ワークフローでのZiaの処理の設定に関する重要性
組織の運営において、業務プロセスは重要な役割を果たします。そして、業務プロセスを滞りなく進めるために重要な役割を果たすのが、Zoho Deskのワークフローです。ワークフローでは、設定した条件が満たされたときに処理を自動で実行できます。業務プロセスに関する自動化処理を設定することが可能です。
ワークフローを設定することで、繰り返しの業務を自動化し、業務プロセスの効率化を図ることができます。担当者の負担を軽減し、優先度の高い他の業務に集中することが可能です。
Zoho Deskでは、ワークフロー内で条件を満たした場合に実行する処理として、Ziaによる処理を設定することもできます。Ziaによるデータの抽出、項目値の予測、自動返信、返信メッセージの生成など、より高度な処理を実行することが可能です。これらの機能を活用することで、問い合わせの対応業務をより円滑に行い、顧客満足度の向上につなげることができます。このページでは、ワークフローでのZiaの処理の設定方法や利用方法について説明します。
ワークフローでのZiaの処理の設定
問い合わせには、顧客に関するさまざまな情報が記載されています。メールアドレス、電話番号、連絡に最適な時間帯、サブスクリプションプラン、アカウントの種類、問い合わせの説明、対象商品/サービスなどがその例です。
これらの詳細をもとに問い合わせの分類、優先度の設定、担当者への割り当ての処理が行われ、担当者による対応が行われます。
Zoho Deskでは、新しく作成された問い合わせの詳細を抽出し、抽出したデータをもとにワークフロー内で自動化処理を実行することができます。
以下では、顧客がサポートチームに問い合わせを送信した例を挙げて説明します。
山田さんは、先週誤って購入した商品の返品について問い合わせをメールで送信しました。購入先のXYZ社のWebサイトには返品に関するポリシーが記載されていなかったため、商品の返送方法についてサポートチーム(
xyz@support.com)に問い合わせました。
メール内には、商品の購入日、決済方法、商品の状態など、取引に関する詳細を記載しました。また、返金手続きの完了予定日についても質問しました。
問い合わせが特定の条件を満たす場合、問い合わせに対して該当のワークフローが適用されます。ワークフロー内においてZiaによって抽出される問い合わせのデータと、実行可能な自動化処理の例は、以下のとおりです。
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処理の種類
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処理の内容
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処理の結果
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データの抽出
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メールアドレス、電話番号、連絡に最適な時間帯、問い合わせの種類など、顧客と問い合わせに関する詳細が抽出されます。
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問い合わせのレイアウトにおいて、抽出された詳細の値が対象の項目に自動で入力されます。
問い合わせの種類に応じて、問い合わせが自動で分類されます。特定の問い合わせの種類に関するワークフローが作成されている場合、問い合わせに対して該当のワークフローが自動で適用されます。
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項目値の予測
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問い合わせの内容が分析され、商品の種類、決済方法、商品の状態などの詳細が抽出されます。
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問い合わせのレイアウトにおいて、抽出された詳細の値が対象の項目に自動で入力されます。
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項目値の予測によって出力された値の自動割り当て
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問い合わせの重要度(例:高、中、低)とサポート対応のレベル(例:レベル1、レベル2、レベル3)が予測されます。
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予測によって出力された重要度とサポート対応のレベルの項目の値が自動で入力されます。
出力された項目の値に応じて、対象のチームや担当者に対して問い合わせが自動で割り当てられます。
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内容の生成
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メールやスレッド内に記載されている内容が要約され、要点が表示されます。
