メールのデリバラビリティとは、送信したメールが受信者の受信トレイに届く能力を指します。キャンペーンのデリバラビリティが低下する場合、利用しているメールマーケティングの手法が影響している可能性があります。メールのデリバラビリティに影響を与える手法について詳しく見ていきましょう。
未認証の送信者ドメインの使用
受信トレイへの配信を確実にする最適な方法は、メールがメールボックスプロバイダーやスパム対策サービスから疑わしいと見なされないようにすることです。主要なメールボックスプロバイダーは、未認証の送信者ドメインから送信されたメールを疑わしいと判断します。未認証の送信者ドメインからメールを送信すると、受信トレイへの配信が拒否されたり、メールが迷惑メールフォルダーに振り分けられる場合があります。
そのため、メールキャンペーンを送信する前に送信者ドメインを認証することを強く推奨します。送信者ドメインを認証することで、メールボックスプロバイダーやスパム対策サービスからの評価が向上し、メールのデリバラビリティも改善されます。SPF、DKIM、DMARCは最も効果的なメール認証方式として、導入を強くおすすめします。
送信者ドメインおよびIPアドレスの評価が低い場合
送信者ドメインおよびIPアドレスの評価は、メールのデリバラビリティに大きな影響を与えます。メールボックスプロバイダーの受信サーバーは、送信者ドメインおよびIPアドレスの評価をもとに受信トレイへの配信を判断します。メーリングリストの品質、メール配信の運用方法、メールの内容は、送信者ドメインの評価に直接影響します。メーリングリストの品質が低い場合、メールのバウンスや苦情、配信停止が増加します。
これにより、送信者ドメインやIPアドレスの評価が悪化します。不適切なメール配信方法やスパムのような内容のメールを送信すると、さらに評価が下がります。評価の低いIPアドレスや送信者ドメインからメールを送信すると、メールボックスプロバイダーの受信サーバーはメールを拒否したり、迷惑メールフォルダーに振り分けたりします。新しい送信者ドメインを利用する場合は、大量のメールを送信する前に、徐々に配信数を増やしてウォームアップすることを推奨します。
詳細はこちら送信者ドメインのウォームアップについてご覧ください。
公開ドメインの送信者アドレスの使用
主要なメールサービスプロバイダーの中には、DMARCの実装を義務付けるポリシーを設けているところもあります。DMARCを実装して送信者ドメインを認証しない場合、メールはバウンスします。つまり、サードパーティの送信者ドメインを利用することはできません。そのため、公開ドメインの送信者アドレスからマーケティングメールを送信することは推奨していません。公開ドメインは認証できないためです。
メーリングリスト管理の不備
マーケターにとって大きな課題の一つは、メーリングリストの拡大と管理です。適切なリスト管理手法を採用せず、メーリングリストを購入した場合、リストの品質は低下します。リストの品質が低いと、キャンペーンで配信トラブルが発生し、コンバージョン目標の達成も困難になります。本件についてさらに詳しく見ていきましょう。
購入したメーリングリストの利用
Zoho Marketing自動化では、購入したメーリングリストの使用を強く推奨していません。購入したリストにメールを送信すると、バウンスやスパムトラップへのヒット、スパム判定が発生しやすくなります。これにより、送信者ドメインやIPアドレスの評価が下がります。
シングルオプトイン手法の使用
シングルオプトイン手法を利用した場合、無効や誤ったメールアドレスがメーリングリストに登録されやすくなります。そのため、こうしたリストにメールを送信すると、バウンスやスパムトラップへのヒットが発生する恐れがあります。バウンスが多発すると、メールボックスプロバイダーからの評価が下がります。また、メールの受信を希望していない人に配信されると、迷惑メールとして設定される可能性もあります。
Zoho Marketing 自動化では、常にユーザーに対してダブルオプトイン手法を利用し、メーリングリストを自然に成長させることを推奨しています。この手法により、不正確または無効なメールアドレスがメーリングリストに登録されるのを防ぐことができます。あなたのメールの受信を希望する連絡先のみがメーリングリストに入力されます。なぜなら、受信者にはフォローアップメールが送信され、その中でメールの受信希望を認証する必要があるからです。これにより、コンバージョン目標の達成や、堅実な顧客基盤の構築に役立ちます。
メーリングリストに多くの無効連絡先が含まれている場合、キャンペーンのパフォーマンスに影響を及ぼします。ユーザーには、無効連絡先を特定し、
再アクティブ化キャンペーンを送信して取り戻すことを常に推奨しています。再アクティブ化キャンペーンを作成する際は、魅力的な件名、メーリングリストに残るメリットの提示、割引の提供、そして連絡先にメール受信の希望があるかどうかを尋ねてください。メーリングリストに残ることを選択した連絡先は保持し、再アクティブ化キャンペーンに反応しない連絡先は削除することができます。
メールボックスプロバイダーは、受信トレイ振り分けの判断の際、メールのエンゲージメントを重視します。常に読まれるメールを送信する企業に対して、受信トレイへの配信を優先する傾向があります。つまり、メールを受信トレイに届けるためには、連絡先のエンゲージメントを維持する必要があります。
連絡先のニーズや関心に合わないコンテンツを提供している場合、メールを開封してもらえない可能性があります。多くの連絡先がメールを開封しなかったり、否定的な反応を示したりすると、メールボックスプロバイダーはユーザーがメール受信を望んでいないと判断するかもしれません。その結果、今後のメールが受信トレイに配信されなくなる場合もあります。
