正規表現は、文字列のパターンを表すための記述方法です。たくさんの文字列の中から、特定のパターンに一致する文字列を検索したり置換したりするのによく使用されます。また、正規表現を用いて、対象となる文字列が特定のパターンに一致するかどうかも検証することも可能です。具体的には、フォーム等を通じて入力された文字列が、許可されているパターンに一致するかどうかを検証し、入力を受け付けるかどうかを判定するのに使用されます。正規表現のメリットは以下のとおりです。
実際の正規表現の例:
Zoho Deskでは、レイアウトルールと入力規則の機能において正規表現を使用できます。パターンは、新しく作成することもできますが、ギャラリーに用意されているものを選択して使用することもできます。ギャラリーには、よく使用されるパターンがあらかじめ用意されており、パターンを作成しなくてもすぐに使用できます。
ギャラリーに用意されている正規表現パターンの一覧
正規表現パターン | 説明 |
英数字(a~zのアルファベット、0~9の数字) | このパターンは、小文字のアルファベットと数字の組み合わせを意味します。 例:abc123 |
英数字とスペース | このパターンは、小文字のアルファベット、数字、スペース(空白文字)の組み合わせを意味します。 例:hello world123 |
英数字、ハイフン(-)、アンダースコア(_) | このパターンは、小文字のアルファベット、数字、ハイフン(-)、アンダースコア(_)の組み合わせを意味します。 例:user-name_123 |
アルファベットのみ | このパターンは、アルファベットの大文字と小文字のみの組み合わせを意味します。 例:alphabetsonly |
アルファベットとスペース | このパターンは、アルファベットとスペース(空白文字)の組み合わせを意味します。 例:words only |
数字のみ | このパターンは、数字のみの組み合わせを意味します。 例:123456 |
URL | このパターンは、標準的なURLの形式の文字列を意味します。 例:https://www.example.com |
メールアドレス | このパターンは、標準的なメールアドレスの形式の文字列を意味します。 例:user@example.com |
携帯電話番号 | このパターンは、10桁の携帯電話番号を意味します。また、先頭に「+91」または「0」が付いているものも含まれます。 例:9876543210、+919876543210 |
アメリカ合衆国の郵便番号 | このパターンは、アメリカ合衆国の郵便番号の形式(5桁の数字)を意味します。 例:12345 |
アメリカ合衆国の州名 | このパターンは、アメリカ合衆国の州名を意味します。 例:California |
電話番号 | このパターンは、電話番号の形式((xxx) xxx-xxxx)を意味します。 例:(123) 456-7890 |
社会保障番号 | このパターンは、社会保障番号の形式(xxx-xx-xxxx)を意味します。 例:123-45-6789 |
MACアドレス | このパターンは、MACアドレスの形式を意味します。 例:00:1A:2B:3C:4D:5E |
IPアドレス(IPv4とIPv6の両方) | このパターンは、IPv4とIPv6の両方のIPアドレスの形式を意味します。 例:「192.168.1.1」、「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」 |
クレジットカード | このパターンは、16桁の数字とハイフンからなるクレジットカード番号の形式(xxxx-xxxx-xxxx-xxxx)を意味します。 例:1234-5678-9012-3456 |
正規表現を用いた条件には、いくつかの種類があります。目的や用途に応じてこれらの条件を使い分けることで、より正確かつスムーズに処理を実行できます。レイアウトルールと入力規則において使用できる条件の種類は以下のとおりです。
- 用途:適用対象とするパターンを指定します(OKとするパターンを指定します)。ただし、完全に一致するものではなく、部分的に一致するものも対象として含みます。指定したパターンに一致する値が含まれるデータを検索できます。
- 使用例:対象となるテキストの中に、指定したパターンに一致する値が含まれているかどうかを確認できます。たとえば、ネットショップにおいて、特定の地域向けの商品一覧を表示したいとします。また、商品データには郵便番号が登録されており、対象地域に該当する郵便番号が含まれるデータのみを抽出したいとします。このような場合にこの条件を使用することで、目的のデータを抽出して表示できます。
留意事項
レイアウトルールの機能を利用すると、ある項目に入力された値に応じて、他の項目やセクションを表示したり隠したりできます。データを入力する際に不要な項目も表示されていると、入力作業が煩雑になります。このような場合にレイアウトルールを設定することで、必要な項目のみを表示して、入力作業の負荷を軽減することが可能です。関連情報:レイアウトルールの作成
レイアウトルールを作成する際には、正規表現を用いてパターンを指定することが可能です。これにより、より柔軟に条件を設定することができます。複数の条件を細かく設定しなくても、1つの正規表現で必要なパターンをカバーすることが可能です。また、条件として値の種類や形式を指定することもできます。
たとえば、クレジットカード番号が入力されているかどうかに応じて表示する項目を切り替えたいとします。このような場合に、正規表現を用いて条件を指定することで、クレジットカード番号の形式で値が入力されているかどうかを検証できます。入力されている値がパターンに一致しない場合には、関連する項目を表示しないように設定できます。
レイアウトルールの条件の設定例:
[クレジットカード番号](項目名) + [が正規表現に一致する値を含む](条件の種類) + [Credit Card Number](正規表現のパターン名)
正規表現を用いてレイアウトルールを設定するには
入力規則のルールにおいて正規表現を活用することで、入力値が特定のパターンに一致しているかどうかを確認できます。これにより、適切な値のみが入力されることを担保できます。
たとえば、ある項目においては、適切な形式のメールアドレスの値のみを受け付けるようにするとします。この場合、入力規則のルールにおいて正規表現を指定し、適切な形式のメールアドレスかどうかを検証できます。設定例:[メールアドレス](項目名) + [が正規表現パターンに一致する](条件の種類) + [Email Address](正規表現のパターン名)。入力値がパターンに一致するかどうかが検証され、一致しない場合はエラーメッセージを表示できます。
さらに、より細かな指定を行うことも可能です。たとえば、特定のドメインが含まれるメールアドレスのみを受け付けるとします。たとえば、「zylker.com」というドメインが含まれるメールアドレスのみを受け付ける場合、正規表現パターンは以下のようになります。
(?i)[a-z0-9.-]+@zylker\.com$
なお、このパターンの冒頭にある(?i)という記号は、大文字小文字を区別しないという意味を表します。また、パターンの内容としては、@の前のユーザー名の部分には、アルファベット(a-z)、数字(0-9)、ピリオド(.)、ハイフン(-)のみが使用されていることを意味します。さらに、@以降の部分は「zylker.com」と一致するということを意味します。最後の$の記号は末尾を表し、「zylker.com」で終わる文字列であることを意味します。
正規表現を用いて入力規則を設定するには
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