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担当者は、要約をもとに問い合わせの内容をひと目で確認できます。
要約は、参照用に非公開のコメントとして追加されます。
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メールの自動返信
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問い合わせに関する参照先のナレッジベースの記事のリンクが記載されたメッセージが生成されます。
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返品ポリシー、購入ガイドライン、よくある質問など、記事のリンクを共有することで、解決方法を案内することができます。
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上記の例におけるワークフローでのZiaの処理を設定するメリット
- 問い合わせの対応を迅速に行うことができます。
- 抽出したデータをもとに、処理を正確に行うことが可能です。
- 一次返信時間を短縮し、問い合わせの再開率を低下させることができます。
- 組織のポリシーやガイドラインに従って問い合わせに返信できます。
- 繰り返しの業務をZiaに割り当てることができるため、担当者の生産性を高めることが可能です。
- 顧客の問い合わせ内容に沿った返信をすばやく送信することで、顧客満足度の向上につなげることができます。
- 業務プロセスの効率化を図り、組織の成長につなげることが可能です。
ワークフローでのZiaの処理の設定手順
留意事項
- 管理者は、ワークフローでのZiaの処理を設定できます。
- Ziaの処理の設定は、エンタープライズプランでのみ可能です。
- Ziaの処理の設定対象として指定できるのは、[問い合わせ]タブのみです。
- 以下の各種上限が適用されます。なお、これらの各種上限は、ワークフローでのZiaの処理の設定においてのみ適用されます。他のZiaの機能やAIエージェントに関する設定には適用されません。
- 1件のワークフローにおいて一度に設定できるZiaの各処理の種類は、1件のみです。1件のワークフロールールにおいて合計で4件のZiaの処理を設定できます。
- ただし、ワークフロールール内で各処理は、1回ずつのみ設定できます。
- 1日あたりの1件の組織における実行回数の上限は、1,000回です(すべてのZiaの処理を含む)。
- メッセージの生成とメールの自動返信の機能は、段階的に公開中です。これらの機能の利用を希望する場合は、support@zohodesk.comにお問い合わせください。
利用条件
ワークフローでのZiaの処理を設定するには、[業務の自動化]の権限が必要です。
必要条件
- Ziaの処理の設定には、生成AIサービスの機能が使用されています。そのため、ワークフローでのZiaの処理を設定するには、生成AI機能を有効にする必要があります。有効にするには、[設定]→[Zia]→[生成AI]の順に移動します。生成AIサービスの設定に関する詳細については、こちらをご参照ください。
- メールの自動返信を有効にするには、生成AIサービスと案内ボットの両方の機能を有効にする必要があります。有効にした後、部門専用の案内ボットを作成し、学習を行う必要があります。案内ボットに関する詳細については、こちらをご参照ください。
- メッセージの生成とメールの自動返信は、英語にのみ対応しています。
Ziaの処理の有効化
[業務の自動化]の権限を持つ管理者は、Ziaの生成AI機能の設定画面からZiaによる処理を有効にする必要があります。有効にすると、ワークフロールール内でZiaによる処理を設定できるようになります。Ziaによる処理は、無効にすることも可能です。
Ziaによる処理を有効にするには、[設定]→[Zia]→[生成AI]→[Ziaの処理]に順に移動します。
項目の抽出
Ziaを通じて問い合わせのやりとりからメールアドレス、電話番号、期限、問い合わせの種類、商品コード、注文番号、購入日などの値を抽出し、自動で出力することができます。担当者の手間を省き、入力ミスを防ぐのに役立ちます。
対応項目:Ziaによる項目の抽出に対応している項目は、以下のとおりです。また、値の抽出が適切に行われているかどうかを確認することをお勧めします。
- 数値、小数、パーセント
- 通貨、メールアドレス、電話番号、URL
- 日付、日時
制限事項
- 1件のワークフロールールにおいて抽出できる項目の値の上限は、5件です。
利用例
大学/教育機関:コースの学習資料に関して、学生が問い合わせを送信したとします。
- Ziaによって問い合わせからデータが抽出され、レイアウトの項目との関連付けが行われます(例:試験コード、学生ID、電話番号、登録日、入学日など)。
- 抽出されたデータがレイアウトの項目に自動で入力されます。

金融機関:金融機関の利用者が、住宅ローンの返済に関する問い合わせを送信したとします。また、利用者は、住宅ローンの詳細な内訳についても質問しました。
