メールリレーの設定

メールリレーの設定

メールリレーの概要とメリット

メールリレーを設定すると、自社のサーバーを通じてZoho CRMからメールを送信することができます。リレーサーバーを設定すると、メールは次の流れで送信されます: Zoho CRM→リレーサーバー→受信者   

リレーサーバーを通じてメールを送信することで、迷惑メール(スパム)や偽装メール対策を行うことができます。特に、一括で大量のメールを送信する場合に役立ちます。事業内容によっては、ニュースレター、通知、招待、自動処理などのさまざまなメールを顧客に対して頻繁に一括で送信することがあります。大量のメールを一括で送信すると、通常のメール送信と比べて迷惑メール(スパム)として判定される確率が高くなります。リレーサーバーを設定すると、このような問題に対処することができます。

リレーサーバーを利用する他のメリットは、以下のとおりです:
  1. メールの保存: 組織によっては、コンプライアンスに準拠するために受信者に送信したメールのコピーを保存する必要がある場合があります。リレーサーバーを経由してメールを送信することで、送信メールのデータのバックアップを常にサーバー内に保存しておくことができます。

  2. バックアップの保持: 通常、重要な連絡事項やメッセージはメールを通じて顧客に共有されます。バックアップを保持することで、顧客にサービスを提供しなくなった後からでも以前のメールや添付ファイルにアクセスすることができます。将来これらのデータを参照することができます。

  3. ウイルス対策チェックの実施: メールを扱う業務においては、常にウイルスや迷惑メール(スパム)の脅威に対処しなければなりません。顧客にメールを送信する前にウイルス対策チェックを行うことで、このような悪意のある攻撃から受信者のメールシステムを保護することができます。

  4. 送信前の内容の編集: 一括メール送信では、多数のユーザー宛てにメールが送信されます。そのため、通常ではメールの内容はすべて同じものが用いられます。場合によっては、特定のユーザーに対して注意事項、通知、宣伝などの情報を追加することがあります。このような場合、送信前にメールにこれらの情報を追加することができます。個別にメールを送信する必要はありません。 

  5. メールのなりすましの防止: 悪意のある攻撃として、メールのヘッダー部分を偽装したメールで実際の送信者になりすます方法があります(スプーフィング)。リレーサーバーからメールを送信することで、なりすまし攻撃を避けることができます。 

  6. 不達メールや送信失敗メールへのアクセス: リレーサーバーでは、不達となったメールや受信者に到達しなかったメールを確認することができます。

リレーサーバーを設定する際の留意事項

  1. リレーサーバーを通じて送信できるメールは、Zoho CRMで作成されたメールだけです。これらのメールには、ワークフローメール、個別送信メール、一括送信メールが含まれます。リレーサーバーからすべて送信したり、これらのいずれかのメールを選択して送信したりすることができます。
  2. リレーサーバーから送信可能なメールの上限数を手動で設定することができます(上記であげられている対象のメールのみ)。 
    Zoho CRMアカウントから送信できるメールの件数は、利用中のプランによって異なりますのでご注意ください。リレーサーバーを利用してメールを送信する際のメールの上限数も、このプランにおける上限数と同じです。 たとえば、利用中のプランで1日に送信可能なメールの上限数が5,000件の場合、リレーサーバーを利用する際にもこの上限が適用されます。2,000件のメールをリレーサーバーから送信する場合、Zoho CRMのサーバーから直接送信可能なメールの上限数は3,000件となります。 
  3. リレーサーバーの設定後、Zoho CRMのサーバーから送信されるメールは、引き続きZoho CRMのサーバーから送信されます。1日に送信可能なメールの上限数は、利用中のプランによって異なります。 
  4. メールの不達を避けるために、Zoho CRMのすべてのIPアドレスをホワイトリストに登録することをお勧めします。また、オープンリレーサーバー(外部ユーザーにもメール送信を許可するSMTPサーバー)を利用する場合、ホワイトリストへのIPアドレスの登録が必須となりますのでご注意ください。 

リレーサーバーでのメール認証

リレーサーバーが設定されていない場合 
送信メールはユーザーのドメイン(例:@company.com)で作成され、Zoho CRMのサーバーを通じて受信者に送信されます。受信者に到達しなかったメールや不達メールを受信するために、返送先(メールヘッダーの送信元アドレス)がZoho CRMのサーバーに設定されます。これにより、送信元のメールアドレスと返送先のIPアドレスが一致しなくなります。これにより、メール認証プロトコル(SPF)による認証が失敗します。メールの不達を避けるために、Zoho CRMではSPF認証の代わりにDKIM認証を利用してメールに署名が行われます。DKIMによる署名により、メールはDMARCポリシーを満たし、受信者に到達されます。


