契約は、一定期間における当事者双方の権利と義務を明記した合意書です。通常、売り手(または事業者)と買い手(または消費者)の間で交わされます。取引内容に応じて、販売契約、サービス契約、リース契約、更新契約など、さまざまな契約が締結されます。
サービスを提供する企業では、提供するサービスの種類や期間を定めた契約を顧客との間で締結するのが一般的です。契約を締結することにより、双方の間で想定されるサービスの内容を明確にすることが可能です。また、契約書においては、契約の更新可否や、料金変更の可能性を明記する場合もあります。
たとえば、新しいコンピューターを購入する顧客は、修理やサポートサービスに関する期限付きの保証契約を締結する場合があります。一般的な保証契約においては、保証サービスの内容の詳細、有効期間、サービス利用時に発生する可能性のある追加料金などについて記載されています。
契約の意義
顧客の期待値を制限できる:契約書を作成する主なメリットは、想定されるサービスの内容を明確に定義できることです。たとえば、サービスの利用規約は、サービス事業者と顧客との間で双方が負う義務に関する合意を明確にし、その後の関係を維持していくのに役立ちます。
サービス内容を文書化できる:サービス名、サービス期間、サービス費用、追加料金、サービスが提供されないケースなど、サービス内容の詳細を文書化しておくことは、どのような組織間取引においても重要です。これは、法的な観点からも重要です。
サービスプランをカスタマイズできる:組織では、顧客の購入商品や要望に応じて、サービスプランをカスタマイズすることがよくあります。標準のサービスプランでは要件をすべてカバーできず、提供されるサービスと顧客の期待値の間にギャップが生じてしまうことがあるためです。契約書を作成すると、販売企業は、顧客の購入商品、要望、条件を反映させたサービスプランについて明記できます。また、作成した契約書は、必要に応じて修正することが可能です。
競合他社に対する優位性を確保できる:サービス契約を作成する最大のメリットは、競合他社に対する優位性を確保できることです。契約によってサービス内容を明確にすることで、潜在顧客に対して強みをアピールできます。また、業界内で信頼性の高いサービス事業者としての認知を向上できます。
Zoho Deskでの契約の作成
Zoho Deskでは、各取引先用の契約(契約データ)を作成できます。契約では、契約の開始日と終了日を設定できます。また、契約の終了日には、担当者とその上司に対して通知を送信することも可能です。契約は、顧客に応じたサービスを提供し、顧客満足度を向上させるのに役立ちます。
また、契約には、1件のサポートプランを関連付けることができます。サポートプランでは、問い合わせの対応件数の基準や、SLA(問い合わせの返信時間、解決時間、エスカレーションの基準)などを設定します。さらに、契約には、取引先との間で締結された契約の契約書番号を登録することも可能です。契約書の締結において両者が合意する内容には、以下のようなものがあります。
- 問い合わせの解決に要する時間
- 最初の返信を送信するまでに要する時間
- 重大な問題または優先度の高い問題と、重大でない問題の解決に要する時間
- 解決や返信の対応が営業時間内に限定されるかどうか
[契約]タブは、[連絡先]タブ、[取引先]タブ、[活動]タブなどと同様、Zoho Deskの標準タブです。画面上部のメニューから移動できます。契約でデータで設定できる主な内容は、以下のとおりです。
- 契約が適用される部門
- 契約を作成した担当者(Zoho Deskのユーザー)
- 契約の開始日と終了日:これらの項目をもとに有効期間が算出されます。契約の開始日として、今後の日付を選択することも可能です。今後の日付が設定された契約には、一覧で「今後」のラベルが表示されます。その他、「期限超過」や「有効」などのラベル表示により、契約のステータスをひと目で把握できます。
- 契約が関連付けられている取引先
- 契約に関連付けられているサポートプラン
- 期限の通知の送信先と通知タイミング(終了日前の日数)
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契約を作成するには
- Zoho Deskの画面上部のメニューで[契約]タブをクリックします。
- 新しい契約データを追加するには、画面右上の[+](追加)アイコンをクリックします。
代わりに、取引先の詳細ページから、
(SLAと契約)アイコンをクリックして、契約を作成することも可能です。 - 契約書の追加画面で、契約の情報の各項目を入力します。
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- 必要に応じて[説明]を入力します。
- [契約の期限の通知]で、通知先のユーザーを選択し、通知タイミング(終了日前の日数)を指定します。
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- [保存する]をクリックします。
契約を編集/削除するには
- [契約]タブに移動し、一覧から対象の契約にカーソルを合わせます。
- 編集する場合、編集アイコンをクリックして、内容を変更します。
- [保存する]をクリックします。
- 削除する場合、削除アイコンをクリックして、確認画面で削除ボタンをクリックして処理を確定します。
なお、契約を削除しても、関連するSLAは削除されません。
契約の取引先への関連付け
契約は取引先に関連付けることができます。1件の取引先に対して、複数の契約を関連付けることが可能です。ただし、それらの複数の契約に対して同じSLAが関連付けられている場合、契約の有効期間は互いに重ならないようにする必要があります。それらの複数の契約に対して異なるSLAが関連付けられている場合は、契約の有効期間が互いに重なっていても問題はありません。
たとえば、複数の商品やサービスを購入した取引先との間で、商品やサービスごとにそれぞれ異なる契約を締結した場合、締結した契約ごとにZoho Deskの契約データを作成し、該当の取引先に関連付ける必要があります。この場合、対象の取引先に対して関連付けられる複数の契約に対しては、それぞれ異なるSLAが関連付けられることになります。
また、複数の取引先との間で同じ内容の契約を締結するような場合には、
サポートプラン機能を活用できます。
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メモ:
- 有効期間が互いに重なり合う複数の契約に対して、同じSLAを関連付けることはできません。
- 契約に取引先を関連付けることができるのは、契約の作成時または編集時のみです。1件の取引先に対して複数の契約を関連付けるには、契約の作成時または編集時に、同じ取引先を選択する必要があります。
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契約の終了
サービスの提供終了や顧客の要望などに応じて、契約期間中に組織で契約を終了する場合もあります。このような場合には、契約を終了できます。ただし、契約を終了すると、元に戻すことはできませんのでご注意ください。
契約を終了するには
[顧客]タブに移動し、一覧から対象の契約をクリックします。
契約の一覧ページで[…](その他の操作)アイコンをクリックし、メニューから[終了する]を選択します。
確認画面で、終了ボタンをクリックして、処理を確定します。
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契約の並べ替えと抽出
[契約]タブ内の一覧では、データを並べ替えたり、フィルターを適用したりすることが可能です。よく使う一覧をお気に入りに設定することもできます。
ただし、[契約]タブでは、独自の一覧を作成したり、一括処理を実行したりすることはできません。
次の項目を基準として、契約を並べ替えることが可能です。
- 取引先名
- 契約名
- 開始日/終了日
- 作成日時/修正日時
また、契約を昇順や降順で並べ替えることができます。
次の項目を基準として、契約を抽出することが可能です。
- 部門
- 担当者
標準の一覧には、すべての契約、期限超過の契約、自分の契約が表示されます。
契約の編集/削除
契約を編集するには:
- 画面右上に表示されている
(設定)アイコンをクリックします。
- 設定ページの[自動化]の下の[サポート契約]をクリックします。
- 契約の一覧ページで、対象の契約にカーソルを合わせて、
(編集する)アイコンを選択します。
- 必要に応じて、契約の内容を変更します。
- [保存する]をクリックします。
- 契約の一覧ページから、対象の契約にカーソルを合わせて、
(削除する)アイコンをクリックします。
- OKボタンをクリックして処理を確定します。