
この連携機能は、現在、一部のアカウントでのみ利用できます。今後、早期アクセスの申請に基づいて利用可能になる予定です。
Zoho CRMの利用状況の指標は、Zoho MICSを活用した分析のための連携機能です(Zoho MICSは、アプリケーションの利用状況を分析するためのサービスです)。この連携機能により、Zoho CRMの各機能が、どのユーザーにどの程度利用されているのかを分析できます。こうした分析は、以下のような目的に活用できます。
- 見込み客に関するリアルタイムのデータにもとづいて、販売戦略を柔軟に調整する
- ユーザー単位の詳細な分析によって、各ユーザーの作業効率を上げる
- 機能ごとに利用状況を調査して、Zoho CRMの利用促進につなげる
[利用状況の指標]の画面は、ホーム、活動、傾向、ファネルチャート、コホート図、ユーザー分析といった複数のページに分かれています。各ページにはさまざまな種類の指標が表示され、それぞれ異なる視点でZoho CRMの利用状況を分析できます。Zoho CRM全体に関する指標(活動しているユーザーの総数、操作の総回数など)や、機能別/ユーザー別の詳細な指標(サインイン日数、セッション時間、見込み客の変換率など)を活用することで、適切な分析と、その結果にもとづく適切な意思決定が可能になります。
利用状況の指標として表示される情報
ホーム
Zoho CRMでこの連携機能を設定すると、画面左側のタブの一覧から、利用状況の指標のタブを表示できます。最初に表示されるホーム画面には、Zoho CRM全体の利用状況に関する指標が表示されます。ページの上部に、Zoho CRM全体の操作回数、利用された機能の数、ユーザーのサインイン日数、活動があったユーザー/活動がなかったユーザーの人数が表示され、全体の利用状況をひと目で把握できます。
たとえば、上図のページでは、利用された機能の数が減っていることが示されています。また、前月に比べて3%の減少であることもすぐに分かります。こうした情報を得ることで、ユーザーが機能を利用しなくなった理由を探り、問題があれば対策を検討し、Zoho CRMの設定や利用方法を改善していくことができます。
表示される情報
ホーム画面に表示される指標を簡単に説明します。
- 全体の指標
- 操作回数の合計:過去30日間に行われたクリックなどの操作の回数です。
- 利用された機能:過去30日間に1回でもアクセスのあった機能の数です。
- サインイン日数:ユーザーがZoho CRMにサインインした日数です。
- 活動があったユーザー:過去30日間にZoho CRM内で何らかの操作をしたユーザーの人数です。
- 活動がなかったユーザー:過去30日間にZoho CRM内でまったく操作をしなかったユーザーの人数です。
各指標には、前月に対する増減率も表示されます。このため、利用が増えている/減っているといった傾向も簡単に把握できます。
- 操作回数の詳細
Zoho CRMで行われた操作の回数を週単位で集計した数値です。どの週の、どの曜日に操作が多かったかが分かります。 - サインイン日数の詳細
直近の5週間について、毎日どれくらいのユーザーがサインインしたかが曜日ごとに表示されます。ユーザーの利用パターンを理解できます。 - 操作回数が多かったユーザー/サインインした日数が多かったユーザー
- 操作回数が多かったユーザー:Zoho CRM内で多くの操作を行ったユーザーが表示されます。
- サインインした日数が多かったユーザー:Zoho CRMに頻繁にサインインしていたユーザーが表示されます。
活動
[ホーム]の横にある[活動]をクリックすると、Zoho CRM内の各タブにおけるユーザーの活動状況を確認できます。全体の操作回数、サインイン日数、活動があったユーザー/活動がなかったユーザーの人数に加え、最大で直近の60日間について、Zoho CRMのどの機能がよく使われていたのか(または、使われなかったのか)を知ることができます。
たとえば、[見込み客]タブに新しい機能が導入されたので、[見込み客]タブの利用状況を知りたいとします。活動ページでは、以下のような情報を確認できます。
- 直近60日間に[見込み客]タブで行われた操作の総回数