- Ziaによって問い合わせのメールから情報が抽出されます。
- 利用者の名前、連絡先の詳細、ポリシー名、ポリシー番号、問い合わせの種類、問い合わせの説明が識別されます。
- 抽出された値が、該当の項目に自動で入力されます。
- 住宅ローンの対応チームに対して、問い合わせが自動で割り当てられます。
ワークフローで項目の抽出を設定するには
- [設定]→[自動化]→[ワークフロー]の順に移動します。
- [ルールを作成する]をクリックします。
- [問い合わせ]タブを選択します。
- ルール名、説明を入力して、[次へ]をクリックします。
- ルールの実行タイミングを選択します。
- 必要に応じて条件を選択します。
- [処理]の欄で、ドロップダウンから[処理の抽出]を選択します。

- 処理の抽出のページで、以下の操作を実行します。
- 分析対象のテキストのセクションで、Ziaを通じて値を抽出する際のデータ元となるテキストの差し込み項目を選択します。
- 項目とサンプルの形式のセクションで、ドロップダウンから項目(例:メールアドレス、電話番号)を選択し、サンプルの形式(例:mm/dd/yyyy、123-0000-999)を入力します。サンプルの形式の入力は任意です。
- [保存する]をクリックします。

項目値の予測
ワークフローでのZiaによる項目値の予測の処理の設定は、通常のZiaの項目値の予測機能とは異なる機能です。ワークフローでのZiaによる項目値の予測の処理では、Ziaの学習は必要ありません。
Ziaによってレイアウト内のメールの本文、スレッドの返信、件名、説明など、項目の分析が行われ、該当の項目の値の予測が行われます。その後、予測された値と対象項目との関連付けが自動で行われます。
たとえば、問い合わせの説明やスレッドの返信をもとに、学生の入学タイミングを予測し、該当の項目に値を自動で入力することができます(例:[入学予定]の項目の値として[2025年秋]を予測可能です)。同様に、問い合わせの説明をもとに必要書類のステータスを予測し、項目の値を自動で更新することが可能です(例:処理待ち、遅延中)。また、特定のステータスの場合に問い合わせを対象のチームに割り当てることもできます。
対応項目:値の予測に対応している項目は、以下のとおりです。
- 選択リスト
- 色分けした選択リスト
- 複数選択リスト
ワークフローでのZiaによる項目値の予測の処理の設定と、通常のZiaの項目値の予測機能の両方が設定されている場合
ワークフローを通じて実行された項目値の予測の処理によって、通常のZiaの項目値の予測が上書きされます。
たとえば、問い合わせを受信した際にZiaによって「問い合わせの種類」が「製造上の欠陥」と予測されたとします。その後に送信された問い合わせにおいて、ワークフローでのZiaによる項目値の予測の処理によって「問い合わせの種類」が「デバイスの不具合」と予測された場合、元の予測値である「製造上の欠陥」は「デバイスの不具合」に置き換えられます。
ワークフローでの項目値の予測の処理を設定するには
- [設定]→[自動化]→[ワークフロー]の順に移動します。
- [ルールを作成する]をクリックします。
- [問い合わせ]タブを選択します。
- ルール名、説明を入力して、[次へ]をクリックします。
- ルールの実行タイミングを選択します。
- 必要に応じて条件を選択します。
- [処理]の欄で、ドロップダウンから[項目値の予測]を選択します。
- 項目値の予測のページで、以下の操作を実行します。
- 分析対象のテキストのセクションで、Ziaを通じて値を予測する際のデータ元となるテキストの差し込み項目を選択します。
- Ziaを通じて値を予測する項目を選択します。
- Ziaを通じて予測する値を選択します。
- [保存する]をクリックします。

内容の生成
問い合わせのメールの本文が長い場合、要件を汲み取るのは大変です。問い合わせの要約を理解するのに時間がかかり、場合によっては要件を見逃してしまう可能性もあります。このような場合に、Ziaの機能が役立ちます。
Ziaでは、顧客の問い合わせの要約を生成し、問い合わせの要点を表示することができます。担当者は、問い合わせの内容をひと目で把握し、すばやく対応を進めることが可能です。生成された要約は、ワークフローを通じて公開/非公開コメントとして追加したり、テキスト項目に自動で入力したりできます。
Ziaによって最新のスレッドの内容、問い合わせの説明、問い合わせのステータス、優先度の分析が行われ、要約が生成されます。また、要約を生成するにあたって、Ziaに対して指示文を入力することも可能です。
たとえば、オンサイトでの機器の設置に関する問い合わせをメールで受け付けるとします。この際、Ziaを通じて問い合わせの件名や説明をもとに内容の要約を生成するにあたって、次のように指示文を指定することができます:「Summarize the ticket conversation, highlight the list of requirements, and mention the urgency of the request」(問い合わせのやりとりを要約してください。その際、要件を一覧にまとめて表示して、問い合わせの緊急度を教えてください)。また、生成された要約を参照用に非公開コメントとして追加することも可能です。