リレーサーバーが設定されている場合
送信メールはZoho CRMから送信され、リレーサーバーを通じて受信者に送信されます。サーバー事業者によっては、受信者に到達しなかったメールや不達メールをリレーサーバー内で管理するために、メールの返送先が事業者のサーバーに変更される場合があります。 
メモ: CRMからリレーサーバーに保存されている不達メールにアクセスする場合は、APIを利用してリレーサーバーから不達メールの管理データを取得してCRMと連携することで、アクセスできるようになります。  

リレーサーバーの設定後における返送先: 
  1. 返送先がZoho CRMのサーバーの場合
    1. 送信メールは Zoho CRMのサーバーからリレーサーバー に送信されます。この時点で、送信元のメールのIPアドレスと返送先に指定されたIPアドレスに対して認証が行われます。返送先はZoho CRMのサーバーに設定されているため、これら両方のIPアドレスは一致し、SPF認証に成功します。 

    2. その後、メールは リレーサーバーから受信者に送信 されます。この時点で、送信元のメールと返送先のIPアドレスに対して再度認証が行われます。今回、送信元のメールのIPアドレスはリレーサーバーであり、返送先のIPアドレスはZoho CRMのサーバーです。そのため、これら2つのIPアドレスが一致せず、SPF認証に失敗します。これにより、メールは不達となったり、受信者側で迷惑メール(スパム)として識別されることがあります。 

このような問題を避けるために、DKIM認証を有効にすることをお勧めします。DKIM認証により、DMARCポリシーを満たし、メールを到達させることができます。
  1. 返送先がリレーサーバーの場合
    1. 送信メールはZoho CRMのサーバーからリレーサーバーに送信されます。IPアドレスの認証が行われます。この時点ではまだ返送先のIPアドレスはZoho CRMのサーバーです。送信元のメールのIPアドレスもZoho CRMのサーバーのため、IPアドレスが一致し、SPF認証に成功します。 

    2. 次に、メールはリレーサーバーから受信者に送信されます。この時点で、返送先が指定したリレーサーバーに設定されます。IPアドレスの認証が再度行われます。送信元のメールのIPアドレスはリレーサーバーであり、返送先のIPアドレスもリレーサーバーのため、IPアドレスが一致します。これにより、SPF認証に成功し、メールを到達させることができます。  
メモ
  • 初期設定では、返送先はZoho CRMのアドレスが設定されています。サーバー事業者によって返送先がリレーサーバーのアドレスに変更されることはほとんどありません。このため、上記の「返送先がZoho CRMのサーバーの場合」のようにSPF認証に失敗します。エラーを回避するには、DKIM認証を有効にして、DMARCポリシーによって署名を行う必要があります。 

  • メールの不達を避けるために、Zoho CRMでDKIMによる署名を行うことをお勧めします。また、DKIMの設定は、サーバー事業者でも行うことができます。


ホワイトリストへのZoho CRMのIPアドレスの登録

メールは、Zoho CRMのさまざまなIPアドレスからリレーサーバーへと送信されます。IPアドレスの不一致によるメールの不達を避けるために、Zoho CRMのIPアドレスをリレーサーバーのホワイトリストに登録する必要があります。オープンリレーサーバーでは、IPアドレスを基にメールが処理されます。そのため、オープンリレーサーバーを利用する場合、IPアドレスのホワイトリストへの登録は必須です。リレーサーバーのホワイトリストにZoho CRMのIPアドレスを登録すると、ホストのユーザー名とパスワードを用いて認証が行われます。オープンリレーサーバー以外の場合、ホワイトリストへの登録は必須ではありませんが、メールの不達を避けるためにも、IPアドレスを登録することをお勧めします。

各データセンターに登録されているアカウントにおいて、ホワイトリストへの登録が推奨されるIPアドレスは以下のとおりです。
JPデータセンター (crm.zoho.jp)
USデータセンター (crm.zoho.com)
EUデータセンター (crm.zoho.eu)
INデータセンター (crm.zoho.in)
AUデータセンター (crm.zoho.com.au)
CNデータセンター (crm.zoho.com.cn)
CAデータセンター (crm.zohocloud.ca)
SAデータセンター (crm.zoho.sa)
JPデータセンター (crm.zoho.jp)
193.118.160.0/24