- 新機能が導入された前後でユーザーの活動がどのように変化したかを示すグラフ
このような情報から、新機能は十分に利用されているか、支援を必要としているユーザーはいないか、などを知ることができます。
表示される情報
- 全体の指標
- 操作回数の合計:過去30日間にすべてのタブで実行された操作の回数です。
- 利用された機能:1回でもアクセスのあったタブ/機能の数です。前月からの増減も表示されます。
- サインイン日数:ユーザーがZoho CRMにサインインした日数です。前月からの増減も表示されます。
- 活動があったユーザー:過去30日間にZoho CRM内で何らかの操作をしたユーザーの人数です。
- 活動がなかったユーザー:過去30日間にZoho CRM内でまったく操作をしなかったユーザーの人数です。
- 機能別の利用状況
- 操作回数(直近60日間):各タブにおける操作の回数です。[見込み客]、[連絡先]、[商談]などのタブごとに回数が表示されます。
- グラフ:横軸を日付、縦軸を操作回数とする時系列グラフが表示されます。日別にその機能の利用が多かったか、少なかったかを確認できます。
- 検索条件とフィルター条件
- ユーザーで検索:ユーザーIDまたはメインのメールアドレスでデータを検索できます。
- 機能で検索:特定のタブ/機能をフィルターの条件に指定できます。分析の目的に合わせて適切なデータのみを抽出できます。
傾向
このページでは、特定の期間に各機能の利用状況がどのように変化したのかを分析できます。操作回数の変動を時系列に示すグラフや表から、Zoho CRMで行われている作業のパターンを見つけ出し、改善策を検討できます(データの表示単位は、日、週、月で切り替えることが可能です)。
たとえば、毎月、1,000件以上の見込み客が登録されるとします。このような場合、登録件数を日ごと/月ごとに示すグラフや表を用いると、件数が増減するパターンを知ることができます。こうした分析ができれば、登録件数が特に多くなる時期を特定し、その時期に合わせて人員を増やすなどの対策を講じることができます。
傾向を示す指標は、以下の2種類の形式で表示できます。
- 線グラフ

- 表

表示する時間の単位には、日、週、月のいずれかを選択できます。目的に合わせて、時間の単位を切り替えながら分析することも可能です。

ファネルチャート
このページでは、営業プロセスなど、Zoho CRM内で管理しているプロセスの段階が徐々に進んでいく様子を分析できます。各段階での変換率と離脱率も表示されるため、ボトルネックになっている箇所の特定と、その解消に役立てることができます。
例として、見込み客を管理するプロセスにおける以下のステップを考えてみましょう。
- ステップ1:見込み客の登録
- ステップ2:見込み客の変換(商談化)
ファネルチャートを利用すると、各ステップについて、以下を分析できます。
- 変換率(商談化率):登録された見込み客のうち、変換(商談化)に至った見込み客の割合が表示されます。具体的には、見込み客データから取引先/連絡先/商談データに変換された割合が表示されます。
- 離脱率:ステップごとに、変換(商談化)に至らず離脱した見込み客の割合が表示されます。どのステップがボトルネックになっているのかを知ることができます。
コホート図
一定の期間にZoho CRMの機能がどのように利用されたかを、人気度と利用頻度の指標を使って分析できます。
- 人気度:機能を利用したユーザーの人数でその機能の人気度が表されます。アクセスが多いタブや、実行回数が多い操作などを知ることができます。

- 利用頻度:特定の機能をどれくらいの頻度で利用する人が多いのかが表示されます。ユーザーを利用回数でグループ分けして(1~10回、11~100回など)、どのグループのユーザーが多いのかを調べることができます。
たとえば、営業チームの中でどのタブがよく利用されているかを調べるとします。まず、見込み客、連絡先、商談の各タブについて人気度を表示します(期間は1か月)。この表示から、[見込み客]タブが最もアクセスされていることが分かります。次に、各タブの利用頻度を表示します。この表示からは、[見込み客]タブの多くのユーザー(50人以上)は利用回数が50回以上であり、利用頻度の高いユーザーが多いことが分かります。
