一般的に企業では、見込み客を獲得するのに、多くの費用、時間、労力が費やされています。そうした努力にもかかわらず、
ある研究結果によれば、アメリカ国内の約24%の企業では、見込み客の獲得からアプローチ開始までに、平均で24時間を超える時間がかかっています。最初の接点から1日以上経てば、見込み客の興味、関心も変化してしまう可能性があります。アプローチの開始が遅れる原因は、人手不足、業務過多、非効率な業務プロセスなどさまざまですが、根本的な原因は
担当者の割り当てが不適切であることだと分かっています。
見込み客に対する
担当者の割り当ては、見込み客を受注へとつなげていくことができるかどうかを左右する、重要な要素です。営業プロセスは、登録した見込み客のデータに対して担当者を割り当てることから始まります。見込み客の割り当てにおいては、営業担当者の担当範囲(営業テリトリー)やスキルだけでなく、対応可否やリソース配分なども考慮する必要があります。このようにさまざまな条件を考慮しながら適切に担当者を割り当てるには、Zoho CRMの
割り当てルール機能が役立ちます。
Ziaによる提案機能(ワークフローの提案、マクロの提案、データ担当者の提案)の詳細については、以下の動画をご参照ください。
Zoho CRMの割り当てルール機能を利用すると、特定の条件に基づいて、見込み客に対して担当者を自動で割り当てることができます。割り当てルールの設定において、データの担当者として指定できる対象は以下のとおりです。
- ユーザー、役職、グループ
- 特定の条件を満たすユーザー
割り当てルールの設定の詳細については、
こちらをご参照ください。
さらに、この記事でご紹介する「Zia(ジア)によるデータ担当者の提案」機能を利用すると、Ziaによって提案された担当者にデータを自動で割り当てることが可能です。割り当ては、既存データから検出された割り当てパターン、顧客への連絡手段、担当者の対応可否(オンライン)のステータス、業務負荷などに基づいて行われます。
Ziaによるデータ担当者の提案
Zia(ジア)は、Zohoが提供するAIアシスタントです。Zoho CRMのデータを学習、分析し、営業活動に役立つ情報を生成します。Ziaの詳細については
こちらをご参照ください。
Ziaによる担当者の提案機能では、Ziaによって、以下のすべての情報が考慮され、適切な担当者が提案されます。
既存データの割り当て状況
Ziaによって、既存のデータから割り当てパターンが認識されます。たとえば、商品の種類と顧客の地域に基づいて、担当者にデータを割り当てている場合、以下のようなパターン認識が行われます。
- たとえば、「投資信託」に興味のある「東京都」の見込み客は、通常、木村さんに割り当てています。
- また、「法人定期預金」に興味のある「神奈川県」の見込み客は、通常、間宮さんに割り当てています。
Ziaによってこのような既存データの割り当て状況から割り当てパターンが認識され、同様の条件を満たす見込み客データに関して適切な担当者が提案されます。
担当者の顧客への連絡手段
既存の活動データから、営業担当者が普段どのような手段で顧客に連絡しているかが、Ziaによって分析されます(例:メール、電話など)。
たとえば、担当者Aが主にメールでやりとりしている場合、[メール]項目に値がある見込み客データに関しては担当者Aが提案されます。同様に、担当者Bが主に電話でやりとりしている場合、[メール]項目に値がなく、[電話番号]項目に値のある見込み客データに関しては担当者Bが提案されます。
担当者の対応可否(オンライン状況)
割り当てルールの設定において、担当者の対応可否を確認してからデータを割り当てるように設定している場合、Ziaによって該当のユーザーがオンラインであるかどうかのステータスが確認され、考慮されます(ステータスがオンラインの場合、該当の担当者がZoho CRMにサインイン中であることを表します)。Ziaによって提案された担当者がオフラインである場合、データは初期設定の担当者に割り当てられます。
担当者の対応負荷
担当者が1日に対応しているデータ数が、Ziaによって分析されます。たとえば、担当者Aは1日に50人の見込み客に対応し、担当者Bは30人の見込み客に対応しているとします。この場合、Ziaによって各担当者の1日の対応上限が分析されます。対応中のデータ数が1日の上限に達していないかどうかが確認された上で、1日あたりの上限に対して余裕がより大きい担当者を提案します。これにより、各担当者の対応負荷が偏らないように割り当てることができます。
Ziaによる割り当てパターンの認識には、該当のタブに過去6か月間のデータが1,000件以上登録されている必要があります。
Ziaによるデータ担当者の提案に関する設定
割り当てルールの設定ページの[Zia]タブでは、Ziaによるデータ担当者の提案に関するレポートを確認できます。また、Ziaによって認識された割り当てパターンの確認や修正も可能です。設定ページにアクセスするには、画面右上の設定アイコン→[自動化]→[割り当てルール]→[Zia]の順に移動します。
この設定ページには、Zoho CRMの組織の管理者のみがアクセスできます。
Ziaからの担当者の提案に関するレポート