193.118.161.0/24

103.163.152.0/24

103.163.153.0/25

103.163.153.128/25

165.173.185.0/25

165.173.185.128/25

193.118.160.37/32

193.118.161.37/32

103.163.152.0/24

103.163.153.0/24

193.118.160.0/24

193.118.161.0/24
USデータセンター (crm.zoho.com)
204.141.42.0/23 

136.143.190.0/23 

136.143.186.0/23 

136.143.189.0/24 

204.141.32.0/23 

136.143.182.0/23 

136.143.180.0/23 

136.143.185.0/24 

136.143.178.0/23 

136.143.176.0/23 

8.40.222.0/23

8.39.54.0/23

135.84.80.0/24

136.143.161.0/24

136.143.184.0/24

136.143.188.0/24

165.173.129.0/24

165.173.174.0/24

165.173.175.0/24

165.173.180.0/24

165.173.182.0/24
EUデータセンター (crm.zoho.eu)
185.20.209.0/24

31.186.243.0/24

213.244.146.0/24

185.230.212.0/23

87.252.213.0/24

89.36.170.0/24

217.163.72.0/24

185.230.214.0/23
INデータセンター (crm.zoho.in)
103.103.196.0/24 

103.103.197.0/24 

103.117.158.0/24 

103.89.75.0/24 

125.17.151.81

125.17.212.101 

103.89.75.3

103.89.75.7 

103.103.198.0/24 

103.117.159.0/24 

103.89.74.0/24 

199.34.22.38

103.89.74.3

103.89.74.7
AUデータセンター (crm.zoho.com.au)
101.97.36.0/24

103.138.128.0/23

103.91.166.0/24

165.173.191.0/24
CNデータセンター (crm.zoho.com.cn)
163.53.93.0/24

163.53.94.0/27

118.126.63.128/25

118.126.63.64/26

103.212.59.96/29

124.251.121.0/24

124.251.122.0/25

124.251.128.0/24
CAデータセンター (crm.zohocloud.ca)
199.67.84.0/24 

199.67.86.0/24 

199.67.85.0/24 

199.67.87.0/24


199.67.69.0/24


199.67.84.37/32


199.67.86.38/32

SAデータセンター (crm.zoho.sa)
199.67.80.0/23

199.67.82.0/23



リレーサーバーの設定

メールリレーを利用すると、Zoho CRMからのメールを、自社のサーバーを通じて送信することができます。利用中のCRMのプランに応じて、複数のドメインを追加したり、それぞれのドメインに対してリレーサーバーを設定したりすることができます。1件のドメインに対して、最大3件のリレーサーバーを設定することができます。メールリレーを設定する前に、メールの管理者から次の情報を取得する必要があります: 
  • ポート番号 :使用するSMTPサーバーのポート番号です。メールリレー機能では、次のポート番号に対応しています:25、465、587 

  • 暗号化通信による安全な接続 SSLやTLS証明書を利用する場合、これらの証明書を認証することをお勧めします(証明書の認証は必須ではありません)。証明書を認証するには、ホスト名とパスワードを証明書で指定する必要があります。  

利用条件  
必要な権限  
管理者権限を持つユーザーがこの機能を利用できます。  


リレーサーバーから送信するメールの種類の設定  

リレーサーバーを通じて送信するメールの種類を選択することができます。ワークフローメール、一括送信メール、個別送信メールなどのCRMから送信されるメールのみ、リレーサーバーを通じて送信することができます。メールの種類ごとに異なるリレーサーバーを設定することもできます。たとえば、一括送信メールについてはサーバー1を利用し、ワークフローに関するメールについてはサーバー2を利用することができます。   


リレーサーバーから送信するメールの上限数の設定  

リレーサーバーから送信するメールの1日あたりの上限数を指定することができます。上限に達すると、以降のメールはCRMのサーバーを通じて送信されます。 

不達メールの管理  


Zoho CRMでの不達メールの管理機能では、不達メールの返送先となるメールアドレスを設定することができます。たとえば、配送業者を利用して荷物を送る場合、宛先の住所と、荷物を配達できなかった場合の返送先の住所を指定します。同様に、Zoho CRMから送信されるメールにも宛先のメールアドレスと返送先のメールアドレスが指定されています。返送先とは、不達となったメールが返送されるメールアドレスです。初期設定では、CRMの返送先はZoho CRMのメールボックスです。メールが不達になった場合、Zoho CRMの関連リスト、セールスシグナル、レポート、フィルターで、メールのステータスが「不達」として更新されます。 
  1. [Zoho CRMでの不達メールの管理]の設定を有効にすると、不達メールの返送先がZoho CRMに設定されます。メールが不達になると、不達情報がZoho CRMのメールサーバー(メールボックス)に送信され、メールのステータスが[不達]に更新されます。
  1. サーバー事業者によっては、メールの返送処理において、返送メールを中継するリレーサーバーであらかじめ指定されている返送先のみ受け付けるよう制限している場合があります。その場合、リレーサーバーにおいて次のメールアドレスを許可するように設定します。なお、設定するメールアドレスは、Zoho CRMアカウントを登録したデータセンターによって異なります。データセンターに応じたドメインを設定することで、Zoho CRMへの不達メール情報を受信することが可能です。

