアップ項目用のフィルターの使用数の上限:
1件の見積入力ガイドにおいて、ルックアップ項目用のフィルターは6件まで使用できます(関連タブの項目は、ルックアップ項目の参照先のタブの項目および関連リストのタブの項目を合わせて6件まで使用できます)。

4.商品タブの初期設定の項目([仕入先]、[取引先])にルックアップ項目用のフィルターが設定されている場合も、フィルターの使用数として計上されます。これらの項目に加えて、さらに関連タブの項目を使用した場合、ルックアップ項目用のフィルターの使用数が上限に達する可能性があります。フィルターの使用数が上限に達すると、エラーメッセージが表示され、見積入力ガイドにアクセスすることはできません。 



5.ルックアップ項目用のフィルターの使用数が上限に達した場合、見積入力ガイドにアクセスするには、いずれかのフィルターを削除する必要があります。削除するには、画面右上の設定アイコン→[タブと項目]→[見積書]の順に移動します。見積書のレイアウトの編集画面で[見積商品]の[商品名]の欄にある[…](その他)アイコンをクリックして、[プロパティの編集]を選択し、不要なフィルターを削除します。削除後、見積入力ガイドにアクセスできるかどうかを確認します。 


留意事項

  • 見積入力ガイドは、Zoho CRMのプロフェッショナルプランか、それより上位のプランにおいてのみ利用可能です。 作成した見積入力ガイドのフローは、見積書のレイアウトに関係なく利用できます。なお、レイアウトごとにフローを作成することも可能です。その場合、見積入力ガイドの利用時にフローの選択リストから、該当のレイアウト用のフローを選択します。 
  • 見積り入力ガイドの質問の設定画面では、質問を並べ替えることができます。

  • 見積入力ガイドの回答画面で質問上にカーソルを重ねると、回答の概要を確認できます。 


  • 見積入力ガイドに追加できる質問数の上限は10件です(各プラン共通)。
  • フローで質問に対して設定できる選択肢数の上限は、18件です(各プラン共通)。
  • Zoho CRMアカウントに追加できる見積入力ガイド用のフローの件数は、プランによって異なります。詳細は、各プランの機能と制限をご参照ください。


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