[Ziaからの担当者の提案に関するレポート]では、Ziaによって担当者が割り当てられたデータの件数と、手動で担当者を割り当てなおしたデータの件数を確認できます(なお、レポートの対象期間は選択リストから指定できます)。このレポートを確認することで、Ziaによる提案の確度や、手動で担当者を割り当てなおさなければならなくなった原因などを分析できます。レポート内の数字をクリックすると、それぞれの元データを一覧表示できます。
Ziaによってデータの担当者が割り当てられた場合、担当者名の項目の横に[Ziaが提案するユーザー]というラベルが表示されます。ラベル上にカーソルを重ねると、担当者の提案において、データのどの項目の値が考慮されたかを確認することができます。
Ziaによるデータ担当者の割り当てパターン
Ziaによって、既存のデータから、データの条件(項目の値)と担当者(割り当て先)との間の相関関係が分析されます。その上で、特定の項目と担当者の間に明らかな相関関係が認められる場合のみ、該当の相関関係がパターンとして認識されます。認識されたパターンに基づき、パターンの条件を満たすデータに対して、最適な担当者が提案され、割り当てられます。
Ziaの予測のもとになる項目
[Ziaの予測のもとになる項目]とは、Ziaによるデータ担当者の提案において考慮される項目です。たとえば、関東地域の見込み客は担当者Aに、関西地域の見込み客は担当者Bに割り当てているとします。また、IT業界の見込み客は担当者Aに、通信業界の見込み客は担当者Bに割り当てているとします。
該当の割り当てパターンが組織のすべての見込み客に適用されている場合、Ziaによって、[地域]と[業界]の項目が[Ziaの予測のもとになる項目]として認識され、各項目の値に基づいてデータ担当者が提案され、割り当てられます。
ここでもし、大部分の見込み客のデータの[業界]項目の値が登録されていない場合、Ziaによるデータ担当者の割り当ては、[地域]項目の値のみに基づいて行われます。これは、業界に関する情報が登録されていなければ、地域の情報のみに基づいてデータ担当者を提案せざるを得ないためです。このように、データ担当者の提案においては、すべての項目が常に同じ比重で考慮されるわけではありません。
[Ziaの予測のもとになる項目]では、各項目がどのような比重で考慮されたかを、比重スコアとして確認できます。
メモ:
- [Ziaの予測のもとになる項目]は、割り当てパターンに基づいてZiaによって自動抽出されます。新しい項目を追加することはできません。
- [Ziaの予測のもとになる項目]から削除したい項目がある場合は、該当の項目のチェックを外すことで削除できます。
- Ziaによる提案が不適切である場合は、該当のデータを別の担当者に割り当てなおすことができます。
- 割り当てルールの条件に後から項目を追加した場合、Ziaによる担当者の提案においても該当の追加項目があわせて考慮されるようになります。ただし、変更が反映されるのは、[Ziaの予測のもとになる項目]の次回の定期更新時です。たとえば、[地域]と[業界]の項目に加えて[市区町村]項目も割り当てルールの条件に追加した場合、[Ziaの予測のもとになる項目]の次回の定期更新時から、[市区町村]項目も考慮されるようになります。なお、新たに考慮されるようになった項目は、[Ziaの予測のもとになる項目]の一覧で確認できます。
- [Ziaの予測のもとになる項目]の設定内容は毎月自動で更新されます(設定欄に最終更新日時が表示されます)。この設定内容を手動で更新することはできません。[Ziaの予測のもとになる項目]で項目のチェックを外した場合、一定時間後に自動でZiaの予測方法が更新されます。
パターンに基づく担当者の提案
Ziaによって、[Ziaの予測のもとになる項目]の値が考慮された上で、対象のデータに対して最適な担当者が提案されます。
たとえば、以下の条件を満たす見込み客データは、担当者Aに割り当てているとします(パターン1)。
- [業界]がIT
- [地域]が関東
- [都市]が横浜
- [請求金額]が1,000,000円以上
また、以下のような条件を満たす見込み客データは、担当者Cに割り当てているとします(パターン2)。
- [業界]がIT
- [地域]が関東
- [都市]が横浜
- [請求金額]が1,000,000円未満
このような場合、Ziaによって1と2の各割り当てパターンが認識され、パターン1の条件に一致する見込み客データの担当者には担当者Aを、パターン2の条件に一致する見込み客データの担当者には担当者Cを提案します。
このようなパターンを踏まえて、以下のようなデータ担当者の提案が行われます。
- [業界]がIT、[地域]が関東、[都市]が横浜、[請求額]が1,000,000円(担当者Aを提案)
- [業界]がIT、[地域]が関東、[都市]が東京、[請求額]が900,000円(担当者Cを提案)
- [業界]が通信、[地域]が関東、[都市]が東京、[請求額]が5,000,000円(担当者Aを提案)
このように、Ziaによって認識したパターンに基づいた適切な担当者が提案されます。
Ziaによるデータ担当者の割り当てパターンの表示:
条件別表示:左側の欄でデータの条件、右側の欄で提案された担当者を確認できます。
