Zoho Creatorのアクセシビリティ向上機能
Zoho Creatorでは、アクセシビリティの高いアプリ開発の支援に力を入れています。アクセシビリティとは、障害の有無にかかわらず、誰もが認知、操作、理解できる状態を意味します。Zoho Creatorで作成されたアプリを通じて、誰にとっても使いやすく、個々のニーズも満たすサービスを浸透させること、そして、アクセシビリティに関する国際基準を普及させることを目指します。
アクセシビリティ適合レポート
Zoho Creatorでは、VPATバージョン2.5の評価結果をもとに、アクセシビリティ適合レポート(ACR)を作成しています。米国の情報技術産業協議会(ITI)が作成するVPATは、アクセシビリティの達成状況を報告するための業界標準のフォーマットです。Zoho Creatorを購入、評価する際には、アクセシビリティ向上機能をまとめた当レポートをご参照ください。
フィードバックとサポート
Zoho Creatorは、皆さまのご意見を取り入れて、より使いやすいサービスへと成長していきます。アクセシビリティに関する問題点や改善点がありましたら、accessibility@zohocreator.com宛てにメールでご連絡ください。寄せられたフィードバックを確認し、できるだけ早期に解決策を提案します。 Zoho Creatorでは、あらゆる人の使いやすさを常に追求するとともに、アクセシビリティに関する基準を随時適用しています。
1.WCAG準拠とは
ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)とは、主に障害を持つ人のために、デジタルコンテンツのアクセシビリティ要件を定めた国際基準です。Webアプリの開発時にガイドラインに準拠することで、アプリのアクセシビリティを高めることができます。つまり、視覚、聴覚、認知機能、運動機能などに障害を持つ人々を含めて、誰もが認知、操作、理解、使用しやすいアプリ開発が可能になります。
Zoho Creatorアプリは、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)が策定したWCAGに準拠しているため、国際基準を満たしながら、多様なユーザーの多様なニーズや能力に応えることできます。
Zoho Creatorは、現在、WCAG2.2の適合レベルAAのアクセシビリティ基準を達成しています。ユーザーはガイドラインをかんたんに実装して、障害の有無を問わず誰でも使用できるアプリを作成できます。WCAGの適合レベルについては、
こちらをご参照ください
1.1.Zoho Creatorアプリのアクセシビリティ対応が大切である理由
Zoho Creatorアプリのアクセシビリティが高まると、障害のある人だけでなく、すべての人にメリットがあります。アクセシビリティ対応とは、誰もが平等に使用できる環境づくりです。その結果、アプリのユーザー層を拡大し、全体的な使いやすさも改善できます。アクセシビリティ対応には、主に3つの目的があります。
- 包括性:障害を持つ人を含めて、多様なユーザーがアプリを平等に使用できる環境を整える。
- 適合性:法令や業界基準を遵守し、WCAGなどのアクセシビリティ要件を満たすことで、法的リスクや倫理的リスクを取り除く。
- 操作性:アプリの操作方法を複数提供することで、誰もが快適に操作できる環境を整える。
メモ:アクセシビリティ向上機能を設定できるのはユーザーのみです。
1.2.活用例
(i) 従業員管理アプリ作成のケースを考えてみましょう。組織の人事担当者として、軽度の運動障害と弱視のある人を採用しました。この人事担当者は、新しい従業員の追加、プロフィールの更新、休暇申請の承認などの業務において、従業員管理アプリを日常的に使用します。Zoho Creatorのアクセシビリティ向上機能を活用すると、アプリの作業環境をニーズに合わせてカスタマイズできます。
- 従業員フォームに情報を入力したり、レポートを確認する際に、テキストのサイズを拡大すると、文字が読みやすくなります。
- フォームのテーマにコントラストの高い色を適用すると、項目、ボタン、セクションが区別しやすくなり、目の負担を軽減できます。
- かんたんアクセスを有効にすると、マウスの代わりに[Tab]キーとショートカットキーでアプリを操作できるため、次の項目やページにかんたんに移動できます。