ユーザーには、連絡先のニーズや関心を把握し、それに合った内容を提供することを常に推奨しています。購買履歴やメール内でクリックしたリンクを分析することで、興味を把握できます。また、
ターゲットマーケティングを活用し、メールのエンゲージメントとコンバージョン最大化を図ることも可能です。
詳細はこちら連絡先のエンゲージメントを維持する方法をご覧ください。
キャンペーンのコンテンツについて
メールボックスプロバイダーの受信サーバーは、受信トレイへの配信前にメールの内容をスキャンします。受信サーバーは、スパム用語や不審なURLが含まれているメールを拒否したり、迷惑メールフォルダに振り分けたりします。
スパム用語
メールメッセージにスパム用語が含まれている場合、受信サーバーは確実に受信トレイへの配信を拒否します。メールメッセージを作成する際は、スパム用語の使用を避けるようユーザーに強く推奨しています。
不審なURL
スパマーは主に短縮URLやリダイレクトが複数あるURLを利用し、不正な活動を行います。メールの内容をスキャンした際、短縮URL、要注意リスト登録済みURL、無効または壊れたURL、リダイレクトが複数あるURLが含まれている場合、受信サーバーは受信トレイへの配信を拒否し、迷惑メールフォルダに振り分ける場合があります。
そのため、短縮URLやリダイレクトが複数あるURLの使用は控えてください。メールメッセージ内では直接リンクを使用し、テスト取引先へ送信してリンク切れがないかテストすることを推奨します。これにより、メールボックスプロバイダーのスパムフィルターを安全に通過し、受信者の受信トレイに正常に届くようになります。
不適切なメール送信の習慣
送信ドメイン、IPアドレス、コンテンツだけでなく、メールの送信習慣もメールの到達率に影響します。
毎日の上限を超える
メールボックスプロバイダーの受信サーバーは、毎日受信するメールに対してしきい値を設定しています。急にメールの配信量を増やし、長時間にわたり大量のメールを送り続けると、しきい値に達した時点で受信サーバーがメールを拒否する可能性があります。これを防ぐため、当社では常にユーザーに対して、メール配信量を複数のバッチに分割し、頻繁な間隔で送信することを推奨しています。こうすることで、受信サーバーにメールを拒否されずに配信できます。
Zoho
Marketing 自動化では、キャンペーンをバッチで送信する機能を提供しています。詳細はこちらをご覧ください。
タイムゾーンを分析しない場合
早朝の時間帯にメールを送信すると、一部の連絡先にとって迷惑となり、配信停止されてしまうことがあります。また、最適な時間帯にメールを送信しないと、連絡先の受信トレイでメールが埋もれてしまい、開封されないままになり、メールのエンゲージメントに悪影響を及ぼします。連絡先が配信停止したり、未開封のままメールを移動させたりすると、メールボックスプロバイダーはそのユーザーがメールに興味がないと判断し、今後のメールが受信トレイに配信されなくなる場合があります。
そのため、受信者のタイムゾーンを分析し、それに合わせてメールを送信することを推奨します。また、連絡先がメールボックスを確認する可能性が高い時間帯を特定し、その時間にメールを送信することで最大限のメールエンゲージメントを実現できます。Zoho Marketing 自動化では、受信者の最適な開封時間に合わせてキャンペーンを送信する機能があります。
メール頻度
マーケターの中には、定期的なニュースレターや時折のメールキャンペーンを送信することでコンバージョン目標を達成できると考える方もいますが、この認識はあらゆる点で誤りです。コンバージョンを最大化するには、連絡先を継続的に育成し、ニーズや関心に合ったコンテンツを提供することでエンゲージメントを維持する必要があります。また、一週間にあまりにも多くのキャンペーンを送信しないようユーザーに推奨しています。連絡先の受信トレイをメールで埋め尽くしてしまうと、迷惑に感じられ、スパムとして設定されたり配信停止される可能性があります。最適なメール頻度を保つことをおすすめします。
画像のみのキャンペーン
Zoho Marketing 自動化では、画像のみのキャンペーンや画像が多すぎるキャンペーンの送信を控えるようユーザーに推奨しています。なぜなら、メールクライアントが画像の自動ダウンロードを無効にしている場合、受信者が「画像を表示」オプションをクリックするまで画像が表示されないため、意図したメッセージを伝えられないことがあるからです。
常にテキスト60%、画像40%の比率を維持することをおすすめしています。これにより、画像が表示されなくてもメッセージを伝えることができ、メールサイズも重くならずに済み、メールボックスプロバイダーによるメールのクリッピングも防げます。
配信に関する問題を放置しない
キャンペーン送信後は、ユーザーがキャンペーンのパフォーマンスを監視し、うまくいった点や問題点を把握することを推奨します。送信したメールの中にはバウンスしたり、スパムマークや配信停止が発生することがあります。こうした問題の原因を分析し、必要な是正措置を講じることが重要です。
メールバウンスやネガティブなエンゲージメントは、送信者のドメインやIPアドレスに対してメールボックスプロバイダーやアンチスパムサービスから悪い評価を受ける原因となります。問題を未解決のまま放置すると、再発し、送信者ドメインやIPアドレスの評価がさらに下がり、今後のメール配信に影響を及ぼす可能性があります。
メールボックスプロバイダーがメールを拒否したり、スパムとして分類したり、受信トレイ配信を提供したりする際には、どのようなメールを受け取りたいか、どのような方法で受信したいかについてシグナルを送信します。これらのシグナルを的確に読み取り、メールマーケティング戦略に反映し、健全なメール送信の実践を行うことで、メールの到達率を向上させることができます。