問い合わせに対して「タグ」と呼ばれるテキスト形式のラベルを関連付けることで、問い合わせデータをさまざまなグループに分類できます。タグ付けは、問い合わせの優先度付けや多角的な分析に役立ちます。
たとえば、「キャンセル」、「契約変更」、「決済の失敗」というタグが関連付けられた問い合わせを、優先度の高い問い合わせとして担当者が優先的に対応するなどといった運用を効率よく行うことができます。また、タグごとの問い合わせの件数を把握して、問題の分析に活かすこともできます。問い合わせのタグ付けは、担当者が手動で行うこともできますが、問い合わせの件数が多くなると、手間がかかってしまいます。また、間違いや抜け漏れが発生する可能性もあります。これにより、SLAに影響が及ぶ可能性もあります。このような場合に、Zoho独自のAI機能「Zia」(ジア)による自動タグ付け機能が便利です。
利用条件
キーワードの識別と自動タグの生成
Ziaによって、既存の問い合わせが分析され、自己学習が行われます。各問い合わせの説明の内容に基づいて、関連性の高いキーワードが識別され、キーワード群が生成されます。次に、生成されたキーワード群をもとに、キーワード群に対応するタグが生成されます。 新しい問い合わせが作成されたり、Zoho Deskで問い合わせを受信したりしたときに、該当の問い合わせの内容が分析されます。分析対象の問い合わせから識別されたキーワードが、いずれかのタグのキーワード群に一致する場合は、そのタグが問い合わせに関連付けられます。
問い合わせに関するやりとりが進むにつれて、Ziaによって新しいキーワードが識別されると、その関連性に応じて、対応するタグが追加で関連付けられます。ただし、既存のタグの削除や置換は行われません。このように、顧客からの返信ごとに、Ziaによる自動タグ付けの処理が実行されます。したがって、1件の問い合わせに対して、複数のタグが関連付けられる可能性があります。関連付けられたタグは、担当者が問い合わせを分類する際に役立ちます。
たとえば、欠陥商品に関する問い合わせが作成されると、タグ「商品の問題」が関連付けられます。次に、顧客が商品の返品と返金を求めた場合には、Ziaによって新たなタグ「返品と返金」が問い合わせに追加されます。この際、該当の問い合わせには、タグ「商品の問題」が関連付けられたままになります。これにより、問い合わせに関連付けられた2件のタグを通じて、担当者は問い合わせの内容が「商品に問題があったために、返品と返金が求められた」であることをかんたんに把握できます。
さらに、タグを通じて、特定の商品に関して報告された問題の件数を把握することも可能です。組織では、タグを通じて、問題の統計情報とその傾向を把握して迅速に対処することで、顧客からの苦情を最小限に抑え、顧客満足度の向上につなげることができます。
メモ:
- 現在、Ziaの機能は英語でのみ利用可能です。今後、他の言語でも利用可能になる予定です。
- Ziaの学習と自動タグの生成には、部門ごとに3,000件以上の問い合わせが必要です(メール、ヘルプセンター、コミュニティ、ソーシャルメディア、Webフォーム経由の問い合わせ)。
- チャット(Zoho SalesIQ連携)、インスタントメッセージ、電話、外部サービスとの連携などによる独自の経路を通じて作成された問い合わせは、Ziaの学習対象にはなりません。
- Ziaによる自動タグ付けは、部門ごとにのみ設定できます。また、有効化は任意です。
- Ziaによる自動タグ付けの対象となるのは、次の経路から手動あるいはAPI経由で作成された問い合わせのみです:メール、ヘルプセンター、コミュニティ、ソーシャルメディア、Webフォーム。
- Ziaによる自動タグ付けは、分析対象の問い合わせから識別されたキーワードが、いずれかのタグのキーワード群に一致する場合にのみ行われます(一致しない場合、自動タグ付けは行われません)。
Ziaによる自動タグ付けの有効化
管理者権限を持つユーザーが、Zia機能、およびZiaによる自動タグ付けの機能を有効にすることができます。Zoho Deskアカウントで自動タグ付けを有効にするには、事前にZia機能を有効にする必要があります。Zia機能を有効にすると、すべての部門やポータルを含む、組織全体に設定内容が反映されます。一方、Ziaによる自動タグ付け機能を有効にするには、各部門に対して個別に設定する必要があります。
Ziaによる自動タグ付けを有効にするには
管理者アカウントで、Zoho Deskにログインします。
- 画面右上にある歯車アイコンから、[設定]→[Zia]の順に移動します。
- [Zia]の切り替えスイッチをクリックし、Zia機能を有効にします。
- [予測]タブで、[問い合わせの自動タグ付け]の切り替えスイッチを有効にします。
問い合わせのタグの表示
タグは、問い合わせに関連付けられ、問い合わせの詳細ページの[主要な情報]欄に表示されます。