ユーザー分析
このページでは、個々のユーザーの活動を分析できます。どのユーザーがZoho CRM内で最も多くの操作を行っているか、ユーザーは各機能をどれくらいの頻度で利用しているかなどを分析し、今後どのようなサポートをユーザーに提供すればよいかを検討します。
例1
ある企業では、Zoho CRMの月間利用者数と各機能の利用状況を知るため、ユーザー分析のページで以下のような分析を行いました。
- 活動があったユーザーの分析:毎月、継続的にZoho CRMにサインインしているユーザーがどれくらいいるかを調べることができます。
- 主な機能の利用状況の分析:どの機能/タブが頻繁にアクセスされているか調べ、Zoho CRMが実際の業務にどの程度利用されているかを把握できます。
このような分析から、多数ある機能/タブのうち、どれが十分に利用されていて、どれがまだ十分に利用されていないのかを特定し、今後どのようなサポートや研修を実施すればよいかを検討します。
例2
ある企業では、毎日多くの従業員がZoho CRMにサインインしていることは分かっていましたが、各機能が十分に活用されているかや、従業員が生産的な活動を行っているかなどの点に懸念がありました。このため、フィルターに以下の条件を指定してユーザーの活動を分析しました。
- 活動
- 最終利用日時:最終利用日時から1日未満(毎日サインインしているユーザーを抽出します)
- セッション時間:300分(5時間)を超えている(一定時間以上、継続的に作業をしているユーザーを抽出します)
- 利用した機能
- タブ:データの追加(実質的に意味のある操作のみをカウントします)
上記のフィルターを使ってデータを分析したところ、毎日サインインしているユーザーのうち、実質的に意味のある操作(データの追加)を行ったユーザーは20%未満でした。この結果は、Zoho CRMの機能や活用方法をユーザーが十分に理解していない可能性を示唆しています。このような場合、研修の実施などによってユーザーの理解を深めることができれば、全体の生産性向上にもつながります。
ユーザーの活動については、さまざまな指標による詳細な分析が可能です。個々のユーザーの行動まで掘り下げて分析することで、Zoho CRMがどのように利用されているのかを正確に把握できます。
- 活動に関する指標
ユーザーの活動に関するさまざまな指標をフィルターに使用して、Zoho CRMの利用状況やユーザーの行動を詳しく分析できます。以下のような指標をフィルターの条件に指定できます。 - サインイン日数
ユーザーがZoho CRMにサインインした日数です。
例:10月1日にアカウントを登録したユーザーが、10月4日、8日、12日、14日に実際にサインインしたとします。この場合、10月31日までの30日間のサインイン日数は4日です。 - サインイン日数の増加率
ユーザーのサインイン日数を前月(30日間)と比較した場合の増加率です。
例:あるユーザーのサインイン日数が、9月中は10日、10月中は15日だったとします。この場合、10月のサインイン日数は50%の増加です。 - サインイン日数の減少率
ユーザーのサインイン日数を前月(30日間)と比較した場合の減少率です。
例:あるユーザーのサインイン日数が、9月中は30日、10月中は15日だったとします。この場合、10月のサインイン日数は50%の減少です。 - 最終利用日時
ユーザーがZoho CRMを最後に利用した日時です。
例:10月1日に登録されたユーザーが、10月2日、5日、8日にサインインし、その後はサインインしなかったとします。この場合、このユーザーの最終利用日時は10月8日です。 - セッション時間
ユーザーがZoho CRM内で継続的に作業を行っていた時間を「セッション」として計測し、その合計時間が表示されます。1回のセッションは、ユーザーが何らかの操作を行った時点から、何の操作もなく15分が経過した時点まで、またはユーザーがサインアウトした時点までです。
