関連データとは
関連データは、データとデータを関連付けるのに役立つ機能です。この機能を利用すると、あるタブのデータを、別のタブのデータに柔軟に関連付けることができます。データを関連付けることで、異なるタブで管理されているさまざまな種類のデータを1か所にまとめて表示できます。組織タブのデータとチームタブのデータを関連付けることも可能です。この機能を利用することで、各種データに効率的にアクセスし、顧客への理解を一層深め、他チームとの協力も円滑にできます。
例として、Webアプリケーションの製品を提供するIT企業が顧客との商談を進めるケースを考えてみましょう。交渉の過程で製品のデモが必要な場合は、[商談]タブの詳細ページから[製品デモ]の関連データを作成して、製品のデモに必要なデータを入力して準備します。製品デモの後、交渉を重ねて受注に成功した場合は、該当の商談のデータを[契約書]タブのデータに関連付けます。同時に、[導入支援]タブのデータにも関連付け、製品の導入支援を準備します。顧客が導入の段階を無事に終えたら、その後の継続的な運用に向けて[顧客サポート]タブのデータを関連付けます(下図を参照)。
関連データの作成
関連データは、以下の2つの方法で作成できます。
- 手動での作成:いずれかの組織タブのデータの詳細ページから、チームタブのデータを関連付ける形で関連データを作成することが可能です。または、いずれかのチームタブのデータの詳細ページから、別のチームタブのデータを関連付ける形で関連データを作成することも可能です。
たとえば、[商談]タブ(組織タブ)のあるデータに対して[製品デモ](チームタブ)のデータを作成して関連付ける場合は、対象の商談データの詳細ページから、関連付ける製品デモのデータを直接作成できます。同様に、[導入支援]タブ(チームタブ)のデータの詳細ページから、[顧客サポート]タブ(チームタブ)のデータを直接作成して関連付けることも可能です。
- ワークフローによる自動作成:ワークフロールールを設定すると、関連データを自動で作成できます。データを作成するタイミングや作成処理の詳細な条件も指定できます。
たとえば、商談のステージが受注となったときは[導入支援]タブに新しいデータを作成し、失注となったときは[失注分析]タブにデータを作成するようにワークフロールールを設定できます。このようなルールで関連データを自動作成することにより、受注/失注のいずれの場合でも、後続の担当チームが商談のデータを引き継いで作業を進めることができます。
関連データが便利に機能するその他のケース
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他チームへの作業依頼や申請がよりスムーズになります。[申請者]の役職が割り当てられているユーザーは、関連データを利用することにより、[自分の申請]タブに移動しなくても、データの詳細ページからそのまますぐに関連データを作成して必要な申請を行うことができます。
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関連データは、チームを超えた情報共有にも役立ちます。関連データによって他チームのタブを関連付けると、チーム内のメンバーに、他チームのタブの中で必要なデータを共有することができます。メンバーは、他チームのタブ自体が共有されていなくても関連データを通じて必要な情報を入手して業務を円滑に進められます。
関連データの利用によって得られるメリット
- メールやチャットへの依存を解消:メールやチャットで連絡をする手間を省けます。Zoho CRM内で関連データを作成すれば、関係のある情報を自動で相手と共有できます。メールやチャットで別途やりとりする必要がなくなります。
- データへのアクセスを効率化:関連するデータをすべて1つの画面で一覧できます。タブを切り換えて対象のデータを検索する操作は不要になります。
- チーム間の協力を促進:他のチームが管理する情報も簡単に参照できるようになります。チーム間での情報共有がスムーズになり、共同作業が円滑になります。
- 顧客の状況を総合的に把握:これまでの経緯や関係のある情報を幅広く集め、顧客の状況を総合的に把握できます。顧客へのこうした理解によって、各顧客に対して最も効果的な対応を取ることが可能になります。
- タブ間でのデータの整合性を維持:データを関連付けておくことで、あるタブでデータを更新したときに、別のタブで該当のデータを参照する際にも最新のデータを確認できます。
関連データの活用例
以下に、Zoho CRMでの関連データの活用方法をいくつかの企業の例を挙げて説明します。