    中国

    catchall@relay.zoho-crm.com.cn

    EU諸国

    catchall@relay.eu.zohocrm.com

    米国

    catchall@relay.zohocrm.com

    インド

    catchall@relay.zohocrm.in

    オーストラリア

    catchall@relay.zoho-crm.com.au

    日本

    catchall@relay.zohocrm.jp 

  1. 自社が利用しているリレーサーバーにおいてZoho CRMを返送先として指定できない場合、[Zoho CRMでの不達メールの管理]の設定を無効にして、リレーサーバーを返送先として設定する必要があります。設定するにあたって、次の2種類の方法があります。
    1. 差出人メールアドレスを標準の返送先として設定する:差出人メールアドレスを返送先として設定できます。メールが不達となった場合、不達情報がこのメールアドレス宛てに直接送信されます。
    2. 特定のメールアドレスを標準の返送先として設定する:リレーサーバーで設定されているドメインのメールアドレスを返送先として設定することができます。この設定は、別の差出人メールアドレスから送信されたメールに関する不達情報を共通のメールアドレスでまとめて受信したい場合に役立ちます。たとえば、amelia@zylker.compatricia@zylker.comjennie@zylker.comの3つのメールアドレスを持っているとします。この場合、共通のメールアドレスであるbounce@zylker.comを返送先として設定することで、上記の3つのメールアドレスから送信されたメールに関する不達情報を、この共通のメールアドレスですべて受信することができるようになります。

[Zoho CRMでの不達メールの管理]の設定を無効にすると、不達情報に関する通知メールが送信されなくなります。また、[メール]の関連リストにおいて、メールのステータスは[不達]に更新されなくなります。


メールリレーを設定するには 
  1. [設定][チャネル][メール] →[メール到達率の向上]→ [メールリレー]の順に移動します。 

  2. メールリレーの設定ページで、[+ 新しいサーバー]をクリックします。 

  3. 新しいサーバーの追加ページが表示されます。 

  4. サーバーの詳細のセクションで、以下の操作を実施します。

    1. サーバー名を入力します。 

    2. ドロップダウンからポート番号を選択します。 

    3. 1日あたりのメール数の上限を指定します。

    4. SSL接続の項目で、[SSL]、[TLS]、[なし]のいずれかを選択します。 

  5. ドメイン設定のセクションで、以下の操作を実施します。

    1. [このサーバーのドメイン]のドロップダウンで、対象のドメインを選択します。 

    2. このドロップダウンには、メール認証で追加したすべてのドメインが表示されます。新しいドメインを追加することもできます。  

    3. [メールの種類]のドロップダウンで、メールの種類を選択します。 

    4. [DKIM認証]のチェックボックスにチェックを入れると、リレーサーバーを通じて送信されるメールに対して、DKIMによる署名を行うことができます。  

      表示される公開鍵の画面で[クリップボードにコピー]をクリックし、コピーした公開鍵をDNSの設定画面に貼り付けます。 

    5. 不達メールの返送先をZoho CRMに指定する場合は、[Zoho CRMでの不達メールの管理]のチェックボックスにチェックを入れます。

      不達メールの返送先を指定する場合は、チェックを外します。返送方法として、差出人アドレスを標準の返送先として設定するか、特定のメールアドレスを標準の返送先として設定するかのいずれかを選択します。特定のメールアドレスを標準の返送先として設定する場合は、返送先のメールアドレスを入力します。

  6. 認証のセクションで、以下の操作を実施します。

    1. 認証の有無の項目で、[はい]または[いいえ]をクリックします。

    2. [はい]を選択した場合、認証用にホストの[メールサービス][ユーザー名][パスワード]を入力します。

    3. ドロップダウンに記載されているメールサービスを選択すると、OAuthを通じてログインするように促されます。

    4. ドロップダウンに該当のメールサービスが記載されていない場合、ドロップダウンで[その他]を選択し、パスワードを入力してログインします。

  7. [設定する]をクリックします。

メモ:リレーサーバー経由で送信可能なメールの件数の上限に達した場合、その後のメールはZoho CRMのサーバーから送信されます。


サーバー情報の確認

メールリレー設定のページでは、すべての設定されているサーバーを確認することができます。一時的に使用していないサーバーがある場合は、こちらで無効にすることができます。また、メール送信を停止するサーバーがある場合は、こちらでサーバー情報を削除することができます。  

メモ
  1. 利用中のCRMのプランに応じて、最大 5件 のドメインを設定することができます。1件のドメインに対して、複数のリレーサーバーを設定することができます(最大5件)。 
  2. どのような場合でも、メールがリレーサーバーから送信できなかった際は、メールはZoho CRMのサーバーを通じて送信されます。 
  3. 1日に3回続けてメール送信に失敗した場合、通知メールが送信されます。この場合、次の日までリレーサーバーからメールを送信できなくなります。  







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