生成された要約を確認することで、担当者は問い合わせのメールの内容にすべて目を通す手間を省くことができます。また、その後の対応をすばやく進めることも可能です。担当者の時間を節約し、問い合わせの要件の見落としや誤解を防ぐのに役立ちます。
留意事項
- ワークフローで内容の生成の処理を設定するには、生成AIサービスを有効にする必要があります。
- 内容の生成は、英語でのみ可能です。現在、他の言語には対応していません。
- ChatGPTを使用した生成AIサービスの場合、使用するたびにトークンが消費されます。ChatGPTを使用した生成AIサービスに関する詳細については、こちらをご参照ください。
ワークフローでの内容の生成の処理を設定するには
- [設定]→[自動化]→[ワークフロー]の順に移動します。
- [ルールを作成する]をクリックします。
- タブを選択します。
- ルール名、説明を入力して、[次へ]をクリックします。
- ルールの実行タイミングを選択します。
Ziaのメールの返信の場合は、[作成する]を選択します。 - 必要に応じて条件を選択します。
- [処理]の欄で、ドロップダウンから[内容の生成]を選択します。
- 内容の生成のページで、以下の手順を実行します。
- 分析対象のテキストのセクションで、Ziaを通じて要約を生成する際のデータ元となるテキストの差し込み項目を選択します。
- 実行する処理のセクションで、公開コメント、非公開コメント、項目の更新のいずれかを選択します。
- 指示文のセクションで、内容の生成時におけるZiaに対する指示内容を入力します。

- [保存する]をクリックします。
メールの自動返信
留意事項
- メールの自動返信の処理は、メールの経路を通じて作成された問い合わせに対してのみ設定できます。また、問い合わせの作成後に対してのみ実行可能です。
- 返信の生成と送信は、初回のメッセージに対してのみ行われます。
- Ziaによるメールの自動返信の処理を設定するには、案内ボットの設定と学習が必要です。Ziaによる返信の下書きの作成やナレッジベースの記事の案内は、学習を通じてのみ行うことができます。案内ボットに関する詳細については、こちらをご参照ください。
- 案内ボットの設定先の部門とワークフローの設定先の部門が同じであることを確認してください。
- メールの自動返信は、英語にのみ対応しています。
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以下に該当する場合、自動返信は生成されません。
- メールの経路を通じて問い合わせを受信していない
- メールの受信スレッドがない
- メールの本文に詳細が記載されていない/言語が不明瞭
- 返信メールがすでに送信されている
ワークフローにおいて、回答ボットを通じて顧客の問い合わせに自動で返信する処理を設定できます。返信メッセージには、問い合わせに関するナレッジベースの記事のリンクを記載することが可能です。
たとえば、ソフトウェアのインストールの不具合、アカウントの設定方法、パスワードの失念などの問い合わせに対して、回答ボットを通じて返信メッセージを自動で生成し、返信できます。
担当者の負担を軽減したり、サポートチーム全体の生産性を高めたりするのに役立ちます。組織で管理、保存されているナレッジベースの記事をもとに、AIの機能を通じて回答を生成し、問い合わせに効率よく対応することが可能です。
サポートチームは、他の優先度の高い業務に集中して取り組むことができます。
管理者は、自動返信メールの到達率を確認することも可能です。自動返信メールの到達率に関する各種指標データは、専用のダッシュボードから確認できます。ダッシュボードを確認し、必要に応じて不具合やエラーを解決することが可能です。
以下に該当する場合、自動返信は生成されません。
- Ziaを通じて自動返信を送信する場合、自動返信の送信が「成功」として更新されます。
- Ziaを通じて自動返信を送信しない場合、自動返信の送信が「失敗」として更新されます。
ワークフローでのメールの自動返信の処理を設定するには
- [設定]→[自動化]→[ワークフロー]の順に移動します。
- [ルールを作成する]をクリックします。
- タブを選択します。
- ルール名、説明を入力して、[次へ]をクリックします。
- ルールの実行タイミングを選択します。
メールの自動返信の場合は、[作成する]を選択します。 - 必要に応じて条件を選択します。
- [処理]の欄で、[メールの自動返信]を選択します。
- メールの自動返信のページで、以下の手順を実行します。
- 問い合わせ番号が自動で入力されます。変更することはできません。
- ユーザーの返信用メールアドレスの欄で、担当者のメールアドレスを入力します。
- 差出人メールアドレスの欄で、メールアドレスを選択します。
- 宛先メールアドレスの欄で、差し込み項目からメールアドレスの項目を選択します(例:連絡先のメールアドレス、問い合わせのメールアドレスの項目)。
- メールの返信テンプレートで、必要に応じてメッセージを編集します。
- Ziaの返信後の欄で、対象の項目と値を選択します。
- Ziaが返信を送信できなかった場合の欄で、対象の項目と値を選択します。
- [保存する]をクリックします。