- 文字の間隔をやや広めに調整すると、文字の密度が減り、視覚に困難があっても楽に読めるようになります。
人事担当者は、アプリのアクセシビリティ向上機能を活用することで、日々のあらゆる人事業務を自力で効率よく快適にこなしています。他者のサポートや特別なソフトウェアは必要ありません。
(ii) 上記のケースで、アプリに新しい従業員が追加されたとします。この従業員には、ディスレクシア(読字障害)と軽度の視覚障害があります。入社直後なので、入社フォームの入力、プロフィールの更新、社内規程の確認など、従業員管理アプリでの作業が必要です。先のケースと同様に、アクセシビリティ向上機能を活用した場合、誰の助けも借りることなく、アプリをニーズに合わせてカスタマイズできます。
- 新しい従業員の入社フォームには、多くの入力項目があります。下書きとして保存しておくと、入力作業の途中でも休憩を挟むことができます。
- 無効な項目の表示を有効にすると、編集不可の項目をはっきりと判別できるようになります。
- 文字の間隔をやや広めに調整すると、文字の密度が減り、視覚に困難があっても楽に読めるようになります。
- 入力フォームの必須項目にテキスト(「必須」など)を設定すると、従業員情報を更新する際に、重要な情報の入力漏れを防止できます。画面読み上げ(スクリーンリーダー)の使用時にも役立ちます。
- 従業員向けの研修資料で動画を視聴する際には、再生、一時停止、ミュートのアイコンが分かりやすく表示されます。
- 福利厚生を申請するためのリンクには、「医療保険の種類については、こちらをご参照ください」などのラベルが表示されます。「こちらをクリックしてください」などのあいまいな表現と異なり、リンク先の内容を正確に理解できます。
- どの画面でもページタイトルと操作ボタンの表示形式が一貫しているため、今どこにいて次に何をするべきかを常に把握できます。
新しい従業員は、アプリを快適に操作しながら、入社手続きをすべて自力で終えました。特別なサポートは必要なく、ストレスを感じることもなく、初日から受け入れられた印象を持っています。
2.アプリ開発者ガイド(アクセシビリティに対応した誰もが使いやすいアプリとは)
包括性に配慮したアプリを設計/開発するには、WCAGなどの業界標準のアクセシビリティガイドラインに準拠することをお勧めします。
2.1 Zoho Creatorのアプリ全般に関するガイドライン
- 明確なコンポーネント名:フォーム、レポート、ページといったコンポーネントには、その目的が明確に伝わる名前と詳細テキスト(ある場合)を設定します。フォーム内の各項目には、ラベルやツールチップで説明を表示しておくと、ユーザーがスムーズにフォームを入力できます。
- たとえば、フォーム名には「申し込みフォーム」ではなく、「求人応募フォーム」や「入会申請フォーム」などの具体的な名前を設定します。
- 上記のフォームの詳細テキストについては、「弊社の求人に応募する方は、こちらのフォームを使用してください。基本情報、職歴、資格などの記入が必要です」のように設定します。
- 名前の項目であれば、単なる「名前」ではなく、「氏名を入力してください」に変更してもよいでしょう。
- 誰にとっても分かりやすい簡潔な表現:専門用語、慣用句、略語など、一般的でない表現は避けます。ユーザーの混乱を防ぎ、アクセシビリティを高めるには、簡潔で明瞭な表現を使用します。
- 一貫性:ページタイトルと操作ボタンには、すべてのコンポーネントに共通する形式の明確なラベルを設定します。
- テストとフィードバック:アクセシビリティの実効性を高めるに、障害を持つ人によるアプリのテストを定期的に実施し、そのフィードバックをアプリの設計プロセスに取り入れます。
2.2 Zoho Creatorのフォームに関するガイドライン
- フォームの作成時には、記号と特殊文字を使用しません。
- スムーズで直感的な操作を可能にするには、フォーム項目を論理的な順序で配置します。特に、画面読み上げ(スクリーンリーダー)を主な操作手段とするユーザーにとっては必須です。論理的な順序とは、以下のような並べ方です。
- 名
- 姓
- 電話番号
- 住所
- フォーム内の項目は、縦1列のレイアウトで配置します。このレイアウトのメリットは以下のとおりです。