例:あるユーザーが、朝の9:00にサインインして10:00まで作業し、その後、夜になってから20:00に再びサインインして22:00まで作業したとします。この場合、この日のセッション時間は3時間(180分)です。 - セッション数
ユーザーが開始したセッションの数です。
例:上記の例の場合、朝と夜に1回ずつサインインしているので、セッション数は2です。
全ページに共通の情報
各ページに表示される利用状況の指標はそれぞれ少しずつ異なりますが、基本となっている情報は全ページに共通です。
機能
利用状況の指標に使われる「機能」とは、Zoho CRM内の操作、タブ、処理などを指します。各種の指標を機能の単位で分析できます。機能は、以下のような種類に分類されます。
- 全体に共通の機能(カレンダーなど)
- ユーザーと権限の機能(権限/役職/ユーザーの設定など)
- 自動化の機能(割り当てルールなど)
- 経路別の機能(Webフォームなど)
- タブ(標準タブについて詳細な分析を行うことが可能です。また、[すべてのタブ]を選択して、全体を分析することもできます)
- カスタマイズの機能(パイプラインなど)
- レポートと分析の機能
上図に示されているように、さまざまな種類の機能を分析に使用できます。たとえば、傾向を分析するページでは、機能として特定のタブを指定し、そのタブに焦点を絞って分析を行うことが可能です。また、ファネルチャートでは、見込み客の登録や変換(商談化)といった一連の操作を機能として指定できます。さらに、各ユーザーの活動を機能ごとに分析し、どの機能がよく利用されているか(または、利用されていないか)を調査することもできます。
機能の細分化
(傾向、ファネルチャート、ユーザー分析で利用可能)
上図に示した各機能は、より詳しい分析を可能にするため、さらに細かい機能に分けられています。どのような機能に分けられるかは機能ごとに異なります。また、分けられた機能の中に、さらに細かい機能が存在する場合もあります。
たとえば、[見込み客]タブを選択すると、そのタブの中の機能として、
データ一覧、
通話、
予定の作成、
ボタン、
マクロ、
タスクの作成などを選択できます。ここで、
データ一覧を選択すると、その中でさらに、
一覧表示、
かんばん表示、
キャンバス表示などを選択できます。
フィルター
フィルターは、分析の対象を絞り込んでその対象を深く分析したいときに役立ちます。フィルターに指定できる条件は、ユーザーの言語、国、タイムゾーン、アカウントのステータスなどです。条件を指定して対象を絞り込むことで、余分なデータの含まれない適切な結果を得ることができます。たとえば、ある国のユーザーがよく利用している機能はどれか、特定のタイムゾーンのユーザーに何か特別なサポートが必要か、などを調査できます。
グループ化
ユーザーを一定の条件でグループ化し、そのグループの単位で分析を行うこともできます。グループ化の条件には、フィルターと同様の条件を使用できます(ユーザーの言語、国、タイムゾーン、アカウントのステータスなど)。グループ化をすると、グループごとにデータを比較して、各グループのパターンや傾向に違いがないかを調査できます。たとえば、ユーザーを国でグループ化してZoho CRMの利用が活発な国を特定したり、タイムゾーンでグループ化して作業量のピーク時期の傾向を比較したりすることが可能です。グループ化を使用してデータをグループ間で比較することで、改善が必要な機能や、サポートが必要なユーザーを見つけ出すことができます。
Zoho CRMの利用状況の指標の有効化
Zoho CRMの利用状況の指標を有効化する(拡張機能を設定する)には、Zoho CRMに管理者としてサインインし、以下の手順を実行します。
- 画面左側のメニューから、[マーケットプレイス]を表示します。
- 拡張機能の種類の一覧から、Zohoを選択します。
- CRM Usage Metrics(Zoho CRMの利用状況の指標)の[設定する]をクリックします。

- [有効化する]をクリックします。
Zoho CRMで旧バージョンのUIを使用している場合は、[設定]→[マーケットプレイス]→[Zoho]に移動し、ステップ3以降の手順を実行してください。