ユーザー別表示:どのような条件のデータに対して担当者として提案されたかを、ユーザー別に確認できます。
なお、担当者の提案においては、[Ziaの予測のもとになる項目]の値だけでなく、各担当者に対するデータの割り当ての上限(1日/1週間/1か月あたり)も考慮されます。
Ziaによって提案された担当者の確認
Ziaによって、組織内の既存のデータの割り当て状況から割り当てパターンが認識され、同様の条件を満たす見込み客データに関して、割り当てパターンに基づく適切なデータ担当者が提案されます。[Ziaが提案した担当者を確認する]機能では、この提案機能をテストできます。データの条件を指定して、該当の条件を満たすデータに対して、実際にどの担当者が提案されるかを確認することが可能です。
この機能を利用するには、[Ziaが提案した担当者を確認する]の設定欄で[確認する]をクリックします。表示された画面で、項目と値の条件を指定して、[確認する]をクリックすると、該当の条件を満たすデータに対して、Ziaによって提案された担当者を一覧で確認できます。確度の数値(%)が高いほど、Ziaによって担当者として提案される確率が高くなります。
Ziaによる割り当ての上限
[データの担当者の候補を選び出す際に、ユーザーの作業負荷を考慮する]の設定を有効にすると、Ziaによって、各担当者に対するデータの割り当ての上限が算出され、該当の上限も考慮された上で、データの担当者が提案されます。
たとえば、担当者Aに対して、1週間の各曜日に以下の件数の見込み客データが割り当てられているとします。
- 月 - 30件
- 火 - 35件
- 水 - 40件
- 木 - 25件
- 金 - 15件
このようなデータの割り当て数に基づいて、Ziaによって、担当者Aに対する最適な割り当ての上限が曜日別に算出されます。
同様に、週ごとの割り当ての上限についても算出されます。週ごとに、担当者Aには30件、担当者Bには35件の見込み客データが割り当てられている場合、これらのデータの割り当て数に基づいて、担当者Aと担当者Bに対する1週間の割り当ての上限が算出されます。
このように、Ziaによるデータ担当者の割り当てにおいて、各ユーザーの割り当ての上限を考慮することで、各担当者の対応負荷が偏らないように割り当てることができます。
たとえば、割り当てパターンにおいて、担当者Aの割り当て確度が90%、担当者Bの割り当て確度が70%であっても、担当者Aに対するデータの割り当て数がすでに1日の上限に達している場合、データの担当者としては担当者Bが提案されます。
なお、割り当てルールの設定ページの[割り当て上限]タブで、ユーザーの割り当ての上限(基準値)を設定している場合は、Ziaによって各ユーザーの割り当ての上限が自動で算出されることはありません。[割り当て上限]タブで設定されている上限が考慮され、データの担当者が提案されます。
留意事項
- Ziaによるデータ担当者の提案機能を利用するには、該当のタブに過去6か月間のデータが1,000件以上登録されている必要があります。
- Ziaによる割り当てパターンの認識には、組織に複数の担当者(ユーザー)が登録されていて、かつ既存のデータが特定の条件に基づいて担当者に割り当てられている必要があります。
- Ziaによる割り当てパターンの認識では、過去6か月間のデータが分析対象になります。より正確な提案内容を得るためには、アカウントを定期的に確認して、重複したデータや不正確なデータを削除することをお勧めします。
[Ziaの予測のもとになる項目]に項目がない場合や、利用頻度の低い項目が含まれている場合、項目の比重スコアが算出されないことがあります。そのような場合、比重スコアは[不確定]として表示されます。
- [Ziaの予測のもとになる項目]において、管理者が該当の項目に関する権限を持っていない場合、項目の値は[***](3つのアスタリスク記号)として表示されます。
Ziaによるデータ担当者の提案表示の有効化
[おすすめの担当者の表示(Ziaからの提案)]を有効にすると、データの作成画面で、Ziaによって提案されたデータ担当者を確認できるようになります。おすすめの担当者の表示欄には、各担当者のおすすめ度(%)や、提案にあたりデータのどの項目の値が考慮されたかを確認することが可能です。なお、Ziaからの提案内容を適用することも、これを無視して、既存のデータ担当者を保持することも可能です。
Ziaによるデータ担当者の提案の表示を有効にするには:
- 画面右上の設定アイコン→[自動化]→[割り当てルール]→[Zia]の順に移動します。
どのタブの設定を表示するかを選択します。
- [おすすめの担当者の表示(Ziaからの提案)を有効にする]のチェックボックスを選択すると、データの作成画面で、Ziaによって提案されたデータ担当者を確認できます。
- 編集アイコンをクリックすると、おすすめの担当者として表示するユーザーを追加できます(ユーザーだけでなく、権限/グループ/役職/役職と部下も追加できます)。[保存]ボタンをクリックして、追加内容を保存します。こちらで選択したユーザーの中から、Ziaによってデータ担当者が提案され、おすすめの担当者の欄に表示されます。