- 画面読み上げ(スクリーンリーダー)の使用時に、線形に読み上げることができます。
- [Tab]キーでスムーズに移動できるなど、キーボード操作のアクセシビリティが向上します。
- 最小限の動作で操作できるため、運動機能に障害を持つ人の身体的な負担を軽減します。
- 画像には代替テキストを追加します。画像を視認しにくい弱視の人や、画面読み上げ(スクリーンリーダー)を使用している人にとって、画像の内容を理解するには、詳細テキストの情報が欠かせません。
- 代替テキストでは、画像の内容を正確に描写することが必要です。
- フォーム内の項目ラベルの幅は自動に設定します。テキストの省略表示を防ぎ、ラベルが長くても全体が表示されるようにします。
- フォームにはキャプチャ(画像認証)を使用しません。手指の動きに制限のある人にとって、小さなチェックボックスのクリックや画像のドラッグ&ドロップは、複雑な操作となり得ます。また、画面読み上げ(スクリーンリーダー)では、画像を使ったキャプチャを読み上げることができません。
- 各自のペースでフォーム入力を進めていけるように、下書きの保存の設定を有効にします。
- 誰にとっても分かりやすいフォームを作成するには、項目ごとに異なるラベルを使用します。その目的が明確に伝わるラベルを設定しましょう。項目にツールチップやヘルプテキストを追加して、補足情報を表示することも可能です。
- テーマのカスタム色を選択する場合、文字などの読みやすさと分かりやすさを高めるには、高コントラストな配色を設定します。
- 弱視や色覚異常のある人が文字と背景を区別するには、高コントラストで配色することが必要です。
- テキスト、ボタン、アイコンなどの視認性を高めて、画面上で区別しやすくします。
- やむを得ない場合を除き、フォームの入力には制限時間を設定しません。時間の制限が必要な場合は、入力から送信までに十分な余裕を持てるように、少なくとも20時間の入力期間を確保します。
- 画面読み上げ(スクリーンリーダー)を主な操作手段とするユーザー向けに、項目の上または横にラベルを配置します。
- フォームにリンクを追加する場合、その目的が明確に伝わるリンク名を設定します。適切なリンクテキストの例は以下のとおりです。
- 「利用規約をご確認ください」(「詳細はこちら」では不十分)
- 「ご不明な点は、サポート窓口にお問い合わせください」(「こちらをクリック」では不十分)
- 項目に説明を追加する場合、プレースホルダ―のテキストを詳細テキストの代わりに使用することはできません。差し込み項目のテキストは文字を入力し始めると消えるため、混乱を招く可能性があります。
- たとえば、メールアドレス項目であれば、プレースホルダーのテキストではなく、「勤務先または個人のメールアドレスをabc@zylker.comの形式で入力してください」のような詳細テキストを追加します。
- フォームの必須項目には、ラベルに「必須」のテキストを表示します。画面読み上げ(スクリーンリーダー)のユーザーに限らず、誰にとっても分かりやすさが向上します。
- 運動機能に障害を持つ人のアクセシビリティを高めるには、マウスポインターの単純な操作のみで完結する項目を使用します。たとえば、署名の項目にはドラッグ操作が必要ですが、誰もが使える操作とはいえません。署名が必要な場合には、署名済み文書のアップロードなど、代替手段を採用します。
2.3 アプリコンポーネント内のメディアファイルに関するガイドライン
コンポーネントにメディアファイル(音声や映像)を埋め込む場合、以下のガイドラインに従ってください。
- 点滅が1秒間に3回を超えるコンテンツは使用しません。点滅するコンテンツが必要な場合は、再生前に目立つ警告を表示します。
- 映像コンテンツには手話通訳を併用します。聴覚に障害を持つ人のニーズも満たすことで、映像のアクセシビリティ基準を達成できます。
- メディアファイルには再生機能を実装します。YouTube動画の再生と一時停止のような機能を備えることで、ユーザー自身がコンテンツの動きを自由に制御できます。特に、動き続ける要素を苦手とする人に役立ちます。
- 音声コンテンツには背景音を使用しません。背景音が必要な場合、音声を聞き取りやすくするために、背景音を発話より少なくとも20デシベル小さくします。
3.関連トピック
- アクセシビリティ向上機能の理解