また、問い合わせの詳細ページの[履歴]タブでは、問い合わせがタグ付けされた日時を確認できます。[履歴]では、Ziaによって実行されたタグ付け処理についても、管理者の操作履歴として表示されますのでご注意ください。
Ziaによる自動タグの編集/削除
Ziaによって生成された自動タグは、必要に応じて、編集や削除が可能です。たとえば、自動タグ「商品の問題」の代わりに、タグ「欠陥商品」を使用したい場合、該当のタグを編集できます。
メモ:
- 必要に応じて、自動タグは編集/削除できます。既存の問い合わせが分析された後、キーワード群が作成されます。このキーワード群は編集できません。
- [自動タグの管理]機能が表示されるのは、部門内に3,000件を超える問い合わせがある場合のみです。問い合わせが3,000件より少ない場合でも、Ziaによる自動タグを有効にすることが可能です。ただし、自動タグ付けとキーワードの生成は、3,000件を超える問い合わせがある場合にのみ、実行されます。
自動タグを編集/削除するには
- 画面右上にある歯車アイコンから、[設定]→[Zia]の順に移動します。
- [問い合わせの自動タグ付け]の設定に移動し、[自動タグの管理]をクリックします。
- 一覧から、対象のタグをクリックします。
- [タグ予測を変更する]をクリックして、タグを編集します。
- タグ名を入力するか、一覧からタグを選択します。
- 選択したタグが、新しいタグとして設定されます。
- [タグを削除する]をクリックして、対象のタグを選択します。
- 確認画面で[削除する]をクリックして、削除処理を確定します。
自動タグ付けの精度向上のためのZiaの学習
Zoho Deskに登録されている問い合わせデータや自動タグに関する情報を使用して、Ziaに継続的に学習させることで、分析の精度を改善できます。Ziaによって提案されたタグが不適切である場合は、自動タグを手動で編集または削除できます。また、その更新内容に基づいてZiaを再学習させることができます。
このような継続的な学習によって、要件に応じた適切なタグを割り当てることができるようになります。
メモ:担当者が問い合わせに手動で追加したタグは、Ziaの学習対象にはなりません。Ziaの学習対象になるのは、ユーザーが編集/削除した自動タグのみです。 自動タグ付けの精度を向上するには
画面右上にある歯車アイコンから、[設定]→[Zia]の順に移動します。
- [予測]タブで、[自動タグの管理]をクリックします。
- 下部のパネルで[自動タグを設定する]をクリックします。
- 指定された選択肢から関連するタグを選択するか、指定されたキーワード群のタグを追加します。
頻出の自動タグの表示
頻繁に使用されているタグを確認することで、組織に多く寄せられている問い合わせの内容をかんたんに把握できます。
たとえば、20件の問い合わせに対してタグ「欠陥商品」が関連付けられている場合、組織で優先的にフォローアップし、商品の問題を調査して迅速に対処する必要があります。
出現頻度の高い自動タグが、Ziaによって「頻出の自動タグ」として表示されます。上位10件の頻出の自動タグは、大きく目立つように表示されます。また、タグに関連付けられている問い合わせのやりとりがZiaによって分析され、各タグの印象が表示されます。このように、頻出の自動タグを確認することで、顧客の関心や要望の多い内容や、より迅速な対応が必要な問題をかんたんに把握できます。
Ziaによって、頻出の自動タグが、ダッシュボードに表示されます。表示内容は、以下のとおりです:
- [頻出の自動タグ]のダッシュボードには、過去24時間に頻出した自動タグが表示されます。
- 右上にある設定のドロップダウンから、ワードクラウド形式、または表形式のいずれかの表示形式に切り替えることができます。
- 各タグにカーソルを合わせると、該当のタグに関連付けられている問い合わせの件数が表示されます。
- より上位の頻出の自動タグが、より大きい文字で表示されます(下位のタグは、小さな文字で表示されます)。
- 各タグに関連付けられている問い合わせの印象別の件数が表示されます(肯定的/中立的/否定的)。
頻出の自動タグを表示するには
- 画面上部のメニューで[分析]タブをクリックします。
- 左側の一覧から、[ダッシュボード]の下部にある[Ziaダッシュボード]をクリックします。
- 一覧から[予測ダッシュボード]をクリックします。
自動化機能における自動タグの利用
Ziaによる自動タグは、ワークフロールールの実行条件として設定し、自動処理を実行することも可能です。たとえば、受信した不正な問い合わせについて、組織のセキュリティ担当者に報告して対処したい場合、「不正」、「詐欺」などのタグが付けられた問い合わせを、セキュリティ担当者に自動的に割り当てることで、迅速に対処できるようにすることが可能です。