SaaSサービス提供会社:契約更新の交渉
概要:契約更新の担当者は、顧客と契約更新の交渉を始める前に、過去の請求書を確認しておきたいと思っています。
この場合、契約更新の時期が近い顧客情報を保管しているチームタブと、顧客の請求情報を保管している組織タブを関連付けると、2つのタブの情報をまとめて表示できます。
契約更新(チームタブ):契約中の顧客の中から、次回の契約更新日が近い顧客を確認できます。
請求書(組織タブ):顧客に対する過去の請求書と、そのときの契約内容が保管されています。
[契約更新](チームタブ)と[請求書](組織タブ)のデータを関連付けると、契約更新の担当者は両方のタブの情報をまとめて見ることができ、その顧客は月払いか年払いか、何人分のライセンスを購入しているのか、などを簡単に確認できます。こうした情報を事前に確認することで、契約更新の交渉をスムーズに進めることができます。
医療機関:薬の処方
概要:薬剤師は、処方された薬を患者に渡す前に、これまでどのような薬が処方されていたのかを確認する必要があります。このような場合、関連データを使って以下のチームタブと組織タブを関連付けると、両方のタブの情報をまとめて表示できます。
処方箋(チームタブ):診療時に処方された薬の情報を確認できます。
連絡先(組織タブ):患者の情報を、過去の病気や処方薬の記録も含めて確認できます。
[処方箋](チームタブ)と[連絡先](組織タブ)のデータを関連付けると、両方のタブの情報を1か所にまとめて表示できます。薬剤師は、まとめられた情報を参照して患者の病歴や過去の処方薬を把握し、患者の状況を総合的に理解します。こうした理解によって、新しく処方された薬について適切な指導や注意を行うことが可能になります。
保険会社:保険金請求への対応
概要:保険会社では、保険契約の条件を確認したうえで、保険金支払いの可否を判断します。
保険金請求(チームタブ):顧客から提出された保険金請求の情報を確認できます。
ドキュメント(組織タブ):締結された保険契約の内容と、その契約者の情報が保管されています。
この保険会社では、[保険金請求](チームタブ)と[ドキュメント](組織タブ)のデータを関連付けます。この関連付けにより、[保険金請求]タブに、保険契約の内容や契約者の情報を直接表示することが可能になります。担当者は、保険契約の条件をすばやく確認して保険金支払いの可否を判断できます。
ルックアップ項目との違い
タブ間でのデータの関連付けはルックアップ項目でも可能ですが、関連データがルックアップ項目と大きく異なる点は、柔軟な関連付けが可能なことです。ルックアップ項目では、あらかじめ管理者がレイアウトの設定で関連付けを定義しておく必要があります。これに対し関連データでは、関連付けが必要になったタイミングでユーザーがデータの詳細ページから柔軟に関連付けを行うことができます。
組織タブから関連データを追加するには
- 関連データの作成を行う組織タブに移動します。
- その組織タブで、関連付けの元となるデータを選択します。
- 関連データの欄に移動し、データの追加ボタンをクリックします。
- データを作成して関連付けるチームタブを選択し、そのタブのデータを作成します。
- 作成されたデータが、元の組織タブのデータに自動で関連付けられます。

チームタブから関連データを追加するには
- 関連データの作成を行うチームタブに移動します。
- そのチームタブで、関連付けの元となるデータを選択します。
- 関連データの欄に移動し、データの追加ボタンをクリックします。
- データを作成して関連付けるチームタブを選択し、そのタブのデータを作成します。
- 作成されたデータが、元のチームタブのデータに自動で関連付けられます。

メモ:[申請者]の役職が割り当てられているユーザーは、上記の手順により、[自分の申請]タブに移動しなくても申請を行うことができます。
ワークフロールールを使って関連データを自動的に作成するには
- [設定]→[自動化]→[ワークフロールール]に移動します。
- [ルールを作成する]をクリックします。タブを選択し、ルール名と、ルールの説明を入力します。[次へ]をクリックします。
- ワークフローの実行タイミングを指定して、[次へ]をクリックします。
- 実行の条件を指定して、[完了する]をクリックします。
- [すぐに実行する処理]として[関連データの作成]を選択します。
- 関連データを作成するタブとレイアウトを選択します。さらに、データ名やデータの担当者など、必要な情報を入力して、[保存する]をクリックします。
- もう一度[保存する]をクリックします。これで、ワークフロールールが有効になります。
