はじめに
製造業では、製品の製造、品質検査、取引先への納品まで、さまざまな業務が行われます。取引先からの注文を効率よく管理し、納期までに製品を納品して顧客満足度を高めるには、複数の部署やチームが連携してこれらの業務を行う必要があります。
Zoho CRMには、CRM for Everyoneと呼ばれる機能が用意されています。CRM for Everyoneは、Zoho CRMを組織内の複数のチームと連携しながら利用するための機能です。組織の要件に合わせて操作画面や機能をカスタマイズすることができます。このページでは、製造業の企業を例にCRM for Everyoneの活用方法について説明します。
製造業の企業の例
ある企業では、住宅や商業施設向けの非常用発電機を製造、販売しています。以下では、この企業の営業チームが他のチームとどのように連携しながら顧客に対応するか、CRM for Everyoneの利用例と共に説明します。
各チームには独自のチームスペースが設定されており、それぞれのチームスペースの画面で日々の業務が行われます。各チームの業務内容は、以下のとおりです(以下の画像は、チームスペースの画面の例です)。
- 営業チーム:注文の受け付けと管理
- 製品チーム:受注した製品の製造
- 調達チーム:部品・材料の調達
- 法務チーム:各種書類の審査、品質の確認
- 納品チーム:受注した製品の納品
- サポートチーム:納品後の問い合わせの対応
・各チームスペースでは、チーム専用のタブを作成し、該当のチームの業務プロセスを管理できます。たとえば、製品チームの場合、[製品仕様書]タブを作成して各種製品の仕様書を管理できます。納品チームの場合、[納品スケジュール]タブを作成してスケジュールを管理することが可能です。
・チームタブでは、管理者を設定できます。管理者は、チームタブ内での業務プロセスを管理することが可能です。また、チームタブの管理者は、Zoho CRMの他のユーザーを[申請者]として割り当てることができます。申請者として割り当てられたユーザーは、他のチームに対して業務に関する申請を行い、共同作業を行うことができます 。
以下では、見込み客との最初の接点から、商談の受注を経て製品の納品に至るまでの各ステージにおいて、それぞれのチームがどうのように連携しながら業務を進めるか説明します。
見込み客の管理と注文の受け付け
営業チームは、見込み客との最初の接点です。見込み客とのやりとり、見込み客の要件の収集、見込み客の登録などの業務を行います。
営業チームの担当者は、取引先の設備管理者から住宅用の非常用発電機の製品の購入に関する問い合わせを受け付けました。
問い合わせに対応するにあたって、製品のパンフレットや他の製品との比較表などの書類があると便利です。以下のスライドのとおり、営業チームの担当者は、マーケティングチームに対して資料を提供するように申請します。
マーケティングチームは申請内容を確認し、該当の資料を添付して営業チームの担当者に通知します(コメント内で担当者名をメンションします)。
営業チームの担当者は、受け取った資料をもとに、取引先の設備管理者への問い合わせに対応します。
製品の仕様書の準備
取引先の設備管理者が説明や資料に納得した場合、商談の手続きに進みます。取引先の設備管理者は、営業チームの担当者に製品の要件情報を送信します。
営業チームの担当者は、受け取った情報をまとめ、Zoho CRMに保存します。
その後、製品チームに申請を送信し、見込み客の要件を確認して、要件に適した製品の仕様書を提供するように依頼します。
製品チームは申請内容を確認し、該当の製品の仕様書を添付して営業チームの担当者に通知します(コメント内で担当者名をメンションします)。
営業チームの担当者は、受け取った製品の仕様書をZoho CRMに保存し、見込み客に共有します。
その後、見込み客に購入の意向を確認します。購入の意向を確認できた場合、見込み客データを連絡先(商談中の顧客)データに変換し、商談のステージを次に進めます。
見積書と契約書の作成
次に、営業チームは取引先の設備管理者に見積書を送信します。
取引先の設備管理者が見積書の内容に同意した場合、購入手続きに進みます。同意を得られなかった場合、見積書の内容についてやりとりを行い、内容の調整を行います。
見積書の内容の確定後、営業チームの担当者は、契約書を作成するように法務チームに申請を送信します。
法務チームは申請内容を確認し、契約書を添付して営業チームの担当者に通知します(コメント内で担当者名をメンションします)。
営業チームの担当者は、契約書を取引先に共有します。取引先の設備管理者が契約書の内容に同意した場合、決済処理に進みます。
製品の製造と配送
営業チームは、製品の完成予定日についての情報を提供するよう製品チームに申請を送信します。
製品チームは、製品の製造を開始します。
製品チームは申請内容を確認し、完成予定日に関する情報に関して営業チームに通知します。
次に、営業チームの担当者は、製品の配送の詳細について納品チームに申請を送信します。
納品チームは申請内容を確認し、配送に関する詳細(例:配送業者、納品情報など)に関して営業チームの担当者に通知します。
営業チームの担当者は、納品チームから受け取った情報を取引先に伝えます。
納品とサポート
営業チームは、納品チームと共に納品のスケジュールを調整します。
営業チームの担当者は、納品のスケジュールを作成するように納品チームに申請を送信します。
納品チームは申請内容を確認し、スケジュールを添付して営業チームの担当者に通知します(コメント内で担当者名をメンションします)。
営業チームの担当者は、Zoho CRMで取引先の情報を更新します。
納品の完了後、サポートチームは取引先に対してフィードバックやサポートに関する連絡を行います。
おわりに
上記のとおり、CRM for Everyoneを利用して複数のチームや部門の担当者が連携しながら対応を進めることができます。製造業における複雑な業務や手続きの効率化を図り、納品までの対応をスムーズに行うことが可能です。